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日銀短観~製造業の景況感悪化 

12月14日に日銀は12月の全国企業短期経済観測調査を公表した。大企業製造業業況判断DIは-12となり、9月調査から9ポイントの低下となり2期連続悪化となった。大企業非製造業業況判断DIは4となり、9月調査から4ポイント低下したものの、相対的にサービス業の堅調さが維持されている。


大企業製造業業況判断DIと同非製造業業況判断DIの推移(2013年3月は先行きDI、出所:日銀)


日銀短観 20121214


大企業製造業業況判断の先行きDIは-10となり、円安への期待などを背景に12月から2ポイントの改善を見込んでいるものの、少なくとも2013年の第1四半期までは景気の低迷を示唆している格好となっている。同非製造業業況判断先行きDIは3となり、1ポイントの低下を見込んでいるが、依然としてプラス圏内であり、製造業と比較すると相対的に底堅さも意識される。大企業製造業の業種別では、自動車の業況判断が9月から28ポイント低下して-9となっている。これは、エコカー減税の打ち切りの反動により国内需要が低迷していることや、やや過剰在庫感も意識され、さらに中国の日本製品不買運動などの影響、エマージングや欧州需要の低迷などを反映しているものと思われる。自動車の先行きは-16となっており、12月からさらに7ポイントの悪化を見込んでいることから、先行きについてもさらに厳しさが増していくといった状況となっている。またエマージング需要を取り込む業務用機械も9月の6から17ポイント低下の-11、造船・重機等も9月の-14から-25にそれぞれ悪化している。中堅企業の業況判断現状DIは-12となり、前回から6ポイント低下、先行きも-20となっており、さらに中小企業の業況判断現状DIは-18となっており、先行きは-26まで低下していることから、規模が小さくなるほど事業環境が悪化しやすくなっている。非製造業の業種別では、対事業所サービスや宿泊・飲食サービスで9月と比較して景況感が低下している。一方で不動産業は9月から5ポイント改善している。また、通信業は相変わらず好況であり、スマートフォンなどの需要に支えられている。


・需給・在庫・価格判断


国内での製商品・サービス需給判断DIでは、大企業製造業で-25となっており、前回から7ポイント低下した。景気後退に入りつつある中、エコカー減税などの反動により個人消費も息切れしてきている状況で、国内の需要も落ち込んできている。しかし、先行きは1ポイント改善を見込んでおり、現状がボトム圏にあることを示唆している。海外での製商品需給判断DIは、9月から4ポイント低下の-17となっている。エマージング諸国の景気減速や、欧州の景気後退の影響などから、需要の落ち込みが顕著となっている。しかし、先行きは2ポイント改善すると見込まれており、新興国経済の立ち直りに期待を寄せているものと思われる。海外需要については、仮に米国でFiscal Cliffが発動され同国経済がリセッションに陥ってしまうことになれば、ここからさらに悪化してしまうというリスクもある。このため、先行きについても現時点では楽観的ではなく、慎重な見方を崩していないものと思われる。


国内での製商品・サービス需給判断DIと海外製商品需給判断DIの推移(出所:日銀)


国内海外需給判断 20121214


製商品在庫水準DIの推移(出所:日銀)


在庫判断 20121214


仕入価格DIと販売価格DIの推移(出所:日銀)


仕入販売価格 20121214


製商品在庫水準DIは大企業製造業で21となっており、前回から3ポイント上昇した(=在庫過大感が増した)。鉱工業在庫指数をみても現状は過剰在庫であるとみられ、今後生産調整や在庫調整が必要であることが示唆されており、それを短観でも裏付けるものとなった。今後在庫が適正水準に戻るのは、1-2四半期の時間を要するものと思われる。販売価格DIは大企業製造業で前回から2ポイント低下の-18となっている。需要低下により販売価格にも下方バイアスが掛かってきている。一方で仕入価格DIは-1と前回から3ポイント低下しており、コストが上昇していないという状況はまだ好ましいのだろうと思われる。一方で先行きは大企業の仕入価格で4となっており、電気料金引き上げや円安による原材料費上昇を見越した形となっているものとみられる。


・売上高・経常利益・想定為替レート・設備投資計画・雇用


2012年度の売上高計画は製造業で前年度比1.2%増となっており、前回調査から2ポイント下方修正となった。欧州経済が低迷し、エマージング諸国の景気減速の影響を受け、さらには中国の日本製品不買運動の影響によりトップラインから下方修正を余儀なくされている。非製造業は前年度比1.0%増となっており、前回から0.6ポイントの下方修正となっている。2012年度の経常利益計画においては、大企業製造業で前年度比3.5%減となっており、前回調査から6.4ポイント下方修正していることから、2012年度は一転減益となる公算であり、企業の収益環境が一気に悪化していることを示唆している。一方で非製造業は前年度比1.3%減となっており、前回から1.0ポイントの上方修正となっている。このようなことから、全規模合計で前回調査から1.9ポイント低下の前年度比1.1%減益となっている。


想定為替レートは、2012年度通期で78.90円、上期で79.09円、下期で78.73円となっている。回答期間が11月13日から12月13日となっているが、この期間は経常収支が悪化し、自民党安倍総裁の発言等から円安に振れていたものの、この円安が持続的ではないとの見方があったのだろうか、企業サイドからは慎重な見方が示されていた。しかし、80円を超えた水準が継続すれば輸出企業の潜在的な増益要因となりうる。しかし、貿易赤字が定着化しており、更なる円安に振れることになれば、電力料金や燃料コストにも跳ね返ってくることから、コスト増が大きく意識されやすくなる。


設備投資額(含む土地投資額)は、大企業製造業で前回調査から1.1ポイント下方修正の前年度比11.1%増となった。震災復興需要などで設備復旧の動きがあり、また生産設備を増強させる動きとなっているが、足元の世界経済の停滞などの影響から設備投資を先送りさせる動きも出ている。一方で大企業非製造業の設備投資額は前年度比4.6%増となっており、相対的に堅調さが目立っている。このことから大企業全産業の設備投資額は前年度比6.8%増となっており、前回から0.4ポイント上方修正されている。生産・営業用設備判断DIは大企業製造業で14となっており、前回から3ポイント上昇(設備過剰感が増した)した。既に設備稼働率は2012年3月をピークに低下しており、余剰設備への懸念が出てきており、さらに先行きの需要見通しにも不確実性が大きいことから、生産設備増強の先送り懸念を示唆しているものとなっている。


生産・営業用設備判断DIの推移(出所:日銀)


生産設備判断 20121214


雇用人員判断DIは大企業で4となり、前回調査から2ポイント上昇(=人員過剰感が増大)となった。足元で在庫調整に伴う生産調整のフェーズに入っており、余剰人員が発生していることが示唆されている。今後は大企業を中心に雇用環境も厳しさを増していくものと思われる。一方で中堅企業は前回から2ポイント低下(=人員不足感が増大)の-1となっている。2011年後半以降の傾向として、大企業よりも中堅・中小企業の雇用人員不足感は大きくなっていることから、所謂ベビーブーマー層の大量退職により確保するのが難しい技能職を中心に恒常的に人員不足となっているものと思われる。


大企業全産業の雇用人員判断DIの推移(出所:日銀)


雇用人員判断 20121214


規模別の雇用人員判断DIの推移(出所:日銀)


規模別雇用判断
緑色:大企業 紺色:中堅企業 水色:中小企業

・企業金融・資金繰り


資金繰り判断DI(楽である-苦しい)は大企業で前回調査から1ポイント上昇の16となり、大企業の資金繰りについては安定していることが示唆されている。中堅企業は10となり、前回から1ポイント低下、中小企業は-5となり、前回から1ポイント低下となっている。今後は2013年3月に中小企業金融円滑化法が終了することにより、中小企業の資金繰り悪化が懸念されるところである。支援の方針は変わらないものの、ハードランディングとなると企業倒産が多発する可能性もあり、政策的バックアップが要求されるものとみられる。金融機関の貸出態度判断DIは大企業で前回調査から1ポイント低下の16、中堅企業は前回調査と変わらずの15、中小企業は前回調査から1ポイント低下の3となっている。借入金利水準判断(上昇-低下)DIは、大企業で前回調査から1ポイント低下の-6、中堅企業で前回調査から1ポイント低下の-8、中小企業で前回調査と変わらずの-7となっている。日銀の金融緩和や、足元でベンチマーク金利が低下してきていることから、借入金利についても低下基調が続いている。CP発行環境判断DIは大企業で2となっており、前回と変わらず、安定している。


今回の短観は、日本経済とりわけ製造業のマインドが大きく悪化したことが裏付けられたものとなっている。前回調査では完全に織り込めていなかった中国リスクについても反映されており、輸出企業を中心に逆風が強まっていることが示唆されている。但し、3月に向けてはやや明るさも持っていることから、当面年末から1月にかけて景況感のボトムアウトを探る時期であろうと思われる。しかし、米国Fiscal Cliffの行方は大きな不確実性要因であり、仮に発動となれば国内輸出企業の景況感をさらに悪化させるリスクもある。また、2013年も引き続き欧州経済はリセッションが続き、新興国経済の立ち上がりが遅れることもリスク要因として意識される。一方、堅調な個人消費に支えられてきた非製造業についてもモメンタムの低下が見られており、今後の動向には注意が必要である。設備投資額は2桁増を維持したものの、設備判断DIは悪化しており、設備投資の先送りもリスク要因として意識される。このような状況において、12月の日銀金融政策決定会合では景気を下支えする目的として追加緩和が行われる公算が強まっているといえる。

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12月5日に拙著"Global Macro Outlook 2013 :Where is driver for growth?「成長ドライバーが見えない展開へ」"がAmazon Kindleストアから発売されました。


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