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欧州銀行のデレバレッジの動きが鮮明化~BIS国際与信統計(2012年3月分)より 

BISは昨年9月末の国際与信統計を公表した。この統計は主要国の銀行がクロスボーダー及び現地子会社等を通じて他国にどれだけの与信を行なっているかをまとめた統計である。昨年末に、「2012年の経済・マーケットを考える(2)~デレバレッジ 」というエントリでまとめたが、欧州金融不安の拡大により、欧州銀行のデレバレッジの動きが加速し、金融システムが脆弱な新興国経済にも影響を与えるのではないかという懸念があった。


欧州の金融機関がドル建ての資金を調達する場合、米国内にリテールを持つわけではないので、専ら市場調達に依存してきた。しかし、2007年以降の金融危機では、市場でのドルファンディングが困難となり、ドル建て資産の圧縮を余儀なくされた。その後各国中銀のドルスワップライン取極などの流動性対策が功を奏し、一旦はデレバレッジの動きは落ち着きを払っている。しかし、2010年からのソブリンリスクの進展、そして2011年に入るとそれに伴う欧州金融機関の流動性リスクが大きく意識されることとなり、欧州金融機関は再度ドル資金の調達難に陥った。特に2011年第3四半期は、欧州周縁国のソブリン債への懸念から、欧州の幅広い金融機関がドルなど外貨を調達できず、外貨建資産の圧縮を余儀なくされていたことが今回発表されたBIS統計で浮き彫りとなった


3月の統計において、クロスボーダー与信では、特に東欧向けの与信が減っていることが明らかになった。また、これまで与信の拡大が続いてきた中国は頭打ちとなり、インド及びブラジルでは与信が縮小してきている。以下はBRICs及び東欧向けのクロスボーダー与信の推移(出所:BIS Consolidated Banking Statistics、単位百万ドル)。

・BRICs

Cross-border Claims BRICs

・東欧

Cross-border Claims EastEurope


また、2011年9月末の国別の対外与信では、スペインの銀行がブラジル向けの対外与信を急激に縮小していたことが明らかになっている。昨年の6月末時点では、スペインの銀行はブラジルに対して2102.95億ドルの与信を行なっていたが、9月時点では1797.76億ドルにまで縮小している。これは、昨年夏以降のソブリンリスクの高まりで、スペイン国債のエクスポージャが大きいスペインの金融機関の外貨調達が難しくなりブラジル向けのエクスポージャを減少させたものとみられる。


国内の金融・実体経済面への影響については、中国、インド、東欧は国内与信(外国銀行の支店・現地法人による外貨建て及び地場通貨建ての国内与信)よりもクロスボーダー与信が大きいことから、こうした海外銀行の与信の縮小のインパクトは相対的に大きくなる。また、経常黒字国よりも経常赤字国のほうが、そうした影響をより受けやすくなる。新興国や東欧の経済については、昨年秋以降大きな減速がみられていることから、こうしたデレバレッジの影響を受けていると考えられる。新興国や東欧通貨は昨年の夏以降大きく売られ、かつ国内の金融・信用市場にも大きな影響が出てきている。例えば、クロスボーダー与信が大きく減少したハンガリーではM3が減少しており、信用の収縮が意識された。以下はハンガリーのM3の推移(出所:MAGYAR NEMZETI BANK、年率換算、1カ月ベースのインデックス)。


Hungary M3 20120316


実体経済面でも、こうしたデレバレッジの動きに加え、ユーロ圏を中心として世界的に景気減速が進行したことなどから、ハンガリーやチェコなど東欧諸国、インドやブラジルなど新興国でも2011年7-9以降景気減速が顕著となっている。また、新興国はインフレ傾向を強めていたことから中央銀行が金融引き締め姿勢を強めたことも影響している。以下はインド、ブラジル、東欧諸国のGDP伸び率の推移(出所:各国統計、YoY)。


EM GDP 20120316


2011年第4四半期についても、恐らく10-11月に掛けてデレバレッジの動きが加速していただろうと思われる。しかし、2011年11月に主要中銀がドルスワップライン取極の適用緩和や期間延長を行い、ドル資金の供給体制を強化した。またECBは12月と2月に3年物LTROを実施し、欧州の金融機関に大規模な流動性提供を行なった。このことから年初以降金融市場が安定し、ドルファンディングの環境は緩和されている。このことから2012年の第1四半期に掛けてはデレバレッジの動きが緩和に向かっていると思われる。(追記・加筆)また、欧州銀行が持っていたエクスポージャについてはアジアや米国の銀行が代替で融資したとBISではコメントしており、このあたりも緩衝材として機能している(ロイター「欧州銀行の資産圧縮、アジア・米系銀が代替で融資=BIS」参照)。しかし、欧州ソブリンリスクの動向が依然として不透明さが残り、金融市場の緊張が再び高まっていく可能性があること、依然として欧州金融機関のエクスポージャ自体は膨大であること、欧州金融機関の資本増強の動きなどを踏まえ、依然としてデレバレッジへの警戒感を払拭するには至らないものと考えられる。


【参考】欧州銀行の各国向け対外与信(出所:BIS)


・中東・アフリカ

ME and Africa_A 20120316
ME and Africa 20120316


・アジア・太平洋


Asia and Pacific 20120316


・先進国除く欧州


East Europe 20120316



・ラテンアメリカ


LAmerica 20120316


【用語について】

A国の銀行がB国に現地法人を持っていてその現地法人が現地企業や政府等に対して(外貨・現地通貨建て)与信を行なっている場合、それはA国の対外与信として扱う。対外与信は国際与信(国境を超えた(クロスボーダー)与信と外国銀行の支店・現地法人による外貨建ての国内与信)と外国銀行の支店・現地法人による地場通貨建て与信を合わせた与信のことである。


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カテゴリ: 市場視点

タグ: ソブリンリスク  欧州金融不安  マクロプルーデンス  新興国 
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ECB理事会~インフレ警戒のトーン 

3月8日にECB理事会が開催され、政策金利であるリファイナンス金利を1.0%に据え置いた。そしてドラギ総裁会見が行われ、冒頭以下のような声明文が読み上げられた(全文はECBサイト参照)。


Based on our regular economic and monetary analyses, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged. The information that has become available since the beginning of February has confirmed our previous assessment of the outlook for economic activity. Available survey indicators confirm signs of a stabilisation in the euro area economy. However, the economic outlook is still subject to downside risks. Owing to rises in energy prices and indirect taxes, inflation rates are now likely to stay above 2% in 2012, with upside risks prevailing. Nevertheless, we expect price developments to remain in line with price stability over the policy-relevant horizon. The underlying pace of monetary expansion remains subdued, consistent with contained inflationary pressures over the medium term.

通常の経済及び金融分析に基づき、我々はECBの政策金利を据え置くことを決めた。2月のはじめに入手出来る情報では、経済活動の見通しにおける我々の評価を確認した。入手できる調査では、ユーロ圏の経済に安定化の兆しを確認した。しかし、経済見通しはダウンサイドリスクとなっている。現在エネルギー価格や間接税の引き上げが進んでいることから、インフレ率は2012年において2%を超えて推移する可能性があり、アップサイドリスクが優勢となっている。しかしながら政策関連の時間軸を通して物価安定に沿って推移すると予測している。中期的なインフレ圧力を内包している、基本的な通貨の拡大ペースは抑制されて推移している。



このようなことから、景気についてはダウンサイドリスクに傾いているものの、インフレ認識についてはアップサイドリスクにシフトした。これは、欧州における間接税の引き上げの動きや、エネルギー価格の上昇といったことが背景となっているが、これにより今後利下げを行なっていくといった可能性は一層後退したものと思われる。後述するが、この日発表されたECB経済見通しでは、成長率見通しを下方修正する一方で物価見通しを上方修正している。特に物価見通しは2012年中は目標である2%を超えて推移していくとの見通しとなっており、リスクバランスをアップサイドに傾かせている。


そして、2回のLTRO実施と現在の金融市場の評価については以下の通りとなっている。


Over recent months, a wide range of additional non-standard monetary policy measures has been implemented by the Eurosystem. These measures, including in particular two three-year longer-term refinancing operations, were decided upon against the background of exceptional circumstances in the last quarter of 2011. The first impact of these measures has been positive. Together with fiscal consolidation and stepped-up structural reforms in several euro area countries, as well as progress towards a stronger euro area economic governance framework, they have contributed to a significant improvement in the financial environment over recent months. We expect that the three-year longer-term refinancing operations will provide further support for the ongoing stabilisation in financial markets and, in particular, for lending activity in the euro area. All our non-standard monetary policy measures are temporary in nature. Furthermore, all the necessary tools to address potential upside risks to medium-term price stability are fully available.

数カ月に渡って、広範囲な追加の非標準的な金融政策手段がユーロシステムによって実施された。特に2回の3年物LTROを含んだこれらの手段は、2011年の第4四半期に例外的な状況といった背景にあることで決めた。いくつかの国における財政再建や構造改革のステップアップだけでなく、より強力なユーロ圏の経済的な政府のフレームワークの進展とともに、それらはここ数カ月で金融の環境を著しく改善させるのに貢献した。我々は3年物のLTROが金融市場の現在進行している安定化や、特にユーロ圏における貸出にとって更なるサポートを提供していくだろう。すべての我々の非標準的な金融政策手段は、事実上一時的なものである。中期的な物価安定へのアップサイドリスクに対処するためのすべての必要な手段は十分に利用可能である。



このようなことから、3年物LTROを含めた非伝統的な手段は、金融市場の安定化や貸出に好影響を与えているのではないかとの見方を行なっている。1回目のLTROでは4891億ユーロ、2回目の3年物LTROでは5295億ユーロが供給されており、大規模な流動性供給となったことから、金融市場の安定化につながっているとの見方が出来る。欧州銀行の超過流動性(excess liquidity:open market operations plus lending facility minus net liquidity effect autonomous factors minus reserve requirements)は現状で8000億ユーロと過去最大規模となっており、このような流動性の下でターム物金利に低下バイアスが強く掛かっている。以下は銀行の超過流動性の推移とEURIBORの推移である(出所:ECB、EURIBOR)。


Excess Liquidity 20120309

EURIBOR 20120309



また、大量の流動性供給の結果、金融市場が安定化に向かっていることや、LTRO向けの担保への需要、さらには低利で貸し出されたLTROの一部が周縁国のソブリン債市場に流入した可能性などから、特にイタリアやスペイン国債のイールドカーブが正常化し、金利低下が顕著となっている。以下はイタリア国債10年物金利の推移である(出所:Bloomberg)。


Itary 10Y Yield



このようなことから、金融市場やの安定化や貸出に寄与しているという評価を行なっている。第1四半期は金融機関の金融債のリファイナンスが集中する時期であり、昨年以降金融市場で警戒されてきたが、ECBによる長期の流動性供給によりそうしたリファイナンスに対応できるとの見方が優勢である。そして高水準の準備により染み出し効果から金利低下バイアスが掛かってきている。こういったプロセスにより金融市場が安定に向かっており、流動性が枯渇しそれゆえ価格変動が大きくなっていたソブリン債市場も安定化に向かい、イタリアやスペインなどの周縁国の国債の利回り低下に繋がっていると言える。そして興味深いのが" all the necessary tools to address potential upside risks to medium-term price stability are fully available."という箇所で、物価見通しがアップサイドで推移していることを踏まえ、将来への出口戦略への手段が用意されているとの趣旨の発言を行っている。


今回のECB理事会では3月時点での経済見通しが公表された。3月時点での経済見通し及び物価見通しは以下のようになっている。


経済見通し(ユーロ圏実質GDP)
2012年:-0.5-+0.3% (12月時点では-0.4-+1.0%)
2013年:0-+2.2%


HICP見通し
2012年:2.1-2.7% (12月時点では1.5-2.5%)
2013年:0.9-2.3% (12月時点では0.8-2.2%)


このように、経済見通しは下方修正、物価見通しは上方修正となっている。そして、経済見通しについてのリスクバランスは以下の通りである。


This outlook remains subject to downside risks. They notably relate to a renewed intensification of tensions in euro area debt markets and their potential spillover to the euro area real economy. Downside risks also relate to further increases in commodity prices.

この見通しはダウンサイドリスクに依然として傾いている。特に、ユーロ圏の債券市場における緊張の強まりが再発すること、それらがユーロ圏の実体経済にスピルオーバーしていくことである。ダウンサイドリスクはさらなるコモディティ価格の上昇にも関連している。



としており、金融市場へのリスク、それが実体経済にスピルオーバーしていくリスクについて強調されている。物価見通しについてのリスクバランスは以下のようになっている。


Risks to projected HICP inflation rates in the coming years are seen to be still broadly balanced, with upside risks in the near term mainly stemming from higher than expected oil prices and indirect tax increases. However, downside risks continue to exist owing to weaker than expected developments in economic activity.

今後数年間のHICPインフレ率のリスクは広範でバランスが取れており、アップサイドリスクは主に短期的に予測された以上に原油価格が上昇することや間接税の引き上げである。しかし、ダウンサイドリスクもなお存在しており、経済活動の進展が予想以上に弱いことである。



このようなことから、長期的な物価見通しについてはバランスが取れているものの、短期的にはアップサイドリスクが優勢である。取り敢えず金融市場はLTROの効果や各国の財政改革の取り組み、ギリシャ債務スワップの進展、新財政協定の進展などから安定化に向かっているものの、先行きについてソブリンリスクが解決に向かっているわけでもなく、欧州金融機関のデレバレッジの可能性などから金融市場が再度緊張度を高める可能性もあり、まだまだ予断ならない状況は続いていくものと思われる。特に周縁国の金融機関についてはECB依存は未だに強いものと思われ、ECBはレンダーオブラストリゾートの役割をすぐに解くことは出来ないだろう。さらにそうした金融市場の緊張が実体経済にスピルオーバーしていくリスクについても警戒を解くわけにはいかない。一方で、2012年はインフレ率がインフレ目標である2%を超えて推移すると予測されていることから、物価見通しについてはアップサイドに傾かざるを得ない状況であり、利下げといった一段の金融緩和には慎重にならざるを得ないことから、今後ECBにとって政策運営は一段と難しくなっていくものと思われる。

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タグ: 金融政策  ECB  ユーロ  欧州金融不安  ソブリンリスク 
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ECB理事会~現状維持 

1月12日にECB理事会が開催され、現行のリファイナンス金利を1.0%に据え置くことを決めた。また上限金利である限界貸付ファシリティ金利を1.75%、下限金利である預金ファシリティ金利を0.25%にそれぞれ据え置くことを決めた。以下はドラギ総裁が会見冒頭に読み上げたステートメントである(全文はECBサイト参照)。


Based on its regular economic and monetary analyses, the Governing Council decided today to keep the key ECB interest rates unchanged, following the 25 basis point decreases on 3 November and 8 December 2011. The information that has become available since early December broadly confirms our previous assessment. Inflation is likely to stay above 2% for several months to come, before declining to below 2%. At the same time, the underlying pace of monetary expansion remains moderate. As expected, ongoing financial market tensions continue to dampen economic activity in the euro area, while, according to some recent survey indicators, there are tentative signs of a stabilisation in activity at low levels. The economic outlook remains subject to high uncertainty and substantial downside risks. In such an environment, cost, wage and price pressures in the euro area should remain modest and inflation rates should develop in line with price stability over the policy-relevant horizon. Overall, it is essential for monetary policy to maintain price stability over the medium term, thereby ensuring a firm anchoring of inflation expectations in the euro area in line with our aim of maintaining inflation rates below, but close to, 2% over the medium term. Such anchoring is a prerequisite for monetary policy to make its contribution towards supporting economic growth and job creation in the euro area. A very thorough analysis of all incoming data and developments over the period ahead is warranted.

通常の経済、金融分析に基づき、理事会は2011年11月3日及び12月8日に25bpの利下げを行ったあと、本日ECBの政策金利を据え置くことを決めた。12月のはじめ以降に入手できた情報では、広範囲で我々の以前の評価が確認された。インフレは2%以下に低下していく前の数カ月間は2%を上回って推移する可能性がある。同時に金融の拡大の基本的なペースは緩やかなままである。予測通り、現状の金融市場の緊張はユーロ圏の経済活動を抑制していく一方で、最近のいくつかの調査の指標によると、低い水準で活動が安定している仮の兆候がある。経済見通しは不確実性が高く、潜在的なダウンサイドリスクの影響を受け続けている。そのような環境において、ユーロ圏におけるコストや賃金、価格の圧力は緩慢に推移し、インフレ率は政策と関連した時間軸に渡って物価安定に沿って推移するだろう。全体的に、中期的に物価安定を維持し、それゆえ下回るか、もしくは2%に接近するという我々の維持すべきインフレ目標に沿ってインフレ期待がしっかりと固定することを確認することは金融政策にとって不可欠である。そのようなインフレ期待の固定は、ユーロ圏において金融政策が経済成長や雇用創出をサポートしていくのに貢献するための前提条件である。すべての入手できるデータや期間における進展においてよく考えられた分析が正当化される。



ステートメントにおいて、12月との違いというのは、経済活動が低い水準で安定している兆候がある、ということである。つまり、12月から1月に掛けて経済が落ち込むモメンタムは弱まってきたという評価であろう。ユーロ圏製造業の12月のPMIは46.9となり、11月の46.4から若干上昇している。以下はユーロ圏製造業PMIの推移である(出所:Markit)。


EUROZONE PMI 20120113


現状、ユーロ圏の景気はリセッションに入っているか、もしくはそのリスクが大きいと見られている。そのような中でPMIがやや改善したということは、一時的な景気落ち込みのモメンタム低下なのか、それとも底打ちなのか判断がつきにくいが、こうした動きを評価しているものと思われる。そのような状況において今回は金利を引き下げることを見送り、情勢を見極めるという決定だったように思われる。今回の政策決定は全会一致となった。しかしながら、経済見通しについてはダウンサイドに傾いたままである。


In the Governing Council’s assessment, substantial downside risks to the economic outlook for the euro area continue to exist in an environment of high uncertainty. They notably relate to a further intensification of the tensions in euro area debt markets and their potential spillover to the euro area real economy. Downside risks also relate to the global economy, protectionist pressures and the possibility of a disorderly correction of global imbalances.

理事会の評価において、ユーロ圏の経済見通しにおける潜在的なダウンサイドリスクは、高い不確実性の環境において続いている。それらは特にユーロ圏の債券市場の緊張がさらに激しさを増していくことや、実体経済にスピルオーバーしていくことに強く関係している。ダウンサイドリスクは、グローバル経済にも関係しており、保護主義圧力やグローバルインバランスの無秩序な修正を含む。



このようなことから、経済見通しについてさらなるダウンサイドリスクが顕在化していくと判断した段階で追加利下げを行う用意があるものとみられる。ドラギ総裁も記者会見において記者とのやり取りの中で、先行きの利下げについては「前もってコミットメントしない(We never precommit)」としながらも「あらゆる状況を監視した段階で行動する用意がある "will monitor all developments, we are ready to act"」と述べており、含みを残す形となっている。利下げについては、インフレへの見通しも前提条件となるが、今月の理事会でもインフレのリスクは、"The Governing Council continues to view the risks to the medium-term outlook for price developments as broadly balanced.(理事会は物価の進展について中期的なリスクの見通しは広範にバランスが取れている)"との判断を行なっており、利下げへの妨げとなるような判断とはなっていない。


記者からの質問で多く出されたのが3年物のLTROに対する効果についてである。複数の記者はオペで供給した資金が預金ファシリティに流れており、市場に流れていないのではないか、としているが、これについては以下のような応答を行なっている(FT Money supply"Live blog: ECB presser"より)。


This decision prevented what could have been a major credit constraint [from bank bonds becoming due]. We’ve also seen interest rates declining all along the yield curve.”

この決定は大きな信用収縮をいく分阻止できたのではないか。我々はすべてのイールドカーブにおいて金利が低下したことを目の当たりにした。

This money doesn’t simply stay in the ECB’s deposit facility, he adds. “It’s definitely flowing through the economy"
この資金は単にECBの預金ファシリティに滞留しているだけではなく、間違いなく経済に流れている。

It has also prevented a “much more serious” credit contraction. “We’re always very pleased to hear that the ECB’s the only institution that’s working,”

さらに深刻な信用収縮も阻止しており、我々はこの政策ツールが機能していることをとても喜んでいる。



このようなことから、LTROによる流動性供給のトランスミッションについては、まず第1段階としてユーロ圏の金融市場における信用収縮を阻止することだとしており、次の段階で一部資金が経済へ流れ込んでいるということを述べている。10月以降、流動性供給を強化したことから、銀行が保有している流動性の指標である超過流動性(公開市場オペ+限界貸出ファシリティ-(SMP含む)流動性資金-所用準備)は過去最高水準となり、ターム物金利に一層の低下バイアスが掛かっている。以下は超過流動性の推移である(100万ユーロ、出所:ECB)。


EUROZONE EXCESS LIQUIDITY 20120113



EURIBOR1週間物金利の推移(出所:EURIBOR)。


EURIBOR1W 20120113



また、余裕のある金融機関は流動性と見做されやすい短期債の購入に充当している可能性もあり、ドイツにおける短期債の金利がネガティブとなったのもそうした背景がある可能性もある。これがドラギ総裁の言うところの「イールドカーブにおいて金利が低下している」という発言につながったと考えることも出来る。従って、今後預金ファシリティに滞留している資金が染み出し効果により、より多くの資金が市場に流れ込むことが期待されているが、金融市場の緊張や金融機関のカウンターパーティリスクは未だに大きいため、すぐに効果が出てくるかどうかは疑問が残り、ラグがあるものと思われる。金融市場の緊張が緩和していくに従って時間の経過とともに資金が市場に流れ込んでいくことになっていくのではないかと思われる。


一方で、この流動性供給を原資としてイタリアなどの国債を購入する、いわゆる「サルコジトレード」に関しては、

We don’t have enough evidence to say that."

我々はそれについて十分なエビデンスは持っていない。




としており、やや否定的なトーンとなった。現時点で金融機関は、不測の事態に対処するために流動性を確保することが求められ、さらに金融債のリファイナンスに備えなければならないこと、EBAやバーゼル3のような金融規制により金融機関のソブリン債エクスポージャへの制限などもあることから、LTROによる流動性が周縁国の国債に流入することは限定的(否定するわけではない)だろうと思われる。


今後のECBの行動については、必要な時点で利下げを行うという見方が優勢である。利下げを行う際、インフレ期待やインフレが安定していることが前提であるが、リスクバランスが取れているということから特に大きな問題とはならないものと思われる。今後景況感などの指標が再度低下し、生産や消費活動が弱まっていくことが確認できる段階で景気刺激策として利下げというカードを切ってくる可能性がある。但し、預金ファシリティに付利を行う場合、金利コリドーを25bpに狭めることになるため、市場機能を損なうという見解も出されていく可能性もある(一つの例としては銀行間取引市場の流動性配分機能を中央銀行が代替してしまうことになる、という見方(白川方明「現代の金融政策 理論と実際」p.162))もある。さらに、2008-9年の金融危機時のリセッションと比較して、現状のユーロ圏経済はそこまで悪化している、もしくはそれ以上に悪化しているわけではない。従ってこれ以上の利下げについて慎重意見も出されていくことも想定できる。そして、仮に利下げが行われるとしても、コリドーの幅を狭めすぎるのは市場機能を損なうという懸念から、次回の利下げが最後になる可能性も考慮したい。非伝統的政策手段については、12月にLTROのターム物供給を拡充しており、カバードボンド購入プログラムの再開(CBPP2)、適格担保要件の緩和などを実施しており、金融市場の緊張状態が著しく高まるようでなければ、現行のオペの継続を行なっていくものと思われる。今後欧州金融機関のリファイナンスにより金融機関の資金ニーズが高まっていくことも予想されることから、2月末に行われる3年物のLTROの入札(フルアロットメント方式)もそれなりに多くの応札額が見込まれる。


SMPの拡大について、市場ではQEとして捉えられているようであるが、否定的な見解を踏襲している。ドラギ総裁は会見で"Don't know what Tailor-Made Euro-Zone QE could be"(オーダーメードのユーロ圏のQEが何であるか知らない)と述べている。シュタルク理事やドイツ連銀バイトマン総裁をはじめとしてECBは政府に対してレンダー・オブ・ラストリゾート(LLR)になるべきではないとの意見が強く(決して銀行に対してLLRになるべきではない、と主張しているのではない)、SMPの規模拡大については意見集約が難しい。今後もイタリアやスペインのソブリン債市場の動向はマーケットの警戒材料として意識され続けることから、ECBとしては現行のSMPの規模で対処し、EFSFやESMを活用した市場安定化策を求めていくものと思われる。また、先日フィッチが指摘したように、EFSFに銀行機能を与え、ECBから資金供給を受けられるようにして規模を拡大することは可能であると思われ、一つの市場安定化への方策となっていくものと思われる。しかし、これはECBが決めることではなく、あくまでもEUが決めることである。




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ECB理事会~政策金利の25bp引き下げと非標準的手段の拡充 

12月8日にECB理事会が開催され、以下のようなことが決められた。


標準的政策手段
・政策金利であるリファイナンスオペ金利を25bp引き下げ1.0%とする
・上限金利である限界貸出ファシリティ金利と下限金利である預金ファシリティ金利を25bp引き下げ


非標準的政策手段
・36カ月物LTRO(長期リファイナンスオペ)の導入
・ファインチューニングオペの再開(12月14日実施)
・支払準備率を2%から1%に引き下げ
・適格担保要件の緩和



非標準的政策手段のうち、36カ月物LTROについては1年後の早期返済オペレーションが付いたものであり、フルアロットメント・固定金利方式で行われる。ファインチューニングオペは12月14日にLTRO3カ月物(555億ユーロ)の満期を迎えるため、流動性を確保する目的で行われる。適格要件の緩和については、ABS(資産担保証券)の格付けについてシングルA格までに引き下げることや、一時的に銀行のローン債権も認めることにより行われるとしている。


利下げについては、ほぼ事前の想定通りの形となった。ドラギ総裁会見において、インフレ圧力が緩和されてきていること、インフレ期待がしっかりと固定されていること、強い金融市場の緊張が経済活動を抑制しダウンサイドリスクを抱えていることなどから、景気を刺激するために利下げを行ったということになる。特に、後述するが、最新のECBの経済見通しでは悪いシナリオに進めば2012年はリセッションに陥ることを示唆しているため、緩和的なスタンスを明確に打ち出す必要があったものと思われる。なお、利下げについては記者との質問の中で、全会一致ではなく、さらなる利下げ幅については討議されなかったとしている。非標準的手段の強化についてはこのように述べている。


In its continued efforts to support the liquidity situation of euro area banks, and following the coordinated central bank action on 30 November 2011 to provide liquidity to the global financial system, the Governing Council today also decided to adopt further non-standard measures. These measures should ensure enhanced access of the banking sector to liquidity and facilitate the functioning of the euro area money market. They are expected to support the provision of credit to households and non-financial corporations.

ユーロ圏の銀行の流動性の状況を効果的にサポートし続けるために、グローバル金融システムへの流動性供給を行うための2011年11月30日の行動に続いて、理事会は4つの非標準的な政策手段を決めた。これらの手段は、銀行のセクターに流動性へのアクセスを強化し、ユーロ圏のマネーマーケットの機能を促進させるものである。これらは家計や非金融セクターの企業に信用の提供をサポートすると期待されている。



このような意味合いから4つの非標準的政策手段が行われることとなった。一方でSMP(証券市場プログラム)の拡充については決められなかった。先週、欧州議会でドラギ総裁が各国が財政協定の厳格化にコミットできるならば、さらなる行動を行う用意がある、としていたが、この日の会見では、SMPの拡充により更なる周縁国の国債を買い入れるシグナルは送っていない(didn't signal more bond purchase last week)としており、さらに条約上の制限もあることから、積極的な国債買い入れを実施することには否定的だった。利下げを受けてユーロは買い進まれたが、この発言を受けて失望売りを浴びる展開となった。以下はEURUSDの5分足チャート。


eurusd 20111209



ドラギ総裁の先週の発言について市場に更なる国債買い入れを行うのではないかという思惑や期待を抱かせてしまったことについては、コミュニケーション戦略上の失敗だったといえるが、欧州基本条約が禁じている財政ファイナンスに加担しているのではないかという疑念を抱かせ、中銀のクレディビリティを失わせることは避けたかったものと見られる。また、EU首脳会合前に踏み込んだ政策に対する発言は避けたかったかもしれない。また、"Lets not forget the ECB is not an IMF member"と述べ、ECBや各国中銀がIMFに資金を貸し出して、IMFが周縁国を救済することについても否定的な見解を示しており、この点でも市場を落胆させる結果となった。


経済見通しについては、以下の通りである。


・GDP
2011: 1.5-1.7%(前回は1.4-1.8%)
2012: -0.4-1.0%(前回は0.4-2.2%)
2013: 0.3-2.3%


・HICP
2011: 2.6-2.8%(前回は2.5-2.7%)
2012: 1.5-2.5%(前回は1.2-2.2%)


特に成長率見通しについては、最悪リセッションの状態となることを予想している。成長率見通しの下方修正については、以下のような理由としている。


These revisions mainly reflect the impact on domestic demand of weaker confidence and worsening financing conditions, stemming from the heightened uncertainty related to the sovereign debt crisis, as well as downward revisions of foreign demand.

これらの修正は弱い信頼感による域内需要や金融の状況の悪化や、ソブリン債務危機に関連した高い不確実性だけでなく、海外需要の下方修正にも起因していることを反映している。



インフレ見通しについては、以下のような理由としている。


This results from the upward impact of higher oil prices in euro terms, as well as a higher contribution from indirect taxes. The upward impact of these factors is expected to more than compensate the downward adjustments to profit margins and wage growth that are related to the downward revision of activity.

これは、高い石油価格の影響のアップサイドでのインパクトだけでなく、間接税による寄与の高まりの結果である。これらの要因によるアップサイドなインパクトは、経済活動の下方修正に関連付けられた利益のマージンや賃金の伸びを補って余りあると予測している。




原油価格については現状95ドルを上回っており、未だに物価動向に強いインパクトを与えていることや、間接税の引き上げによる物価への影響も無視することができないため、インフレ見通しについては上方修正した格好となっている。


経済のリスクバランスについては以下の通りである。


In the Governing Council’s assessment, substantial downside risks to the economic outlook for the euro area exist in an environment of high uncertainty. Downside risks notably relate to a further intensification of the tensions in euro area financial markets and their potential spillover to the euro area real economy. Downside risks also relate to the global economy, which may be weaker than expected, as well as to protectionist pressures and the possibility of a disorderly correction of global imbalances.

理事会の評価において、ユーロ圏における経済見通しの潜在的なダウンサイドリスクが高い不確実性の環境のもと、存在している。ダウンサイドリスクは、ユーロ圏の金融市場における緊張の高まりや、ユーロ圏の実体経済への潜在的なスピルオーバーに関連している。ダウンサイドリスクはグローバル経済、すなわち予想している以上に弱いこと、保護主義圧力の高まり、グローバルインバランスの無秩序な修正にも関連している。




このようなことから、最も当局として恐れているのは金融市場の混乱が実体経済にスピルオーバーしていくことである。すなわち、金融仲介機能が機能不全に陥り、信用収縮などを通じて実体経済に波及していくことが危惧されている。また、欧州銀行によるデレバレッジの進展によって、例えば新興国向けの貸出が引き揚げられたりすれば、そういった国々でも信用収縮を招く恐れもある。この点については市場を安定化させ、金融機関に十分な流動性を持たせるため、ECBとしても流動性供給を厚くしていくことで対処しているし、各国中銀もドルスワップ取極の期間延長や金利引き下げなどの措置を講じている。


インフレのリスクバランスについては以下のとおりである。


The Governing Council continues to view the risks to the medium-term outlook for price developments as broadly balanced. On the upside, the main risks relate to further increases in indirect taxes and administered prices, owing to the need for fiscal consolidation in the coming years. The main downside risks relate to the impact of weaker than expected growth in the euro area and globally.

理事会は価格の進展への中期的な見通しのリスクについて概ね均衡が取れているものとしてみていることを継続している。アップサイドでは、主なリスクは、今後数年に渡って財政再建を必要としている状況において、間接税のさらなる引き上げや投与価格の増加に関連付けられている。ダウンサイドリスクは欧州や世界的に予測している以上に弱い経済成長のインパクトに関連している。



インフレのリスクバランスについてはあまり大きな変化はない。リスクバランスは概ね均衡が取れているといったところだろう。このようなことから、今後もECBは経済のダウンサイドリスクを考慮しながら、緩和的なスタンスを取っていくものと思われる。しかし、これ以上の利下げについてはやや難しい面もある。それはコリドーの操作に係わる部分である。ECBでは3つの金利体系があり、上限金利である限界貸出ファシリティ金利(ディスカウントウィンドウを利用する際に適用される金利)、主要リファイナンス金利(オペで適用される金利)、預金ファシリティ金利(超過の流動性を預け入れる金利)があるが、この3つの金利は現状75bpの差が付けられている。そして預金ファシリティ金利については0.25%であり、これ以上引き下げるのは現実的ではない(Fedも超過準備には25bpの金利を付与している)。ドラギ総裁も"ECB deposit facility level is not distant from level post Lehman"としており、リーマンショックの時と預金ファシリティ金利の水準はそれ程離れているわけではなく金利の引き下げ余地についても限界に近いことを示唆する発言を行なっている。このことから、今後金利を引き下げる際にはコリドーを狭めていくしかないが、75bp未満はこれまで実施したことがない(トリシェ総裁時の金融危機においてもこの水準を割り込んだことはない)。従って、現状コリドーを変更する意思がないのであれば、今回で利下げは打ち止めになるし、仮にコリドーを50bpに引き下げるとしても、あと1回しか出来ないということになる。従って、今後さらなる緩和策が必要とされた場合、どのようにコリドー等を考慮しながら金利を引き下げていくのか、注目されるところだろうと思われる。



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カテゴリ: 市場視点

タグ: 金融政策  ECB  ユーロ  欧州金融不安  ソブリンリスク 
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欧州サミット~ヘアカット・EFSFレバレッジ・銀行資本増強 

10月26日に欧州サミットが開催され、現状の金融市場や経済及び各国財政再建の取り組みについていくつかコミットされた。以下はステートメントである。全文はこちらを参照。


We are all aware that the situation is serious. From a series of national debt crises, the situation was evolving into a systemic concern, threatening the stability of the Eurozone as whole. This threat has to be contained. We therefore took last Sunday and tonight important decisions on the four fronts where action is needed.

我々すべて状況が深刻であるということを理解している。国家の債務危機に見舞われて以降、状況はシステマティックな問題に進展し、ユーロ圏全体として安定の脅威となっている。この脅威は封じ込めなくてはならない。従って、我々は日曜日及び今夜、必要とされている行動として4つの前進を決めた。




1.ギリシャ

1. A sustainable solution for Greece. We want to put Greece on a track where, in 2020, it will have reduced its public debt to 120 pct. of GDP. Since July, market conditions worsened. The new programme includes an extra effort by the official sector. A new EU-IMF programme of up to 100 billion will be put in place by the end of the year.

1.ギリシャ問題の持続的な解決、我々はギリシャを安定的な軌道に乗せる必要があり、2020年に、GDP債務比率を120%に削減させる。7月以降、市場の状況は悪化した。この新しいプログラムは公的セクターにとっての大きな努力を含む。新しいEU-IMFプログラムは今年末に1000億ドル規模に置き換えられる。

It also includes a voluntary contribution by private creditors who had lent to Greece. It was agreed by them tonight and amounts to a nominal discount of 50 pct on notional Greek debt.

またギリシャに貸していた民間セクターによる自発的な寄与も含まれる。今晩ギリシャの債務の名目50%のヘアカットで合意した。



2.EFSFレバレッジ

2. A sufficient firewall against contagion, thanks to an agreement to multiply up to fivefold the firepower of the European Financial Stability Facility (EFSF) rescue fund. The leverage could be around 1 trillion, under certain assumptions about market conditions, the set-up and investors’ responsiveness in view of economic policies.

2.危機の伝播に対する十分なファイアーウォールについて、EFSFの火力(firepower)を5倍にさせることで合意したことを歓迎する。市場の状況について明確な評価を行った下で、レバレッジは約1兆ユーロとなり、経済政策を考慮して立ち上げと投資家への対応を行う。

We have identified two approaches for the EFSF. The first one aims at giving credit enhancement to sovereign bonds issued by Member States. Under the second approach, the Fund could set up one or several Special Purpose Vehicles to finance its operations. Each option could lead to leverage of up to 4 or 5 times. They can be used simultaneously, so as to increase the robustness of the financing strategy.

我々はEFSFに2つのアプローチを定義した。1つの目的はメンバー国によって発行されたソブリン債の信用補完を提供する。第2のアプローチは、EFSFがオペレーションのファイナンスを行うために、1つもしくは複数のSPV(特別目的投資機関)を設置する。それぞれのオプションは4-5倍のレバレッジを引き上げることが出来る。これらは同時に利用できることができるため、ファイナンスの戦略の堅牢性を増すことが出来る。



3.欧州金融セクターの財務強化

3. We foster confidence in the European banking sector. We approved a co-ordinated scheme to recapitalise banks across Europe. The ratio of highest quality capital will be increased to 9%. This will enable the banks to withstand shocks important in the current exceptional circumstances. State guarantees to improve the longer term funding will safeguard the flow of credit to the real economy. It is essential for the prospects for growth.

3.我々は欧州の金融セクターの信頼性を促進させる。我々は欧州の金融機関の資本増強に対して有機的なスキームを承認した。最も質の高い資本(コアTire1)の比率を9%に引き上げる。これは現状の特別な状況において、銀行が重大なショックに耐えられるようにすることが出来る。長期的なファイナンスを改善させるための国の保証は実体経済の信用のフローを保護するであろう。



4.財政再建

4. Further fiscal consolidation by those Member States who need more sustainable public finances and more structural reforms.

4.持続可能な公的ファイナンスと構造改革を必要とするメンバー国によるさらなる財政再建

In this context, the Euro Summit welcomes the clear commitment of Italy to achieve these objectives and to abide by the timetable it set itself. This ambitious package, in particular the measures to increase competiveness and to liberalise the economy, now need implementation. We also commend Italy’s commitment to achieve a balanced budget by 2013. We take of the note of the plan to increase the retirement age to 67 years by 2026; the way to get there should be defined by the end of this year.


この文脈において、欧州サミットはこれらの目的を達成し、財政再建へのタイムテーブルを遵守するというイタリアの明確なコミットメントを歓迎する。この野心的なパッケージ、特に経済の競争力と自由性を増す方策は、現状実装していくことが必要である。我々は、2013年までに財政均衡を達成するというイタリアのコミットメントも歓迎する。我々は、2026年までにリタイアする年齢を67歳にまで引き上げるという計画の言及を採択した。この方法は今年の年末までに決められるであろう。



Let me make a general remark here.

Compared to eight or ten years ago, the pressure which leaders put on each other has become much more effective, as the events of the last days show. Today no government can afford to underestimate the possible impact of for instance public debts or housing bubbles in another Eurozone country on its own economy; they would be punished by the voters, and by the markets. Peer pressure has become more effective, because the money of their taxpayers is at stake.

8年もしくは10年前と比較して、昨日の出来事のように、お互いに指導者がプレッシャーを掛け合うことはより効果的となってきている。今日政府なしでは、例えば欧州の国とその経済において公的債務もしくは住宅バブルのような潜在的な可能性の影響を避けることは出来ない。彼らは有権者あるいは市場から罰せられるだろう。互いのプレッシャーはより効果的になってきている。なぜならば納税者がリスクを負っているからだ。


Yet we want to further improve the economic governance framework. Today we decided to go even beyond the six-pack legislation on some points, as of now. We also approved ten measures to improve the governance of the euro area. Different other ideas have been suggested to reinforce fiscal discipline.

しかし、我々は更なる経済的な統治のフレームワークの改善を行いたい。本日、我々は幾つかの点で、6つの立法を乗り越える決定を行った。我々は同時にユーロ圏の統治を改善するために10の方針を承認した。他のアイデアとの違いは、財政規律を強化するために提案された。


Therefore the Euro Summit decided to reflect “on a further strengthening of economic convergence within the euro area, on improving fiscal discipline and deepening economic union, including exploring the possibility of limited Treaty changes”. The full European Council will revert to the issue in December on the basis of an interim report by myself in close cooperation with Presidents Barroso and the President of the Eurogroup. The report will be finalised by March 2012.

それゆえ、欧州サミットは、制限された条約の変更の可能性を模索することを含めて、「欧州圏のさらなる経済的な集中の強化、財政規律の改善、そして経済共同体の深化」を反映させることを決めた。すべての欧州委員会はバローソ委員長とユーログループの代表と緊密に協働して、中間報告に基づいて、12月に問題を再考することにする。報告は2012年の3月に完成させる。


We do not want to repeat some of the errors from the recent past. In taking today’s decisions, we lay the foundations for our future. All Members of the Euro Summit are determined to follow this path.

我々は過去の間違いの部分を繰り返すことを望まない。本日の決定において、我々の将来にとっての基礎を築いた。欧州サミットのすべてのメンバーはこのパスに従うことを決定した。



決定事項は、まとめると、以下のようなことである。


・ギリシャに対する財政再建のコミットメント(2012年までにGDP債務比率を120%にする)と50%のヘアカット
・EFSFの拡充は各国債券の保証、4-5倍のレバレッジの引き上げで1兆ユーロ規模
・欧州銀行の資本増強
・イタリアを中心に財政再建へのコミットメント



ギリシャ向け債権の50%ヘアカットについては、「自発的」といった形で民間債権者が合意した。今後、これがクレジットイベントに抵触するかどうか、各信用格付け機関の判断が待たれるところである。EFSFの拡充についてはSPIVを設立する形で周縁国債券の信用補完を行なっていくこととした。欧州圏の金融機関について、各国の財政が逼迫している状況の中、危機が起こっても銀行の債務を、例えば米国のTARPのように国に移転することは難しくなっている。そのために、自己資本比率を9%に引き上げて財務健全性を高めることと、エクスポージャーとして保有している各国の債券に対して信用保証を行いつつ、さらにはECBのカバードボンド購入再開、流動性供給を通じてレンダーオブラストリゾートの役割を強化することで金融市場の安定化を図っていくということになる。現状、EBAは欧州の金融機関について資本増強は1060億ユーロと試算しており、今後増資などで資金調達を図っていくことになる。金融機関が自己資本比率を引き上げるためにバランスシートの圧縮を行うことは、各国債券のエクスポージャーが大きい場合、その債券価格の値崩れを起こしてしまう可能性があり、難しいようにも思われる。


今後の問題は、ギリシャを含め、重債務国の財政再建がどのように進展していくかと、今回の金融市場の緊張により実体経済にどの程度影響が出ているかを注意深くみていく必要がある。



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