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S&Pが米国ソブリン格付け見通しを「ネガティブ」に変更~米国の資金循環構造と米国債の信認 

4月18日にS&Pが米国のソブリン信用格付け見通しを"安定的"から"negative"に引き下げた。以下はS&Pのステートメントである(出所:S&P)。


-- We have affirmed our 'AAA/A-1+' sovereign credit ratings on the United States of America.
我々は米国のソブリン信用格付けについて'AAA/A-1+'を確認した。

-- The economy of the U.S. is flexible and highly diversified, the country's effective monetary policies have supported output growth while containing inflationary pressures, and a consistent global preference for the U.S. dollar over all other currencies gives the country unique external liquidity.

米国経済は柔軟かつ高度に多様化しているが、国の効果的な金融政策はインフレ圧力を抑えつつ成長を支えている。そしてグローバルにおいて一貫して他のすべての通貨の中でのドルの位置づけは外部にユニークな流動性を与えている。


-- Because the U.S. has, relative to its 'AAA' peers, what we consider to be very large budget deficits and rising government indebtedness and the path to addressing these is not clear to us, we have revised our outlook on the long-term rating to negative from stable.

AAA格と比べて、米国は、我々が考えるところでは巨大な財政赤字及び政府債務を有しており、これらの対処について明確でないため、我々は長期的な格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に下方修正した。


-- We believe there is a material risk that U.S. policymakers might not reach an agreement on how to address medium- and long-term budgetary challenges by 2013; if an agreement is not reached and meaningful implementation is not begun by then, this would in our view render the U.S. fiscal profile meaningfully weaker than that of peer 'AAA' sovereigns.

我々は、米国の政治家が2013年までの中期及び長期的な予算の課題にどのように対処するのかについて、合意に達していないように思われる。もし、合意に達せず、意味のある実行が開始されないならば、米国の財政プロファイルにおける我々の見解はAAA格のソブリンと比較して相対的に弱いものとなるであろう。




現在オバマ政権は2013年に向けて財政支出や債務の圧縮にコミットしているが、議会でコンセンサスが取れるのかどうか、及び具体的な対処方法については未知数であり、これについてS&Pは格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に修正した要因であるとしている。以下は米国の連邦公的債務残高(出所:StLouisFed)。


Federal Government Debt 20110419.



これを受けての市場の反応は、米国債は一旦嫌気売りが出されたものの、株式市場などリスク性のあるアセットが大きく売られたことから買い戻され、ドルはギリシャの債務再編の思惑からユーロに嫌気売りが出されたことで相対的に買われた、という感じだろう。また、米国債の信認という問題は潜在的なリスク要因で、ダウングレードを受ければ国際金融市場への影響は計り知れないが、現状は見通しをネガティブに引き下げたという段階であり、米国債の安定消化の構造を揺るがすものではないと思われる


対内的に国債が安定消化出来る要件とは、


・貯蓄率の上昇
・民間資金需要及び貸出が低い



ということである。以下は米国の貯蓄率と商業銀行の貸出・リース残高の推移(出所:StLouisFed)。


Personal Saving rate 20110419.


Total loans and leases_20110419.


米国は経常赤字国であり、債務国なので、国内資金の95%に賄われている日本のJGBほど国債の消化については磐石とはいえないものの、貯蓄率が高水準にあり(銀行の債務増加)、なおかつ民間の資金需要が低く、貸出が増加していかないのであれば、資産に占める国債の割合は自然と増加していくことになり、これが米国債の安定消化要因となっている。以下のグラフは米国商業銀行の総投資額と財務省出資証券保有の推移(出所:StLouisFed)。


GovSec all com banks.



従って、金融危機以降、米国においてもJapanizationというべき資金循環構造を構築してきており、その結果、銀行のポートに占める米国債が増加してきており、米国債の安定消化が図られてきた。しかし、Fedでは上記のような資金循環ではデフレを引き起こす可能性があるため、QEを行って主に銀行から市場を通じて米国債を買い入れ、ポートフォリオリバランス効果を狙ってきている。その結果として、Fedは中国を抜いて米国債の最大保有者に至っている。昨年11月以降、米国の銀行の米国債保有残高は増加していないが、一方でFedのバランスシートにおける米国債はこの間拡大している。以下はFedによる米国長期債買い入れの推移(出所:Fed)。


Long Term Treasury Purchases.



このような資金循環から、米国債は安定的に消化されている。しかし、トリプルA格からダウングレードという話になればまた別であり、米国債を保有している海外勢の姿勢に変化が生じてくる可能性は高く、米国の金利上昇要因となるし、資金循環以上に信認の問題に直結する可能性がある。



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カテゴリ: 市場視点

タグ: 米国  マーケット  米国債  金利  債券  Fed 
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2011年のマーケットを考える(4)~バイロン・ウィーンの2011年「20大」びっくり予想 

バイロン・ウィーン氏といえば、モルガン・スタンレーのストラテジストだった1986年から10大びっくり予想(Ten of Surprise)を発表しており、市場関係者の間では新年の風物詩となっている。2009年にブラックストーンに移籍してからも予想は続けている。普段は半数くらい的中するのだが、昨年はゼロというまさかのトラックレコードをたたき出した。昨年の予想は以下の通りである。


1.米国の実質成長率は大方が予想する5%を超え、失業率は9%を下回る。
2.FRBはゼロ金利政策を解除し、FF金利は年末までに2%まで上昇。
3.米国債の発行過多と海外中央銀行による買い意欲後退により長期金利は5.5%を上回る。
4.S&P500は年前半に1,300まで上昇した後、1,000に下落し、09年末(1115)程度の水準で取引を終える。
5.ドルが対円で100円、対ユーロで1.30ドルに上昇。
6.円安を追い風に先進国で日本株が最も上昇し、日経平均は12,000円超える。
7.オバマ大統領が原子力開発促進の法案を承認する。
8.米国の景気回復を受けてオバマ人気が回復し、11月の議会選挙で民主党の議席減は予想より小さい20議席減にとどまる。
9.金融規制法案がより金融業よりに修正され、金融株が急騰。
10.イランの社会不安が深刻化、アハマディネジャド大統領が失脚。



全て外して再起を期すという意味であろうか、2011年は20大びっくり予想を発表した。以下The Street "Byron Wien Announces The Ten Surprises For 2011"より引用(そのうちブラックストーンのサイトからリリースされるものと思われる)。生起確率はあくまでも私自身の独断と偏見。


(1)米国経済は消費を中心に力強い成長となり、GDPは5%近くに上昇、失業率は9%以下。

The continuation of the Bush tax cuts coupled with the extension of unemployment benefits has put all working Americans in a better mood. Real Gross Domestic Product rises close to 5% in 2011 driven by improved trade and capital spending in addition to stronger retail sales. Unemployment drops below 9%.

ブッシュ減税と失業保険給付延長の継続により、貿易の改善と強い個人消費の支えられ資本消費がドライバーとなり、2011年のGDPは5%近くに上昇する。失業率は9%を下回る。



そもそも失業保険給付延長が雇用のミスマッチの要因として捉えられている(失業保険を受けている間は働こうとしないから)ため、この政策そのものが失業率を押し上げているとの指摘があるわけで、ちょっと???という印象も拭いきれない。GDP5%成長というのはかなり厳しいハードルのようにも見えるのだが。


生起確率:10%以下


(2)財政悪化で債券市場が圧迫、長期金利は5%へ

The prospect of increasing Federal budget deficits and rising government debt finally begins to weigh on the bond market. The yield on the 10-year U.S. Treasury approaches 5% as foreign investors become more demanding. Spreads with corporate fixed income securities narrow.

連邦政府の財政赤字の増加と公的債務の上昇見通しにより、債券市場が圧迫される。10年債利回りは、外国人投資家のより厳しい姿勢から、5%に届くであろう。社債のスプレッドは狭まる。



ベンチマーク金利が上昇してクレジットスプレッドがタイト化すると。資金循環的なものから考えると、普通はイールドカーブがブルフラット化してクレジットスプレッドがナローになるといわれる。つまり資金循環的なところからみれば、資金需要が乏しいので金融機関等の国債選好が強くなることからベンチマークの金利が下がる。また、資金需要もないので貸出が減少しクレジットスプレッドを低下させざるを得ない、ということになる。但し、ソブリンリスクのようにソブリンの信用力が民間企業よりも落ちてしまった場合は例外的に起こりうることもあろう。但し、そのシナリオが現実のものとなれば、それはスタグフレーションである。


生起確率:15%


(3)S&P500は過去最高値圏の1,500ポイントへ

Encouraged by renewed economic momentum the Standard & Poor’s 500 rises close to its old high of 1500. A broad range of sectors participate, but telecommunications and utilities lag. With earnings improving, valuations seem low and individual investors return to equities for the first time since the financial crisis. Merger and acquisition activity becomes intense and the market reaches a blow-off euphoria. Stocks correct in the second half as interest rates rise.

景気拡大のモメンタムに支援され、S&P500は過去最高値圏の1,500に接近する。幅広い銘柄が買われるが、通信と公益株はラグがある。利益の改善により、金融危機以降はじめて個人投資家が株式投資に戻ってくる。M&Aが活発化し、マーケットはユーフォリア状態に到達する。株式市場は金利上昇により年後半に調整する。



1月4日のエントリ、「2011年のマーケットを考える(3)~2011年に株式が買われる条件」に満たせばそういうシナリオもないわけではないが、ユーフォリアになるほどの経済状況ではあるまい。


生起確率:15%


(4)金価格は1,600ドルへ

Although inflation remains benign, the price of gold rises above $1600 as investors across the world place more of their assets in something they consider “real.” Sovereign wealth funds of countries with significant dollar reserves also become big buyers. Hedge funds keep thinking the price rise is becoming parabolic and sell their positions and some even short the metal but gold keeps climbing and they scramble back in.

インフレは落ち着いているものの、金価格は投資家の実物資産の需要に乗って1600ドルに達するだろう。ドルを外準として持っているソブリンウェルズファンド(SWF)が大きな買い手となる。ヘッジファンドは金価格が放物線状に上昇しており、金のポジションを売って、他の金属もショートしたいと考えているが、金は更に這い上がる動きを見せる。




貴金属は中央銀行がB/Sを膨張させている限り思惑買いを集めるのだろう。QE3となれば生起確率は大幅に上昇する。


生起確率:50-75%


(5)積極的な人民元改革

Worried about inflation and excessive growth, the Chinese decide to use their currency as a policy tool. They manage the value of the renminbi aggressively to keep the growth of the economy below 10% and to prevent consumer prices from increasing above the 4%--5% range. The move is viewed as a precursor to the world-wide adoption of a basket including the renminbi as an alternative to the use of the dollar as the principal reserve currency.

インフレと過剰な成長を心配して、中国は政策ツールとして自らの通貨を使うことを決めるだろう。中国はRMBの価格をアグレッシブに操作し、GDPを10%以下、CPIを4-5%のレンジに抑えようとしている。この操作は世界中で主要準備通貨としてのドルの代わりにRMBを含む通貨バスケットに適用させる兆しであるとみている。



前者は早めにやらないとビハインド・ザ・カーブとなるため、中国としても取り組まないといけないと思われるが、後者はどうなのか。ドルは少なくとも2011年において準備通貨としての現在の立ち位置をキープし続けるだろう。

生起確率:前者50-60%、後者10%以下


(6)農産物価格の高騰

Rising standards of living in the developing world seriously increase the demand for agricultural commodities. The price of corn rises to $8.00, wheat to $10.00 and soybeans to $16.00. Commodities become a component of more institutional portfolios.

新興国の生活水準の向上により、農産物の需要が深刻なくらいに高まる。1ブッシェルあたり、とうもろこしは8ドルに、小麦は10ドルに、大豆は16ドルに上昇。商品はより多くの機関投資家にとって、ポートフォリオを構成するようになる。



昨年はロシアの熱波により小麦が急騰したが、背景には新興国需要の高まりがある。年初からオーストラリアで大規模な洪水が起こっており、それにより農産物価格がどのように推移していくか、早速注目していく必要があろう。


生起確率:65%


(7)住宅市場の回復

The housing situation improves. Although the inventory of unsold homes remains high, the oversupply is drawn down substantially, contrasting with an increase in 2010. The Case-Shiller gradually heads higher and housing starts exceed 600,000.

住宅の状況は改善する。売れない住宅在庫は高いものの、2010年の増加とは対比的に過剰供給は大幅に低下していくだろう。ケース・シラー指数は徐々に上昇し、住宅着工は60万件を超えるだろう。



住宅市場がボトムを打つ年が2011年というのは、可能性その物は高いのだろうが、住宅価格が上昇していくとしても2010年の住宅減税打ち切り前の水準まで回復できるかどうかも微妙なところで、緩慢な回復でしかないのだろう。


生起確率:40%


(8)原油価格は115ドルへ

Continuing demand from the developing world and a failure to bring onstream new supply causes the price of oil to rise to $115 per barrel. The higher price at the pump fails to discourage driving, increase sales of hybrid vehicles or cause Congress to initiate conservation measures.
新興国需要の継続や、供給源が不足することから、原油価格は115ドルに上昇する。高い原油価格であっても(自動車の運転を減らすことには失敗するが、ハイブリッド車の販売が増加し、議会に省エネ対策を促すものとなろう。



原油価格が115ドルというのは相場が過熱すれば示現するレベルなのかもしれないが、もしそうなれば世界経済、とりわけ先進国経済が持たない。


生起確率:30%


(9)アフガニスタンからの米軍撤退

Frustrated by the lack of progress against the Taliban and the corruption of the Karzai government, President Obama concludes that whenever American troops return home, Afghanistan will once again become a tribal state ruled by warlords. He accelerates the withdrawal of most military personnel to the end of 2011. Coupled with the pullout of forces in Iraq, this will leave the Middle East without a major Western presence in the face of rising fears of terrorism.

アフガニスタンではタリバン対策が遅れ、カルザイ政権の腐敗によるフラストレーションから、オバマ大統領は米軍の帰還を決断する。アフガニスタンは再度、軍閥支配の部族国家となる。オバマ大統領は撤退を2011年の終わりに多くの軍人の帰還を加速させる。テロリズムの脅威が高まる中で、イラクからの撤退も合わさって中東における西側のプレゼンスを低下させることになる。



アフガニスタン情勢は泥沼になっている。撤退となれば同国の治安は崩壊し、中東情勢やテロリズムの動向は混沌としたものとなろう。従ってオバマ政権も引くに引けないのではないかと思われる。


生起確率:20%


(10)独主導の欧州財政改革

Under duress Angela Merkel leads the way in European financial reform. The weaker countries, having pledged to cut their budget deficits in half by 2014, are provided additional transitional aid by the European Union (with Germany’s backing) and the International Monetary Fund as long as they implement their austerity programs, increase some taxes and still show modest growth. The European financial crisis becomes less of a concern. The policies put in place prove psychologically satisfying to the financial markets but harmful in the longer term because they are palliative and do not represent solutions.

メルケル独首相が無理やり欧州の財政改革を進める。2014年までに財政赤字を半分にカットしなければならないことを約束した上で、EUやIMFからから追加支援を受けるであろうそれらの(財政基盤の)弱い国々は、増税や緩慢な成長に留まる。



メルケル首相は今年の金融市場の台風の目である。景気に配慮せず、緊縮財政論を繰り広げた結果、周縁国の景気悪化が際立つようであれば、ドイツにもその影響が波及してくることになる(ドイツの輸出先は半分程度がEU域内)。また、ドイツの単独行動は金融市場でも痛いトラウマがある。"Remember 1987".


生起確率:70%


以降はさらに追加された10のびっくり予想。


(11)パキスタンと北朝鮮の問題が深刻化

While Afghanistan and Iraq cool down as trouble spots, Pakistan and North Korea flare up. The former continues to be a troublesome breeding ground for terrorists and the latter initiates further hostile attacks on South Korea. China does not become involved in a major way and the international community seems helpless.

アフガニスタンやイラクの問題は沈静化するが、パキスタンと北朝鮮の問題は激化する。前者はテロリストの温床となってしまい、後者はさらなる敵対的攻撃を開始するだろう。中国はそのような問題に関与しなくなり、国際社会は無力化する。



パキスタン情勢も気になるが、北朝鮮の問題は世界で最も拡大している経済圏である東アジアの脅威である。しかし、北朝鮮の内部体制が磐石かといえばそうではなく、権力移譲を進めている中で内部抗争が起こる可能性もある。そのため、北朝鮮の瀬戸際外交に目が向いがちであるが、内政の動向も見定めておく必要があろう。


生起確率:50%


(12)イランの柔軟化

The broad international sanctions on Iran finally begin to work. Mahmoud Ahmadinejad enters into negotiations to scale back the country’s nuclear weapons development program in exchange for financial aid and foreign investment. Pressure from the country’s youth to provide more economic opportunity is the key factor in the change in policy. Talk about bombing by Israel or the U.S. subsides

イランの国際的な制裁がワークし始める。アハマディネジャド大統領は核兵器開発計画を縮小する代わりに金融支援や海外投資を見返りとした交渉に入る。国内の若者により経済的な機会を与えるプレッシャーは政治変化の鍵となる要素である。イスラエルや米国の爆撃に関するトークはおさまる。



是非そうなってほしいものだが。


生起確率:30%


(13)米ドル選好、欧州はソブリンリスクの沈静化、日本はリセッション回避

Rising interest rates and a strong economy allow the dollar to strengthen against the euro and the yen. Although the European financial crisis abates as austerity programs and higher taxes are put in place and Japan avoids falling back into recession, America becomes the developed market of choice for global investors.

金利の上昇や強い経済によりユーロや円に対してドルが強含む。緊縮財政や増税によって欧州の金融危機が治まり、日本経済はリセッションを回避する。米国はグローバル投資家にとって投資先として選好される。



欧州の危機が収まるかどうかについては、如何にして伝播(Contagion)を食い止めるかというところとなるが、それにはソブリンの信任を上昇させるしかあるまい。日本経済がリセッションを回避するには、1-3月の個人消費がエコポイント減税の反動によって大きく落ち込まないことが条件となるのだろう。このあたりは五分五分だが、正月の初売りは百貨店などで好調だったという話などを聞くと、回避できそうなのかな?と漠然と思ってみたりする。但し、米国については、短期金利の上昇を導く程の強い経済かどうか、ということについては、個人的に楽観的ではないかと思われる。


生起確率:30%


(14)サラ・ペイリンvsオバマ

Sarah Palin announces she will seek the Republican nomination for President amidst the cheers of Tea Party supporters. More moderate Republicans fear her candidacy will diminish the chances of their party winning in 2012 and try to blunt her efforts. Rick Perry, governor of Texas becomes a contender. Mike Bloomberg is mentioned. On the Democratic side, liberals feel Obama has betrayed them and desperately try to find a challenger. With the economy improving the prospect of a second term for Obama becomes more likely.

サラ・ペイリン氏が、保守派のティーパーティーの支持を受け、大統領選の共和党候補の使命獲得を目指すと表明する。より穏健な共和党員は彼女の立候補が2012年の大統領選挙において共和党候補の当選の可能性を減少させるのではないかと恐れている。共和党においてはテキサス州ペリー知事が対抗馬となるだろう。マイケル・ブルームバーグ前NY市長も候補だ。一方民主党では、リベラル派がオバマ大統領が自分たちを裏切ったと感じており、必死となって候補者を探すであろう。経済の改善によってオバマ大統領が2期目に入る可能性が最も高い。




皿対オバマとな。


生起確率:???


(15)ロシアの外資規制緩和

The Russian government decides it is the laggard of the emerging markets and steps up its efforts to become more investor friendly. The Kremlin agrees to further nuclear weapons reduction and provides assurance to companies willing to invest there that the rule of law will prevail. The Russian equity market soars.

ロシア政府は同国が新興国市場で出遅れており、投資家に対してよりフレンドリーになる努力を行うことを決断する。クレムリンはさらなる核兵器の削減に同意し、同国に投資したい企業にとって法の支配の保証をする。



ロシアについては中国、インド、ブラジルに対して出遅れていることは確かであり、それゆえ、外国企業に対してフレンドリーになり、政治的な関与を無くしていく努力を行って投資を呼び込むことを目論むのは説得力がある。但し、国営企業の解体など大胆な政策に打って出るだけの覚悟が試されるため、思い切りは必要かとは思われる。


生起確率:30%


(16)マリファナ合法化

Laws related to marijuana usage are liberalized in more states. Recognizing that the drug may not be addictive, the public’s attitudes have evolved over the last thirty years, and this, along with a desire to alleviate the over-crowding of jails, causes state legislatures to take a more liberal position. Drug abuse groups are outraged.

より多くの州でマリファナ使用に関する法律が緩和される。薬物が中毒を引き起こさないことが認識されたことで、国民の(薬物に対する)敵対的な態度が過去30年で変わったことや、さらに刑務所の混雑状態を解消したいという願望が一緒になって、州議会はよりリベラルな立場を取るだろう。薬物乱用グループが憤慨するだろう。



この論議は留保。いろいろな意見もあろう。


生起確率:???


(17)深刻な地方の財政問題

Infrastructure problems in the United State become serious. New York subways are inoperative for days as a result of an electrical problem in the signal system. Gridlock snarls Los Angeles freeways, and to encourage cooperative commuting, high-occupancy vehicles are required to carry three or more people. State and local governments complain they lack the funds to deal with the problems and Washington refuses to help.

米国ではインフラの問題が深刻となる。NY地下鉄では電気的な問題で信号システムが故障し、数日間に渡って運行が止まる。ロサンゼルスのフリーウェイの交通渋滞がひどくなり、乗合などが奨励される。各州や地方政府は文句を言うが、ワシントンも資金不足で対応できない。



ビルドアメリカ債がいよいよ2010年末で打ち切られ、地方政府の利払い負担の増大などから地方レベルで緊縮財政が本格化する。NYの地下鉄の例はやや誇張だとしても、地方のインフラの劣化により修理もままならず、市民生活の支障となる可能性はそれなりにあるのではないかと思われる。


生起確率:70%


(18)地方債市場の混乱

A major state fails to pay interest on a municipal bond issue because of a lack of funds, causing havoc in the municipal bond market.

主要な州で資金不足により地方債の利払い不能に陥り、地方債市場が大混乱となる。



州政府がデフォルトする、という話は無いわけではない。Business Insiderでは、今年はPIIGSを忘れてCINNを注視する時期だとしている(Forget The PIIGS, It Is Time To Start Watching The CINN Group)。CINNとは(California、Illinois、New York、New Jersey)のことを指す。このCINNのCDSスプレッドは270bp程度であり、現状はPIIGS諸国よりも低い位置にあるが、欧州のソブリン問題が米国の州政府に伝播(Contagion)すれば、これらのCDSスプレッドが急激にワイドニングする可能性も否定出来ない。以下のグラフはCINNのCDSスプレッド推移(出所:Business Insider)。


Credit Defaults Swaps CINN vs PIGS


従って、今年の金融市場の爆弾は欧州のソブリンリスクに米国の州政府などの地方債問題も加わるくのだろう。今後この問題の進展から目が離せないものとなっていくだろう。但し、2011年内に主要な州で地方債の利払い不能に陥るかどうかは定かではない。


生起確率:20%、但し地方債市場の混乱そのものについては高い確率。


(19)911テロから10年

In spite of fears of tenth anniversary terrorist attacks, 9/11/11 becomes a peaceful non-event because of excellent intelligence and surveillance.

911テロから10周年の脅威があるにもかかわらず、2011年9月11日は諜報活動や監視などにより平和裏に終わる。



そうなってほしいものである。生起確率は期待込みで100%。


(20)気候変動問題への関心が薄くなり、寒冷な気候から天然ガス価格の高騰

While climate change activists remain shrill, the issue recedes in importance in the United States. Cold weather prevails during the winter and the summer heat is not oppressive. Support increases for a broader use of natural gas by utilities and public transportation and its price rises to $6.00 per mcf. In Europe and Asia however, environmental initiatives continue to move ahead.

活動家の鋭い運動は続くが、気候変動は米国において主要な問題ではなくなる。冬は寒いが、夏はそれほど暑くない。天然ガスの利用が高まることから、天然ガスの価格は6ドルに上昇する。しかし、欧州やアジアにおいては、環境問題への取組は前進する。



米国は温暖化というよりも寒冷化の方が話題になっており、昨年1月及び12月の北東部の大雪は深刻な影響を及ぼしているようだ。そのようなことからヒーティングオイルや天然ガス相場が上昇するということもあるのだろう。


生起確率:50%



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カテゴリ: 市場視点

タグ: 2011年のマーケットを考える    マーケット  株式  債券  外為  商品  マクロ  米地方債問題 
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FOMC議事録~楽観的な見方だがQEを変えるには至らず 

1月4日にFOMC声明文が公表された。経済見通しについてはやや楽観的な見方が優勢となっているが、それでもなお、ダウンサイドリスクも存在しているほか、デュアル・マンデートである物価安定と最大雇用に一致するレベルから乖離していることから政策を維持している。以下は"Minutes of the Federal Open Market Committee"の"Participants' Views on Current Conditions and the Economic Outlook"以降より抜粋(全文はFedサイト参照)


・経済全般

In their discussion of the economic situation and outlook, meeting participants saw the information received during the intermeeting period as pointing to some improvement in the near-term outlook, and they expected that economic growth, which had been moderate, would pick up somewhat going forward. Indicators of production and household spending had strengthened, and the tone of the labor market was a little better on balance. The new fiscal package was generally expected to support the pace of recovery next year. However, a number of factors were seen as likely to continue restraining growth, including the depressed housing market, employers' continued reluctance to add to payrolls, and ongoing efforts by some households and businesses to delever. Moreover, the recovery remained subject to some downside risks, such as the possibility of a more extended period of weak activity and lower prices in the housing sector and potential financial and economic spillovers if the banking and sovereign debt problems in Europe were to worsen. In light of recent readings on consumer inflation, participants noted that underlying inflation had continued trending downward, but several saw the risk of deflation as having receded somewhat.

経済の状況とアウトルックの討議において、会合の参加者は、前回の会合以降に受け取った情報によると、短期的にいくつかの改善が指摘できるとみており、経済成長は緩慢ではあるものの、やや前進しているとした。生産や家計支出の指標は強まっており、労働市場は少しバランスが良くなってきているとのトーンだった。新しい財政パッケージは来年の回復のペースをサポートすると予測している。しかしながら、いくつかのファクターで成長を抑制し続けており、それは落ち込んだ住宅市場、雇用者が雇用を増やすことをためらっていること、家計や企業のいくらかでデレバレッジが進行している影響を含んでいる。さらに、回復はいくらかのダウンサイドリスクに晒されており、住宅市場の活動の弱さや価格低迷が長期化していること、そして欧州における銀行やソブリン債務問題が悪化すれば、米国の金融や実体経済への波及効果の可能性があることも含んでいる。最近の消費者物価については、参加者は基調的なインフレが下方トレンドを維持しているものの、数人の参加者はデフレの危険性がやや減少したとみている。



このパラグラフでは経済の状況が改善しているという方向性で論議が展開されていたことを示している。2011年について、財政政策による効果はあるとしながらも住宅市場と雇用の問題が依然として回復を遅らせていること、さらに欧州のソブリンリスクの悪化による米国の影響についても指摘された。また、米国がデフレに陥る可能性はやや減少しているということも明らかにされた。これは11月のCPIやコアPCEデフレータの伸び率の低下に歯止めがかかってきたということを反映しているものと思われる。以下のグラフはコアPCEデフレータ(YoY/出所:米商務省)。


PCEPILFE 20110105



・家計部門

In the household sector, incoming data on retail sales were somewhat stronger than expected, and there were some reasonably upbeat reports from business contacts regarding holiday spending. Consumer confidence appeared to be improving. Financial obligations and debt service costs had been declining as a share of household income, and that process was seen as providing greater latitude for a pickup in discretionary purchases. Nonetheless, there were indications that retail spending by middle- and lower-income households had risen less than spending by high-income households, suggestive of ongoing financial pressures on those of more modest means. Furthermore, the housing sector, including residential construction and home sales, continued to be depressed. Some participants noted that the elevated supply of available homes and the overhang of foreclosed homes were contributing to a further decline in house prices. The lower house prices, in turn, were seen as reducing household wealth and thus restraining growth in consumer spending.

家計部門において、小売売上といったデータは予想以上にやや強いものとなっており、ビジネスのコンタクトではホリデー消費に関して適度に明るい報告もあった。消費者信頼感は改善しているようにみえる。金融債務や債務返済費用は家計の収入におけるシェアを落としており、そのプロセスは好きなものを購入する許容範囲の拡大をもたらしている。しかしながら、中間層及び低所得者層の家計支出は、高所得者層に比べ小幅な上昇となっており、継続的な金融のプレッシャーにより緩慢になっている。さらに、住宅建設や販売を含む住宅セクターにおいては、抑制されたままとなっている。数人の参加者は、利用可能な住宅の増加や差し押さえ物件がのしかかっていることが住宅価格を一層押し下げていることに寄与していると指摘した。低い住宅価格が個人金融資産を減少させ、それゆえ消費支出を抑制しているようである。



個人消費については改善しており、やや強含みで推移していることが示されている。消費者信頼感の改善や家計のデレバレッジも進展により、購買意欲がやや高まったことを評価しているものの、住宅問題と雇用問題が解決されない現状においては力強い回復には至らないことを示唆している。


・企業部門

A number of participants noted that their business contacts had become more optimistic about the outlook for sales and production. Nonetheless, many contacts remained cautious about hiring and investment, with some reportedly concerned about the potential effects of government policies. The manufacturing, agriculture, and energy sectors showed particular signs of strength, and the high-tech sector appeared to be improving. However, nonresidential construction remained very weak, apart from drilling and mining. It was noted that credit conditions had eased further, although nonfinancial corporations continued to hold very high levels of cash.

複数の参加者は、ビジネスのコンタクトで販売や生産のアウトルックがより楽観的になっていると指摘した。しかし、政府の政策の潜在的な懸念に関してもいくつかの報告があったことも伴って、多くのコンタクトでは雇用や投資には慎重なままであり。製造工業や農業、エネルギーセクターは特に力強い兆候をみることが出来、ハイテクセクターは改善がみられる。しかし、掘削や鉱業を除く非居住用の建設はとても弱いままである。信用状況はより緩和されているが、非金融の企業は高いレベルのキャッシュを積み上げている。



企業部門においては景況感の改善が進展している。3日に発表されたISM製造業景気指数においても好不況である分かれ目の50を18カ月連続で上回っている。しかし、様々な要因から不透明感が強く雇用を増やしたり、投資を行ったりするのは慎重なままであり、それゆえ信用状況が改善されているにもかかわらずキャッシュ留保をハイレベルに積み上げていることが指摘できる。


・マーケット

Interest rates at intermediate and longer maturities rose substantially over the intermeeting period, while credit spreads were roughly unchanged and equity prices rose moderately. Participants pointed to a number of factors that appeared to have contributed to the significant backup in yields, including an apparent downward reassessment by investors of the likely ultimate size of the Federal Reserve's asset-purchase program, economic data that were seen as suggesting an improved economic outlook, and the announcement of a package of fiscal measures that was expected to bolster economic growth and increase the deficit over coming quarters. It was noted that the backup in rates may have been amplified by year-end positioning, as well as by some reported mortgage-related hedging flows. A number of participants indicated that, because the backup in rates appeared to importantly reflect changes in investors' expectations about the size of Federal Reserve asset purchases, the backup was consistent with purchases helping to keep longer-term yields lower than would otherwise be the case. Several meeting participants mentioned the communications challenges faced in conducting effective policy, including the need to clearly convey the Committee's views while appropriately airing individual perspectives.

中長期ゾーンの金利は前回の会合以降にかなり上昇しており、一方でクレジットスプレッドはほぼ変わらず、株価はゆっくりと上昇していた。参加者は、金利上昇についての重要な寄与についていくつかの要因を指摘し、それは投資家によるFedの資産購入プログラムの最終的な規模の(見通しの)下方修正、経済指標が経済見通しの改善を示唆していること、財政パッケージが経済成長を助長させ、今後数四半期において財政赤字を増加させることを含んでいる。金利上昇は、モーゲージ関連のヘッジのフローと同様に、年末のポジション調整によって増幅させているとの指摘もあった。複数の参加者は金利の上昇がFedの資産購入の規模についての投資家の期待の変更が大きく反映されており、それゆえ、それ以外のケースよりも買い入れが長期金利をより低くキープするのに役立つことで一致した。参加者の数人はコミュニケーションが効果的な政策を行う上で直面する課題であり、適切に個々の展望について委員会の見通しを明確に伝える必要性を含んでいる。



このパラグラフでは主に金利上昇の要因についての論議が書かれている。参加者が金利上昇の要因として考えたのは、


・市場における資産購入プログラムの規模の下方修正観測
・経済指標の改善
・財政出動が経済を加速させるものの、一方で財政に悪化に対する懸念の反映
・年末のポジション調整


この4点であった。そして興味深いのはFedコミュニケーション戦略に関わる部分で、委員会の見通し(デュアルマンデートに一致するレベル)を明確にすべきではないかとする意見が出されたことだ。これは時間軸政策強化もしくはインフレターゲティング政策導入に関わる論議として注目すべきであろう。すなわち、例えば物価上昇率が1.6-2%(委員会の長期見通し)に達するまで緩和政策を行っていく(資産購入の規模は変えない)ということを明示することによって、マーケットに時間軸を織り込ませることが期待される。例えばBOJでは「中長期的な物価安定の理解」を「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えている」としてより長い時間軸に働きかけを行おうとしている。


・インフレ

Measures of underlying inflation continued to trend downward over the intermeeting period, with the slowdown in price increases evident across categories of goods and services and across different inflation measures. Although the prices of some commodities and imported goods had risen appreciably, several participants noted that businesses seemed to have little ability to pass these increases on to their customers, given the significant slack in the economy. Also, the high level of unemployment was limiting gains in wages and thereby contributing to the low level of inflation. TIPS-based measures of inflation compensation had risen modestly over the intermeeting period, while surveys of households and professional forecasters continued to suggest that longer-term inflation expectations remained stable.

前回との会合以降、インフレの基調は下方トレンドを継続しており、財・サービス、または異なるインフレ指標との間でも価格上昇がスローダウンしている。いくつかのコモディティ価格や輸入品はかなり上昇しているが、複数の参加者は、経済の重大なスラックによって、企業が顧客に価格転嫁を行う能力は大きくないと指摘した。同時に、高い失業率は賃金上昇を制限させ、それゆえにインフレの低いレベルに寄与している。前回の会合からの間にTIPSのようなインフレ連動債の価格は緩やかに上昇したが、一方で家計や専門家のフォーキャスト調査では長期的なインフレ期待は安定している。



この点については以前から指摘しているように、投入コストが上昇しても、デマンドプルの状態が続いていることから、最終製品に価格転嫁できないことを述べている。その要因は経済の大きなスラックによるものであり、需要を回復させるには至らないことを示している。


・リスクファクター

Regarding their overall outlook for economic activity, participants generally agreed that, even with the positive news received over the intermeeting period, the most likely outcome was a gradual pickup in growth with slow progress toward maximum employment. However, they held a range of views about the risks to that outlook. A few mentioned the possibility that growth could pick up more rapidly than expected, particularly in light of the very accommodative stance of monetary policy currently in place. It was noted that such an acceleration would likely be accompanied by significantly more rapid growth in bank lending and in the monetary aggregates, suggesting that such indicators might prove to be useful sources of information. Others pointed to downside risks to growth. One common concern was that the housing sector could weaken further in light of the considerable supply of houses either on the market or likely to come to market. Another concern was the ongoing deterioration in the fiscal position of U.S. states and localities, which could lead to sharp cuts in spending and increases in taxes. In addition, participants expressed concerns about a possible worsening of the banking and financial strains in Europe, which could spill over to U.S. financial markets and institutions, and so to the broader U.S. economy. They observed that market stresses in Europe intensified during the intermeeting period, requiring an assistance package for Ireland from the EU and the IMF, and that after that package was announced, market attention appeared to shift to other European countries. Participants noted, however, that the European authorities were taking steps to stabilize conditions in the euro area.

全般的な経済活動について、参加者は、前回の会合以降ポジティブなニュースが認められたものの、経済の成長が最大雇用への過程は遅いことも伴って漸進的なものに留まるとの結論で一致した。しかしながら、その見通しに対するリスクを反映して、経済見通しのレンジに変更は加えなかった。少数意見として、特に現状のとても緩和的な金融政策に照らして、予測以上に経済成長が速まる可能性について言及した。そのような加速は金融緩和の状況で銀行の貸出やマネタリー・アグリゲートの伸びをより速いものにさせる可能性があり、そのような指標は有益な情報源ではないかと提案している。一方である参加者は成長のダウンサイドリスクも指摘した。住宅の過剰供給の状況に照らして住宅セクターがさらに弱まっていることが、ひとつの共通な懸念であるとした。他の参加者は、米国内の州・地方政府の財政状況の悪化について懸念を表明し、急激な歳出削減と増税につながるとした。さらに、参加者は欧州における銀行や金融の緊張が悪化し、米国の金融市場や金融機関、広範な米国経済に波及していく可能性について懸念を表明した。欧州における市場のストレスが前回の会合以降の間増大しており、アイルランドがEUやIMFによる救済パッケージを要求し、パッケージが通知されて以降、マーケットの関心は他の欧州の国にシフトした。しかしながら、複数の参加者は欧州の当局は状況の安定化に着手しているとした。



ここでは米国経済のリスクファクターについて論議されている。アップサイドリスクとしては緩和的な金融政策、ダウンサイドリスクとしては住宅セクター、地方の財政問題、欧州のソブリンリスクを挙げている。地方の財政問題については、ビルドアメリカ債(州政府による利払い負担の35%相当を連邦政府が負担)が昨年末で期限切れを迎えたことから、州及び地方政府の借り入れコストが今後増大することが懸念されており、財政の立て直しのために歳出削減や増税を行わなければならない状況に追い込まれる。当然のことながら地方では財政支出に期待できないため、財政難がきついところでは景気の下押し要因として作用する可能性もある。また、地方によっては議会で予算の可決が難航し、その結果利払い遅延が発生する懸念も指摘されており、地方債マーケットの波乱要因として警戒されている。このことから2011年の米国経済については地方の財政問題の進展から目が離せないものと思われる。以下のグラフは地方債のベンチマークである"S&P AMT-Free Municipal Bond Index"のETF(iShars)の価格推移である(出所:Bloomberg)


MUB 20110105.



・政策決定

Members noted that, while incoming information over the intermeeting period had increased their confidence in the economic recovery, progress toward the Committee's dual objectives of maximum employment and price stability was disappointingly slow. In addition, members generally expected that progress was likely to remain modest, with unemployment and inflation deviating from the Committee's objectives for some time. Accordingly, in their discussion of monetary policy for the period immediately ahead, nearly all Committee members agreed to continue expanding the Federal Reserve's holdings of longer-term securities as announced in November in order to promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with the Committee's mandate. The Committee decided to maintain its existing policy of reinvesting principal payments from its securities holdings into longer-term Treasury securities. In addition, the Committee agreed to continue buying longer-term Treasury securities with the intention of purchasing $600 billion of such securities by the end of the second quarter of 2011, a pace of about $75 billion per month. While the economic outlook was seen as improving, members generally felt that the change in the outlook was not sufficient to warrant any adjustments to the asset-purchase program, and some noted that more time was needed to accumulate information on the economy before considering any adjustment. Members emphasized that the pace and overall size of the purchase program would be contingent on economic and financial developments; however, some indicated that they had a fairly high threshold for making changes to the program.
(Abridged version follows)

FOMCのメンバーは前回の会合以降の情報が経済の回復への信頼感を高めることになったものの、委員会の2つの目標である最大雇用と物価の安定への進展は残念なくらい遅い。さらに、失業とインフレは委員会の目標とするところから長期間かけ離れていることから、メンバーはその回復は緩慢なものとなると予測している。従って、先の金融政策の論議において、ほとんど多くの参加者は、経済成長のペースの強化を促進し、インフレが時間と共に委員会の責務と一致するようなレベルに到達することを手助けするために、11月に通告したFedの長期債保有の拡大の継続について合意した。委員会は既存の長期債の再投資の継続を決めた。さらに、委員会では2011年の第2四半期末まで6000億ドル(月あたり750億ドル)の長期債購入の維持についても合意した。経済の状況は改善しているが、委員は概ね、この見通しの変更が資産購入プログラムの如何なる調節を満足に保証するものではないとした。複数のメンバーは資産買い取りプログラムのペースやサイズは経済や金融市場の環境次第であることを強調した。しかし、数人のメンバーは、プログラム変更の閾値はかなり高いものであると指摘した。

(以下は政策の決定事項のため後略)



政策決定のパラグラフであるが、現状の経済見通しでは、最大雇用及び物価の安定に資するというデュアルマンデートにかなう水準に物価上昇率が届いていないことから資産購入の規模等の変更は行わないとしており、またその変更のハードルは高いことを言及することによって、市場のコンセンサスの振れを排除したいという意図もあったものとみられる。QE拡大の方向性についてはさらなる経済指標など入手できるデータを待ってということであり、12月の段階で決められるというものでもないのだろう。QE拡大はあくまでもQE2が終了に近づく今年の第2四半期くらいから議論となるものと思われるが、その段階でデフレ懸念が払拭できているかどうかがポイントとなるのだろう。


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2011年のマーケットを考える(2)~マーケット環境  

「2011年のマーケットを考える(1)」の続きで、2011年の相場環境についてこのようにみている。


■債券・金利(米国債中心に)


2011年の投資環境は、基本的に先進国の高格付けソブリン債券については良好な地合が継続するものとみられる。資金循環上、債券が買われる2つの重大な要件とは、貯蓄率の上昇と民間資金需要の低下だと考えている。それは金融機関が国債のポートを増加させるための条件であり、債券市場の需給の基盤となる。日本では10年以上JGBが高止まりしているが、需給を支えているのは預貸ギャップの拡大である。また、企業にキャッシュが多く、投資機会があまり多くない状況においても、資金循環上の性格から国債に資金流入が起きる。


米国において、家計部門からすれば貯蓄率は5-6%台で推移している。景気が改善したことから趨勢的には低下するものと見られるが、信用バブルの極みであった2005年の1%割れといった状況からすれば程遠く、預金選好は相変わらず強いことが示されている。依然として失業率が高く、それゆえ消費者信頼感の回復は鈍く、不安定な状況が続く中で貯蓄率が著しく低下することは見込みにくい。また、企業部門においては、企業のネットキャッシュフローは2010年第2四半期に1兆5784億ドルにまで拡大しており、企業収益の回復から過去最高レベルにまで達している。しかし、景気回復が緩慢であり、先行きの需要が不透明な状況ではこれを再投資に回す動きは限定的である。従って、企業の固定資産投資の回復は緩慢な状況となっており、2008年のリセッション前に比べ、7-8割の水準に留まっている。今後こういったキャッシュフローはM&Aなどの投資資金に回っていく可能性もあるが、同時にキャッシュ留保の蓄積も進行していくので、流動性の観点から企業部門においても預金や債券投資を増加させていくものと思われる。


・米国貯蓄率の推移(YoY/出所:米商務省)


PSAVERT_20101230.png


・米国企業のネットキャッシュフローの推移(出所:米商務省)


CNCF 20101230


金融機関においては貸出が低下したままとなっている。この背景は、高いネットキャッシュフローを背景に企業による資金調達ニーズが低下していることや、特に家計部門において信用状況が依然としてタイトなままであり、貸出側もクレジットリスクを回避させる動きとなっていることが要因であろう。貯蓄率が増加していることを考慮するとアセットサイドの国債保有の機会は一層高まっている。このことから、米国においても企業部門及び金融機関が国債選好の動きとなっており、債券市場の需給は引き続き良好な状況が続く。また、対米証券投資において米国債の最大の買い手である中国がそのエクスポージャーを見直すことも想定されるが、上記のような状況から国内消化の傾向を強めていく可能性がある。


・商業銀行のローン残高の推移(YoY/ 出所:Fed)


LOANS 20101230


一方で、Fedのコミュニケーション戦略、特に時間軸政策は債券市場のボラティリティを高くさせている。QE2への方向性が決められたジャクソンホールにおけるバーナンキ議長講演から債券市場は大きく買われることとなったが、11月に資産買い入れを決定して以降、時間軸政策に対する姿勢が不明瞭であったことから逆に大きく売られることとなった。このためFedのコミュニケーション戦略には注意を払う必要がある。また、市場におけるインフレ期待はFedコミュニケーション戦略とディスインフレ及びデフレ懸念が対立することから、比較的振幅が強い状況となろう。


■株式


2011年の株式市場は、主要国の中央銀行が金融緩和姿勢を継続していくことから過剰流動性への期待によってリスク選好を強める展開と、先進国経済の一時的なdip懸念、ソブリン問題から発展する欧州の金融不安、新興国、特に中国の引き締め政策の強化による景気腰折れ懸念などからリスク選好を弱める展開が交互に繰り返される展開となろう。従って、2011年においても大きなトレンドが発生するような展開ではなく、ボックス相場の様相となるものと思われる。2010年はボラティリティが低下したが、2011年は逆に高まる可能性も考慮する必要が生じよう。ボラティリティが拡大する場合、特に注視すべきは欧州の金融不安及び当局の対応に対する信頼感の低下に起因する局面である。1987年のブラックマンデーは西ドイツのブンデスバンクが協調行動を取らず金融引き締めに舵を切ったことから投資家の不安心理が高まった。


・VIX指数の推移(出所:CBOE)


VIX 20101230


■外為


2011年のドル相場については、Fedの金融緩和政策の期待でリスク選好時に売られやすくなる。また、中国が人民元改革を促進させていくことから、ドルペッグの段階的な解消によるドル売り圧力も掛かりやすくなるだろう。一方で欧州域内においてスペインなどのリファイナンスが2011年も高水準に続くため、ドル需給がタイトになる時間帯も想定される。ユーロについてはソブリンリスクが継続、2010年序盤からポルトガルに対する救済の思惑が浮上していくことになろう。その後スペインにも波及する可能性を考慮すると積極的に買われる地合にはなりにくい。ユーロについてはショートポジションが膨大になることがあるため、リスク選好を強めるときにはリリーフラリーが起きることもあるが、基本的にダウントレンドが継続しているとみるべきである。


円については、中国の人民元改革による通貨バスケットへの組み入れ比率上昇などといった通貨政策や、対日投資を促進させていくことなど中国の外準政策への思惑が働きやすいこと、さらに2011年も高水準の経常黒字を維持していくことなどを踏まえ、相対的に強含みの展開となっていくだろう。但し、買われすぎの状態となれば大規模な円売り介入のリスクもある。スイスフランはソブリンリスクにより、ユーロ圏のアセットを巻き戻す圧力からキャピタルフライトとして買い戻されることが想定される。また、周辺国に対して金融政策や財政が安定的に推移していくことも買い要因となるだろう。


2010年のエントリはこれで終わります。読者の皆様におかれましては、今年もご愛顧ありがとうございました。2011年も皆様に取りまして多幸な一年でありますよう祈念致します。


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カテゴリ: 市場視点

タグ: マーケット  金利  債券  外為  株式  ユーロ  ドル  2011年のマーケットを考える 
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2011年内に利上げを織り込む金利市場~オーバーシュートは相場の常なれど 

本日の朝方某ベンダーで、ある証券会社の債券ストラテジストの方が現在の円債について日銀が利上げを行うことを織り込んだ水準との指摘を行っているようで、世界的に金利市場はオーバーシュート感をかなり強めるものとなっている。例えば、直近の米国債市場は相当売り込まれているイメージがある。そして関心は長期債に向いがちな情勢の中で、実は2年といったゾーンも大きく売られている。以下のグラフはQE2が始まった11月以降の米2年債の推移。


UST2Y 20101216



2年債も同様だが、FF金利先物もここにきて売られていく展開となっている。以下のグラフはFF金利先物の推移(出所:CME)。


FF Future 20101216


FF金利先物からすれば2011年内に25bp程度の利上げが行われることを織り込んだ動きとなっている。2011年末に利上げが行われるならば、少なくとも2011年6月末でQE2が確実に終了(すなわちQE3には移行しないということ)して、この時点で、声明文から、


(low levels for the federal funds rate) for an extended period
FF金利を「長期間」にわたって非常に低い水準



という文言についてもっと短めの時間を表す文言に修正されるか、ないしはこの箇所を削除しなければならない
。ということは、2011年6月時点でコアPCEデフレータが年率1.6-2.0%程度に推移していくことが必要であるし、失業率は8%台にまで推移していくことがみられることが条件であろう。現在の金利市場が需給で動いているとは言っても、解釈如何では今後半年間で利上げが出来るほどバラ色の米国経済を織り込んでしまっている、といったようにもみえてしまうわけで、果たしてそれが2011年の上半期終了時点においてビジビリティがあるものなのか、ということが今後問われていくところなのかもしれない。オーバーシュートは相場の常ではあるとはいえ、実勢からみてどうなのか?というところだろう。




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