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ソロスのドイツ批判~G20の争点 

今日の東京市場は株式が続落、債券も反落、外為は方向感に乏しい動きとなった。株式市場ではNY株安から朝方から売り物が出され、その後はポジション整理の動きとなった。債券市場は直近の金利低下ピッチの速さに対する警戒感から売られるものの株安が下支えした。外為市場では人民元高からドル売りは出されるもG20を前にして積極的なポジションを取ることは手控えられた。


そのG20を前にジョージ・ソロス氏が24日付けのFTに興味深い寄稿を行っている。以下はその要訳である(一部意訳)。


source: Reuters
Source: Reuters



Germany must reflect on the unthinkable
ドイツは今までにない反省を行う必要がある

By George Soros


ドイツは欧州の統合の中心にとなった。ドイツの政治家は独立した外交政策を持たず、欧州のポリシーしか持っていない。ベルリンの壁が崩壊したのち、指導者は、東西ドイツ統合が欧州の統合というコンテキストを可能にするということを自覚し、そして欧州の受容性の安定さを喜んで犠牲にさせた。ドイツは他国よりもより重要な貢献を果たしり、それゆえ合意を促進させた。

それらの日々は過ぎ去り、ユーロは危機の中にあり、ドイツは主要な中心人物である。ドイツ人はもはや豊かだとは感じていないし、それゆえヨーロッパの残りのための「深いポケット(豊富な資金)」を提供し続けたくない。この考えの変化は理解可能であるが、しかし、それは欧州の統合のプロセスを迷走させることになるだろう。

ユーロは発足から不完全な通貨であった。マーストリヒト条約は政治連合ではなく金融の連合として造られた。すなわち中央銀行は存在するが、中央の財務省は存在しない。

本意ではないが、ECBが全てのユーロ圏諸国のソブリン債をディスカウントウインドウで一定期間引き受けるまで、この事実は曖昧だった。結果として、ユーロ圏メンバーは事実上ドイツと同じ金利で借り入れることが可能になった。ECBはおそらくリスクフリーのアセットで小銭を稼ぐことにハッピーであり、弱小の政府債をバランスシートに抱えることになる。

トラブルの第一の兆候は2008年のリーマン・ブラザーズの破綻の後に出現した。それは、10月のパリでのEU財務相緊急会合で、他に金融システミック上重大な破綻を許さないために政府保証を与えることを決めた時だった。しかし、ドイツのメルケル首相は欧州広域の保証に結びつけることに反対したため、それぞれの国が自国の銀行を救済しなくてはならなくなった。

金融市場は、政治家がその違いに気づくことが困難だった保証によって痛手を被ってしまった。似たような保証を受けられない国からキャピタルフライトが起こったが、とりわけハンガリーやバルト海諸国のような東欧が混乱に見舞われ、救済するのが困難だった。

今年になってのことだが、金融市場がソブリンの重債務に懸念を抱き始めたとき、金利差は拡大し始めた。ギリシャは、新政権が前任者による2009年の財政赤字の規模の虚偽を暴いたとき、警戒の的となっていった。

欧州当局は対応に遅れてしまった。なぜならばユーロ圏メンバーは異なる見解を持ち続けていたからだ。フランスや他の国は連帯を示すことに歓迎の意を表したが、20世紀における物価暴走のトラウマを持つドイツはインフレ圧力の如何なる構築に対してもアレルギーを持っていた(実際、ドイツはユーロの採用に合意したとき、新通貨の価値の維持のため強力な保護を求めており、ドイツの憲法裁判所はマーストリヒト条約における財政への救済の禁止を再確認している)。

さらに、2009年9月の総選挙に直面したとき、ドイツの政治家は逆行してしまった。ギリシャの危機はひどくなり、他の債務国に広がっていった。欧州の指導者が最終的に行動を起こしたとき、彼らは率先して拡大した救済パッケージの提供を行うべきだった。さらに市場を安心させるために、当局は欧州各国の5000億ユーロの拠出とIMFの2500億ユーロの拠出を合わせた7500億ユーロのユーロ圏金融安定化ファシリティを創りだす義務を感じた。

しかし、市場は安心していなかった。なぜならドイツは救済の観点で指示を行ない、何かしらの懲罰的なものをつくろうとした。さらに高い失業率の時に財政赤字の削減を行えば、失業率が増大すると投資家は正しく認識していたが、ドイツは財政再建をより厳格化させようとした。予算の目標が達成できたとしても、それらの国が如何にして競争力や成長を取り戻すのかは困難なことである。通貨の切り下げが出来ない中で、調整のプロセスは賃金や物価を押し下げ、デフレの恐怖を想起させる。

現状の政治は直接的にユーロ圏に1930年の大恐慌時の教訓と矛盾したことを背負わせているし、長期間経済の停滞もしくは悪化を欧州に押し付けるリスクがある。言い換えれば、不満や社会不安を発生させるだろう。最悪のシナリオでは、排斥主義やナショナリスト過激派の発生によってEUは無力化されるか破壊されるだろう。

もしそういったことが起こった場合、ドイツは責任の大部分を負うことになるだろう。ドイツは強い通貨と均衡が取れた財政について責めを負うことが出来ないが、最も強く信用面で信頼が置ける国として、それは他の欧州諸国に対して覚えのないデフレ政策を無理強いさせることになる。ドイツの政府はドイツの政治が他の欧州諸国に害を引き起こさせることに気づかないだろう。

ドイツ人は以下のような思考実験を考慮してみるべきだ。つまりユーロからの撤退を。再構築されたドイツマルクは暴騰し、ユーロは暴落するだろう。他の欧州諸国は競争力を取り戻し、困難な道から抜けだして成長することが出来るだろう。しかし、ドイツはオーバーバリューな通貨をもつことの痛みがどのくらいあるのかを見出す。貿易の均衡はネガティブなものとなり、失業を拡大させるだろう。銀行は激しい為替差損により痛みを受け、公的資金の注入を必要とするだろう。しかし、政府はギリシャやスペインの銀行よりもドイツの銀行を救済する方が政治的により満足する。そして他の保証があるだろう。それは経済回復のためにスペインの不動産を救済するならば、ドイツの年金受給者はスペインを退かせ、王様のように生きていくだろう。

もちろん、これは純粋な仮説だ。もしドイツがユーロから離脱するならば、政治的な結果は想像できないからだ。しかし、思考実験は現実に起こっていることについて想像できないことを防ぐのに役立つだろう。


The writer is chairman of Soros Fund Management



以上が要訳。


ドイツを単独行動主義に傾斜しているとして批判したこの寄稿の内容に関しては様々な批判もあるだろうが、基本的にこの内容はG20前に緊縮財政をEU諸国に求めるドイツへの牽制がある。緊縮財政を行えば景気は低迷することになり、それが世界経済のダブルディップ懸念として特に米国サイドで警戒を持たれている。ガイトナー財務長官とサマーズNEC委員長はWSJに共同で寄稿(WSJ「【寄稿】G20会合、景気回復強化が焦点に=ガイトナー米財務長官ら」参照)し、G20諸国が財政赤字の削減を急ぎ過ぎれば、世界経済が再び景気後退に陥る恐れがあるとの認識を示しており、ソロス氏はこの流れを受けてG20前にドイツを名指しで批判している、という構図である。


例えば、債務問題により市中金利が上昇し、クラウディングアウトに陥り、金融機関のリファイナンスさえもままならないスペインに対して財政に対する信頼感を高めることを要求するのも必要である。しかし、同時に緊縮財政を敷けば、デフレ的な傾向にあり20%近い失業率の同国にとってさらに厳しい状況に陥れることにもなる。緊縮財政と景気拡大の二者択一といったトレードオフな論議に持ち込むことは、片方が負うべき犠牲に対してどの程度の耐性があるのかに掛かってくるが、それが耐えられないものであった場合には返ってそれに対して懸念を増大させていくことになる。スペインの問題でいえば緊縮財政によりクラウディングアウトを防止し、金融システムを安定化させることが求められるが、景気が長期間低迷することによって銀行の不良資産の問題にもクローズアップしていくことにもなりかねず、トレードオフではなかなか片付けられない。さらに欧州諸国が同時的に緊縮財政を敷けば世界経済のダブルディップ懸念を強くさせる。従って、現状ではドイツが主張する緊縮財政優先というようにどちらか一方を迫ることも難しくなってきているものと思われる。この部分においてバランスの取れた合意が見いだせるかどうかがG20の最大の焦点となってきているように思われる。


参照:スペインの銀行の苦境~不良債権問題とクラウディングアウト


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カテゴリ: 市場視点

タグ: ソロス  欧州金融不安  ソブリンリスク  ユーロ  ECB 
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