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欧州銀行のデレバレッジの動きが鮮明化~BIS国際与信統計(2012年3月分)より 

BISは昨年9月末の国際与信統計を公表した。この統計は主要国の銀行がクロスボーダー及び現地子会社等を通じて他国にどれだけの与信を行なっているかをまとめた統計である。昨年末に、「2012年の経済・マーケットを考える(2)~デレバレッジ 」というエントリでまとめたが、欧州金融不安の拡大により、欧州銀行のデレバレッジの動きが加速し、金融システムが脆弱な新興国経済にも影響を与えるのではないかという懸念があった。


欧州の金融機関がドル建ての資金を調達する場合、米国内にリテールを持つわけではないので、専ら市場調達に依存してきた。しかし、2007年以降の金融危機では、市場でのドルファンディングが困難となり、ドル建て資産の圧縮を余儀なくされた。その後各国中銀のドルスワップライン取極などの流動性対策が功を奏し、一旦はデレバレッジの動きは落ち着きを払っている。しかし、2010年からのソブリンリスクの進展、そして2011年に入るとそれに伴う欧州金融機関の流動性リスクが大きく意識されることとなり、欧州金融機関は再度ドル資金の調達難に陥った。特に2011年第3四半期は、欧州周縁国のソブリン債への懸念から、欧州の幅広い金融機関がドルなど外貨を調達できず、外貨建資産の圧縮を余儀なくされていたことが今回発表されたBIS統計で浮き彫りとなった


3月の統計において、クロスボーダー与信では、特に東欧向けの与信が減っていることが明らかになった。また、これまで与信の拡大が続いてきた中国は頭打ちとなり、インド及びブラジルでは与信が縮小してきている。以下はBRICs及び東欧向けのクロスボーダー与信の推移(出所:BIS Consolidated Banking Statistics、単位百万ドル)。

・BRICs

Cross-border Claims BRICs

・東欧

Cross-border Claims EastEurope


また、2011年9月末の国別の対外与信では、スペインの銀行がブラジル向けの対外与信を急激に縮小していたことが明らかになっている。昨年の6月末時点では、スペインの銀行はブラジルに対して2102.95億ドルの与信を行なっていたが、9月時点では1797.76億ドルにまで縮小している。これは、昨年夏以降のソブリンリスクの高まりで、スペイン国債のエクスポージャが大きいスペインの金融機関の外貨調達が難しくなりブラジル向けのエクスポージャを減少させたものとみられる。


国内の金融・実体経済面への影響については、中国、インド、東欧は国内与信(外国銀行の支店・現地法人による外貨建て及び地場通貨建ての国内与信)よりもクロスボーダー与信が大きいことから、こうした海外銀行の与信の縮小のインパクトは相対的に大きくなる。また、経常黒字国よりも経常赤字国のほうが、そうした影響をより受けやすくなる。新興国や東欧の経済については、昨年秋以降大きな減速がみられていることから、こうしたデレバレッジの影響を受けていると考えられる。新興国や東欧通貨は昨年の夏以降大きく売られ、かつ国内の金融・信用市場にも大きな影響が出てきている。例えば、クロスボーダー与信が大きく減少したハンガリーではM3が減少しており、信用の収縮が意識された。以下はハンガリーのM3の推移(出所:MAGYAR NEMZETI BANK、年率換算、1カ月ベースのインデックス)。


Hungary M3 20120316


実体経済面でも、こうしたデレバレッジの動きに加え、ユーロ圏を中心として世界的に景気減速が進行したことなどから、ハンガリーやチェコなど東欧諸国、インドやブラジルなど新興国でも2011年7-9以降景気減速が顕著となっている。また、新興国はインフレ傾向を強めていたことから中央銀行が金融引き締め姿勢を強めたことも影響している。以下はインド、ブラジル、東欧諸国のGDP伸び率の推移(出所:各国統計、YoY)。


EM GDP 20120316


2011年第4四半期についても、恐らく10-11月に掛けてデレバレッジの動きが加速していただろうと思われる。しかし、2011年11月に主要中銀がドルスワップライン取極の適用緩和や期間延長を行い、ドル資金の供給体制を強化した。またECBは12月と2月に3年物LTROを実施し、欧州の金融機関に大規模な流動性提供を行なった。このことから年初以降金融市場が安定し、ドルファンディングの環境は緩和されている。このことから2012年の第1四半期に掛けてはデレバレッジの動きが緩和に向かっていると思われる。(追記・加筆)また、欧州銀行が持っていたエクスポージャについてはアジアや米国の銀行が代替で融資したとBISではコメントしており、このあたりも緩衝材として機能している(ロイター「欧州銀行の資産圧縮、アジア・米系銀が代替で融資=BIS」参照)。しかし、欧州ソブリンリスクの動向が依然として不透明さが残り、金融市場の緊張が再び高まっていく可能性があること、依然として欧州金融機関のエクスポージャ自体は膨大であること、欧州金融機関の資本増強の動きなどを踏まえ、依然としてデレバレッジへの警戒感を払拭するには至らないものと考えられる。


【参考】欧州銀行の各国向け対外与信(出所:BIS)


・中東・アフリカ

ME and Africa_A 20120316
ME and Africa 20120316


・アジア・太平洋


Asia and Pacific 20120316


・先進国除く欧州


East Europe 20120316



・ラテンアメリカ


LAmerica 20120316


【用語について】

A国の銀行がB国に現地法人を持っていてその現地法人が現地企業や政府等に対して(外貨・現地通貨建て)与信を行なっている場合、それはA国の対外与信として扱う。対外与信は国際与信(国境を超えた(クロスボーダー)与信と外国銀行の支店・現地法人による外貨建ての国内与信)と外国銀行の支店・現地法人による地場通貨建て与信を合わせた与信のことである。


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カテゴリ: 市場視点

タグ: ソブリンリスク  欧州金融不安  マクロプルーデンス  新興国 
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