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FOMC Preview~遠ざかる「利上げ」への道 

今日の東京市場は株式が反落、債券は反発、外為は人民元に振らされる展開となった。株式市場では、昨日のNY市場が反落したことを受け朝方から利益確定売りが先行し、人民元が売られると下げ幅を広げる展開となった。債券市場は株安や政府が公表した中期財政フレームで財政規律維持の姿勢が示されたことから買いが入り、JGB10Yは2営業日ぶりに1.2%を割り込んだ。外為市場では人民元の動向に振らされる展開、対ドル基準値が6.9780RMBとなったことからドルが売られユーロに買いが入ったものの、人民元が売られると往って来いの展開となった。その後も人民元の動向に左右される展開が続いている。


人民元については弾力化により基準値から0.5%の変動が許容されているので、この間で動くことになるが、当然のことながらこの範囲内であれば売られても原則介入は行わないのだろう。そしてバスケット制によるフローの変化を狙って各通貨が動くことになるので、人民元の対ドルレートはアジア時間で相当意識されることになっている。特に基準値が公表される10時15分の時間帯に関しては各通貨ともに変動が大きくなってきている。


本日から米国ではFOMCが開催される。今回のFOMCにおける焦点とは、年内利上げが行われないということをある程度まで市場に織り込ませるといったことになる。かつてシカゴ連銀のエバンス総裁は"for an extended period"の期間がどの程度なのかという質問に対して「FOMC3-4回分」というように答えている(Bloomberg"シカゴ連銀総裁:金利維持「長期はFOMC3-4回分」-CNBC"参照)としている。この文言にはこだわらないとその後の議事録には示しているものの、市場が捉える期間としてはこの発言を根拠としており、"for an extended period"が別のフレーズに切り替わって3-4回の会合を経て利上げを行うということになると市場ではみている、ということになるのだが、FOMCのスケジュールは以下の通りである。


June 22-23
August 10
September 21
November 2-3
December 14


今回、ステートメントでその時間軸政策の文言を別のフレーズに置き換わらなければ、11月の中間選挙まで利上げが出来ないことを考慮して、少なくとも12月に利上げが行われるという見方を否定してしまうことにもなる。つまり、今回の声明において、


The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period.



この一文がそのまま維持されるのであれば年内の利上げはほぼ行われないという見方が支配的になる。ではこの一文にある時間軸政策を決める3条件である、"low rates of resource utilization"(低水準の資源活用)、"subdued inflation trends"(インフレ傾向の抑制)、"stable inflation expectations"(安定したインフレ期待)を覆す状況証拠が出てきているか?ということになるわけだが、これは足元で何も出てきていないというのが現状の認識だろう。低水準の資源活用に関しては、例えば、設備稼働率が依然として低い状況となっている。以下のグラフは設備稼働率の推移(出所:StLouisFed)。


TCU


確かに足元を見れば確実に回復はしてきているが、それでもなお2000年のITバブル崩壊後のボトムのレベルに到達したに過ぎず、未だに低い状況が続いている。設備稼働率というのは隠れインフレ指標であり、


金融緩和→景気刺激→貸出増加→設備稼働の高まり→ストックインフレ


となるロジックである。同様に雇用も然りで、失業率が10%近い状況であり、5月の民間雇用者数が4月に比べて大幅に鈍化していること、新規失業保険申請件数が下げどまらないこと(=失職もそれなりに多いということ)、賃金上昇のバイアスが全く掛かっていないことなどから、基調判断で「改善している」としても利上げを行えるほどのものであるとは言いにくい。


そして「インフレ傾向の抑制」であるが、これに関しては足元の数字を見ればむしろディスインフレ的な傾向を示しており、それがゆえにこの条件を覆すだけのものは何も出てきていない。以下のグラフは米国のコアPCEデフレータの推移である(出所:StLouisFed)。


PCE CORE


Fedが適当としているコアPCEデフレータの水準はおおよそ前年比2%程度とされており、現状の水準であればインフレという状態からは程遠く、むしろCPIがマイナスに振れているように、ディスインフレ的な傾向がみられる。引き続き物価については低位安定という認識を示した上で"for an extended period"を容認出来るだけの根拠となっていくのだろうと思われる。さらに「安定したインフレ期待」ということについてであるが、これも例えばFedがよく注視しているといわれているミシガン大学消費者信頼感指数の5年インフレ期待指数が急上昇しているわけでもなく、消費者のインフレ期待というものも出てきているわけではないし、市場においてもFedが重視する5年BEI(ブレークイーブンインフレーション)も低位安定している。


ミシガン大学消費者信頼感・5年インフレ期待指数(出所:Bloomberg)


MIIF5YR


BEI5Y(出所:Bloomberg)


FED5YR


このようなことから、今回も"for an extended period"というフレーズが残されるものと思われる。この文言が外れたり、あるいは別の言葉に置き換わるようなことがあれば市場は一気に利上げモードに突入するが、欧州における金融不安が高まっており、銀行間取引が緊張状態にある現状においてはそのように市場を誘導させてしまうことはリスクが大きいものと思われる。従って、利上げの時期に関してはかなり後ズレしそうな雰囲気もある。少なくとも時間軸政策を取ってしまった以上、市場追認型の金融政策、すなわち市場のムードとして利上げ賛成と言わない限りFedも乗り出せない、ということになってしまっているので、現状の金融環境ではなかなかそれから逸脱した行為も行いにくいということになるのだろう。


他の注目点としては、引き続き夏の終わりまでに政策金利を1%にすべし、としている(=ZIRP反対派)カンザスシティ連銀ホーニグ総裁以外のメンバーで反対票を入れる人物が出てくるかどうかというところであるが、これは何とも言い難い。セントルイス連銀ブラード総裁がタカ派であり二票目を入れるメンバーとなりえるのだが、この人物は利上げの前に資産売却を行うべしというスタンスであるため、今すぐに利上げに舵を切らなくてもよいと考えるならば別にホーニグ総裁に同調することもなかろう、という感じもする。従って、今回のFOMCも「無風」である可能性が大きいが、それは遠ざかる「利上げ」ということも意味する。個人的な印象からすれば、Fedは一度目の利上げのチャンスを完全に逃しており、再びそのチャンスが訪れるのは欧州の問題のほとぼりが冷めるまでということになるので、それなりに時間がかかるという感じで捉えている。利下げのカードすら無く、金融政策の選択肢がかなり狭まっているというリスクを抱えながらZIRPを継続せざるを得ない状況となっているということを考えると、現状のFedは「時は得難くして失い易し」ということになっているのかもしれない。


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