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3月米雇用統計~雇用増加のモメンタム低下 

4月6日に米労働省BLSは3月の雇用統計を発表した。以下は各指標である。


非農業部門雇用者数 +12.0万人
民間部門雇用者数 +12.1万人
失業率(U-3) 8.2%
週間平均労働時間 34.5h
平均時間あたり賃金 23.39ドル
U-6失業率 14.5%



以下は各指標の推移である(出所:米労働省BLS)


(1)非農業部門雇用者数増減(単位:千人)と失業率の推移


Unemployment Rate 20120407


(2)非農業部門雇用者数がリセッション前の水準を取り戻すまでの期間(WW2以降)


Payroll Recovery 20120407



(3)民間雇用者数(単位:千人)の推移


Private Payroll 20120407



(4)週次あたり平均賃金=時間あたり賃金*週間平均労働時間(単位:ドル)の推移


Wage 20120407



(5)27週以上の失業者数=長期失業者(単位:千人)の推移


Long Term Umemployed 20120407



(6)労働参加率(単位:%)の推移


Partcipation Rate 20120407



■ESTABLISHMENT SURVEY(事業者調査)


・非農業部門雇用者数は12.0万人増加となり、市場予想の20.1万人程度を大きく下回り、ヘッドラインとしてはネガティブサプライズとなった。1月は27.5万人増加と前回発表の28.4万人増加から下方修正、2月は24.0万人増加と前回発表の22.7万人増加から上方修正となった。民間雇用者数は12.1万人増加に留まり、民間雇用の伸び悩みが示唆された内容となっている。


・製造業は、3.1万人増加となった。うち、鉱山・掘削業は1千人増加、建設は7千人減少、製造工業(Manufacturing)は3.7万人増加、うち耐久財は2.6万人増加、非耐久財は1.1万人増加となっている。建設は住居用、非住居用で雇用が減っている。製造工業については、輸送用機械が13.0万人増加となっており、米国内で需要が高い自動車に関しては好調な雇用をキープしている。非耐久財では食品や紙・紙製品、化学等で雇用が増加している。製造業の雇用モメンタムは2月から加速しており、製造工業で雇用を確保しようとする動きが続いていることが示唆されている。


・サービス業では、卸売業が4.1千人増加、小売業が3.38万人減少、運輸・倉庫業が2.8千人増加、情報が9千人減少、金融業が1.1万人増加、専門職・ビジネスサービスが3.1万人増加(うち人材派遣は7.5千人減少)、教育・福祉サービスが3.7万人増加、観光・接客業が3.7万人の増加となっている。特に、GMSを中心とした小売業で雇用削減の動きとなっており、これが3月の民間雇用の伸びを圧迫した可能性がある。またここ数カ月の雇用増を大きく牽引した人材派遣で雇用が減っていること(2月は5.49万人増加であった)も減っていることも圧迫している。またヘルスケア・ソーシャルアシスタンスについても2.61万人の伸びに留まっているなど、サービス業で雇用の伸び悩みが色濃く映しだされた結果だった。


・政府部門は1千人減少となった。連邦政府は変わらず、州政府では2千人増加、地方政府では3千人減少となっている。地方政府については、教育で2.7千人減少し、非教育で0.2千人の減少となっており、横ばいといった格好となっている。雇用増に転じるかは未知数ではあるものの、雇用削減のモメンタムが低下してきている。以下は地方政府の雇用者の推移である(出所:BLS)。


Local gevernment 20120407


・非農業部門の週間平均労働時間は34.5時間、時間あたり平均賃金は23.39ドルとなった。2月に週間平均労働時間が34.6時間と上方修正されたことから、3月はわずかに減った格好となっている。そのため週間賃金についても2月の807.56ドルから806.96ドルに僅かながら減少している。以下は対前年同期比の時間あたり平均賃金の伸びである(出所:BLS)。


Average hourly Earnings 20120407



■HOUSEHOLD SURVEY(家計調査)


失業率は8.2(8.168)%となり、2月と比べて0.1ポイントの低下となった。


Household Survey 20120407


失業者が低下したのは、失業率を求める際の分母となる労働人口が16.4万人減少、分子となる失業者が13.3万人減少したことによる。そのため労働参加率は前月より0.1ポイント低下の63.8%となった。就業者についても3.1万人減少しており、非労働力人口が33.3万人増加したことを考えると、就業を諦め、労働市場から退出した人が大幅に増加したことが要因であろうとみられる。但し、性別及び年齢別の労働参加率をみると、男性は20歳以上で労働人口がやや増加しているものの、20歳以上の女性の労働参加率が59.3%と前月から0.3ポイント低下していることから、このうちの一部は育児休暇である可能性があることには留意したい。総じて3月の失業率低下については、労働市場からの退出が増加したという要因で低下した可能性が強いため、この点ではネガティブな失業率低下といえる。長期失業者(27週以上にわたって失業状態である人)は11.8万人減少の530.8万人となった。失業者全体に占める長期失業者の割合は42.5%となった。長期失業者は緩やかに低下しているものの、依然として歴史的に高い水準が続いているということが言える。



■3月雇用統計の評価とFedの動向


3月の雇用統計は概ねネガティブな評価が多いものと思われる。


ポジティブファクター:製造業で堅調な雇用増がみられたこと
ネガティブファクター:非農業部門雇用者数の増加が伸び悩んだこと、賃金の伸びが緩慢であること、労働参加率が低下したこと


特に、労働参加率が低下し、就業を諦めた人が労働市場から退出したことで、失業率が低下したというのはネガティブに受け止められる。2010年代以降に生産年齢人口が大きく減少していく日本であれば、今後労働参加率の低下に拍車がかかるというのは仕方がないという側面もある。しかし、米国では緩やかながらも生産年齢人口は伸びているため、労働人口が減少してしまうのは労働市場の判断としてマイナスとなるものと考えられる。以下は米国の生産年齢人口の推移である(出所:FRED)。


Working-age Population in the United States


リセッション後の回復過程において、経済成長率以上に雇用の回復(失業率の低下)が著しいということについて、現在様々な所で議論されている。3月27日にはバーナンキ議長は"Recent Developments in the Labor Market"という講演を行っており、関心が高まってきている。オークンの法則通りであれば、潜在成長率以上の成長がなければ失業率は低下していかず、例えば年間に1%失業率低下するのには4%の成長率が必要であるということである(議長講演より)。以下は2000年以降の毎四半期の実質GDP成長率と失業率の関係をグラフにしたものである(出所:Fed)。


bernanke20120326-slide5.jpg


特に2011年は線形からの乖離が大きくなっている。これは成長率以上に失業率が大きく低下したことを示しているが、これが何故もたらされているのか?というのが議長の言うところの「労働市場のパズル」ということである。この要因について、議長はいくつかの説を取り上げ、(1)現状見積もられているGDP成長率が上方修正されさらに速い成長を遂げていたという可能性、(2)失業率の低下が誇張されている可能性、(3)2008-09年の雇用削減がGDPのマイナス成長よりもあまりに大きかったためその反動増となっている可能性である(すなわち上記のグラフの2009年についても線形から大きく乖離しておりオークンの法則では説明できない雇用削減があった、ということである)。この中で、(2)の可能性について、議長は以下のように語っている。


Another logical possibility is that the decline in the unemployment rate could be overstating the improvement in the job market. For example, potential workers could be giving up on looking for work to an unusual extent. Because a person has to be either working or looking for work to be counted as part of the labor force, an increase in the number of people too discouraged to continue their search for work would reduce the unemployment rate, all else being equal--but not for a positive reason. A story centered on potential workers dropping out of the labor force might seem in line with the low level of the labor force participation rate. But other data cast doubt on that idea. For example, a broad measure of labor underutilization that includes people only marginally attached to the labor force has declined about in line with the unemployment rate since late 2010 . On balance, an assessment of a broad range of indicators suggests that a substantial portion of the decline in the unemployment rate does reflect genuine improvement in labor market conditions.

もう一つのロジカルな可能性として、失業率の減少が労働市場の改善を誇張したのではないかということである。例えば、潜在的な労働者はあまりに職を探す期間が長いため、職探しを諦めたかもしれないということだ。なぜならば、職を持っているか、職探しをしている人は労働力と見做され、あまりにも職探しがうまく行かないのでがっかりしたので、職探しを続けられない人が増加することは、他のすべてが等しければ失業率を低下させるが、ポジティブな理由ではない。労働力からドロップアウトした潜在的な労働者が中心となった話は、労働参加率の低い水準からみてとれる。しかし、他の指標ではこの考えに異議を唱えている。例えば、人々を限界的に労働力に接続させている労働力未活用割合といった指標は2010年以降失業率の低下に沿うように減ってきている。総じて幅広い指標の評価では、失業率の低下のかなりの部分は労働市場の状況において真の改善を反映させたものである。



すなわち、米国の労働市場の改善は様々な指標から確認できるものの、一方で労働市場の退出によるものであるという要因があり、今回の雇用統計における失業率の低下については上記の見方を補強するものであり、そういった意味でややネガティブなものであったといえる。そして、議長の講演において最も主張したかったことは、長期失業の弊害である。つまり、講演原稿を要約すると、次の通りである。


長期失業を経験した家計の半数以上は、費用を賄うため貯蓄や退職年金から資金を引き出し、半数は家族や友人から借金をし、3分の1は住宅費を工面するのに苦労させられている。また、長期失業は人々の健康にも悪影響を与え、調査によれば、失業者は、うつ病や脳卒中、心筋梗塞といったストレスに関連した疾患に対して高い疾病率となっている。また社会的なコストも大きく、高止まりする失業は、税収をなくし、雇用保険の増加や家族支援の他の支出の増大により公的なファイナンスを圧迫する。また技能の喪失は長期的に経済全体の生産余力を低下させる。


このことから、長期失業が彼らのスキルが奪われ、雇用のミスマッチを生み、労働力への執着を萎縮させ(labor force attachment atrophy further)、長期失業が構造的な要因に転換してしまうという結論を述べている。従って、今回の失業率低下が、長期失業の結果労働市場から退出する人が増加したという文脈で捉えられるとすれば、明らかにネガティブだろうと思われる。そしてリセッション期間中長期失業が増加したのは循環的要因、すなわち総需要の不足であるという見方を示していること(I also discussed long-term unemployment today, arguing that cyclical rather than structural factors are likely the primary source of its substantial increase during the recession.)からすれば、失業率がこの段階で減少したからといって、緩和的な金融政策を拙速に転換させることは出来ないものと考えられる


このことから、4月のFOMCにおいて、こうした議長の見方が執行部主流派の見方であるとすれば、金利パスを前倒しするFOMC参加者(数人は前倒しするものと考えられるが)は、中間派を中心にそれ程多く出るわけではなく、それ故フォワードガイダンスの前倒しには躊躇するものと考えられる。但し、(金利パスを前倒しさせる可能性がある)タカ派を中心として物価に軸足をおいた政策を求める参加者や景気認識について強気な参加者との間での相違は色濃く出てくるものと考えられる。


さらに、今回の雇用増加のモメンタムが低下したことは、3月のFOMC議事要旨で一部の参加者が留意していたことでもあった。


While recent employment data had been encouraging, a number of members perceived a nonnegligible risk that improvements in employment could diminish as the year progressed, as had occurred in 2010 and 2011, and saw this risk as reinforcing the case for leaving the forward guidance unchanged at this meeting.


最近の雇用の指標は勇気づけられる一方で、数人のメンバーは、2010年や2011年に起こったように、雇用の改善が、年が経つに連れ減衰する可能性といった無視できないリスクについて表明し、今回の会合でフォワードガイダンスを据え置くことを補強するものとしてこのリスクを捉えていた。



としていることから、2010年や2011年の年央に雇用が伸び悩んだことと同じようなリスクがあるのではないかとみていたことが分かった。今回の雇用統計において、非農業部門雇用者数の増加が12万人に留まったというのは、早くもそういったリスクが顕在化している可能性があり、今後数カ月の雇用の趨勢を待ってみる必要はあるものの、フォワードガイダンスを据え置くことが適当であるとする考えを強化するようなものであったといえる



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