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FOMC~議長会見でMBS追加購入の可能性を示唆 

11月1-2日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、現状の政策である、FF金利の誘導目標を0-0.25%に誘導すること、デュレーション延長プログラム(オペレーションツイスト)、満期を迎えるエージェンシー債及びエージェンシーMBS、米国債については再投資を行うことを決めた。また、FF金利については、少なくとも2013年の半ばまでは異例なほど低い水準に据え置かれることを正当化するという予測が示されている。事前に一部で観測されていた追加緩和については行われなかった。但し、シカゴ連銀エバンス総裁は現時点で追加的な緩和策を支持するとして、このFOMCの決定に反対票を入れた。


■声明文では現状の景気認識を上方修正


今回のFOMC声明文における景気認識は、2011年第3四半期のGDP速報値が2.5%の伸びに加速したことを受けて、


economic growth strengthened somewhat in the third quarter, reflecting in part a reversal of the temporary factors that had weighed on growth earlier in the year.

今年前半に成長の重石となっていた一時的な要因の反動という部分を反映して、経済成長は第3四半期にやや力強くなった。



としており、9月の声明文における、"economic growth remains slow"(経済成長は鈍いままである)という判断から上方修正を行なっている。また個人消費についても、これまで、


Household spending has been increasing at only a modest pace in recent months

家計支出はここ数カ月緩慢なペースでしか伸びていない



としていたが、今回は、


Household spending has increased at a somewhat faster pace in recent months.

家計支出はこの数カ月でいく分速いペースとなって増加した



としており、基調判断を上方修正している。このことから、現状は追加緩和を行うだけの経済環境ではないということを示している(但し、後述するが先行きの見通しは下方修正しており必ずしも追加緩和が適切ではないと判断しているわけではなく、エバンス委員は追加緩和を要求した)。しかし、労働市場については弱さが継続しているという判断は据え置かれ、企業の設備投資は伸びているものの、非居住用構造物投資は弱く、住宅セクターについては低迷しているという従来の判断を踏襲している。そして、先行きの経済見通しについては、


there are significant downside risks to the economic outlook, including strains in global financial markets.

経済見通しには強いダウンサイドリスクが存在しており、グローバルな金融市場の緊張を含んでいる



と前回会合と同様、先行きについてはダウンサイドに傾いていることを強調した。政策については現状維持で据え置かれたが、ハト派のシカゴ連銀エバンス総裁からは、


supported additional policy accommodation at this time.

現時点で追加的な緩和政策を支持する



として追加緩和を求めた。一方、前回までの会合で反対票を入れた、ダラス連銀フィッシャー総裁、フィラデルフィア連銀プロッサー総裁、ミネアポリス連銀コチャラコタ総裁は現状維持ということで賛成票を投じている。このことから、議事要旨を見ておく必要があるが、現時点で追加緩和について話し合われ、現状の経済見通しの上方修正との整合性の問題から現状維持を決める意見と、先行きの見通しがダウンサイドに偏り、成長率の予測も下方修正されていることから緩和政策を導入すべきであるという意見があったものと推察される。追加緩和策としては、恐らくMBSの追加購入とフォワードガイダンスの明示化(名目GDPターゲット)について話し合われたものとみられる。


■経済見通し


今回はFOMCの参加者による国内総生産(実質GDP)、インフレ率(PCEデフレータ)、失業率見通しが示された。以下はその中心値である。


Fed Projection 20111103.

Fed Projection Chart 20111103.


実質GDPについては、2011年6月時点の2.7-2.9%から1.6-1.7%に下方修正、2012年も3.3-3.7%から2.5-2.9%、2013年も3.5-4.2%から3.0-3.5%に下方修正されている。2014年についても3.0-3.9%の伸び率でしかなく、緩やかな成長が見込まれている。議長会見で下方修正の要因は住宅市場の低迷と欧州金融不安といったことを挙げていた。インフレ率については、PCEデフレータでは、2011年は6月の2.3-2.5%から2.7-2.9%に上方修正した一方で、2013年は1.4-2.0%に下方修正、2013年及び2014年は1.5-2.0%となっている。コアPCEデフレータについても6月時点で2011年は1.5-1.8%としていたが、11月時点では1.8-1.9%に上方修正し、2012年も1.4-2.0%から1.5-2.0%に上方修正している一方で、2013年は1.4-1.9%に下方修正を行なっている。インフレについては足元で商品価格の高騰からオーバーシュートしたものの、先行きについては商品価格の消散効果や賃金が伸びていないなどの理由から安定すると見込まれている。失業率は、2011年について6月時点では8.6-8.9%としていたが、11月時点で下方修正を行い、9.0-9.1%としている。また2012年は8.5-8.7%としており、失業率の低下ペースは徐々にしか低下していかないという見方を反映している。また長期見通しについてもこれまでの5.2-5.6%から5.2-6.0%としており、一部参加者からの構造的要因による失業を織り込んだ可能性もある(バーナンキ議長からも構造的な失業について言及があった)。


■議長会見


今回のFOMCでは経済見通しを発表したことから、記者会見が開催された。記者からの質問では、GDPターゲット導入の議論については、


We discussed using GDP target in policy decision, but no change right now



とし、内部で議論したものの、政策には反映していないと語った。これについては、今回反対票を投じたエバンス総裁の持論である、フォワードガイダンスのさらなる明示化という文脈である。また一部エコノミストからも導入される可能性について言及していた(FT Alphaville "Should the Fed target a nominal level of GDP?"参照)。しかし、これについては執行部からも、有意義なものであるとしつつも、慎重な見方が示されていた。イエレン副議長は以下のように語っている(Vice Chair Janet L. Yellen At the 2011 Annual Meeting of the Financial Management Association International, Denver, Colorado October 21, 2011 "The Outlook for the U.S. Economy and Economic Policy"より)。


The approach of numerically specifying the values of unemployment and inflation that could prompt policy tightening is not without potential pitfalls, however. For example, such thresholds could potentially be misunderstood as conveying the Committee's longer-run objectives rather than the conditions surrounding the likely onset of policy firming.

しかし、政策を引き締めることが可能な、失業率やインフレについての明示的な値を示すアプローチは、潜在的な落とし穴がないわけではない。例えばそのようなしきい値は、潜在的に、政策の引き締めの可能性について、その条件を取り巻く状況よりも、委員会の長期的な目標によってもたらされるといった誤解を招く可能性がある。




としており、政策の引き締めを行う条件は、あくまでもそれを取り巻く経済環境ではなく、Fedの長期的な目標によって決められると誤解してしまう可能性があることから、慎重な決定が要求されるとしている。つまり、言い換えれば誤解によって政策の柔軟性を奪ってしまうリスクが存在するということである。従って、執行部では現状前向きな議論を行なってはいるものの、コンセンサスを得られるには至っていないということであろう。


また、追加緩和の有力なツールである、MBS購入については、


the housing sector is important, i do think that purchases of MBS is a viable option

住宅セクターは重要であり、MBSの購入は実行可能なオプションである

We will consider further asset purchases of mortgage-backed securities if needed.

もし必要であれば、さらなるモーゲージ担保証券の購入について検討を行う。




としており、前向きな姿勢をみせている。しかし、現時点では景気見通しを上方修正したこともあるが、ベンチマーク金利である米国債の金利とモーゲージ金利とのスプレッドがさらに拡大しているわけではなく、10月に金融市場の緊張がやや緩和してからはスプレッドが縮小している。以下は米国債30年利回りとモーゲージ金利のスプレッドの推移である(出所:StLouis Fed)。


Motgage spread 29111103.


現時点ではエージェンシーMBSやモーゲージ債の償還資金でMBSを購入しているが、さらなる追加購入に迫られるような状況には至っていないという判断がある。しかし、モーゲージの借り換え促進というのはオバマ政権の懸案でもあり、ポリシーミックスとして金融面から住宅市場をサポートする必要性に迫られる可能性もある。今後このスプレッドが拡大し、リファイナンスの動きが鈍くなっていく傾向がより鮮明となった時点でMBSの追加購入という政策が行われる可能性は大きいように思われる。


また、経済予測を下方修正した理由については、以下のように語っている。


Severity of financial crisis and housing slump forced downward revision in economic outlook.

金融危機の深刻度合いと住宅市場の落ち込みが経済見通しを下方修正させた



としており、欧州金融不安の高まり、金融市場の変動と実体経済へのスピルオーバーのリスク、住宅市場の落ち込みが見通しを下方修正させているとしている。このことから、住宅市場を支援するための政策について、全体の経済を刺激するのに役立つというコンセンサスが形成されれば、追加のMBSの購入も検討されていくものと思われる。しかし、特定分野への介入は財政政策の領域に踏み込むのではないかという慎重論も根強い。


オペレーション・ツイストについての評価については、

Too early to assess impact of 'Operation Twist'

オペレーション・ツイストのインパクトを評価するのは時期尚早である




として現段階における評価の言及を避けた。2012年6月までの政策であるため、今後長短金利差などのベンチマークを使って計測していくことになろう。しかし、長期金利の決定要因は様々な要素が含まれており、政策だけでどの程度インパクトを与えたかについて判断するのは難しいようにも思われる。


今後はMBS追加購入がどのタイミングで必要とされ、また政策発動の障害となっている点について十分な説明責任を果たしながら、導入の方向で検討していくということになるのではないかと思われる。名目GDPターゲットについては、議事要旨の公開を待つ必要があるが、現時点で執行部に慎重な見方があること、強力に主張しているとみられるエバンス総裁の任期が12月で切れることなどから、導入についてMBS追加購入に比べややプライオリティは低いものと思われる。


■参考


・Fedバランスシート(出所:Cleveland Fed)


Fed balancesheet 20111103.



・FF金利先物のフォワードカーブ(出所:CME)


FFForword 20111103.



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カテゴリ: 市場視点

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