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FOMC~償還再投資と政策の影響 

今日の東京市場は株式が続落、債券が反発、外為市場ではドルが買われている。株式市場では円高に対する懸念や中国のCPIの上昇を嫌気して日経平均は258円安となった。債券市場ではFOMCの結果を受け米国債が買い進まれたことを受け、JGB10Y利回りは一時1%を割り込んだ。外為市場では株安などからリスクアペタイトが低下、ドルと円が買われている。


8月10日に行われたFOMC(連邦公開市場委員会)において、市場が注目していたされていた追加緩和策は「米財務省証券の再投資」といった形で回答が出された。ポイントは償還再投資(Reinvesting)と米国景気の一段の下方修正である。声明文抄訳はこちらを参照。


■償還再投資


声明文において、今後のFedの証券保有政策は以下の2点を実施する予定であるとしている。


・エージェンシー債・MBS(住宅ローン担保証券)の償還金を米国債に再投資していく
・Fedが保有する証券を現状の水準にキープする



つまり、再投資の対象を米国債に絞り込むことで、バランスシートの構成にリバランスを掛けつつ、現状の保有証券の水準をキープし続けるということを表明した。この発表後NY連銀では声明を発表し、現行の証券の保有残高を2兆54億ドルに保ちながらMBSの償還金を米国債に集中投資を行っていくこととした。つまり、バランスシートを拡大するのではなく、あくまでも現状の証券保有のレベルをキープすることであり、追加的な量的緩和政策を意図するものではない。従来Fedは出口戦略をとるにあたり、このバランスシートについて証券の償還によって縮小させていくことを狙っていたが、出口戦略を完全に封印することを確約することで一種の時間軸政策の強化に打って出ていることになる。つまり、物価安定の下で景気安定化が図られるまでMBSの償還金を米国長期債に振り向けることで、無用な金利上昇リスクを排除し、米国債の2-10年ゾーンを集中的に再投資することで指標金利である米国債の金利を押し下げ、長期金利の低め誘導を行うこととした。そして長期金利を低位安定にさせることによって、資金需要を高めることで景気を刺激させようとしている狙いがある。さらに、信用緩和(CE)についてMBSの保有残高が減少することからその規模を縮小させる。そして従来のままであれば、償還で再投資は行われないので負債(Liability)は減少していくが、今回の声明ではそれを現状レベルで維持していくことを表明しているので、結果的に中銀負債は大きく増加も減少しないことになる。


■米国経済見通しの一段の下方修正


前回のFOMCでも景気判断についてモメンタムの低下を認めているが、今回の声明ではさらに強いトーンで米国経済の減速を示唆している。冒頭の基調判断は、6月の「景気回復は進展している(economic recovery is proceeding)」から、8月は「生産及び雇用の回復はここ数カ月で減速していることが示唆されている(the pace of recovery in output and employment has slowed in recent months)」としている。すなわち、これまでの景気回復から景気減速という認識に変わっており、Fedとしても基調の局面変化を明らかに認めたということである。さらに、これまで「労働市場は徐々に改善している(the labor market is improving gradually)」という雇用の判断を取り消し、消費が「高い失業率が制約されたまま(remains constrained by high unemployment)」となっているとして、雇用状況の弱さを強調している。これは先月末に発表されたGDPにおける個人消費支出の伸び悩みや、先日発表の雇用統計などのマクロ指標を受けてこのような判断に至っている。


Fedとしては最大雇用を政策目標としているため、高失業率かつ民間雇用の増加の伸び悩みに対して強い懸念を表明しており、この結果景気刺激策として金利を低め誘導する償還再投資という政策を打ったものと思われる。さらに、個人消費については、


・(高失業率に関連して)収入の伸びが緩慢
・住宅資産価格の低レベルな水準
・信用がタイトなままとなっている


この3点において息切れすることを危惧している。そして経済見通しに関しても、従来は「経済回復のペースはしばらくの間緩やかなものになっていくだろう(pace of economic recovery is likely to be moderate for a time)」としていたのに対して、今回の声明文では「経済回復のペースは予想されていた以上に緩やかとなっていくだろう(although the pace of economic recovery is likely to be more modest in the near term than had been anticipated)」として経済回復はさらに緩慢であるということを強調している。そのために文脈上償還再投資という政策に打って出ている。穿った見方をすればここまでハト派的な表現になっているのは、償還再投資へのアリバイ作りとも取れなくはない。


■今後の金融政策とマーケット


今後の金融政策については現状の償還再投資から発展していったとしてもあまり量的緩和拡大政策の方向(すなわち中銀負債を膨らませる方向)に舵を切るとは考えにくい。今後取りうるオプションとしては、時間軸政策、すなわち「FF金利を「長期間」にわたって非常に低い水準に維持する("exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period")を保証するための条件の強化といったことや、超過準備の付利をゼロにすることなどが考えられる。そして市場に利上げはさらに先送りされることを織り込ませようとしていくこととなり、長短金利共に低く誘導させて景気刺激を図ることが取られるものと思われる。すでにFF金利先物市場では利上げがかなり先送りされており、Fedの低金利政策の動向を反映している。以下はFF金利先物の推移(出所:CME)。


FF Future


FF金利先物の動向では、25bpの利上げを100%織り込んでいる時期が2011年末まで先送りされている。6月のFOMC時点では2011年6月であったため、その時から半年程度後ずれしていることになる。今後のマーケットの方向性としては、低金利政策の確約から、ドルペッグ制を敷いている地域などのアセット価格などはダイレクトに反応していくのではないかと思われる。以下のチャートはハンセン不動産株指数(HSP/出所:Bloomberg)。


HSP


Fedの金融緩和観測を受けてこのところHKの不動産株は堅調に推移してきている(日本時間16時時点でハンセン指数は下落しているものの長江集団(1:HK)などが買われ指数はプラス圏で推移)。このあたりはサンフランシスコ連銀のイエレン総裁もかつて認めていたところである(Bloomberg "Yellen Says Flexible Yuan May Ease China Price Worry"参照)。一方で需給ギャップが解消されない限り米国不動産市場にとっては金融政策だけで効果が出るとは見込みにくい。結局米国の不動産市場については、自律的な回復が見込めない限り、このセクターにおいて資産効果を望むのは難しいようにも思われる。


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カテゴリ: 市場視点

タグ: Fed  FOMC  金融政策  金利  新興国  ZIRP 
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