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メモ:Fedのドルスワップ協定に関する考察~NY連銀のレポートより 

NY連銀のエコノミストであるMichael J. Fleming氏とNicholas J. Klagge氏が2007年から2009年1月にかけてFedが実施したドルスワップラインに関して興味深いレポートをまとめている。原文はNYFedのサイトより。


current issues
The Federal Reserve's Foreign Exchange Swap Lines



The financial crisis that began in August 2007 disrupted U.S. dollar funding markets not only in the United States but also overseas.To address funding pressures internationally, the Federal Reserve introduced a system of reciprocal currency arrangements, or “swap lines,” with other central banks. The swap line program, which ended early this year, enhanced the ability of these central banks to provide U.S. dollar funding to financial institutions in their jurisdictions.

(要約)2007年の夏から始まった金融危機はUSドルのファンディングが米国だけでなく、海外でも中断した。国際的な資金調達圧力に対処するため、Fedは相互通貨相互協定システム、言い換えれば他の中央銀行と「スワップライン」を導入した。このスワップラインは今年の年初に終わったが、海外の中央銀行がその管轄内の金融機関にドルファンディングを可能にさせた。


以下はレポートの要約・図は全てNYFedより。 一部意訳あり




■イントロダクション


2007年からの金融危機ではグローバルマーケットにおいてクレジットリスクが高まり、ドル調達ニーズ(ドルファンディングニーズ)が高まった。そして金融機関はインターバンクでオーバーナイトよりも長い期間での資金調達が困難になった。このためFedは2007年の12月にTAF(ターム物ローンファシリティ)を導入し、米国金融機関にとってラストリゾート(最後の貸し手)の役割を果たした。しかし、インターバンクが事実上凍結したことで海外との間でドルファンディングの圧力が高まった。そこでFedはスワップラインをECBとSNB(スイス国立銀行)との間で締結した。ここでは2007年から2008年までのドルスワップラインの変遷について述べていく。


■ドルファンディング市場の混乱


米ドルファンディングを行うインターバンク市場はグローバルに及んでおり、欧州や日本、あるいはいくつかの国の多くの銀行はドルの資産負債(AL/Asset and Liabilities)をドル建てで行っている。金融環境が正常であれば米国の銀行金利と同じようなスケジュールで借入・貸出が可能だった。しかし、2007年のパリバショックの際、ヘッジファンド解約の停止を受け、米国のサブプライム問題に絡んで金融機関のカウンターパーティリスクの見直しが行われ、銀行に流動性を確保する動きが強まった。2007年のインターバンク市場の混乱はLIBORや無担保融資レート、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)金利に反映していった。LIBOR-OISスプレッドの急激な上昇はインターバンク市場において、特に長い満期の資金調達はリスキーとみなされるサインとなっていた。


図1 3カ月ドルLIBOR-OISスプレッド


Chart 1


この期間の銀行が直面していたドルの調達圧力の要素はSIV(ストラクチャード・インベスト・ビークル)に資金繰りを提供するために必要だった。SIVはABCP(資産担保コマーシャルペーパー)などで資金調達をしてきたが、金融危機以降、SIVの資産劣化により彼らが発行するABCPの価格が急落、銀行は代替的な資金繰り策を見つけなければならなくなった。


図2 ABCP残高


Chart 2


その結果、米国と海外の銀行が保有する資産のクオリティについて懐疑的になっていったことで、ドル資金の供給量が落ちていったことは、とりわけ(ドル資金調達をインターバンクに大きく依存していた)海外の銀行にとって不利益を被ることになった。


■相互通貨体制の導入


2007年12月にFedはECB及びSNBに相互通貨スワップ協定を締結した。Fedはこの制度について、同時期に創設されたTAFに似たような、短期金融市場の金利上昇圧力に対処するために意図されたものだとプレスリリースで指摘した。スワップ協定は、(1)海外中銀がスワップラインを利用するときに、指定した通貨量をFedに一般的な市場で決められた為替レートで売却し、ドルに交換する。(2)同時にFedと海外中銀は将来同じ為替レートで通貨を買い戻す義務契約を締結するといったものだった。それによって海外中銀が管轄の域内の銀行にドル資金を供給することを可能にした。その効果の期待としては、海外の金融機関のロールオーバー(借り換え)のリスクを軽減し、ファンディングコストの予測可能性の高まりがあった。


しかし、効果は限定的だった。ドルスワップラインは不良銀行とって、その銀行が直面している損失を軽減するため、あるいは銀行の資本を強化するために、信用を供与する目的で作られたものではなかった。さらには運用面でいくつかの問題点があった。そのためFedはドル資金を提供するために様々なこと(T-Billなどの保有を減少させることになど)を行った。そして今回のスワップラインは前例のないものになった。2001年の同時多発テロの場合は期限が30日間であったが、2007年のものは最大6ヶ月間となった。


■スワップラインの過程


第1フェーズ:2007年12月12日-2008年9月17日


・TAFの海外への拡張としての役割
・ECBとの間で1カ月、後に3ヶ月、「ストップアウトレート("Stop-Out Rate")」で固定レート入札
・SNBとの間では可変レート入札方式(できるだけ小さな金額で実施)
・ベアー・スターンズ破綻直前は資金需要がなかったが、それ以降は増加していく。
・スワップラインのドル資金の金額に制限を設ける


図3 ECBの1カ月オークションにおけるドルファンディング需要(2007/12/17-2008/9/9)


Chart 3



第2フェーズ:2008年9月18日-2008年10月12日


・リーマン・ブラザーズ破綻により通貨スワップ協定を即時に拡大
・利用枠を670億ドルから6200億ドルに10倍程度にまで拡大


図4 スワップラインの利用残高


Chart 4


・BOEも追加、既存の1カ月・3カ月物に加え、オーバーナイト物、1週間物を追加


図5 スワップラインの期間別利用残高


Chart 5


・これらの中銀は調達市場の高まる圧力を緩和するためにドルの流動性を調整することが出来るようになった。


第3フェーズ:2008年10月13日-2010年2月1日


・金融市場の環境悪化が続き、ドルスワップラインの第3段階に突入、BOJとも締結
・1週間・1カ月・3カ月物に関してはドル供給量の上限撤廃
・さらに5中銀とスワップライン締結
・2008年12月10日には5800億ドルの残高となり、Fedの総資産の25%を占める
・2009年を通じてみれば、金融市場の環境の改善から着実に需要が低下していった。


■海外のドルファンディング圧力に対する措置


3つの指標でドルスワップラインのパフォーマンスを測定した。


(1)海外銀行のドルLIBORスプレッド


図6 3カ月物の海外銀行のドルLIBOR金利と米銀のドルLIBOR金利のスプレッド


Chart 6


・2007年の夏にマーケットの混乱が始まると、スプレッドが上昇し始める
・ECB・SNBとドルスワップラインを締結するとゼロ近辺まで戻った。
・2008年の4月の初めからスプレッド再拡大。ユーロ圏でドルファンディングの需要が高まる
・2008年9月15日のリーマン・ブラザーズのChapter11で前例の無いレベルにまで拡大する
・2008年の10月中旬に4つのスワップラインの金額上限撤廃を受けてスプレッドに影響し始めていく
・ドル融資の総量が2008年11月から増え始める
・2009年1月後半になると、このスプレッドは2-6bpの範囲内で安定していく


(2)Dollar basis


欧州の銀行は、ユーロ市場でのドルファンディングだけでなく、外為市場でのドル通貨スワップの支払能力がなかったので、インターバンク市場でドルを借り入れるのが困難だった。この入札の影響について、ユーロ市場で直接にドル資金を調達するコストと、外国為替市場で間接的に調達するユーロドルの通貨スワップコストで組み合わせられるトータルコストを用いることにした。このスプレッドは「ドルベーシス("Dollar basis")」として知られているが、海外の借り手の米ドルの相対的なストレスの尺度を提供しているものである。ドルベーシスは海外のドルLIBORスプレッドと同じようなパターンで推移している。2007年の夏まではゼロ、2007年12月まで上昇し、2008年3月までゼロに戻って、2008年のリーマン破綻の時に前例の無いレベルにまで上昇していき、そして2008年末にやや落ち着いていった。2010年の1月までは適度な高い水準に推移したままである。海外銀行のドルLIBORに比べてドルベーシスが落ちていないのは、欧州にあるリスクの高い金融機関がユーロ市場でLIBOR金利で借りることが出来なかったからだろう。


図7 ドルベーシスの推移


Chart 7



(3)海外中銀のオーバーナイトのドルオペレーションの貸出レート


ドルスワップラインの第2・第3フェーズにおけるECB、SNB、BOEで実施したオーバーナイト物の入札金利(可変レート)は、海外のドルファンディング市場の圧力に関していくつかの洞察を提供している。


図8 海外中銀のオーバーナイト「ストップアウト」金利と実効FF金利のスプレッド


Chart 8


特にこれらの入札の「ストップアウト」金利は2008年の9月末にファンディング圧力がかかっており、9月末まで高い需要があった。ファンディング圧力は再度10月7・8日にEUで上昇している。それ以降の第3フェーズでは緩和されている。全体的に見れば、金融危機におけるスワップラインプログラムの通知やオペレーションがドルファンディング市場の緊張を効果的に緩和させていることがわかる。


■結論


2007年後半から米ドルのファンディング市場機能は信用と流動性懸念の高まりによって障害に陥っていた。銀行間融資の減少は、特に米国以外の銀行がバランスシート上のドル建て資産、特にSIV資産への資金提供を困難にさせた。直接的な貸し手であるFedは米銀のファンディング圧力を減らしていくためのチャネルを持ったが、海外の銀行のドルファンディング圧力を緩和させなければインターバンクの貸し手は凍結したままだった。その結果Fedは海外中銀とスワップラインを締結し、外貨準備を減らさずに、もしくは、直接的なオープンマーケットで取引することなく、海外中銀を米ドルの流動性のラストリゾートとしての貸し手にさせた。Fedは2008年の秋にかけてスワップラインの量を増大させ、5800億ドルの残高(Fedの総資産の25%)となったが金融市場の緩和によって2010年のプログラム終了までに需要は減少していった。


初期の兆候は、スワップラインが海外のドルファンディング市場の緊張を緩和させるのに役立ったことを示唆している。スワップラインの通告とオペレーションはこれらのマーケットの混乱を沈静化させるのに関連付けられていた。ドルファンディングの圧力は金融危機の間は高まり続けたものの、スワップラインプログラムの下、ドルの貸出は緩やかに増加していった。さらに金融危機が後退すると、スワップラインの使用が大きく減少していったというのは、市場の状況が改善した時、スワップラインが民間の資金調達に目処がついたことを示唆している。



以上が抄訳である。ドルは不足するとかなり「まずい状態」に追い込まれるということは金融危機から学んだことである。そのためにFedは各国中銀とドルスワップラインを締結し、安定したドルファンディングを可能にさせた。つまりこのドルスワップラインとは米国内の金融機関に適用する流動性対策と同じことを海外の金融機関に対しても行ったわけであり、それゆえリーマンショックが世界恐慌に波及しなかったことに貢献していたといってもよいのかもしれない。ドルはグローバルな決済通貨であり、それが不足すると経済的に様々な悪影響が出る。銀行だけでなく、一般企業も決済遅延が起きれば、手元流動性が枯渇し破綻を余儀なくされるのであり、そういった連鎖を食い止めたという意味でこのドルスワップラインの持った意味は大きい。同時に、Fedは世界で最も流通している決済通貨を発行しており、グローバルの金融市場に目配りをしなければならない義務を負っている事情も浮き彫りにしたものと思われる。


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