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ECB shoots "Nuclear Option"~ECBの国債買い入れとドルスワップライン再締結 

今日の東京市場は株式が反発、債券市場が下落、外為市場はユーロが買われる展開となった。株式市場ではEUやIMFがギリシャ債務危機の波及を防ぐために最大7500億ユーロ規模の緊急措置を講じることで合意したことや、ECBの国債買い入れ措置及び各国中銀のドルスワップライン再締結を好感し、買い戻しが優勢となった。債券市場は株高や10年債入札を控えて売りが膨らむ格好となった。外為市場では一連のEU・ECBの措置を受けてユーロが買い戻され、1.30近辺まで買われる展開となった。


本日の相場の雑感としては、とりあえず喫緊の問題に関してECBや各中銀の取った措置に関して喝采を送るべきだろう。特にこれだけスピーディーにかつ果敢にも国債買い入れに動いたECBの決断を評価したい。マーケット的にも現時点においては「満額回答」ではなかったかと思われる。


まず、本日欧州当局で決まったことは以下の通りである。


(1)財政危機における措置
ユーロ圏加盟国が比例配分で保証する特別目的事業体(SPV)を創設(4400億ユーロ)
・欧州安定メカニズム(600億ユーロ)
・IMFが2500億ユーロの支援


(2)ECB・各国中銀の措置
・ユーロ圏の政府債及び民間債券をセカンダリーマーケットで購入・流動性吸収オペ
ECB、3カ月物、6カ月物のリファンディングオペを固定金利で無期限供給
Fed・ECB・BOJ・BOC・BOE・SNBとドルスワップラインの再締結


財政支援に関するものは7400億ユーロもの資金枠を用意しているので、いわゆる2008年に米国の金融機関を救済するために設立されたTARPの金額よりも大きい。このことから本格的に財政のセーフティネットを張ったという感じだろう。但し財政の問題に関してはデフォルト懸念を和らげる程度であり、今後のソブリンリスクの波及如何によって再度市場は催促する可能性がある。


それ以上にECBの取った措置は大きかったと思われる。まず、ユーロ圏の政府債及び民間債券の買い入れに関しては、ECBの声明文は以下のとおりである(邦訳はロイター参照)。


10 May 2010 - ECB decides on measures to address severe tensions in financial markets

The Governing Council of the European Central Bank (ECB) decided on several measures to address the severe tensions in certain market segments which are hampering the monetary policy transmission mechanism and thereby the effective conduct of monetary policy oriented towards price stability in the medium term. The measures will not affect the stance of monetary policy.


1.To conduct interventions in the euro area public and private debt securities markets (Securities Markets Programme) to ensure depth and liquidity in those market segments which are dysfunctional. The objective of this programme is to address the malfunctioning of securities markets and restore an appropriate monetary policy transmission mechanism. The scope of the interventions will be determined by the Governing Council. In making this decision we have taken note of the statement of the euro area governments that they “will take all measures needed to meet [their] fiscal targets this year and the years ahead in line with excessive deficit procedures” and of the precise additional commitments taken by some euro area governments to accelerate fiscal consolidation and ensure the sustainability of their public finances.
In order to sterilise the impact of the above interventions, specific operations will be conducted to re-absorb the liquidity injected through the Securities Markets Programme. This will ensure that the monetary policy stance will not be affected.


2.To adopt a fixed-rate tender procedure with full allotment in the regular 3-month longer-term refinancing operations (LTROs) to be allotted on 26 May and on 30 June 2010.


3.To conduct a 6-month LTRO with full allotment on 12 May 2010, at a rate which will be fixed at the average minimum bid rate of the main refinancing operations (MROs) over the life of this operation.


4.To reactivate, in coordination with other central banks, the temporary liquidity swap lines with the Federal Reserve, and resume US dollar liquidity-providing operations at terms of 7 and 84 days. These operations will take the form of repurchase operations against ECB-eligible collateral and will be carried out as fixed rate tenders with full allotment. The first operation will be carried out on 11 May 2010.




まず、1.に関してはユーロ圏証券市場の流動性の確保のため、証券市場プログラム(SMP)を導入するとしている。但し、供給した流動性を再吸収する特別オペを実施する(不胎化)としている。これはQuantitative Easing(量的緩和)ではなく、純粋なCredit Easing(信用緩和)である点が特徴付けられる。このQEとCEの違いとは、牛さん熊さんブログの「量的緩和政策と信用緩和政策」のエントリに詳しく書かれているが、要点を整理すると、


QE・・・中銀資産に安全な資産を計上し、超過準備を供給する(=中銀のバランスシート拡大・マネタリーベースを意図的に増加)
CE・・・クレジットリスクのある金融資産を計上すると同時に、超過準備は吸収する(=バランスシートは一定・MBの増減はなるべくフラット)。さらにクレジットスプレッド(国債利回りに対する上乗せ金利)を縮小させるための意味合いもある。以下の例図のイメージ。


Image: Credit Spread


このような違いがある。FedのMBS買い入れはクレジットスプレッドをタイトニングさせることが主眼であったが、バランスシートを膨らましているので純粋なCEとはいえず、QE的な側面も含んでいたものと思われる。今回のECBの措置において、独連邦債(ベンチマーク的位置付け)とPIIGS債とのスプレッドを縮小させることが出来れば、その金融機関のターム物金利市場でのファンディング圧力が大きく低下していくことが期待される。さらに金融機関のエクスポージャーからPIIGS国債などをセカンダリーマーケットで切り離すことができるので、流動性不安を和らげることが期待できる。従って、このSMPは単なるマネタイゼーションという意味合いではなく、金融機関が流動性不足に陥ることを阻止するためのスキームである。但し、この政策は以前から指摘しているように"Nuclear Option"なので様々な副作用も出てくる。インフレに関してはMBを増やさないのでそれ程懸念することはないが、マネタイゼーションでもあるため中央銀行の独立性が問われていくことや、ECBの資産は確実に劣化していくだろう。


さらに4.のドルスワップラインの再締結に関しても迅速だったと思われるが、この点については2月5日のエントリ、「Fedの早期出口戦略とそのハードル」で指摘したことである。その時に指摘したことは以下の通りである。


2010年は10兆ドル規模の欧州金融機関から旧東欧諸国を含む欧州の国々への融資貸出資金額の約30%以上が借り換え期限を迎えるため、欧州各国はドルのリファンディングが必要となる。つまりこの1年は恒常的にドル不足となるのだが、あまりにも需給がタイトすぎるとファンディングに失敗する可能性がある。そうなれば欧州のソブリン危機がますます深刻化していく可能性がある。従って、危機が深刻化した場合、Fedは何らかの形で流動性供給を再開していかなければならないのかもしれない。2月1日に各国中銀とのドルスワップ取極をやめたが、場合によっては再度復活せざるを得ない局面も想定される。



2009年以降ドルスワップラインの利用は低下したので1月末で各国中銀はこの政策を打ち止めたが、足元のドル需給の逼迫(LIBOR金利などに現れている)から流動性不足を緩和させるための手段として取り入れられた。今回はFedとの一時的な流動性スワップ枠を再発動し、7日物と84日物の米ドルを供給するオペを実施するとしており、これらのオペは、ECBの適格担保付の買い戻し条件付きで実施し、固定金利で無制限に資金を供給するものとしている。ドルスワップラインに関しては4月25日のエントリ「メモ:Fedのドルスワップ協定に関する考察~NY連銀のレポートより」に書かれているので詳しくはそちらを参照して欲しいが、自国通貨を預け入れることと引き換えに予め定められた一定のレートでドルを融通してもらうことなので、米国外の中銀は安定的に金融機関にドルを供給することが出来るようになる。これによりある程度ドル需給の緩和が期待できる。


このような中銀の措置によって欧州市場で株式が急騰するのは当然のことかもしれないし、ユーロも買い戻されている。但し、ソブリンリスクはこれからさらなるストーリーを用意しているものと思われ、これで全てが解決したと判断してはならないだろう。ECBの政策の効果が切れたとき、市場は再度催促を迫る局面もあるため、その時点で取りうるカードを準備しておくことも重要だろう。また、Fedに関してはこの政策発動によって自らの出口戦略のスケジュールが後ずれするリスクはそれ程大きくはないものと思われる。ギリシャ問題がグローバル経済に波及すれば大きな脅威となりうるが、今のところはリスクファクターのうちの一つとして留意している、という感じなのだろう。むしろFedにとって、さらに世界経済にとっての最大のリスクは中国など新興国のモメンタム低下への懸念だろうと思われる。


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カテゴリ: 市場視点

タグ: ECB  ソブリンリスク  金融政策  Fed  BOJ  ドル  ユーロ 
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