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"Let's take a break for coffee"の個人的解釈~2005年のFOMC議事録全文 

Fedは2005年のFOMC議事録(Transcripts)を公表した。その中でも注目されたのは6月29-30日に会合で、当時のアトランタ連銀総裁であるジャック・グイン総裁が住宅バブルに警告を発したときのグリーンスパン議長とのやりとりであった。以下はCalculated Risk "The FOMC Debates the Housing Bubble in 2005"より。


[T]there is the housing situation, which we talked about for a long time yesterday afternoon. As I’ve been reporting for several meetings, some of our markets, especially those in coastal areas of South Florida and the Florida panhandle, are experiencing a level of building activity and price increases that are clearly, in my view, unsustainable. Nearly every major Florida city now has experienced increases in the double-digit range, and some, like Miami, Palm Beach, Sarasota, and West Palm, have been reporting increases in housing prices on a year-over-year basis of between 25 and 30 percent. While our discussion yesterday did not seem to indicate a consensus on a national housing bubble, based on past experience I’m reasonably comfortable characterizing the housing feeding frenzy in some of our markets as being a bubble or a near bubble.

住宅の状況については昨日の午後長時間にわたって話したとおりである。いくつかのマーケットについて何度かの会合で報告しているように、特に南フロリダ沿岸やフロリダパンハンドルの地域で、記録的な住宅建設や価格の増加となっており、私の見方では持続的なものではない。ほぼすべてのフロリダの都市では住宅価格が1年で2桁の伸びとなっており、特にマイアミ、パームビーチ、サラソタ、ウエストパームでは25-30%もの値上がりとなっている。昨日の議論では全国的な住宅バブルについてのコンセンサスは示唆されなかったようだが、過去の経験に基づけば、いくつかのマーケットにおける住宅市場の過当競争はバブルか、バブルに近いと特徴付けるには合理的である。



For example, the number of major projects planned or under construction in Miami now totals 114, most of which are high-rise developments. That includes 61,000 condo units―eight times the number that were built in the last decade―and a total of 100,000 new parking spaces. I know we don’t have any process for introducing exhibits into the record, but I'd like to pass Dave Stockton this pictorial of the new projects in Miami, so that he can continue to worry a little bit along with me. [Laughter]

例えば、マイアミにおける計画、もしくは建設中である主要なプロジェクトは合計で114にものぼり、それらの殆どは高層開発である。それは61,000件のコンドミニアムユニット(過去10年間に建てられた8倍の件数)、そして合計で10万の新しいパーキングスペースを含んでいる。私は記録の展開ついて知る由もないが、マイアミにおける新しいプロジェクトにデイブ・ストックトンの絵を送ってやりたいと思っている(笑い声)。



My supervision and regulation staff thinks this is an accident waiting to happen in our area. And while the local market excesses probably do not represent systemic national risk, the shakeouts could have serious regional consequences. My bank supervision staff points out that housing-related credit risks to our bank lenders are not so much from defaults on permanent mortgage financing that we talked about yesterday, but rather from lending for land acquisition, development, and construction. The ugly picture we have seen before―and that they think we may very likely see again before long―goes something like this: the drying up of sales of new units; the painful decision of developers to go ahead and complete the construction of additional units to make them saleable, further depressing the market; and speculators who had hoped to see big capital gains walking away or defaulting on their contracts, giving their properties back to the lender. Perhaps it's because of where I sit, but I am less comforted than some of my colleagues about the housing situation. ...

監督及び規制担当者はアトランタ地区でアクシデントが待っているのではないかと考えている。地方の市場の行き過ぎは全国的なシステミックリスクではないのだろうが、住宅価格の暴落が地域に深刻な結果をもたらすのだろう。銀行監督のスタッフは、昨日話したように、銀行の住宅に関連付けられたクレジットリスクは、モーゲージファイナンスによるものではなく、むしろ土地取得目的の融資や開発、建設などのデフォルトによってもたらされると指摘している。我々が以前みてきた忌まわしい絵、そしてふたたび見ることになるかもしれないというのはこんな感じだ。新しいユニットの売上の枯渇、それは、開発者の痛みを伴う決定は先送りされ、売れるようにするために追加のユニットの建設を完成させる。さらに市場が抑圧されると、大きなキャピタルゲインを望んでいる投機家は逃げてしまうか、契約を不履行にしてしまう。おそらく、それが原因で、私は住宅の状況について何人かの同僚よりも、安心出来ないでいる。



CHAIRMAN GREENSPAN. Let's take a break for coffee.

グリーンスパン議長「コーヒーでも飲んで一息入れましょう」




アトランタ連銀のジャック・グイン総裁は前年にも低金利の影響から住宅バブルを警戒していた。そして2004年にFedは連続利上げのフェーズに入っていったのだが、2005年の会合においては、バブルがさらに加速し持続不可能な事態となっていることを憂慮し、その点をアピールしたものの、グリーンスパンに「コーヒーでも飲んで一息入れましょう」と言われて論議が遮られた、というニュアンスで取り上げられている。グリーンスパン議長はこの問題を隠蔽しようとしたのではないか?という声まであるようだ。


ところで、この時期のマーケットは短期金利は25bpずつの小刻みな利上げを続けていったことから上昇基調となっていたが、長期金利は全く上昇していなかった。


・FF金利推移(出所:Fed)


FedFundRate 20110115.


・10年債の推移(2004-2006年/出所:Fed)


UST10Y 20100115.


この時、グリーンスパン議長は長期金利の状況を"Conundrum"(なぞ)と評していたが、物価そのものは落ち着いており、インフレというべき状況ではなかった。また米国債の需給が良好な時期であり、長期金利が上昇する素地は少なかった。このようなことから、住宅バブルは過熱しており、これを沈静化させるために大幅な利上げを実施すれば、イールドカーブはインバースしてしまう


・2005年6月29日の米国債イールドカーブ(出所:Fed)


UST Yield Curve 20050629.


逆イールドとなってしまえば当然のことながら短期調達長期運用が原則の銀行にとっては利鞘確保が困難となりとなり、貸出そのものが落ち込んでバブルがハードランディングしてしまう恐れがあった。このため当局は小刻みな利上げを行い、長期金利の上昇を望んだのだが、一向に上昇せず遂に2006年7月にFF金利が5.25%に上昇したときに逆イールドとなり銀行の体力を削いだ。そして住宅バブルは弾け、ハードランディングとなった。


・2005-2007年の米国債の推移(出所:Fed)


UST 20110115.


2003年まで低金利だったのは、当時はITバブル崩壊によるリセッションの余波を残し、インフレ率は低く、失業率もまだ高い状態であったため、利上げするべき時期ではなかった。しかし、2004年に利上げを開始したときには既に住宅バブルが起こり、もはや十分な手立てを打つことが出来ぬままとなっており、ビハインド・ザ・カーブに陥っていたといえるのかもしれない。また、当局にとって、物価が落ち着いている中での有効なバブル対策を講ずるというのは難題だったのだろう。


グリーンスパン議長の肩を持つ訳ではないが、あくまで個人的な解釈として"Let's take a break for coffee"の意味とは、この時点では金融政策でとりうる手段はあまり多くなく、穏便に解決する(ソフトランディング)のは極めて困難だったことを示していたのではないかと思われる。



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カテゴリ: 金融危機回顧

タグ: 金融危機回顧  Fed  金融政策  FOMC 
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