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2011年のマーケットを考える(4)~バイロン・ウィーンの2011年「20大」びっくり予想 

バイロン・ウィーン氏といえば、モルガン・スタンレーのストラテジストだった1986年から10大びっくり予想(Ten of Surprise)を発表しており、市場関係者の間では新年の風物詩となっている。2009年にブラックストーンに移籍してからも予想は続けている。普段は半数くらい的中するのだが、昨年はゼロというまさかのトラックレコードをたたき出した。昨年の予想は以下の通りである。


1.米国の実質成長率は大方が予想する5%を超え、失業率は9%を下回る。
2.FRBはゼロ金利政策を解除し、FF金利は年末までに2%まで上昇。
3.米国債の発行過多と海外中央銀行による買い意欲後退により長期金利は5.5%を上回る。
4.S&P500は年前半に1,300まで上昇した後、1,000に下落し、09年末(1115)程度の水準で取引を終える。
5.ドルが対円で100円、対ユーロで1.30ドルに上昇。
6.円安を追い風に先進国で日本株が最も上昇し、日経平均は12,000円超える。
7.オバマ大統領が原子力開発促進の法案を承認する。
8.米国の景気回復を受けてオバマ人気が回復し、11月の議会選挙で民主党の議席減は予想より小さい20議席減にとどまる。
9.金融規制法案がより金融業よりに修正され、金融株が急騰。
10.イランの社会不安が深刻化、アハマディネジャド大統領が失脚。



全て外して再起を期すという意味であろうか、2011年は20大びっくり予想を発表した。以下The Street "Byron Wien Announces The Ten Surprises For 2011"より引用(そのうちブラックストーンのサイトからリリースされるものと思われる)。生起確率はあくまでも私自身の独断と偏見。


(1)米国経済は消費を中心に力強い成長となり、GDPは5%近くに上昇、失業率は9%以下。

The continuation of the Bush tax cuts coupled with the extension of unemployment benefits has put all working Americans in a better mood. Real Gross Domestic Product rises close to 5% in 2011 driven by improved trade and capital spending in addition to stronger retail sales. Unemployment drops below 9%.

ブッシュ減税と失業保険給付延長の継続により、貿易の改善と強い個人消費の支えられ資本消費がドライバーとなり、2011年のGDPは5%近くに上昇する。失業率は9%を下回る。



そもそも失業保険給付延長が雇用のミスマッチの要因として捉えられている(失業保険を受けている間は働こうとしないから)ため、この政策そのものが失業率を押し上げているとの指摘があるわけで、ちょっと???という印象も拭いきれない。GDP5%成長というのはかなり厳しいハードルのようにも見えるのだが。


生起確率:10%以下


(2)財政悪化で債券市場が圧迫、長期金利は5%へ

The prospect of increasing Federal budget deficits and rising government debt finally begins to weigh on the bond market. The yield on the 10-year U.S. Treasury approaches 5% as foreign investors become more demanding. Spreads with corporate fixed income securities narrow.

連邦政府の財政赤字の増加と公的債務の上昇見通しにより、債券市場が圧迫される。10年債利回りは、外国人投資家のより厳しい姿勢から、5%に届くであろう。社債のスプレッドは狭まる。



ベンチマーク金利が上昇してクレジットスプレッドがタイト化すると。資金循環的なものから考えると、普通はイールドカーブがブルフラット化してクレジットスプレッドがナローになるといわれる。つまり資金循環的なところからみれば、資金需要が乏しいので金融機関等の国債選好が強くなることからベンチマークの金利が下がる。また、資金需要もないので貸出が減少しクレジットスプレッドを低下させざるを得ない、ということになる。但し、ソブリンリスクのようにソブリンの信用力が民間企業よりも落ちてしまった場合は例外的に起こりうることもあろう。但し、そのシナリオが現実のものとなれば、それはスタグフレーションである。


生起確率:15%


(3)S&P500は過去最高値圏の1,500ポイントへ

Encouraged by renewed economic momentum the Standard & Poor’s 500 rises close to its old high of 1500. A broad range of sectors participate, but telecommunications and utilities lag. With earnings improving, valuations seem low and individual investors return to equities for the first time since the financial crisis. Merger and acquisition activity becomes intense and the market reaches a blow-off euphoria. Stocks correct in the second half as interest rates rise.

景気拡大のモメンタムに支援され、S&P500は過去最高値圏の1,500に接近する。幅広い銘柄が買われるが、通信と公益株はラグがある。利益の改善により、金融危機以降はじめて個人投資家が株式投資に戻ってくる。M&Aが活発化し、マーケットはユーフォリア状態に到達する。株式市場は金利上昇により年後半に調整する。



1月4日のエントリ、「2011年のマーケットを考える(3)~2011年に株式が買われる条件」に満たせばそういうシナリオもないわけではないが、ユーフォリアになるほどの経済状況ではあるまい。


生起確率:15%


(4)金価格は1,600ドルへ

Although inflation remains benign, the price of gold rises above $1600 as investors across the world place more of their assets in something they consider “real.” Sovereign wealth funds of countries with significant dollar reserves also become big buyers. Hedge funds keep thinking the price rise is becoming parabolic and sell their positions and some even short the metal but gold keeps climbing and they scramble back in.

インフレは落ち着いているものの、金価格は投資家の実物資産の需要に乗って1600ドルに達するだろう。ドルを外準として持っているソブリンウェルズファンド(SWF)が大きな買い手となる。ヘッジファンドは金価格が放物線状に上昇しており、金のポジションを売って、他の金属もショートしたいと考えているが、金は更に這い上がる動きを見せる。




貴金属は中央銀行がB/Sを膨張させている限り思惑買いを集めるのだろう。QE3となれば生起確率は大幅に上昇する。


生起確率:50-75%


(5)積極的な人民元改革

Worried about inflation and excessive growth, the Chinese decide to use their currency as a policy tool. They manage the value of the renminbi aggressively to keep the growth of the economy below 10% and to prevent consumer prices from increasing above the 4%--5% range. The move is viewed as a precursor to the world-wide adoption of a basket including the renminbi as an alternative to the use of the dollar as the principal reserve currency.

インフレと過剰な成長を心配して、中国は政策ツールとして自らの通貨を使うことを決めるだろう。中国はRMBの価格をアグレッシブに操作し、GDPを10%以下、CPIを4-5%のレンジに抑えようとしている。この操作は世界中で主要準備通貨としてのドルの代わりにRMBを含む通貨バスケットに適用させる兆しであるとみている。



前者は早めにやらないとビハインド・ザ・カーブとなるため、中国としても取り組まないといけないと思われるが、後者はどうなのか。ドルは少なくとも2011年において準備通貨としての現在の立ち位置をキープし続けるだろう。

生起確率:前者50-60%、後者10%以下


(6)農産物価格の高騰

Rising standards of living in the developing world seriously increase the demand for agricultural commodities. The price of corn rises to $8.00, wheat to $10.00 and soybeans to $16.00. Commodities become a component of more institutional portfolios.

新興国の生活水準の向上により、農産物の需要が深刻なくらいに高まる。1ブッシェルあたり、とうもろこしは8ドルに、小麦は10ドルに、大豆は16ドルに上昇。商品はより多くの機関投資家にとって、ポートフォリオを構成するようになる。



昨年はロシアの熱波により小麦が急騰したが、背景には新興国需要の高まりがある。年初からオーストラリアで大規模な洪水が起こっており、それにより農産物価格がどのように推移していくか、早速注目していく必要があろう。


生起確率:65%


(7)住宅市場の回復

The housing situation improves. Although the inventory of unsold homes remains high, the oversupply is drawn down substantially, contrasting with an increase in 2010. The Case-Shiller gradually heads higher and housing starts exceed 600,000.

住宅の状況は改善する。売れない住宅在庫は高いものの、2010年の増加とは対比的に過剰供給は大幅に低下していくだろう。ケース・シラー指数は徐々に上昇し、住宅着工は60万件を超えるだろう。



住宅市場がボトムを打つ年が2011年というのは、可能性その物は高いのだろうが、住宅価格が上昇していくとしても2010年の住宅減税打ち切り前の水準まで回復できるかどうかも微妙なところで、緩慢な回復でしかないのだろう。


生起確率:40%


(8)原油価格は115ドルへ

Continuing demand from the developing world and a failure to bring onstream new supply causes the price of oil to rise to $115 per barrel. The higher price at the pump fails to discourage driving, increase sales of hybrid vehicles or cause Congress to initiate conservation measures.
新興国需要の継続や、供給源が不足することから、原油価格は115ドルに上昇する。高い原油価格であっても(自動車の運転を減らすことには失敗するが、ハイブリッド車の販売が増加し、議会に省エネ対策を促すものとなろう。



原油価格が115ドルというのは相場が過熱すれば示現するレベルなのかもしれないが、もしそうなれば世界経済、とりわけ先進国経済が持たない。


生起確率:30%


(9)アフガニスタンからの米軍撤退

Frustrated by the lack of progress against the Taliban and the corruption of the Karzai government, President Obama concludes that whenever American troops return home, Afghanistan will once again become a tribal state ruled by warlords. He accelerates the withdrawal of most military personnel to the end of 2011. Coupled with the pullout of forces in Iraq, this will leave the Middle East without a major Western presence in the face of rising fears of terrorism.

アフガニスタンではタリバン対策が遅れ、カルザイ政権の腐敗によるフラストレーションから、オバマ大統領は米軍の帰還を決断する。アフガニスタンは再度、軍閥支配の部族国家となる。オバマ大統領は撤退を2011年の終わりに多くの軍人の帰還を加速させる。テロリズムの脅威が高まる中で、イラクからの撤退も合わさって中東における西側のプレゼンスを低下させることになる。



アフガニスタン情勢は泥沼になっている。撤退となれば同国の治安は崩壊し、中東情勢やテロリズムの動向は混沌としたものとなろう。従ってオバマ政権も引くに引けないのではないかと思われる。


生起確率:20%


(10)独主導の欧州財政改革

Under duress Angela Merkel leads the way in European financial reform. The weaker countries, having pledged to cut their budget deficits in half by 2014, are provided additional transitional aid by the European Union (with Germany’s backing) and the International Monetary Fund as long as they implement their austerity programs, increase some taxes and still show modest growth. The European financial crisis becomes less of a concern. The policies put in place prove psychologically satisfying to the financial markets but harmful in the longer term because they are palliative and do not represent solutions.

メルケル独首相が無理やり欧州の財政改革を進める。2014年までに財政赤字を半分にカットしなければならないことを約束した上で、EUやIMFからから追加支援を受けるであろうそれらの(財政基盤の)弱い国々は、増税や緩慢な成長に留まる。



メルケル首相は今年の金融市場の台風の目である。景気に配慮せず、緊縮財政論を繰り広げた結果、周縁国の景気悪化が際立つようであれば、ドイツにもその影響が波及してくることになる(ドイツの輸出先は半分程度がEU域内)。また、ドイツの単独行動は金融市場でも痛いトラウマがある。"Remember 1987".


生起確率:70%


以降はさらに追加された10のびっくり予想。


(11)パキスタンと北朝鮮の問題が深刻化

While Afghanistan and Iraq cool down as trouble spots, Pakistan and North Korea flare up. The former continues to be a troublesome breeding ground for terrorists and the latter initiates further hostile attacks on South Korea. China does not become involved in a major way and the international community seems helpless.

アフガニスタンやイラクの問題は沈静化するが、パキスタンと北朝鮮の問題は激化する。前者はテロリストの温床となってしまい、後者はさらなる敵対的攻撃を開始するだろう。中国はそのような問題に関与しなくなり、国際社会は無力化する。



パキスタン情勢も気になるが、北朝鮮の問題は世界で最も拡大している経済圏である東アジアの脅威である。しかし、北朝鮮の内部体制が磐石かといえばそうではなく、権力移譲を進めている中で内部抗争が起こる可能性もある。そのため、北朝鮮の瀬戸際外交に目が向いがちであるが、内政の動向も見定めておく必要があろう。


生起確率:50%


(12)イランの柔軟化

The broad international sanctions on Iran finally begin to work. Mahmoud Ahmadinejad enters into negotiations to scale back the country’s nuclear weapons development program in exchange for financial aid and foreign investment. Pressure from the country’s youth to provide more economic opportunity is the key factor in the change in policy. Talk about bombing by Israel or the U.S. subsides

イランの国際的な制裁がワークし始める。アハマディネジャド大統領は核兵器開発計画を縮小する代わりに金融支援や海外投資を見返りとした交渉に入る。国内の若者により経済的な機会を与えるプレッシャーは政治変化の鍵となる要素である。イスラエルや米国の爆撃に関するトークはおさまる。



是非そうなってほしいものだが。


生起確率:30%


(13)米ドル選好、欧州はソブリンリスクの沈静化、日本はリセッション回避

Rising interest rates and a strong economy allow the dollar to strengthen against the euro and the yen. Although the European financial crisis abates as austerity programs and higher taxes are put in place and Japan avoids falling back into recession, America becomes the developed market of choice for global investors.

金利の上昇や強い経済によりユーロや円に対してドルが強含む。緊縮財政や増税によって欧州の金融危機が治まり、日本経済はリセッションを回避する。米国はグローバル投資家にとって投資先として選好される。



欧州の危機が収まるかどうかについては、如何にして伝播(Contagion)を食い止めるかというところとなるが、それにはソブリンの信任を上昇させるしかあるまい。日本経済がリセッションを回避するには、1-3月の個人消費がエコポイント減税の反動によって大きく落ち込まないことが条件となるのだろう。このあたりは五分五分だが、正月の初売りは百貨店などで好調だったという話などを聞くと、回避できそうなのかな?と漠然と思ってみたりする。但し、米国については、短期金利の上昇を導く程の強い経済かどうか、ということについては、個人的に楽観的ではないかと思われる。


生起確率:30%


(14)サラ・ペイリンvsオバマ

Sarah Palin announces she will seek the Republican nomination for President amidst the cheers of Tea Party supporters. More moderate Republicans fear her candidacy will diminish the chances of their party winning in 2012 and try to blunt her efforts. Rick Perry, governor of Texas becomes a contender. Mike Bloomberg is mentioned. On the Democratic side, liberals feel Obama has betrayed them and desperately try to find a challenger. With the economy improving the prospect of a second term for Obama becomes more likely.

サラ・ペイリン氏が、保守派のティーパーティーの支持を受け、大統領選の共和党候補の使命獲得を目指すと表明する。より穏健な共和党員は彼女の立候補が2012年の大統領選挙において共和党候補の当選の可能性を減少させるのではないかと恐れている。共和党においてはテキサス州ペリー知事が対抗馬となるだろう。マイケル・ブルームバーグ前NY市長も候補だ。一方民主党では、リベラル派がオバマ大統領が自分たちを裏切ったと感じており、必死となって候補者を探すであろう。経済の改善によってオバマ大統領が2期目に入る可能性が最も高い。




皿対オバマとな。


生起確率:???


(15)ロシアの外資規制緩和

The Russian government decides it is the laggard of the emerging markets and steps up its efforts to become more investor friendly. The Kremlin agrees to further nuclear weapons reduction and provides assurance to companies willing to invest there that the rule of law will prevail. The Russian equity market soars.

ロシア政府は同国が新興国市場で出遅れており、投資家に対してよりフレンドリーになる努力を行うことを決断する。クレムリンはさらなる核兵器の削減に同意し、同国に投資したい企業にとって法の支配の保証をする。



ロシアについては中国、インド、ブラジルに対して出遅れていることは確かであり、それゆえ、外国企業に対してフレンドリーになり、政治的な関与を無くしていく努力を行って投資を呼び込むことを目論むのは説得力がある。但し、国営企業の解体など大胆な政策に打って出るだけの覚悟が試されるため、思い切りは必要かとは思われる。


生起確率:30%


(16)マリファナ合法化

Laws related to marijuana usage are liberalized in more states. Recognizing that the drug may not be addictive, the public’s attitudes have evolved over the last thirty years, and this, along with a desire to alleviate the over-crowding of jails, causes state legislatures to take a more liberal position. Drug abuse groups are outraged.

より多くの州でマリファナ使用に関する法律が緩和される。薬物が中毒を引き起こさないことが認識されたことで、国民の(薬物に対する)敵対的な態度が過去30年で変わったことや、さらに刑務所の混雑状態を解消したいという願望が一緒になって、州議会はよりリベラルな立場を取るだろう。薬物乱用グループが憤慨するだろう。



この論議は留保。いろいろな意見もあろう。


生起確率:???


(17)深刻な地方の財政問題

Infrastructure problems in the United State become serious. New York subways are inoperative for days as a result of an electrical problem in the signal system. Gridlock snarls Los Angeles freeways, and to encourage cooperative commuting, high-occupancy vehicles are required to carry three or more people. State and local governments complain they lack the funds to deal with the problems and Washington refuses to help.

米国ではインフラの問題が深刻となる。NY地下鉄では電気的な問題で信号システムが故障し、数日間に渡って運行が止まる。ロサンゼルスのフリーウェイの交通渋滞がひどくなり、乗合などが奨励される。各州や地方政府は文句を言うが、ワシントンも資金不足で対応できない。



ビルドアメリカ債がいよいよ2010年末で打ち切られ、地方政府の利払い負担の増大などから地方レベルで緊縮財政が本格化する。NYの地下鉄の例はやや誇張だとしても、地方のインフラの劣化により修理もままならず、市民生活の支障となる可能性はそれなりにあるのではないかと思われる。


生起確率:70%


(18)地方債市場の混乱

A major state fails to pay interest on a municipal bond issue because of a lack of funds, causing havoc in the municipal bond market.

主要な州で資金不足により地方債の利払い不能に陥り、地方債市場が大混乱となる。



州政府がデフォルトする、という話は無いわけではない。Business Insiderでは、今年はPIIGSを忘れてCINNを注視する時期だとしている(Forget The PIIGS, It Is Time To Start Watching The CINN Group)。CINNとは(California、Illinois、New York、New Jersey)のことを指す。このCINNのCDSスプレッドは270bp程度であり、現状はPIIGS諸国よりも低い位置にあるが、欧州のソブリン問題が米国の州政府に伝播(Contagion)すれば、これらのCDSスプレッドが急激にワイドニングする可能性も否定出来ない。以下のグラフはCINNのCDSスプレッド推移(出所:Business Insider)。


Credit Defaults Swaps CINN vs PIGS


従って、今年の金融市場の爆弾は欧州のソブリンリスクに米国の州政府などの地方債問題も加わるくのだろう。今後この問題の進展から目が離せないものとなっていくだろう。但し、2011年内に主要な州で地方債の利払い不能に陥るかどうかは定かではない。


生起確率:20%、但し地方債市場の混乱そのものについては高い確率。


(19)911テロから10年

In spite of fears of tenth anniversary terrorist attacks, 9/11/11 becomes a peaceful non-event because of excellent intelligence and surveillance.

911テロから10周年の脅威があるにもかかわらず、2011年9月11日は諜報活動や監視などにより平和裏に終わる。



そうなってほしいものである。生起確率は期待込みで100%。


(20)気候変動問題への関心が薄くなり、寒冷な気候から天然ガス価格の高騰

While climate change activists remain shrill, the issue recedes in importance in the United States. Cold weather prevails during the winter and the summer heat is not oppressive. Support increases for a broader use of natural gas by utilities and public transportation and its price rises to $6.00 per mcf. In Europe and Asia however, environmental initiatives continue to move ahead.

活動家の鋭い運動は続くが、気候変動は米国において主要な問題ではなくなる。冬は寒いが、夏はそれほど暑くない。天然ガスの利用が高まることから、天然ガスの価格は6ドルに上昇する。しかし、欧州やアジアにおいては、環境問題への取組は前進する。



米国は温暖化というよりも寒冷化の方が話題になっており、昨年1月及び12月の北東部の大雪は深刻な影響を及ぼしているようだ。そのようなことからヒーティングオイルや天然ガス相場が上昇するということもあるのだろう。


生起確率:50%



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カテゴリ: 市場視点

タグ: 2011年のマーケットを考える    マーケット  株式  債券  外為  商品  マクロ  米地方債問題 
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2011年のマーケットを考える(3)~2011年に株式が買われる条件 

2011年のマーケットを考える(2)」の補足。株式が買われる条件とは、企業のキャッシュフロー創出力が拡大することであるが、2010年はそれを評価して上昇してきた相場だったように思える。そして、2011年にここからさらに株価が上昇するには、さらなる企業のキャッシュフロー創出力向上のストーリーが必要で、そのためには現状企業が有している膨大なネットキャッシュが積極的に再投資(M&Aでもよい)に回っていくことが条件ではないかと考える。


・先行き需要拡大が見込めるならネットキャッシュが再投資に向かい、キャッシュフロー拡大ストーリーが描ける→株価上昇

・先行き需要拡大が見込みにくいのであれば流動性資産に回るから企業のキャッシュフロー拡大ストーリーは描き難い→利益水準が一定なら横ばい、もしくはこれまでの相場が期待込みなら売られる



以下のグラフはS&P500と民間固定投資(Fixed Private Investment)の推移(出所:StLouisFed)


FPI and SP500 20110104.

(YoY)


FPI vs SP500 YOY 20110104.


株価が上昇(下落)する時と投資が増加(減少)する時には当然のことながらラグ(おおよそ2Qくらい)がある。



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タグ: 2011年のマーケットを考える  マーケット  株式 
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2011年のマーケットを考える(2)~マーケット環境  

「2011年のマーケットを考える(1)」の続きで、2011年の相場環境についてこのようにみている。


■債券・金利(米国債中心に)


2011年の投資環境は、基本的に先進国の高格付けソブリン債券については良好な地合が継続するものとみられる。資金循環上、債券が買われる2つの重大な要件とは、貯蓄率の上昇と民間資金需要の低下だと考えている。それは金融機関が国債のポートを増加させるための条件であり、債券市場の需給の基盤となる。日本では10年以上JGBが高止まりしているが、需給を支えているのは預貸ギャップの拡大である。また、企業にキャッシュが多く、投資機会があまり多くない状況においても、資金循環上の性格から国債に資金流入が起きる。


米国において、家計部門からすれば貯蓄率は5-6%台で推移している。景気が改善したことから趨勢的には低下するものと見られるが、信用バブルの極みであった2005年の1%割れといった状況からすれば程遠く、預金選好は相変わらず強いことが示されている。依然として失業率が高く、それゆえ消費者信頼感の回復は鈍く、不安定な状況が続く中で貯蓄率が著しく低下することは見込みにくい。また、企業部門においては、企業のネットキャッシュフローは2010年第2四半期に1兆5784億ドルにまで拡大しており、企業収益の回復から過去最高レベルにまで達している。しかし、景気回復が緩慢であり、先行きの需要が不透明な状況ではこれを再投資に回す動きは限定的である。従って、企業の固定資産投資の回復は緩慢な状況となっており、2008年のリセッション前に比べ、7-8割の水準に留まっている。今後こういったキャッシュフローはM&Aなどの投資資金に回っていく可能性もあるが、同時にキャッシュ留保の蓄積も進行していくので、流動性の観点から企業部門においても預金や債券投資を増加させていくものと思われる。


・米国貯蓄率の推移(YoY/出所:米商務省)


PSAVERT_20101230.png


・米国企業のネットキャッシュフローの推移(出所:米商務省)


CNCF 20101230


金融機関においては貸出が低下したままとなっている。この背景は、高いネットキャッシュフローを背景に企業による資金調達ニーズが低下していることや、特に家計部門において信用状況が依然としてタイトなままであり、貸出側もクレジットリスクを回避させる動きとなっていることが要因であろう。貯蓄率が増加していることを考慮するとアセットサイドの国債保有の機会は一層高まっている。このことから、米国においても企業部門及び金融機関が国債選好の動きとなっており、債券市場の需給は引き続き良好な状況が続く。また、対米証券投資において米国債の最大の買い手である中国がそのエクスポージャーを見直すことも想定されるが、上記のような状況から国内消化の傾向を強めていく可能性がある。


・商業銀行のローン残高の推移(YoY/ 出所:Fed)


LOANS 20101230


一方で、Fedのコミュニケーション戦略、特に時間軸政策は債券市場のボラティリティを高くさせている。QE2への方向性が決められたジャクソンホールにおけるバーナンキ議長講演から債券市場は大きく買われることとなったが、11月に資産買い入れを決定して以降、時間軸政策に対する姿勢が不明瞭であったことから逆に大きく売られることとなった。このためFedのコミュニケーション戦略には注意を払う必要がある。また、市場におけるインフレ期待はFedコミュニケーション戦略とディスインフレ及びデフレ懸念が対立することから、比較的振幅が強い状況となろう。


■株式


2011年の株式市場は、主要国の中央銀行が金融緩和姿勢を継続していくことから過剰流動性への期待によってリスク選好を強める展開と、先進国経済の一時的なdip懸念、ソブリン問題から発展する欧州の金融不安、新興国、特に中国の引き締め政策の強化による景気腰折れ懸念などからリスク選好を弱める展開が交互に繰り返される展開となろう。従って、2011年においても大きなトレンドが発生するような展開ではなく、ボックス相場の様相となるものと思われる。2010年はボラティリティが低下したが、2011年は逆に高まる可能性も考慮する必要が生じよう。ボラティリティが拡大する場合、特に注視すべきは欧州の金融不安及び当局の対応に対する信頼感の低下に起因する局面である。1987年のブラックマンデーは西ドイツのブンデスバンクが協調行動を取らず金融引き締めに舵を切ったことから投資家の不安心理が高まった。


・VIX指数の推移(出所:CBOE)


VIX 20101230


■外為


2011年のドル相場については、Fedの金融緩和政策の期待でリスク選好時に売られやすくなる。また、中国が人民元改革を促進させていくことから、ドルペッグの段階的な解消によるドル売り圧力も掛かりやすくなるだろう。一方で欧州域内においてスペインなどのリファイナンスが2011年も高水準に続くため、ドル需給がタイトになる時間帯も想定される。ユーロについてはソブリンリスクが継続、2010年序盤からポルトガルに対する救済の思惑が浮上していくことになろう。その後スペインにも波及する可能性を考慮すると積極的に買われる地合にはなりにくい。ユーロについてはショートポジションが膨大になることがあるため、リスク選好を強めるときにはリリーフラリーが起きることもあるが、基本的にダウントレンドが継続しているとみるべきである。


円については、中国の人民元改革による通貨バスケットへの組み入れ比率上昇などといった通貨政策や、対日投資を促進させていくことなど中国の外準政策への思惑が働きやすいこと、さらに2011年も高水準の経常黒字を維持していくことなどを踏まえ、相対的に強含みの展開となっていくだろう。但し、買われすぎの状態となれば大規模な円売り介入のリスクもある。スイスフランはソブリンリスクにより、ユーロ圏のアセットを巻き戻す圧力からキャピタルフライトとして買い戻されることが想定される。また、周辺国に対して金融政策や財政が安定的に推移していくことも買い要因となるだろう。


2010年のエントリはこれで終わります。読者の皆様におかれましては、今年もご愛顧ありがとうございました。2011年も皆様に取りまして多幸な一年でありますよう祈念致します。


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タグ: マーケット  金利  債券  外為  株式  ユーロ  ドル  2011年のマーケットを考える 
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FOMC Preview~緩和政策維持へ 

12月14日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、11月に決められた追加量的緩和政策(QE2)を維持していくものとみられる。すなわち、


・6000億ドル規模の長期国債の買い入れの実施
・月あたり750億ドルのペースで買い入れる
・買い入れ期間は2011年第2四半期末まで
・定期的に証券の買い入れペースや全体の資産買入プログラムの全体の規模について、経済指標などを照合しながら見直しを行い、調節する
・声明文に現在は「デュアル・マンデートにかなうよりも低いインフレ率」を強調することで暗にインフレターゲット的な政策を意識している


このようなことが決められている。この大枠についての変更は行われないものと思われる。FOMCで投票権を有するセントルイス連銀ブラード総裁によれば、前回の会合決定の要因を以下のように説明している(The U.S. Economic Situation and Recent Monetary Policy Developments参照)。


My view of the FOMC decision
I will give a five-part description of this decision:
1)There has been a disinflationary trend in 2010.
2)Japanese experience indicates that a near-zero nominal interest rate, mildly deflationary equilibrium exists and is difficult to escape.
3)Monetary policy should be directed to avoiding this outcome, but U.S. short-term interest rates are already approximately zero.
4)Asset purchases can substitute for ordinary monetary policy, and have had conventional financial market effects.
5)Maximum effects on the real economy take 6 to 12 months and can be difficult to disentangle, but should be conventional as well.

FOMC会合での政策決定に関する私の見方
1)2010年はディスインフレーション的な傾向が存在している。
2)日本の経験は、ゼロ近辺の名目金利はマイルドなデフレ均衡が存在しており、回避することは困難である。
3)金融政策はこの帰結を避ける必要があるが、米国の短期金利はすでにほぼゼロである。
4)資産購入は通常の金融政策に置き換えられ、金融市場への効果は伝統的なものとなるはずである。
5)実態経済への効果が最大に出るのは6-12カ月掛かり、政策を解除するのは困難であるが、伝統的な金融政策と同様(の効果)となるはずだ。



ディスインフレーション的な傾向というのは、例えばコアPCEデフレータについては、Fedのマンデート(責務)にかなう水準である2%からはかけ離れていることを問題視している。以下のグラフはPCEの推移である(出所:StLouisFed)。


PCE 20101214


このことから前回のFOMC声明文では現状のインフレの基調について"Although the Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability, progress toward its objectives has been disappointingly slow."(価格の安定を背景に徐々に資源活用が高いレベルに戻ることを見込んでいるが、その目標に向けた進展は残念ながら遅い。)としてあるべきインフレトレンドに戻すための政策のアプローチと、それが達成されるまで金融緩和を継続する姿勢を取った。資産買い入れについて、ブラード総裁は、


Implementation via asset purchases
・Ordinary monetary policy would lower short-term nominal interest rates, but those rates are already near zero.
・Asset purchases of Treasury securities at longer maturities can substitute for ordinary monetary policy.
・This puts downward pressure on nominal interest rates further out the yield curve, along with upward pressure on expected inflation.
・Accordingly, the policy puts downward pressure on real interest rates.

伝統的な金融政策では短期の名目金利をより低くすることであるが、現状はすでにゼロに近い。長期国債による資産買い入れは伝統的な金融政策の代わりになる。これは、名目金利、さらにはイールドカーブを押し下げ、同時にインフレ期待を押し上げる。従って、この政策は実質金利を押し下げることになる。



としている。つまり、この資産購入の狙いは、長期国債を買い入れることから名目金利を押し下げてインフレ期待を高め、実質金利を押し下げて投資活動を活発にさせるということである。従ってまずは名目金利を押し下げることを主眼に債券を購入していくということに重点が置かれる。


そしてQE2が実施されたあとに、マーケットの反応についてこう総括している(実体経済への波及にはラグが存在することに留意)。


The effects of asset purchases in financial markets

・The policy change was largely priced into markets ahead of the November FOMC meeting.
・While asset purchases are sometimes viewed as unconventional, the financial market effects have been entirely conventional.
・In particular, real interest rates declined, inflation expectations rose, the dollar depreciated, and equity prices rose.
・These are the same financial market effects one might observe when the Fed eases monetary policy in ordinary times (that is, in an interest rate targeting environment).

・政策の変更はFOMC会合に先んじてマーケットに織り込まれた。
・資産購入は時に非伝統的であるとみられているが、金融市場への影響は完全に伝統的だ。
・とりわけ、実質金利は低下し、インフレ期待は上昇、ドルは下落し、株価は上昇した。
・これらは平時(すなわち金利操作の環境)に金融政策を緩和したときに同様な金融市場の反応が見られている



実質金利(名目金利-物価上昇率)の低下はジャクソンホールにおけるバーナンキ議長の講演を境に低下しているということになっておりひとまず成功との見方をしている。しかし、バーナンキ議長がFOMCの翌日にワシントン・ポストで語った金融政策の波及効果についてはやや達成できるかどうかについて疑問がもたれている。以下はワシントン・ポストの"What the Fed did and why: supporting the recovery and sustaining price stability"より。


This approach eased financial conditions in the past and, so far, looks to be effective again. Stock prices rose and long-term interest rates fell when investors began to anticipate the most recent action. Easier financial conditions will promote economic growth. For example, lower mortgage rates will make housing more affordable and allow more homeowners to refinance. Lower corporate bond rates will encourage investment. And higher stock prices will boost consumer wealth and help increase confidence, which can also spur spending. Increased spending will lead to higher incomes and profits that, in a virtuous circle, will further support economic expansion.

このアプローチは金融の状況を緩和させ、さらに効果が出そうである。投資家が最近のFedの行動を予測したとき、株価は上昇し、長期金利が低下した。緩和的な金融の環境は経済成長を促進するだろう。例えば、低いモーゲージ金利は手頃な価格で住宅を作ることが出来、借り換えをより促進させるだろう。低い社債利回りは投資に踏み切らせるだろう。そしてより高い株価は消費者の財産を高め、信頼感を高め、消費に拍車を掛けることが出来る。消費支出が増加すれば高い収入や利益をもたらし、好循環なうちに、経済の拡大をよりサポートするだろう。



この中で、確かに株価が上昇し、可処分所得が増加したことから消費が高まったということはいえるだろう。以下はS&P500の推移(出所:StLouisFed)。


SP500 20101214


しかし、金利は11月以降上昇の一途を示しており、それに伴い住宅ローン金利も上昇している。以下は米国債のイールドカーブ。


UST Yield Curve 20101214


30年固定モーゲージ金利の推移(出所:StLouisFed)


MORTGAGE30US 20101214


MBA住宅ローン申請指数(借り換え・新規購入)の推移(出所:Bloomberg)

新規購入

MBAPRCH 20101214


リファイナンス

MBAREFI 20101214


*新規購入の指数が上昇しているのは金利に先高観があり、駆け込み的な需要を喚起しているものと思われる。一方でリファイナンス指数は金利上昇にビビットに反応し低下。


従って、この金利上昇は住宅購入の需要を減退させる懸念があり、二番底懸念を強くしている住宅市場そのものにダメージを与えかねないほか、実質金利が名目金利の押し上げによって上昇してしまって投資活動を鈍くさせるリスクもはらんでいる。個人的には11月からの金利上昇はQE2への期待で形成された相場の反動であり、インフレ率のさらなる低下や、資金需要の低さに起因する銀行等の国債保有のニーズが高まることから将来的に金利も低下バイアスが掛かっていくものと思われるが、現状の金利上昇は当初のFedの思惑、すなわち名目金利の押し下げということに対してやや裏目に出ているといった感じもある。従って、現状の金利の情勢についてなんらかの懸念を表明するのか、逆にあるいはこの金利上昇がインフレ期待の高まりということから放置する姿勢をとるのかが、今回のFOMCにおいて見定めるポイントの一つであろうと思われる。声明文では金融市場についての情勢に触れられるかどうかであり、議事録においては現状の金利情勢に関する委員の見方というところになるし、政策的なインプリケーションとしては時間軸政策の強化(すなわち物価上昇率がデュアルマンデートにかなう水準に到達するまで現状の緩和政策を継続する、といったニュアンス)もしくはインフレターゲット的なアプローチが取られるかどうかだろう。


声明文における経済見通しに関しては先日発表されたベージュブックを考慮する限りにおいては、家計支出についてはやや上方修正する余地があり、商業用不動産投資に関して底打ちの見方を示す可能性もあり、ややポジティブな内容になることも想定されるものの、11月の失業率は9.8%に上昇しており、引き続き雇用に対してはネガティブな見方を行っていき、回復は緩慢であることを印象づけるものとなるだろう。そして今回もホーニグ委員が反対票を入れれば、投票権を有した1年間全て決定に反対したということになり、無論これはFOMC史上はじめてのことになる。



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11月限SQ=9813.10 

11月限のSQは


9813.10円(推計値)

となった。


なお、上記のSQはあくまでも推計値であり、正式なSQは引け後に大阪証券取引所から公表される。


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