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米国の「物価観」~トレジャリーが織り込むもの 

今日の東京市場は株式が続落、債券が続伸、外為は円買いの流れとなった。株式市場では昨日のNY市場の流れを受け戻していく展開となったが、アジア株安や円高進行で下げ幅を拡大し、日経平均で10,000円の大台を割り込む展開となった。債券市場は株安や20年債入札が好調(テールは0銭)だったことを受け、1.25%台まで買われた。外為市場では昨晩の様々なユーロを巡る憶測(SNBやECB、さらにはNYFedによるユーロ買い介入観測)が下支えとなりユーロの値保ちはよかったものの、高金利通貨が対円で急落する流れを受けドル円も一時90円割れを示現した。


ここのところ、米国債の流れが変わったようなイメージがある。以下のグラフは30-2年スプレッドであるが、5月に入って以降低下が著しくなってきている。


30Y-2Y Spread


もともと米国債は1-3月まで、キャリーを除けば長期債選好の動きとはなっておらず、ひたすらスティープニングの動きとなっていた。しかし、直近の動きをみると、10年債や30年債が急速に買われてきている。特に顕著なのが30年の金利低下となっている。以下のグラフは各年限の金利の推移。


UST Yield


足元で米国債が買われている理由はいくつかある。一つはギリシャ問題に端を発したソブリンリスクから"Fly to Quality"の動きとなっていることだろう。米国も公的債務及び財政赤字は深刻であるが、それでも信用は高くトリプルA格は当面維持されるものと思われる。リスクフリーとまでは行かないまでも、それに極めて近い債券であることは大方の市場関係者の見方だろう。それゆえ買われてきているというのも当然の動きだろう。円債も買われてきているので、そういったマネーの動きが存在していることは確かである。しかし、それだけで買われてきている、とするならば、やや考慮不足のような気もする。以下のチャートはブレークイーブンインフレ率(BEI)の推移である(出所:Bloomberg)


BEI


BEIは同年限のインフレ連動債と名目金利債券に投資する際、両者の利回りが等しくなる(break even)ようなインフレ率のことを指すが、足元で急低下している。昨日も普通債が売られ金利は上昇したが、BEIは下がっていった。このことは債券市場においてインフレ期待が後退しているということを指す。特にこの2日で急激に低下しているのは、物価指標の影響が大きい。18日に発表された4月のPPIは-0.1%、コア指数は前月比+0.1%となっている。総合指数がマイナスなのは3月まで高騰していたエネルギー価格の一服によるものが大きい。さらに市場にとってサプライズだったのは昨日のCPIだった。総合指数は前月比-0.1%となり1年ぶりのマイナス、コア指数も前月比変わらずとなっている。コアCPIの前年比伸び率は1966年以来過去最低を記録している。以下のグラフは米国のコアCPIの推移(出所:StLouisFedより)


USCPICORE


コアCPIの低下に関しては住宅セクターの価格変動が物価抑制につながっているとの指摘がある。RBSの通貨ストラテジストのAlan Ruskin氏は以下のように指摘している(Alphaville "US CPI - the good and bad news"参照)


Nonetheless taken collectively, I think the Fed will not be too perturbed being in the position they are in, in part because other inflation indicators like PPI pipeline numbers are not nearly as quiescent, and the CPI data is being suppressed by housing (down 0.1% in April, and -0.6% y/y) that has such a huge (42%) weight in the index.

それにも関わらず、Fedは現在の政策ポジションについて不安に感じてはいないだろう。なぜならばPPIのようなインフレ指標は横ばいなままで、またCPIは、指標の42%のウエイトを占める住宅セクターによって抑制されている(4月の住宅セクターは年率-0.6%)からだ。


としている。実際住宅セクターの物価指数は以下のようになっている(出所:StLouisFed)。


CPIHOSSL


住宅に関してはV字的な米国経済の回復においてもなおネックとなっているセクターといえる。住宅価格も底ばいを続けているし、4月末に住宅購入に関する税優遇措置が終了し、駆け込み的な住宅着工及び販売が見られたが、住宅市場の先行指標である4月の住宅着工許可件数は前月比-11.5%となっており、昨年の10月以来の水準にまで落ち込んできている。米国経済にとってネックなのは労働市場と住宅市場であるが、前者は雇用者数が大幅に増加しており、改善しているものの、住宅市場に関してはまだ回復の段階に入るか入らないかといった段階なので、依然としてこういったセクターでアウトプットギャップが起こっており、全体の物価にも波及しにくいという形になっている。昨日公表されたFOMC議事録においても、実質GDPを3.2%-3.7%(前回は2.8%-3.5%)、失業率を9.1%-9.5%(前回は9.5%-9.7%)に上方修正したものの、物価指標であるコアPCEに関しては0.9%-1.2%(前回は0.9%-1.2%)と下方修正されている。つまり、FOMC議事録で記されている、インフレに関して抑制されていることから利上げを急ぐべきではないとの見解は、住宅市場の低迷が需要不足を発生させ、物価上昇圧力を緩和させているという結論から導き出されているともみることが出来る。雇用は景気回復により改善され、賃金もそのうち上昇していくのだろうが、住宅市場が要因の問題はやや時間が掛かるのかもしれない。


但し、この利上げの時期と資金吸収とは分けて考えられているものと思われるので(資産売却はかなり後になる)、その区別だけはしておいた方がよいのではないかと思われる。また、欧州の問題が金融クラッシュを招くようであれば別問題だが、今の段階ではとりたててこの問題が自らの政策変更のカタルシスになっているとは考えてはいないのだろう。あくまでも出口戦略と利上げの判断に関しては米国国内の事情、とりわけインフレの動向に拠るものと思われる。



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カテゴリ: 市場視点

タグ: Fed  マクロ  金利  債券 
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