08« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.»10

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協調介入について~肝心なのは円資金マーケット 

3月18日の午前7時からG7電話会議が行われ、円売りの協調介入を実施することで合意した。以下は声明。


われわれG7の財務相、中銀総裁は日本の最近の劇的な出来事を議論し、われわれの日本の同僚から、現在の状況、当局がとった経済・金融面での対応について説明を受けた。


われわれはこうした困難なときにおける日本の人々との連帯意識、必要とされるいかなる協力も提供する用意があること、日本の経済と金融セクターの強靱さへの信認を表明する。


日本の悲劇的な出来事に関連した円相場の最近の動きへの対応として、日本当局からの要請に基づき、米、英、カナダ当局、及び欧州中央銀行は3月18日に、日本とともに為替市場における協調介入に参加する。われわれが長らく述べてきた通り、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対し悪影響を与える。われわれは為替市場をよく注視し、適切に協力する。




これを受けて9時から財務省・日銀は連続的に介入を実施している模様であり、ドル円は79円台から81円台前半まで買い進まれる展開となった。以下はドル円のチャート。


usdjpy 20120318



協調介入自体は各国がこの大震災による日本経済への悪影響を金融面からサポートするために行われているものと思われる。異常事態であるため、各国が足並みを揃えたというのは評価してもよいのだろう。しかし、円が買われている理由は様々あるものの、そのうちの大きな要因は海外を中心としたマネーマーケットの円資金不足であろうと思われる。実際、15日の円LIBORのイールドカーブはより短いタームの資金調達が困難だったことからインバースしていた。従って、ここからのポイントは、直物市場で円の流動性が改善したことにより、ロンドン時間以降のマネーマーケットにおいて円ファンディングが円滑に進むことであろうかと思われる。15日のLIBORS/N金利はさすがに異常値だったため低下したものの、1週間物、2週間物などの金利は相変わらず高止まりしたままである。以下は15日と17日の円LIBORのイールドカーブ。


JPY LIBOR YC 20110318.


今後円LIBORが低下していくかどうかがポイント(LIBORはあくまでも指標に過ぎないが)である。今回の円高は海外での円資金市場の流動性が薄くなっていることによる部分が大きいので、補完機能として海外の円資金マーケットの流動性を維持するために日銀と各国中銀との間での円スワップライン取極が必要かと思われる


英訳版を書いてみました。(For English Version) "By the Coordinated Intervention, Watch At The Yen Funding Market."


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タグ: 金融政策    日本  外為  マーケット  金利  BOJ 
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2011年のマーケットを考える(4)~バイロン・ウィーンの2011年「20大」びっくり予想 

バイロン・ウィーン氏といえば、モルガン・スタンレーのストラテジストだった1986年から10大びっくり予想(Ten of Surprise)を発表しており、市場関係者の間では新年の風物詩となっている。2009年にブラックストーンに移籍してからも予想は続けている。普段は半数くらい的中するのだが、昨年はゼロというまさかのトラックレコードをたたき出した。昨年の予想は以下の通りである。


1.米国の実質成長率は大方が予想する5%を超え、失業率は9%を下回る。
2.FRBはゼロ金利政策を解除し、FF金利は年末までに2%まで上昇。
3.米国債の発行過多と海外中央銀行による買い意欲後退により長期金利は5.5%を上回る。
4.S&P500は年前半に1,300まで上昇した後、1,000に下落し、09年末(1115)程度の水準で取引を終える。
5.ドルが対円で100円、対ユーロで1.30ドルに上昇。
6.円安を追い風に先進国で日本株が最も上昇し、日経平均は12,000円超える。
7.オバマ大統領が原子力開発促進の法案を承認する。
8.米国の景気回復を受けてオバマ人気が回復し、11月の議会選挙で民主党の議席減は予想より小さい20議席減にとどまる。
9.金融規制法案がより金融業よりに修正され、金融株が急騰。
10.イランの社会不安が深刻化、アハマディネジャド大統領が失脚。



全て外して再起を期すという意味であろうか、2011年は20大びっくり予想を発表した。以下The Street "Byron Wien Announces The Ten Surprises For 2011"より引用(そのうちブラックストーンのサイトからリリースされるものと思われる)。生起確率はあくまでも私自身の独断と偏見。


(1)米国経済は消費を中心に力強い成長となり、GDPは5%近くに上昇、失業率は9%以下。

The continuation of the Bush tax cuts coupled with the extension of unemployment benefits has put all working Americans in a better mood. Real Gross Domestic Product rises close to 5% in 2011 driven by improved trade and capital spending in addition to stronger retail sales. Unemployment drops below 9%.

ブッシュ減税と失業保険給付延長の継続により、貿易の改善と強い個人消費の支えられ資本消費がドライバーとなり、2011年のGDPは5%近くに上昇する。失業率は9%を下回る。



そもそも失業保険給付延長が雇用のミスマッチの要因として捉えられている(失業保険を受けている間は働こうとしないから)ため、この政策そのものが失業率を押し上げているとの指摘があるわけで、ちょっと???という印象も拭いきれない。GDP5%成長というのはかなり厳しいハードルのようにも見えるのだが。


生起確率:10%以下


(2)財政悪化で債券市場が圧迫、長期金利は5%へ

The prospect of increasing Federal budget deficits and rising government debt finally begins to weigh on the bond market. The yield on the 10-year U.S. Treasury approaches 5% as foreign investors become more demanding. Spreads with corporate fixed income securities narrow.

連邦政府の財政赤字の増加と公的債務の上昇見通しにより、債券市場が圧迫される。10年債利回りは、外国人投資家のより厳しい姿勢から、5%に届くであろう。社債のスプレッドは狭まる。



ベンチマーク金利が上昇してクレジットスプレッドがタイト化すると。資金循環的なものから考えると、普通はイールドカーブがブルフラット化してクレジットスプレッドがナローになるといわれる。つまり資金循環的なところからみれば、資金需要が乏しいので金融機関等の国債選好が強くなることからベンチマークの金利が下がる。また、資金需要もないので貸出が減少しクレジットスプレッドを低下させざるを得ない、ということになる。但し、ソブリンリスクのようにソブリンの信用力が民間企業よりも落ちてしまった場合は例外的に起こりうることもあろう。但し、そのシナリオが現実のものとなれば、それはスタグフレーションである。


生起確率:15%


(3)S&P500は過去最高値圏の1,500ポイントへ

Encouraged by renewed economic momentum the Standard & Poor’s 500 rises close to its old high of 1500. A broad range of sectors participate, but telecommunications and utilities lag. With earnings improving, valuations seem low and individual investors return to equities for the first time since the financial crisis. Merger and acquisition activity becomes intense and the market reaches a blow-off euphoria. Stocks correct in the second half as interest rates rise.

景気拡大のモメンタムに支援され、S&P500は過去最高値圏の1,500に接近する。幅広い銘柄が買われるが、通信と公益株はラグがある。利益の改善により、金融危機以降はじめて個人投資家が株式投資に戻ってくる。M&Aが活発化し、マーケットはユーフォリア状態に到達する。株式市場は金利上昇により年後半に調整する。



1月4日のエントリ、「2011年のマーケットを考える(3)~2011年に株式が買われる条件」に満たせばそういうシナリオもないわけではないが、ユーフォリアになるほどの経済状況ではあるまい。


生起確率:15%


(4)金価格は1,600ドルへ

Although inflation remains benign, the price of gold rises above $1600 as investors across the world place more of their assets in something they consider “real.” Sovereign wealth funds of countries with significant dollar reserves also become big buyers. Hedge funds keep thinking the price rise is becoming parabolic and sell their positions and some even short the metal but gold keeps climbing and they scramble back in.

インフレは落ち着いているものの、金価格は投資家の実物資産の需要に乗って1600ドルに達するだろう。ドルを外準として持っているソブリンウェルズファンド(SWF)が大きな買い手となる。ヘッジファンドは金価格が放物線状に上昇しており、金のポジションを売って、他の金属もショートしたいと考えているが、金は更に這い上がる動きを見せる。




貴金属は中央銀行がB/Sを膨張させている限り思惑買いを集めるのだろう。QE3となれば生起確率は大幅に上昇する。


生起確率:50-75%


(5)積極的な人民元改革

Worried about inflation and excessive growth, the Chinese decide to use their currency as a policy tool. They manage the value of the renminbi aggressively to keep the growth of the economy below 10% and to prevent consumer prices from increasing above the 4%--5% range. The move is viewed as a precursor to the world-wide adoption of a basket including the renminbi as an alternative to the use of the dollar as the principal reserve currency.

インフレと過剰な成長を心配して、中国は政策ツールとして自らの通貨を使うことを決めるだろう。中国はRMBの価格をアグレッシブに操作し、GDPを10%以下、CPIを4-5%のレンジに抑えようとしている。この操作は世界中で主要準備通貨としてのドルの代わりにRMBを含む通貨バスケットに適用させる兆しであるとみている。



前者は早めにやらないとビハインド・ザ・カーブとなるため、中国としても取り組まないといけないと思われるが、後者はどうなのか。ドルは少なくとも2011年において準備通貨としての現在の立ち位置をキープし続けるだろう。

生起確率:前者50-60%、後者10%以下


(6)農産物価格の高騰

Rising standards of living in the developing world seriously increase the demand for agricultural commodities. The price of corn rises to $8.00, wheat to $10.00 and soybeans to $16.00. Commodities become a component of more institutional portfolios.

新興国の生活水準の向上により、農産物の需要が深刻なくらいに高まる。1ブッシェルあたり、とうもろこしは8ドルに、小麦は10ドルに、大豆は16ドルに上昇。商品はより多くの機関投資家にとって、ポートフォリオを構成するようになる。



昨年はロシアの熱波により小麦が急騰したが、背景には新興国需要の高まりがある。年初からオーストラリアで大規模な洪水が起こっており、それにより農産物価格がどのように推移していくか、早速注目していく必要があろう。


生起確率:65%


(7)住宅市場の回復

The housing situation improves. Although the inventory of unsold homes remains high, the oversupply is drawn down substantially, contrasting with an increase in 2010. The Case-Shiller gradually heads higher and housing starts exceed 600,000.

住宅の状況は改善する。売れない住宅在庫は高いものの、2010年の増加とは対比的に過剰供給は大幅に低下していくだろう。ケース・シラー指数は徐々に上昇し、住宅着工は60万件を超えるだろう。



住宅市場がボトムを打つ年が2011年というのは、可能性その物は高いのだろうが、住宅価格が上昇していくとしても2010年の住宅減税打ち切り前の水準まで回復できるかどうかも微妙なところで、緩慢な回復でしかないのだろう。


生起確率:40%


(8)原油価格は115ドルへ

Continuing demand from the developing world and a failure to bring onstream new supply causes the price of oil to rise to $115 per barrel. The higher price at the pump fails to discourage driving, increase sales of hybrid vehicles or cause Congress to initiate conservation measures.
新興国需要の継続や、供給源が不足することから、原油価格は115ドルに上昇する。高い原油価格であっても(自動車の運転を減らすことには失敗するが、ハイブリッド車の販売が増加し、議会に省エネ対策を促すものとなろう。



原油価格が115ドルというのは相場が過熱すれば示現するレベルなのかもしれないが、もしそうなれば世界経済、とりわけ先進国経済が持たない。


生起確率:30%


(9)アフガニスタンからの米軍撤退

Frustrated by the lack of progress against the Taliban and the corruption of the Karzai government, President Obama concludes that whenever American troops return home, Afghanistan will once again become a tribal state ruled by warlords. He accelerates the withdrawal of most military personnel to the end of 2011. Coupled with the pullout of forces in Iraq, this will leave the Middle East without a major Western presence in the face of rising fears of terrorism.

アフガニスタンではタリバン対策が遅れ、カルザイ政権の腐敗によるフラストレーションから、オバマ大統領は米軍の帰還を決断する。アフガニスタンは再度、軍閥支配の部族国家となる。オバマ大統領は撤退を2011年の終わりに多くの軍人の帰還を加速させる。テロリズムの脅威が高まる中で、イラクからの撤退も合わさって中東における西側のプレゼンスを低下させることになる。



アフガニスタン情勢は泥沼になっている。撤退となれば同国の治安は崩壊し、中東情勢やテロリズムの動向は混沌としたものとなろう。従ってオバマ政権も引くに引けないのではないかと思われる。


生起確率:20%


(10)独主導の欧州財政改革

Under duress Angela Merkel leads the way in European financial reform. The weaker countries, having pledged to cut their budget deficits in half by 2014, are provided additional transitional aid by the European Union (with Germany’s backing) and the International Monetary Fund as long as they implement their austerity programs, increase some taxes and still show modest growth. The European financial crisis becomes less of a concern. The policies put in place prove psychologically satisfying to the financial markets but harmful in the longer term because they are palliative and do not represent solutions.

メルケル独首相が無理やり欧州の財政改革を進める。2014年までに財政赤字を半分にカットしなければならないことを約束した上で、EUやIMFからから追加支援を受けるであろうそれらの(財政基盤の)弱い国々は、増税や緩慢な成長に留まる。



メルケル首相は今年の金融市場の台風の目である。景気に配慮せず、緊縮財政論を繰り広げた結果、周縁国の景気悪化が際立つようであれば、ドイツにもその影響が波及してくることになる(ドイツの輸出先は半分程度がEU域内)。また、ドイツの単独行動は金融市場でも痛いトラウマがある。"Remember 1987".


生起確率:70%


以降はさらに追加された10のびっくり予想。


(11)パキスタンと北朝鮮の問題が深刻化

While Afghanistan and Iraq cool down as trouble spots, Pakistan and North Korea flare up. The former continues to be a troublesome breeding ground for terrorists and the latter initiates further hostile attacks on South Korea. China does not become involved in a major way and the international community seems helpless.

アフガニスタンやイラクの問題は沈静化するが、パキスタンと北朝鮮の問題は激化する。前者はテロリストの温床となってしまい、後者はさらなる敵対的攻撃を開始するだろう。中国はそのような問題に関与しなくなり、国際社会は無力化する。



パキスタン情勢も気になるが、北朝鮮の問題は世界で最も拡大している経済圏である東アジアの脅威である。しかし、北朝鮮の内部体制が磐石かといえばそうではなく、権力移譲を進めている中で内部抗争が起こる可能性もある。そのため、北朝鮮の瀬戸際外交に目が向いがちであるが、内政の動向も見定めておく必要があろう。


生起確率:50%


(12)イランの柔軟化

The broad international sanctions on Iran finally begin to work. Mahmoud Ahmadinejad enters into negotiations to scale back the country’s nuclear weapons development program in exchange for financial aid and foreign investment. Pressure from the country’s youth to provide more economic opportunity is the key factor in the change in policy. Talk about bombing by Israel or the U.S. subsides

イランの国際的な制裁がワークし始める。アハマディネジャド大統領は核兵器開発計画を縮小する代わりに金融支援や海外投資を見返りとした交渉に入る。国内の若者により経済的な機会を与えるプレッシャーは政治変化の鍵となる要素である。イスラエルや米国の爆撃に関するトークはおさまる。



是非そうなってほしいものだが。


生起確率:30%


(13)米ドル選好、欧州はソブリンリスクの沈静化、日本はリセッション回避

Rising interest rates and a strong economy allow the dollar to strengthen against the euro and the yen. Although the European financial crisis abates as austerity programs and higher taxes are put in place and Japan avoids falling back into recession, America becomes the developed market of choice for global investors.

金利の上昇や強い経済によりユーロや円に対してドルが強含む。緊縮財政や増税によって欧州の金融危機が治まり、日本経済はリセッションを回避する。米国はグローバル投資家にとって投資先として選好される。



欧州の危機が収まるかどうかについては、如何にして伝播(Contagion)を食い止めるかというところとなるが、それにはソブリンの信任を上昇させるしかあるまい。日本経済がリセッションを回避するには、1-3月の個人消費がエコポイント減税の反動によって大きく落ち込まないことが条件となるのだろう。このあたりは五分五分だが、正月の初売りは百貨店などで好調だったという話などを聞くと、回避できそうなのかな?と漠然と思ってみたりする。但し、米国については、短期金利の上昇を導く程の強い経済かどうか、ということについては、個人的に楽観的ではないかと思われる。


生起確率:30%


(14)サラ・ペイリンvsオバマ

Sarah Palin announces she will seek the Republican nomination for President amidst the cheers of Tea Party supporters. More moderate Republicans fear her candidacy will diminish the chances of their party winning in 2012 and try to blunt her efforts. Rick Perry, governor of Texas becomes a contender. Mike Bloomberg is mentioned. On the Democratic side, liberals feel Obama has betrayed them and desperately try to find a challenger. With the economy improving the prospect of a second term for Obama becomes more likely.

サラ・ペイリン氏が、保守派のティーパーティーの支持を受け、大統領選の共和党候補の使命獲得を目指すと表明する。より穏健な共和党員は彼女の立候補が2012年の大統領選挙において共和党候補の当選の可能性を減少させるのではないかと恐れている。共和党においてはテキサス州ペリー知事が対抗馬となるだろう。マイケル・ブルームバーグ前NY市長も候補だ。一方民主党では、リベラル派がオバマ大統領が自分たちを裏切ったと感じており、必死となって候補者を探すであろう。経済の改善によってオバマ大統領が2期目に入る可能性が最も高い。




皿対オバマとな。


生起確率:???


(15)ロシアの外資規制緩和

The Russian government decides it is the laggard of the emerging markets and steps up its efforts to become more investor friendly. The Kremlin agrees to further nuclear weapons reduction and provides assurance to companies willing to invest there that the rule of law will prevail. The Russian equity market soars.

ロシア政府は同国が新興国市場で出遅れており、投資家に対してよりフレンドリーになる努力を行うことを決断する。クレムリンはさらなる核兵器の削減に同意し、同国に投資したい企業にとって法の支配の保証をする。



ロシアについては中国、インド、ブラジルに対して出遅れていることは確かであり、それゆえ、外国企業に対してフレンドリーになり、政治的な関与を無くしていく努力を行って投資を呼び込むことを目論むのは説得力がある。但し、国営企業の解体など大胆な政策に打って出るだけの覚悟が試されるため、思い切りは必要かとは思われる。


生起確率:30%


(16)マリファナ合法化

Laws related to marijuana usage are liberalized in more states. Recognizing that the drug may not be addictive, the public’s attitudes have evolved over the last thirty years, and this, along with a desire to alleviate the over-crowding of jails, causes state legislatures to take a more liberal position. Drug abuse groups are outraged.

より多くの州でマリファナ使用に関する法律が緩和される。薬物が中毒を引き起こさないことが認識されたことで、国民の(薬物に対する)敵対的な態度が過去30年で変わったことや、さらに刑務所の混雑状態を解消したいという願望が一緒になって、州議会はよりリベラルな立場を取るだろう。薬物乱用グループが憤慨するだろう。



この論議は留保。いろいろな意見もあろう。


生起確率:???


(17)深刻な地方の財政問題

Infrastructure problems in the United State become serious. New York subways are inoperative for days as a result of an electrical problem in the signal system. Gridlock snarls Los Angeles freeways, and to encourage cooperative commuting, high-occupancy vehicles are required to carry three or more people. State and local governments complain they lack the funds to deal with the problems and Washington refuses to help.

米国ではインフラの問題が深刻となる。NY地下鉄では電気的な問題で信号システムが故障し、数日間に渡って運行が止まる。ロサンゼルスのフリーウェイの交通渋滞がひどくなり、乗合などが奨励される。各州や地方政府は文句を言うが、ワシントンも資金不足で対応できない。



ビルドアメリカ債がいよいよ2010年末で打ち切られ、地方政府の利払い負担の増大などから地方レベルで緊縮財政が本格化する。NYの地下鉄の例はやや誇張だとしても、地方のインフラの劣化により修理もままならず、市民生活の支障となる可能性はそれなりにあるのではないかと思われる。


生起確率:70%


(18)地方債市場の混乱

A major state fails to pay interest on a municipal bond issue because of a lack of funds, causing havoc in the municipal bond market.

主要な州で資金不足により地方債の利払い不能に陥り、地方債市場が大混乱となる。



州政府がデフォルトする、という話は無いわけではない。Business Insiderでは、今年はPIIGSを忘れてCINNを注視する時期だとしている(Forget The PIIGS, It Is Time To Start Watching The CINN Group)。CINNとは(California、Illinois、New York、New Jersey)のことを指す。このCINNのCDSスプレッドは270bp程度であり、現状はPIIGS諸国よりも低い位置にあるが、欧州のソブリン問題が米国の州政府に伝播(Contagion)すれば、これらのCDSスプレッドが急激にワイドニングする可能性も否定出来ない。以下のグラフはCINNのCDSスプレッド推移(出所:Business Insider)。


Credit Defaults Swaps CINN vs PIGS


従って、今年の金融市場の爆弾は欧州のソブリンリスクに米国の州政府などの地方債問題も加わるくのだろう。今後この問題の進展から目が離せないものとなっていくだろう。但し、2011年内に主要な州で地方債の利払い不能に陥るかどうかは定かではない。


生起確率:20%、但し地方債市場の混乱そのものについては高い確率。


(19)911テロから10年

In spite of fears of tenth anniversary terrorist attacks, 9/11/11 becomes a peaceful non-event because of excellent intelligence and surveillance.

911テロから10周年の脅威があるにもかかわらず、2011年9月11日は諜報活動や監視などにより平和裏に終わる。



そうなってほしいものである。生起確率は期待込みで100%。


(20)気候変動問題への関心が薄くなり、寒冷な気候から天然ガス価格の高騰

While climate change activists remain shrill, the issue recedes in importance in the United States. Cold weather prevails during the winter and the summer heat is not oppressive. Support increases for a broader use of natural gas by utilities and public transportation and its price rises to $6.00 per mcf. In Europe and Asia however, environmental initiatives continue to move ahead.

活動家の鋭い運動は続くが、気候変動は米国において主要な問題ではなくなる。冬は寒いが、夏はそれほど暑くない。天然ガスの利用が高まることから、天然ガスの価格は6ドルに上昇する。しかし、欧州やアジアにおいては、環境問題への取組は前進する。



米国は温暖化というよりも寒冷化の方が話題になっており、昨年1月及び12月の北東部の大雪は深刻な影響を及ぼしているようだ。そのようなことからヒーティングオイルや天然ガス相場が上昇するということもあるのだろう。


生起確率:50%



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タグ: 2011年のマーケットを考える    マーケット  株式  債券  外為  商品  マクロ  米地方債問題 
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2011年のマーケットを考える(2)~マーケット環境  

「2011年のマーケットを考える(1)」の続きで、2011年の相場環境についてこのようにみている。


■債券・金利(米国債中心に)


2011年の投資環境は、基本的に先進国の高格付けソブリン債券については良好な地合が継続するものとみられる。資金循環上、債券が買われる2つの重大な要件とは、貯蓄率の上昇と民間資金需要の低下だと考えている。それは金融機関が国債のポートを増加させるための条件であり、債券市場の需給の基盤となる。日本では10年以上JGBが高止まりしているが、需給を支えているのは預貸ギャップの拡大である。また、企業にキャッシュが多く、投資機会があまり多くない状況においても、資金循環上の性格から国債に資金流入が起きる。


米国において、家計部門からすれば貯蓄率は5-6%台で推移している。景気が改善したことから趨勢的には低下するものと見られるが、信用バブルの極みであった2005年の1%割れといった状況からすれば程遠く、預金選好は相変わらず強いことが示されている。依然として失業率が高く、それゆえ消費者信頼感の回復は鈍く、不安定な状況が続く中で貯蓄率が著しく低下することは見込みにくい。また、企業部門においては、企業のネットキャッシュフローは2010年第2四半期に1兆5784億ドルにまで拡大しており、企業収益の回復から過去最高レベルにまで達している。しかし、景気回復が緩慢であり、先行きの需要が不透明な状況ではこれを再投資に回す動きは限定的である。従って、企業の固定資産投資の回復は緩慢な状況となっており、2008年のリセッション前に比べ、7-8割の水準に留まっている。今後こういったキャッシュフローはM&Aなどの投資資金に回っていく可能性もあるが、同時にキャッシュ留保の蓄積も進行していくので、流動性の観点から企業部門においても預金や債券投資を増加させていくものと思われる。


・米国貯蓄率の推移(YoY/出所:米商務省)


PSAVERT_20101230.png


・米国企業のネットキャッシュフローの推移(出所:米商務省)


CNCF 20101230


金融機関においては貸出が低下したままとなっている。この背景は、高いネットキャッシュフローを背景に企業による資金調達ニーズが低下していることや、特に家計部門において信用状況が依然としてタイトなままであり、貸出側もクレジットリスクを回避させる動きとなっていることが要因であろう。貯蓄率が増加していることを考慮するとアセットサイドの国債保有の機会は一層高まっている。このことから、米国においても企業部門及び金融機関が国債選好の動きとなっており、債券市場の需給は引き続き良好な状況が続く。また、対米証券投資において米国債の最大の買い手である中国がそのエクスポージャーを見直すことも想定されるが、上記のような状況から国内消化の傾向を強めていく可能性がある。


・商業銀行のローン残高の推移(YoY/ 出所:Fed)


LOANS 20101230


一方で、Fedのコミュニケーション戦略、特に時間軸政策は債券市場のボラティリティを高くさせている。QE2への方向性が決められたジャクソンホールにおけるバーナンキ議長講演から債券市場は大きく買われることとなったが、11月に資産買い入れを決定して以降、時間軸政策に対する姿勢が不明瞭であったことから逆に大きく売られることとなった。このためFedのコミュニケーション戦略には注意を払う必要がある。また、市場におけるインフレ期待はFedコミュニケーション戦略とディスインフレ及びデフレ懸念が対立することから、比較的振幅が強い状況となろう。


■株式


2011年の株式市場は、主要国の中央銀行が金融緩和姿勢を継続していくことから過剰流動性への期待によってリスク選好を強める展開と、先進国経済の一時的なdip懸念、ソブリン問題から発展する欧州の金融不安、新興国、特に中国の引き締め政策の強化による景気腰折れ懸念などからリスク選好を弱める展開が交互に繰り返される展開となろう。従って、2011年においても大きなトレンドが発生するような展開ではなく、ボックス相場の様相となるものと思われる。2010年はボラティリティが低下したが、2011年は逆に高まる可能性も考慮する必要が生じよう。ボラティリティが拡大する場合、特に注視すべきは欧州の金融不安及び当局の対応に対する信頼感の低下に起因する局面である。1987年のブラックマンデーは西ドイツのブンデスバンクが協調行動を取らず金融引き締めに舵を切ったことから投資家の不安心理が高まった。


・VIX指数の推移(出所:CBOE)


VIX 20101230


■外為


2011年のドル相場については、Fedの金融緩和政策の期待でリスク選好時に売られやすくなる。また、中国が人民元改革を促進させていくことから、ドルペッグの段階的な解消によるドル売り圧力も掛かりやすくなるだろう。一方で欧州域内においてスペインなどのリファイナンスが2011年も高水準に続くため、ドル需給がタイトになる時間帯も想定される。ユーロについてはソブリンリスクが継続、2010年序盤からポルトガルに対する救済の思惑が浮上していくことになろう。その後スペインにも波及する可能性を考慮すると積極的に買われる地合にはなりにくい。ユーロについてはショートポジションが膨大になることがあるため、リスク選好を強めるときにはリリーフラリーが起きることもあるが、基本的にダウントレンドが継続しているとみるべきである。


円については、中国の人民元改革による通貨バスケットへの組み入れ比率上昇などといった通貨政策や、対日投資を促進させていくことなど中国の外準政策への思惑が働きやすいこと、さらに2011年も高水準の経常黒字を維持していくことなどを踏まえ、相対的に強含みの展開となっていくだろう。但し、買われすぎの状態となれば大規模な円売り介入のリスクもある。スイスフランはソブリンリスクにより、ユーロ圏のアセットを巻き戻す圧力からキャピタルフライトとして買い戻されることが想定される。また、周辺国に対して金融政策や財政が安定的に推移していくことも買い要因となるだろう。


2010年のエントリはこれで終わります。読者の皆様におかれましては、今年もご愛顧ありがとうございました。2011年も皆様に取りまして多幸な一年でありますよう祈念致します。


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Monthly Euro Market Condition~そろそろ年越えを意識? 

このところユーロの堅調な動きが継続している。EURUSDは10月15日には戻り高値である1.4158ドルを示現した。以下はEURUSDの日足チャート。


EURUSD


ユーロが高いというのには以前から指摘している通り、欧米の金融政策の相違がある。米国は日々情報が溢れている通りFedはQE2へ邁進している。一方でECBは流動性を吸収している。先月末にLTRO(長期リファイナンスオペ)の1年物・6カ月物(総額2250億ユーロ)の満期を迎え、1334億ユーロのロールオーバーとなった。超過流動性(Excess Liquidity)は1078億ユーロから278億ユーロまで一気に減少した。以下は超過流動性の推移(出所:ECB)。


Excess Liquidity


このことからECBはオペでロールオーバーしなかった分を市中から吸収している。また、ECBではソブリン危機に伴いユーロ圏の銀行の流動性不安から国債の買い入れを行っており、カバードボンドの購入額も増額の一途をたどった。しかし8月に入ってから買いが止まり、保有残高が漸減している。おそらくは償還分だけ減っている(=吸収している)ということになるのだろう。以下のグラフはカバードボンド保有額(出所:ECB)。


Covered Bond Purchase


このため主にユーロ圏のソブリンリスクを抱えていない国の銀行は市場から資金を調達することになる。このことから、直近のEONIA(ユーロ圏オーバーナイトインデックス平均金利)は10月22日時点で0.849%まで上昇している。7月5日のエントリ「直近のユーロ圏の金利上昇~ECBが拘る出口戦略」でシティのレポートの一部を引用したが、その通りの展開となっている。その時のEONIAは0.33%程度であったため、そこからすでに50bpも上昇している。いわば超過流動性の吸収を通じて50bpの利上げに相当するような展開となってきている。以下はEONIAの推移(出所:EURIBOR)。


EONIA


このことから市場金利は政策金利である1%に接近している。さらにターム物金利についてはEURIBORの3カ月物金利はすでに1%を超えている。以下はEURIBORの推移(出所:EURIBOR)。


EURIBOR


このことから米国がQE2という形で長めの金利を押し下げようとしている一方で欧州では50bpの利上げに相当するだけの資金を吸収している。従ってその分欧米の金利差は拡大していることになる。それではここから欧州の金利が上昇するか?ということになるのだが、市場ではかなり限定的な見方をしているようだ。以下はEONIA SWAPの各期限のカーブ。


EONIA SWAP


ここで注目なのは1週間物と1年物のスプレッドがどのようになっているか?というところであるが、9月30日の時点では32.4bpであったのが10月25日時点では16.9bpになってきている。現在も期間が長いものほど金利は高くなっているが、そのカーブは平坦化してきているような感じである。この理由としては、(1)政策金利である1%に接近してきている、(2)当面(少なくとも1年程度)の利上げは織り込まれていないということになる。つまり、緩和時は超過流動性が多く市中金利は政策金利を大きく下回る状態が常態化したが、ここにきて市中金利が政策金利のレベルにまで上昇してきたということがいえる。ここからさらに金利が高くなるということは、利上げか流動性不足ということになる。しかし、流動性不足については少し考えておかなければいけないだろう。その可能性が最もあるのは12月23日であり、11月11日ということになる。以下はオペの満期一覧(出所:ECB)。


Operation


特に12月23日には1100億ユーロ相当のオペ期限を迎える。この時期はクリスマスや年越ということもあり、資金需要が最も高まる時期となる。従ってここから2カ月で欧州の銀行は年越しの資金手当をしなければならず、ユーロ圏の市中の金利上昇のバイアスが掛かりやすくなる。この時に向かってターム物金利の動向は今のうちから気にかけておいたほうがよいものと思われる。おそらくこの時期を控えてECBもそれなりに流動性を厚くする可能性もあるし、10月末のLTROの3カ月物オペで欧州の銀行はどれだけ資金を取るかというところもみておきたいところである。但し、同時に欧州の銀行は年末に向けてドル資金の手当ても行うことになる。昨年はドバイショックがきっかけとなりドル高に進行したが、個人的には今年はどの時期からドル資金を手当するのかというところも関心がある。おそらくはFOMCの結果ドル金利の水準が固まってから手当を開始するのではないかとみているが、どうなるか。


追記:スウェーデンの中央銀行にあたるリクスバンクが25bp金利を引き上げ政策金利を1%とした。これによりスウェーデンの金利は欧州の銀行間金利の水準に並んできている、と捉えることも出来る。


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カテゴリ: 市場視点

タグ: ユーロ  ECB  金利  外為 
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日銀の政策変更による為替市場の影響~円キャリートレードの可能性 

10月5日に決められた日銀の政策変更についてマーケットに及ぼす影響を外為市場で考えてみたい(あくまで中期的な話であり、マーケットトークです)。


■日銀会合で決められたこと


10月5日の日銀会合では、以下のような決定がなされた。


・政策金利である無担保コールO/Nレートを0-0.1%に誘導。但し、補完当座預金の付利は0.1%に据え置かれているので、実際に金利がゼロになることはないものとみられる。
・時間軸政策の強化。ゼロ金利解除の条件は実質的に物価上昇率が1%程度になるまでとなる。
・包括緩和…35兆円の基金を設け、そのうち30兆円は固定金利オペ。長期国債・国庫短期証券は3.5兆円、CP・ABCP・社債は1兆円、REIT・TOPIX連動ETFを5000億円(但し日銀法43条により財務大臣及び内閣総理大臣の認可が必要)。
・長めの市場金利低下(量的緩和)と各種リスクプレミアムの縮小(信用緩和)を促していく。


特に外為市場においては「包括緩和」というよりも時間軸政策の効果が波及していくものと思われる。


■日米の時間軸政策比較


外国為替市場は2国間の金融政策の影響を受けやすいとみられる。現状Fedの政策金利は0-0.25%、日銀の政策金利は0-0.1%となっており、市場金利にはほぼ差がないものとみられる。現状はFedの緩和政策への期待感が強く、ドルが全面的に売られていく中で円も買われているという認識である。しかし、今回の時間軸政策の強化により、円資金のファンディングの方がドル資金に比べ優位性が高まってきている。それは二国間の時間軸政策の違いによる。


・Fed:PCEコアデフレータの長期見通しである年率1.7-2%に達しない限り緩和を続ける。
・日銀:CPIコアが年率1%に達するまで緩和を続ける。



FedはFOMC声明文内でメンバーによるコアPCEデフレータの長期見通しから大きく離れていることが懸念事項であり、時間軸政策の効果となりうる。以下の図はPCEコアデフレータの推移(青枠はFOMCメンバーによる長期見通し/出所:米商務省)。


PCE Deflator


このPCEコアデフレータが1.7-2.0%に到達するまでの距離は仮に米国がデフレに移行するとしてもそれほど高いハードルではない。今後国際商品市況などの動向によりアップサイドリスクも存在しうる。一方で日銀の設定した時間軸は年率1.0%であり、現状のCPIコアは年率-1.0%であるから、デフレから脱却して安定的なインフレ傾向にならない限り緩和政策の解除は行われない。時間軸政策のハードルは明らかに日銀の方が高い


■キャリートレードのファンディング通貨としての円の妙味


現状、世界的に見れば利上げサイクルである。しかし、米国や日本、さらには英国のような先進国では景気の回復の緩慢さや(英国は異なるが)ディスインフレ的な傾向から利上げまでの距離がかなりある。このような金利上昇ペースに大きな隔たりがある時は、低金利かつ政策変更のない国の通貨をファンディングして高金利通貨やパフォーマンスが見込まれるアセットに投資を行う、キャリートレードの好機であるといえる。現状においてはFedの緩和的な政策によってドルがその役割を担ってきた。しかし、見逃せないのは日銀の時間軸政策の強化により、日本の金利の先高観が一層後退してきていることである。日銀の4月時点の展望リポートによる2012年の物価上昇率は-0.1%-+0.2%であり、この段階でも利上げから相当距離がある。つまり、今後2年は円金利は上昇しないということがある意味で確約されているともいえる。半面Fedについては2年後に利上げが行われないという確約は存在しない。2年以上のアセット保有に関しては円資金でファンディングを行った方が金利リスクは少ないものとみられる。


また外的ショックなどによるCPI上昇の金利市場への影響は日本以上に米国の方が脆弱である。コアPCEデフレータがFedのマンデートに達するレベルを遥かに超えてしまうリスクも存在し、Fedによる緩和解除期待を醸成しやすい。一方で円高が進行し、投入価格が最終製品の価格に転嫁しづらい日本ではCPIがアップサイドに大きく振れるリスクは米国ほど大きくなく、低金利が維持されやすい。


この点から円が世界の金利上昇局面においてキャリーのファンディング通貨しての役割を果たす環境は整ってきたといえる。


■キャリーの条件


キャリートレードが行われる条件は、


・金利のボラティリティが上昇しないこと(調達金利で負けないこと)
・通貨ペアのボラティリティがアセットの期待リターンを越えないこと(為替変動で負けないこと)



である。金利のボラティリティに関しては前述の通り、円の方が他のファンディング通貨に比べ長期間低く固定されるものとみられる。一方で通貨ペアのボラティリティに関してはリーマンショック以降低下し続けているものの、2004-2006年の円キャリートレードが行われた時期に比べると依然として高い。以下の図はドル円とヒストリカルボラティリティ(3カ月)の推移である。


USDJPY HV


外国銀行在日支店のコールマネー/負債とドル円のヒストリカルボラティリティ(3カ月・出所:日銀)


Call Money


外国銀行在日支店のコールマネー/負債とは、日本のコール市場で調達した円資金の負債部分であり、その資産に関しては様々なアセットが組み込まれている。分かりやすく言えばコール市場から調達してそのうちの一部が何らかのアセットに投資されていたということになる。これがキャリートレードの原資の一部である。この外国銀行在日支店のコールマネー/負債に関しては2005年から増加し始め、ドル円のボラティリティが低下していく中で最終的に13兆5千億円積み上がった。コール資金の手仕舞いこそが円キャリートレードの巻き戻しであり、パリバショック以降金融危機の間円高に進行させた原動力であった。それから3年くらいが経過し、ドル円のボラティリティは順調に低下している。そして現状は10.6%程度でありキャリーが行われ始めた時のボラティリティに接近している。なお、ここから先、キャリートレードが行われるための条件は、


1)金融市場が安定しており、ボラティリティの反転上昇局面が見込めないこと
2)Fedサイドがインフレ目標を引き上げ、無理な数値を設定すること



である。2)については政策のビハインドザカーブが大きく問題視されるのでまず懸念されることはない。むしろこのまま金融市場が金融危機的なレベルに戻らず、リスク選好を強めていく段階では、キャリートレードも活発になるものと思われ、その際ファンディング通貨としての円の存在にスポットライトがあたるのではないかと思われる。そして今後外国銀行在日支店のコールマネー/負債残高が増加するのであればキャリートレードによる円安という方向性もみえてくるのではないかと思われる。


【追記】少し指摘を頂いたので。

円キャリーの具体的なイメージ


円調達でドル買いを行う(金利差はないのでやっても意味が無い)というよりも円調達・新興国通貨・コモディティ・新興国などのアセットで運用とのイメージ。円安の波及経路はクロス円ではないかと思われる。実際8月末の前回の日銀の金融緩和以降名目実効レート(円インデックス)は徐々に円安に進行している(実際には9月介入時に急落している)。以下の図は円インデックス(出所:日銀)


YenIndex


但し、円から様々な通貨に投資をする場合、多くはドル円経由となるのでドル円相場は円キャリーの考察において非常に重要となる。さらにアジア通貨の場合はペッグしていることが多い。従って二国間の金融政策やドル円のボラティリティの論議は重要となる。なお、クロス円で円安となれば需給面でドル円にも波及しやすくなる。


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