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FOMC~追加緩和に含み 

7月31日、8月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、FF金利の誘導目標を0-0.25%に据え置き、さらに保有証券の残存期間延長プログラム(オペレーション・ツイスト)、エージェンシー債・エージェンシーMBSの償還資金をエージェンシーMBSに再投資する政策を維持、そしてフォワードガイダンスに示された低金利の期間は「2014年の暮れ」と時間軸は維持された。以下は前回と今回のFOMCの声明文の比較である。


FOMCstatement20120802.png

赤字は変更部分、青字は今回追記された部分(画像をクリックすると拡大表示されます)


■経済認識


今回の声明文では、現状の経済認識を以下のように下方修正した。


前回

economy has been expanding moderately this year.
経済は今年緩やかに拡大する



今回

economic activity decelerated somewhat over the first half of this year.
経済活動は今年の前半を越したところでやや減速した



このようなものとなり、経済が減速していることを示唆している。これは、7月9日に公表された地区連銀経済報告(ベージュブック)の基調判断である、


Reports from most of the twelve Federal Reserve Districts indicated that overall economic activity continued to expand at a modest to moderate pace in June and early July.

12地区の連銀管轄地区のほとんどの報告は、全般の経済活動は6月から7月の初旬に掛けて緩やかから控えめなペースで拡大しているという指摘だった。



という見方からはハト派的なものとなっている。しかし、先週に発表された米4-6月期GDPは市場予想を上回ったものの、第1四半期からは伸びが鈍化しており、全般の経済活動が減速しているという見方に符合するものとなっている。またISM製造業景気指数などの製造業の業況も減速を示唆する内容となっており、特段踏み込んだ判断ではないものと思われる。雇用については、前月とそれ程変わらない判断であり、


Growth in employment has been slow in recent months, and the unemployment rate remains elevated.
雇用の伸びはここ数カ月で鈍化しており、失業率は高止まりしている。



という見方を踏襲した。雇用市場については、恐らくは記録的な暖冬の影響による季節調整の歪みによって1-2月期に雇用者数が押し上げられ、そしてその反動が3-6月に出ていたが、その影響は薄まるものとみられ、7月以降の雇用のデータは恐らく労働市場の実勢をより反映したものとなる可能性が高くなることから、今週発表される雇用統計のデータは非常に重要なものとなってくることが想定される。企業支出の判断は前回と同じ、そして家計消費支出については、


前回

Household spending appears to be rising at a somewhat slower pace than earlier in the year.
家計支出は今年序盤に比べやや遅いペースで上昇しているようにみえる



今回

Household spending has been rising at a somewhat slower pace than earlier in the year.
家計支出は今年の序盤よりも遅いペースで上昇した。



となっていることから、明確に家計消費支出の伸びの鈍化傾向について指摘した。住宅市場についてはさらに前向きなトーンとなっているものの、依然として低迷しているという判断は据え置かれた。インフレについては、原油やガソリン価格の低下を反映して、今年の序盤以降低下しており、長期的なインフレ期待は安定しているというこれまでの見方を踏襲した。


経済見通し(第2パラグラフ)に関しては、前回のFOMCと変わりがなく、相変わらず「グローバルな金融市場の緊張が著しいダウンサイドリスクを想起し続けている」という文を残している。従って、Fedの経済見通しにおけるリスクバランスは依然としてダウンサイドに傾いたままであるということがいえる。


■政策


今回の現状維持の決定は、市場における追加緩和の期待が高まっていただけに、やや失望感を与えたものとなった。しかし、緩和の用意についてはやや踏み込んだ表現を行なっている。

前回

The Committee is prepared to take further action as appropriate to promote a stronger economic recovery and sustained improvement in labor market conditions in a context of price stability.
委員会は、物価安定の文脈において、力強い経済の回復と持続可能な労働市場の状況の改善を促進するために適切な時にさらなる行動を取る用意がある



今回

The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments and will provide additional accommodation as needed to promote a stronger economic recovery and sustained improvement in labor market conditions in a context of price stability.
委員会は経済や金融の状況において入手できる情報を緊密に監視し、力強い経済回復と持続可能な労働市場の状況の改善を促進するために必要な時に追加の緩和策を提供する用意がある。



従って、これまでよりもやや表現が踏み込んでいることから、追加緩和の地ならしを行ったと見ることも出来る。


バーナンキ議長は7月17日の議会証言では4つの緩和手段に言及した。それは、(1)IOER(超過準備付利)の引き下げ、(2)米国債・MBSの買入(バランスシート拡張、QE3)、(3)フォワードガイダンスに示される低金利の期間の先送り、(4)連銀による直接貸出といったものである。この中で最も実現可能性が高いのは(3)のフォワードガイダンスに示される低金利政策の期間の先送りであろうとみられる。他の緩和手段については、IOERの引き下げの場合、市場機能の不全を起こし、資金の偏在が起きる可能性が指摘されており("IOER, negative rates, and Ben"などを参照)、リターンに対するコストは高いものと思われる。QE3の場合、既にFedは2015年7月以降に償還を迎える米国債について、銘柄あたりの発行残高に占める割合は平均で33.84%であり、QE2が行われた時に一時的に「米国債1銘柄につき発行残高の35%までとする」保有ルールを撤廃したものの、この35%に近づいている中で買い入れる枠はそれ程大きくはないものと思われる。以下は銘柄別の発行残高に占めるSOMAの保有割合である(出所:NYFed)。


SOMA 20120802


また、MBSの買入を行ったとして、モーゲージスプレッド(ベンチマークとなる米国債の利回りとモーゲージ金利の利回りの差)が狭められたとしても、リファイナンスを含むモーゲージの借入が低迷しているのはクレジットチャネルに不全がある可能性が高く、例えば潜在的なモーゲージの借り手に対して信用基準が緩和出来ない状況下ではなかなか住宅市場を金融面からテコ入れするのは難しい。構造的な問題である米国家計のバランスシート調整が終了しない限り復調は難しいようにも思われる。但し、声明文にもあるように、今後金融市場の緊張が一層高まり、モーゲージスプレッドにも影響が出ることになれば、信用緩和としてMBSの買入を行う用意はあるものと考えられる。米国債についても、議長の発言からするとデフレリスクが高まった時には買入を行う用意があると思われるが、現状はデフレリスクはそれ程高いというわけではない。


フォワードガイダンスに示される低金利期間の先送りについては、今回はSEP(FOMC参加者による経済見通し)が公表されなかったこともあり、次回9月には各参加者の最新の経済見通しと金利見通しが示されることから、これを踏まえて行われるという可能性はあるのだろう。8月後半にジャクソンホールでの議長講演が予定されており、そこで何かしらのインプリケーションが行われる可能性があるが、実際示される手段のうち実行できるものはそれ程多いわけではないように思われる。


なお、リッチモンド連銀ラッカー総裁は今回も反対票を入れており、フォワードガイダンスに示された期間の記述を削除するよう求めていたことが分かっている。


■Fedバランスシート(出所:Cleveland Fed)

FedBalanceSheet20120802.png

■FF金利先物のフォワードカーブ(出所:CME)

FFForward 20120802


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タグ: 金融政策  Fed  ZIRP  オペレーション・ツイスト  金利  FOMC 
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FOMCステートメント~据え置きも追加緩和に向けてトーンを強める 

7月31日・8月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、以下の様な声明文が公表された。以下は抄訳である。

Information received since the Federal Open Market Committee met in June suggests that economic activity decelerated somewhat over the first half of this year. Growth in employment has been slow in recent months, and the unemployment rate remains elevated. Business fixed investment has continued to advance. Household spending has been rising at a somewhat slower pace than earlier in the year. Despite some further signs of improvement, the housing sector remains depressed. Inflation has declined since earlier this year, mainly reflecting lower prices of crude oil and gasoline, and longer-term inflation expectations have remained stable.

6月のFOMC会合後に入手した情報では、今年の半分を越したところで経済活動はやや減速したことを示唆している。雇用の伸びはここ数カ月で鈍化し、失業率は高止まって推移している。企業の固定物投資は前進し続けている。家計支出は今年の序盤よりもやや遅いペースで上昇している。さらに改善の兆しがいくらかあるにもかかわらず、住宅セクターは低迷している。主に原油やガソリン価格の低下を反映して、インフレは今年の序盤以降低下しており、インフレ期待は安定して推移している。



Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects economic growth to remain moderate over coming quarters and then to pick up very gradually. Consequently, the Committee anticipates that the unemployment rate will decline only slowly toward levels that it judges to be consistent with its dual mandate. Furthermore, strains in global financial markets continue to pose significant downside risks to the economic outlook. The Committee anticipates that inflation over the medium term will run at or below the rate that it judges most consistent with its dual mandate.

法定任務に一致するよう、委員会は最大雇用の促進と物価安定を模索している。委員会は、経済成長は今後数四半期で緩やかなものとなり、そして徐々にしか上向きになって行かないと予測している。結果として、委員会は、失業率が委員会が判断しているデュアルマンデートと一致する水準に緩やかにしか低下していかないだろうと予測している。さらにグローバルな金融市場の緊張は経済見通しに著しいダウンサイドリスクを想起し続けている。委員会は、インフレが中期的にデュアルマンデートに一致した水準かそれを下回る水準で推移するだろうと予測している。



To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee expects to maintain a highly accommodative stance for monetary policy. In particular, the Committee decided today to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that economic conditions--including low rates of resource utilization and a subdued outlook for inflation over the medium run--are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate at least through late 2014.

力強い経済回復をサポートし、時間とともにインフレがデュアルマンデートと一致する水準を確実にするために、委員会は金融政策の高い緩和的なスタンスを維持するものと予測している。特に、委員会は本日FF金利の誘導目標を0-0.25%に据え置き、現状、資源活用の低い水準と控えめなインフレ見通しを含む、経済状況はFF金利を少なくとも2014年末まで異例なほど低い水準にすることを正当化する可能性が高いと予測する。



The Committee also decided to continue through the end of the year its program to extend the average maturity of its holdings of securities as announced in June, and it is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities. The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments and will provide additional accommodation as needed to promote a stronger economic recovery and sustained improvement in labor market conditions in a context of price stability.

また、委員会は、6月に通知したように、証券保有の平均残存期間を延長するプログラムを今年の終わりまで続けることや、エージェンシー債やエージェンシーモーゲージ担保証券(MBS)の償還資金でエージェンシーMBSに再投資するこれまでの政策の維持も決めた。委員会は経済や金融の進展について入ってくる情報を緊密に監視し、物価安定の文脈のもと、より力強い景気回復を促進し、労働市場の状況の改善を持続可能なものにするために必要な時に、追加の緩和政策を提供する用意がある。



Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Dennis P. Lockhart; Sandra Pianalto; Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Jeremy C. Stein; Daniel K. Tarullo; John C. Williams; and Janet L. Yellen. Voting against the action was Jeffrey M. Lacker, who preferred to omit the description of the time period over which economic conditions are likely to warrant an exceptionally low level of the federal funds rate.

FOMCの金融政策に賛成票を投じたのは、B.バーナンキ委員長、W.ダドリー副委員長、E.デューク、D.ロックハート、S.ピアナルト、J.パウエル、S.ラスキン、J.シュタイン、D.タルーロ、J.イエレンの各委員。J.ラッカー委員は反対票を入れており、経済状況がFF金利を異例なほど低い水準にすることを正当化する時期についての記述を省略するのが望ましいとした。



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タグ: 金融政策  Fed  オペレーション・ツイスト  金利  FOMC 
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FOMC~景気見通しを下方修正、オペレーション・ツイストを継続 

6月20-21日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、以下の様なことが決まった。


・保有証券の平均残存期間を延長するプログラムを今年いっぱいまで継続
・FF金利の誘導目標を0-0.25%に据え置く
・フォワードガイダンスによる低金利の予測は従来通り「2014年暮れまで」



となった。以下は4月と6月の声明文の差異である。

Diff FOMC 20120621-1
Diff FOMC 20120621-2



■声明文の経済認識


声明文における景気認識については、従来通り景気はゆるやかに拡大していくという見通しを示したものの、雇用の伸びについては、ここ数カ月で減速しているとしており、前回の「雇用はここ数カ月で改善している」という認識から下方修正を行なっている。これは3-5月の雇用の伸びが1-2月に比べかなり減速していることを踏まえて声明文でも反映させたものと思われる。この要因については季節外れの異例な暖冬により季節調整に歪みが生じたといったことも会見で議長は言及していたが、雇用の伸び悩みとともに失業率が高止まりの状況からからなかなか低下していかないことに対する警戒感も意識しているものと考えられる。また、企業支出はこれまでの通り「前進している」という認識を示している一方で、家計消費支出については「今年のはじめよりはいく分スローなペースとなっている」という認識を示し、減速感が出ていることを認めている。また物価についてもこれまでは「やや上向きであった」との認識から、「低下している」という認識に下方修正を行なっており、インフレについても沈静化しているという認識を示している。


第2パラグラフにおいては、経済成長について「とても緩やかに上向きとなっていく」と予測し、将来の景気の加速についてこれまで以上に慎重な見方を示している。またこのことから失業率の低下はゆっくりとしか(only slowly)低下していかないという表現に改められ、議長会見前に公表されたSEP(FOMC参加者による経済見通し)の失業率見通しに沿った内容となっている。また、インフレについては、これまで、


The increase in oil and gasoline prices earlier this year is expected to affect inflation only temporarily
今年のはじめの原油やガソリンの価格の上昇はインフレに一時的にしか影響しないと予測している



との文言が外され、これまでのFOMCにおける判断通り、原油高があくまでテンポラリーなものであり、インフレが沈静化しているということを表明したものと考えられる。


■オペレーション・ツイストの継続


Fedは今年6月末までに4000億ドルの長期債(残存期間6年以上)を購入し、同額の3年以下の残存期間の短・中期債を売却することで、Fedが保有する米国債の平均残存期間を延長するプログラム(extend the average maturity of its holdings of securities)を昨年の9月に通知し、実施した。そして今月末でオペレーション・ツイストが完了することになっているが、長期金利を低め誘導するためにこのオペレーションの継続を行うかどうかが今回のFOMCでの最大の焦点となり、継続が賛成多数で決められた。NY Fedのステートメント(Statement Regarding Continuation of the Maturity Extension Program)によると、現在の買入ペースで今年末までに2670億ドルの残存期間6年以上の長期債を買い入れ、それに見合う額の3年以下の短・中期債を売却もしくは償還させることとなっている。従って、満期を迎える米国債についてはこれまで償還再投資、すなわち声明文で、


rolling over maturing Treasury securities at auction
満期を迎えた米国債については入札時にロールオーバーする



という文言が削除されている。そして、この2670億ドルについては、SOMA(System Open Market Account)が保有している米国債のうち、2015年12月末に償還を迎える米国債は、6月14日時点で以下の通りであり、


普通債(Par Value) 2755.66億ドル
TIPS(Par Value) 7.30億ドル


この上限額が金額の根拠となっているものと思われる。従って、保有している2760億ドル程度の短・中期債のうち2670億ドルの短・中期債の売却を行うことから、かなり限界に近い金額であることが分かる。従って、今年末以降、追加でこのオペレーションを継続するのはほぼ困難である。また、例えば予定通りに2015年から出口戦略に転じた時に、米国債を償還して資金を回収出来る額が著しく少なくなり、その分長期債を売却してバランスシートを縮小させることが必要となるので、想定以上に長期金利への上方圧力が掛かる可能性もある。なお、買い入れ構成は以下のようになっており、昨年9月に公表した構成比率と同じである(出所:NYFed)。


SOMA Duration 20120621



■SEP(FOMC参加者による経済見通し)


また、今回のFOMCではSEP(FOMC参加者による経済見通し)が公表された。ここで、経済見通しについては、実質GDP、失業率、PCEデフレータ、コアPCEデフレータの各項目について下方修正を行なっている。以下はSEPによる経済見通しである(出所:Fed)。


SEP 20120621


2012年の実質GDPの中央レンジは1.9-2.4%となっており、前回4月の2.4-2.9%から大きく下方修正された。2013年についても大きな下方修正であり、当初の楽観的な予測からかなり振れたものとなっている。失業率についても、2012年の第4四半期は8.0-8.2%の予測となっており、現状の失業率からあまり低下していかないという見込みが示されている。2013年についても7.5-8.0%の見通しであることから、声明文において、


the Committee anticipates that the unemployment rate will decline only slowly toward levels that it judges to be consistent with its dual mandate

委員会は、デュアルマンデートと一致すると判断した水準に向かって失業率はゆっくりとしか低下していかないと予測している




という形で反映させている。このことから、労働市場についてこれまでの楽観的なスタンスに対して修正が掛かる形となっており、今後失業率があまり低下していかないようであれば追加の景気刺激策についても論議されていく可能性が高まったといえる。議長も会見で以下のように述べ、これまでの見通しが楽観的であったことを認めている。


Fed has been too optimistic about the economic recovery
景気回復についてFedは楽観過ぎた



また、物価についても、コアPCEデフレータは2012年は1.7-2.0%、2013年も1.6-2.0%と4月の予想から若干下方修正を行なっている。当面は長期見通しであり、物価目標である2.0%を上回らないものと予測されている。


金利見通しについては、以下の通りである(出所:Fed)。


Interest rate path 20120621


FOMC参加者が増加した(パウエル及びシュタイン理事)ことから、母集団数は17から19となっている。そして2015年に政策を引き締めに転ずるのが望ましいと考えている参加者が2人増加して6名となった。これにより、「金利を引き締めるのが望ましい時期」の中央値は2014年となっている。金利パスについては、2014年の政策金利について最も高く考えている人で3%となり、一方で0.25%と考えている人が6名に増加したことから、参加者による見解のばらつきが大きくなっている。しかし、0.5%以下であると予測している人が7人から10人(Fed理事が2人増加したことからすれば1名が金利見通しを引き下げた)となっており、2014年の金利パスの平均を取ると4月時点では2%であり6月には1.75%となったことから、ややハト派的な政策スタンスを支持する参加者が増えたことを示唆している。そしてこのSEPによる経済見通しから、修正テイラールールを用いて実質FF金利を推定すると、以下のようになった(モデルについては1月のエントリ参照)。


Taylor Rule 20120621


4月の見通しから推定すると、2012年第4四半期には実質FF金利はプラスに転じていたが、今回の予測から推定すれば、まだ水面下となっている。2014年第4四半期には、前回の予測からの推定では1.33%であったが、今回の推定では0.70%となっており、フォワードガイダンスに示されている「少なくとも2014年の暮れまでは異例なほど低い金利であるだろうということを正当化する」という文言と整合的になってきている。金利パスにおいても、2014年末の金利予測は10名が0.5%以下としていることからもほぼこのテイラールールによる実質FF金利の推定と整合的である。但し、フォワードガイダンスを2014年末からさらに後ずれさせることについては、現段階で2015年に利上げを行うのが望ましいと考えている人がそれほど多くないことから、今後SEPで失業率、インフレ率について大きく下方修正されない限りにおいては、その可能性はあまり大きくないと思われる。しかし、ダウンサイドリスクが顕在化し、失業率が現予測よりも低下していかないという見通しが立ち、インフレ率予測もそれほど大きく上昇しないのであれば、参加者各自の金融政策ルールにより、金利パスを後ずれさせる参加者が多くなっていくことも想定される。そういった段階でフォワードガイダンスの後ずれを検討していくものと考えられる。一方で、2013年以降は物価重視派の参加者がメンバーに多く加わるとみられることから、各メンバーの金利見通しについての認識の相違が浮き彫りになっていく可能性も残されている。


今後の政策については、議長自身が会見で、


There's some case to be made for making additional judgments for where the economy's going.
経済が向かっていくところで、追加の判断を行ういくつかのケースがある。



としていることから、経済見通しのダウンサイドリスクが顕在化すれば追加の緩和策(具体的にはフォワードガイダンスの後ずれという可能性)を実施していくものと思われる。しかし、現段階では具体的な手段について言及をしていないことから、当面は現状のオペレーション・ツイストの継続を行なっていく、そしてFOMC参加者の金利見通しの大勢が2015年に後ずれするのであれば、フォワードガイダンスの見直しを行って市場の金利予測に働きかけを行なっていくという方向なのではないかと思われる。QE3については、欧州金融市場の混乱が米国市場にスピルオーバーし、信用市場がタイトとなり、クレジットスプレッドが上昇し実体経済に波及していくのであればMBSなどの買い入れを行なっていくものとみられるが、現時点ではそういう状況でないことから、実施されないだろうと思われる。


【参考】


・Fedバランスシート

FerdbalanceSheet 20120621


・FF金利先物のフォワードカーブ

FFForward 20120621


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FOMCステートメント~オペレーション・ツイストの継続を決定 

6月19-20日にFOMCが開催され、オペレーション・ツイストの延長が決められた。以下は声明文の抄訳である。

Information received since the Federal Open Market Committee met in April suggests that the economy has been expanding moderately this year. However, growth in employment has slowed in recent months, and the unemployment rate remains elevated. Business fixed investment has continued to advance. Household spending appears to be rising at a somewhat slower pace than earlier in the year. Despite some signs of improvement, the housing sector remains depressed. Inflation has declined, mainly reflecting lower prices of crude oil and gasoline, and longer-term inflation expectations have remained stable.

4月のFOMC会合以降に入手した情報では、経済は今年はゆるやかに拡大することを示唆している。しかし、雇用の伸びはここ数カ月で減速し、失業率は高止まって推移している。企業の固定投資は前進し続けている。家計支出は今年のはじめに比べてやや上昇のペースが減速しはじめたように思われる。改善のいくらかの兆候があるにも関わらず、住宅セクターは低迷したままである。石油やガソリン価格の低下に影響により、インフレは低下しており、長期的なインフレ期待は安定している。



Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects economic growth to remain moderate over coming quarters and then to pick up very gradually. Consequently, the Committee anticipates that the unemployment rate will decline only slowly toward levels that it judges to be consistent with its dual mandate. Furthermore, strains in global financial markets continue to pose significant downside risks to the economic outlook. The Committee anticipates that inflation over the medium term will run at or below the rate that it judges most consistent with its dual mandate.

法定任務に一致するよう、委員会は最大雇用と物価の安定を模索している。委員会は経済成長が今後数四半期で緩やかに推移し、その後極めて徐々に上向きになっていくと予測している。結果として、委員会は、失業率が委員会が判断しているデュアルマンデートに一致する水準に向かってゆっくりとしか低下していかないだろうと予測している。さらに、グローバル金融市場の緊張は経済見通しに著しいダウンサイドリスクを想起し続けている。委員会は、中期的なインフレは委員会の判断するデュアルマンデートに一致する水準かそれ以下で推移すると予測している。



To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee expects to maintain a highly accommodative stance for monetary policy. In particular, the Committee decided today to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that economic conditions--including low rates of resource utilization and a subdued outlook for inflation over the medium run--are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate at least through late 2014.

力強い景気回復を支援し、時間とともに、インフレをデュアルマンデートにほぼ一致する水準へと可能にすることを手助けするために、委員会は高い緩和的な金融政策のスタンスを維持すると予測している。特に、委員会は本日、FF金利の誘導レンジを0-0.25%に据え置くことを決め、そして現状、低い資源活用や中期的なインフレ見通しの安定はを含む経済状況は、FF金利を少なくとも2014年の暮れまでとても低い水準であることが正当化されるだろうと予測している。



The Committee also decided to continue through the end of the year its program to extend the average maturity of its holdings of securities. Specifically, the Committee intends to purchase Treasury securities with remaining maturities of 6 years to 30 years at the current pace and to sell or redeem an equal amount of Treasury securities with remaining maturities of approximately 3 years or less. This continuation of the maturity extension program should put downward pressure on longer-term interest rates and help to make broader financial conditions more accommodative. The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities. The Committee is prepared to take further action as appropriate to promote a stronger economic recovery and sustained improvement in labor market conditions in a context of price stability.

委員会は、保有証券の平均残存期間延長プログラムを今年の終わりまで続けることを決めた。委員会は残存期間6-30年の米国財務省証券を現状のペースで購入し、同額の残存期間3年以下の財務省証券を売却するか償還させることを実施する。きおの平均残存期間延長プログラムの継続は、長期金利に下方圧力を掛け、広範囲な金融の状況をより緩和的にすることを手助けするはずである。委員会はエージェンシー債やエージェンシーMBSの償還資金でエージェンシーMBSの再投資を行うという既存の政策を維持することも決めた。委員会は、物価安定の文脈のもと、より力強い景気回復を促進するために、労働市場の状況を持続的に改善させるために適切なものとしてさらなる行動を取る用意がある。




Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Dennis P. Lockhart; Sandra Pianalto; Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Jeremy C. Stein; Daniel K. Tarullo; John C. Williams; and Janet L. Yellen. Voting against the action was Jeffrey M. Lacker, who opposed continuation of the maturity extension program.

FOMCの金融政策に賛成票を投じたのは、B.バーナンキ委員長、W.ダドリー副委員長、E.デューク、D.ロックハート、S.ピアナルト、J.パウエル、S.ラスキン、J.シュタイン、D.タルーロ、J.ウィリアムズ、J.イエレンの各委員。J.ラッカー委員は残存期間延長プログラムの継続に反対するとして、反対票を投じた。



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タグ: 金融政策  Fed  オペレーション・ツイスト  金利  FOMC 
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FOMC~フォワードガイダンスは据え置き 

4月24-25日に連邦公開市場委員会が開催され、現行のFF金利の誘導目標を0-0.25%に据え置かれた。また、MBSの償還再投資、満期を迎えた米国債のロールオーバー、オペレーション・ツイスト(保有証券の平均残存期間延長プログラム)の政策についても現状維持となった。今回は政策的には現状維持との予想であったため、とりわけ大きなサプライズはなかった。経済認識についてはいくつかの箇所で修正が見られている。


■経済認識


今回のFOMCでは経済認識にいくつかの変化があった。以下は前回(左)と今回(右)のステートメントの第1パラグラフ及び第2パラグラフの比較である。なお、赤で示されたものは文言の変更、左側(前回の声明文)の緑の打ち消し線は今回削除された文言、右側(今回の声明文)のアンダーライン付き青で示されたものは今回追加されたものである。


FOMCstatement.png



まず、労働市場については、


(前回) Labor market conditions have improved further
労働市場の状況はさらに改善している

(今回)Labor market conditions have improved in recent months
労働市場の状況はここ数ヶ月で改善している



労働市場については、前回の"improved further"(さらに改善)という文言から、"improved in recent months"(ここ数ヶ月で改善)としており、回復は継続的なものであるという認識となった。


住宅市場については、

(前回)The housing sector remains depressed.
住宅市場は低迷したままである

(今回)Despite some signs of improvement, the housing sector remains depressed.
いくつかの改善の兆候があるが、住宅市場は低迷したままである



としており、いくつかの改善の兆候について言及しており、住宅市場についての現状認識は一歩前進したことになる。米国において今冬は記録的な暖冬であり、建設稼働率などが上昇したということもあるが、それでも販売等はまだまだ落ち込んだままであり、引き続き楽観的な見方は出来ないものと思われる。


物価については、


(前回)Inflation has been subdued in recent months, although prices of crude oil and gasoline have increased lately.
原油やガソリン価格が最近上昇しているが、インフレはここ数ヶ月で安定している。

(今回)Inflation has picked up somewhat, mainly reflecting higher prices of crude oil and gasoline.
インフレはやや上向きになっており、主に原油やガソリンの高騰を反映している。



このような見方から、物価認識について上方修正を行なっている。物価の上昇については、第2パラグラフにあるように一時的なものでしかない(only temporarily)としており、コモディティ高については、持続的な物価上昇に至らないという見方を踏襲している。インフレ期待も安定していることから、物価が安定していくだろうという見方には特に変化がない。


第2パラグラフにおいては、経済見通しについて上方修正を行なっている。


(前回)The Committee expects moderate economic growth over coming quarters
委員会は今後数四半期において緩やかな経済成長を予測している

(今回)The Committee expects economic growth to remain moderate over coming quarters and then to pick up gradually.
委員会は今後数四半期は緩やかな経済成長、そして徐々に上向きになっていくと予測している。




このようなことから、今後数四半期は緩やかな経済成長となるものの、その後は加速していくという見方を行なっており、一段踏み込んだ認識となっている。


一方でダウンサイドリスクについては、グローバルな金融市場における認識であるが、


(前回)Strains in global financial markets have eased, though they continue to pose significant downside risks to the economic outlook.
グローバルな金融市場の緊張は最近緩和されたが、経済見通しに著しいダウンサイドリスクを想起し続けている

(今回)Strains in global financial markets continue to pose significant downside risks to the economic outlook.
グローバルな金融市場の緊張は経済見通しに著しいダウンサイドリスクを想起し続けている



としており、最近の欧州の情勢によりマーケットのボラティリティが高まっていることを反映している。ここ1カ月程度のスパンでみれば、S&P500指数のボラティリティ・インデックスであるVIX指数は上向きになっている。この指標は金融市場の先行きに不透明感が生じ変動を予測した時に上がりやすいが、今回もそのような状況となっている。今後数週間以内に発表される金融ストレス指数などの指標も上昇していく可能性がある(これらとVIXの相関は高いが、ストレス指数の構成にVIXが含まれていることは留意)。以下はVIX指数の推移とVIXとセントルイス連銀金融ストレス指数の散布図である(出所:FRED/Economic Time Series Data Analyzer)。

XIX 120120426

graph_scatter_VIX.png


今後Fedとしても欧州の金融情勢を中心に適時モニタリングを行い、米国の金融システムに波及し、実体経済へのスピルオーバーへのリスクが高まっていくことになれば、信用緩和としてクレジットスプレッドを低下させる措置を取りに行くものと考えられる。しかしそれは今すぐに、あるいは実現可能性が高いという話ではない。


■SEPと金利見通し


今回のFOMCではFOMC参加者(Fed理事及び各地区連銀総裁)による経済見通し(SEP)が公表された。以下はSEPで示された2014年までの各種経済指標の予測である(出所:Fed)。


SEP 20120426


実質GDPについては、2012年を上方修正、2013年及び2014年を下方修正している。各年の第4四半期の失業率予測については、2012年3月までに1月予測の下限である8.2%にまで低下したことから、2012年は7.8-8.0%に、2013年は7.3-7.7%に上方修正された。PCE価格指数については、総合指数は2012年第4四半期には前年比1.9-2.0%に、同2013年には前年比1.6-2.0%に上方修正、コアについても2012年第4四半期には1.8-2.0%に、2013年同には1.7-2.0%に、2014年同には1.8-2.0%に上方修正された。このことから失業率及び物価両面で前回の予測から上方修正を行ったということになる。


FOMC参加者の金利見通しについては、金利を引き締めに転ずるのが適切である時期について、2012年と考えているのは3名、2013年と考えているのは3名、2014年と考えているのは7名、2015年と考えているのは4名となった。前回、金利を引き締めに転ずるのが適切である時期について、2016年と考えている参加者が2名存在していた。しかし今回は、この2名が金利見通しを前倒しし、すべての参加者は2015年以前に金融引き締めに転じるのが適切であるという見解となった。さらに2014年と考える参加者が2名増加、2015年と考える参加者が2名増加したことにより、一部のハト派的な参加者4名が金利見通しの予測を前倒ししたということになる。但し、このメジアンは2014年であることから、フォワードガイダンスに示された時期と一応は整合する。以下は参加者の金利見通し(出所:Fed)。


RatePath 20120426


この各参加者の金利見通しについて、どのような決まり方をするのか?ということについては、1月のFOMCのエントリでも触れたが、もう一度説明しておきたい。SEPにおける金利見通しの判断は、各参加者の見解に依存しているが、一応のルールは存在している。その一つがテイラールールである。これは生産量ギャップ(潜在生産量と実際もしくは予測の生産量との差)とインフレギャップ(インフレ目標値と実際もしくは予測のインフレ率の差)から求められる。潜在成長率についてFedは公表しておらず(議会予算局(Congressional Budget Office (CBO))が推計)、そして生産量と失業にはオークンの法則による関係があるため、生産量ギャップについては、自然失業率と実際もしくは予測の失業率との差(失業率ギャップ)に置き換えている。従って、インフレギャップと失業率ギャップから算出される。この点について、議長も会見で触れていたが、イエレン副議長は4月12日の講演で以下のように述べていた(Fed "The Economic Outlook and Monetary Policy" より)。


The policy prescriptions I've discussed thus far are conditioned on an illustrative baseline forecast for unemployment and inflation. Because any economic forecast is inherently uncertain, the FOMC's forward policy guidance states explicitly that the Committee "currently anticipates" that economic conditions are likely to warrant such a stance of policy. The guidance does not state that the Committee will keep the funds rate exceptionally low until at least late 2014. I'd consider it completely appropriate to modify the specification of the forward guidance in response to significant changes in the economic outlook.

私が議論した政策の処方箋は失業率とインフレの見通しを例示したベースラインが条件となっている。何故ならば、経済見通しは本質的に不確実であり、FOMCのフォワードガイダンスは、経済の状況がそのような政策のスタンスを保証することについて「現段階での予測」を明言することである。ガイダンスは、委員会がFF金利について少なくとも2014年後半まで異例なほど低い水準に据え置くということを明言してはいない。経済見通しの著しい変化に反応してフォワードガイダンスの変更を行うのは全くもって適切だと考えている。


Potential modifications of the forward guidance can be illustrated by showing how the Taylor (1999) rule responds to two different shifts in the outlook. Figure 9 shows one scenario in which the recovery turns out to be unexpectedly strong, with the unemployment rate reaching 6 percent by the end of 2014 and inflation moving a little above 2 percent later in the decade. It also shows a second scenario in which the recovery is unexpectedly weak, with the unemployment rate remaining above 8 percent until early 2014. In this scenario, inflation stays persistently below 2 percent. In the stronger scenario, the Taylor (1999) rule calls for the liftoff from the zero lower bound to move forward to the beginning of 2014. In that event, of course, the FOMC would not only raise the federal funds rate sooner than our current guidance suggests but would also begin to remove other forms of accommodation and draw down the balance sheet sooner than in the baseline. In contrast, in the weaker scenario, the Taylor (1999) rule calls for the liftoff to be delayed until the first half of 2016. The model's recommendation for a later liftoff in this scenario could alternatively provide an argument for additional policy accommodation through other means, including additional asset purchases.

フォワードガイダンスの潜在的な修正は、どのようにテイラールール(1999年)が見通しにおいて2つの異なった変化に反応しているかを表示することで図解されるだろう。図9は景気回復が著しく強くなるといった1つのシナリオであり、失業率は2014年の終わりに6%に達し、インフレ率は2%をやや上回って推移するというものである。景気回復が著しく弱いといった第2のシナリオも表示しており、失業率は2014年末まで8%を上回って推移するといったものである。このシナリオではインフレは永続的に2%を下回って推移する。強い回復のシナリオでは、テイラールール(1999年)は2014年のはじめにゼロ金利の解除を進めることを必要としている。このような場合、もちろんFOMCは現状のガイダンスが指摘している時期よりも早くFF金利を引き上げるだけでなく、ベースラインよりも早く他の緩和政策手段を取りやめ、バランスシートを正常化するだろう。対照的に、弱いシナリオにおいては、テイラールール(1999年)では2016年の第一四半期までゼロ金利政策の解除を引き伸ばすことを必要としている。このシナリオにおける遅めのゼロ金利解除という状況において、モデルのレコメンデーションでは、代わりに追加の資産購入を含む追加の金融緩和策の主張を行なっている。


The current economic outlook is associated with significant risks in both directions. In particular, we know that recoveries from financial crises are commonly prolonged, and I remain concerned that the headwinds that have been restraining the recovery could lead to a longer period of sluggish growth and high unemployment than is embodied in the consensus forecasts. One specific risk is that elevated uncertainty about prospective fiscal policy adjustments could weigh on the spending plans of households and businesses. In addition, it's conceivable that the European situation could deteriorate and prompt a significant increase in global financial market stress. Such developments would likely have substantial adverse effects on U.S. economic activity and inflation.

現状の経済見通しは両方向への強いリスクに関連付けられている。特に、我々は金融危機からの景気回復は一般的に長引くものとなっており、私は回復を抑制している逆風が、コンセンサス予想で具現化されているよりも長期間の景気の伸び悩みや高い失業率の状態が長引かせることを懸念し続けている。一つの特定のリスクというのは、将来的な財政政策の調整が家計や企業の支出の計画に重しとなることについて不確実性が高まっていることだ。さらに、欧州の状況が悪化すればグローバルにおける金融市場のストレスを高めることも考えられる。そのような状況では、米国の経済活動やインフレに基本的に悪影響を及ぼすだろうとみられる。




このようなことから、各参加者がSEPで示した経済見通しを基にテイラールールなどにより将来のFF金利予測を行なっているものと考えられる。ちなみにテイラールールからSEP経済見通しの各年第4四半期の失業率及びコアPCEデフレータの見通しのコアレンジの中央値からFF金利の予測を示すと以下の図のようになる。テイラールールのモデル式は1月のエントリ参照(出所:Fed、米労働省、米商務省)。


Taylor Rule 20120426


失業率及びコアPCEデフレータの見通しを上方修正したことから、2012年には実質FF金利はプラスに転じ、2013年末には0.5%、2014年末には1.3%となっている。これについてFOMC参加者の金利見通し(各年末のFF金利水準)と比較すると、2013年はやや高い結果となったが、2014年にはおおよそ平均値程度となっている。従って、現時点でこの経済見通しであれば将来の金利パスの傾向は妥当なところではないかと思われる。恐らくこうした見通しにより、ハト派メンバーの一部で金利予測の前倒しを行ったものと考えられる。


■今後の政策動向


今後の政策については、6月で現行のオペレーション・ツイストが終了することになっているが、終了後の政策については議長から特段のインプリケーションは行われなかった。基本的にフォワードガイダンスで示される時期の決定が政策の軸となっていく、すなわち時間軸効果を狙った金利アプローチによる政策が軸となっていくものと考えられる。例えばQE3のような追加の量的なアプローチによる緩和については、"very much on the table"(机上にある)としているが、これは声明文で示されたダウンサイドリスクの顕在化、つまり「グローバルな金融市場の緊張」が高まり、米国の実体経済にスピルオーバーし、経済活動が落ち込むときに行われるものであるとみられる。例えば市場の緊張が著しく高まり、クレジットスプレッド等に波及していくことになればMBSの買入を行う可能性もある。従前から述べているようにあくまでもこれは金融市場の動向次第だろうと思われる。現時点ではそういった状況ではないことから、しばらく金融市場の動向を見定めていくものと思われる。一方で循環的要因から景気が停滞するような場合には、経済見通しを下方修正した上でフォワードガイダンスの見直し(後ずれ)を行なっていくことも考えられる。この場合は低金利予測の長期化について市場の期待形成に働きかけるものとなろう。一方で経済見通しが今後上振れていくような場合にはフォワードガイダンスの前倒しもありうるものの、徒に金利市場のボラティリティを高めてしまう可能性があるため、リスクも大きい。但し、現在のインフレの状況がFedが予測しているようにテンポラリーなものではなく、パーマネントなものとなっていく可能性が今後高まれば、フォワードガイダンスを前倒しすることもありうる。こうした見方は、上記のイエレン副議長の講演内容に沿ったものだろうと思われる。従って当面の政策の方向性は"Wait And See"なのだろうとみられる。


【参考】


FF金利先物の推移(前回FOMC後と今回)

FF20120426.png


Fedバランスシート


FedBalancesheet 20120426


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カテゴリ: 市場視点

タグ: 金融政策  Fed  ZIRP  金利  FOMC 
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