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欧州ストレステスト所感~リスクはこの結果を「真に受ける人たち」 

今日の東京市場は株式が続伸、債券は反発、外為はユーロが動意なく推移している。株式市場では先週末のNY市場が堅調に推移していたことを受け、朝方から買いが入ったものの、ストレステストの結果を受けての欧州市場の動向を見極めたく、上値を買い上げる動きは限定的だった。債券市場は米国債安から朝方売り優勢ではじまったものの、月末要因から押し目買いに反発した。外為市場では欧州市場の出方待ちということもあり、各通貨とも方向感が出にくい展開となっている。


欧州91銀行に対するストレステストの結果は23日に公表された。先日は結果を速報的に書いたが、本日は少し結果について個人的に思ったことを書いていきたい(お断り:詳しいことは銀行アナリスト諸氏に尋ねるか、レポート・コメント等を参照されることを推奨します。個人的な所感はマクロ的な観点でコメントを入れています)。


不合格となった銀行は、


ドイツ:ヒポ・レアル
スペイン:Unnim Savings Bank group、Diada Savings Bank Group、Banca Civica Savings Bank Group、Cajasur Bank、Espiga
ギリシャ:Atebank


であった。一部で指摘されていたドイツのランデスバンク(州立銀行)などは不合格とはならなかった。資本不足は約35億ユーロとなった。このストレステストでは注目されていたのがマクロ要件、各国ソブリン債のヘアカット、不動産価格などであったが、マクロ要件は以下の通りであった。以下の表は想定されるマクロ要件(出所:CEBS)。


Macro

Macro2


この中において、EU27カ国の2011年のGDP成長率は-0.4%となっている。EU当局による2011年のGDP予測が1.7%成長を見込んでいるため、その乖離は僅か2.1%に留まっている。また失業率に関しては2010年が10.5%、2011年は11.0%で条件設定を行っている。このマクロ前提においてTier1比率6%がクリアの基準となっている。このマクロ要件について、GDPに関してはゼロ成長が前提となっているため、世界経済及びユーロ圏経済のダブル・ディップを想定したものになっていない。2011年の世界経済は4.25%の成長を見込んでいる(IMF Economic Outlook)が、仮に金融市場の混乱や欧州諸国の急激な財政再建、あるいは新興国の急減速により世界経済が2%台半ば程度の成長となった場合、2008年において世界経済が3.0%成長したのに対しユーロ圏は0.6%成長に留まったことを鑑みれば、ユーロ圏の成長率はゼロ以下となることが予想される。さらにベンチマーク比較2%程度の乖離についてもテストの厳格性に疑問を生じさせる。ノルウェーの国内銀行におけるストレステストはベンチマーク比較7%乖離で行われている(7月23日エントリ「欧州ストレステストに参加しない国~ノルウェー」参照)。また、失業率も現在10%程度であるが、この要件では11.0%となっており、GDPがマイナス成長となってしまった場合に想定以上に下振れするリスクがある。


米国におけるストレステストに関しては、2009年に米銀15行のストレステストのマクロ要件はGDPが-3.3%、失業率が8.9%、住宅価格指数が-20%超となった場合に各金融機関のTier1が6%、「有形普通株自己資本比率」の4%維持であった。この時のFRBの2009年GDP見通しは予想が-1.3~-2.0%、失業率は9.2~9.6%となっていた。失業率前提はFRBの見通しよりも甘いものとなっていた。そして米国の12月時点の失業率が10.0%、2009年のGDPが-2.4%となったため、GDPに関しては想定の範囲内に収まったものの、失業率は想定を下振れした。2009年当時の米国におけるストレステストのマクロ要件も厳格性に疑問が持たれたが、欧州の場合においても同様の懸念が存在する。さらに米国との違いは、米銀は9行、総額736億ドルの資本増強を行っているのに対して、欧州の銀行に求める資本増強額は35億ユーロとなっており、米銀の資本増強規模に比べ極めて小さいことも問題点として指摘される


次にヘアカット率であるが、当初、ギリシャ国債については17%の損失、スペイン国債については3%の損失、独連邦債やおそらくフランス国債は損失なしという形で報じられていたが、結果は以下の通りとなった。以下の表は各国ソブリン債ヘアカット(出所:CEBS)。


haircuts



これによると、ギリシャは23.1%、スペインは12.0%、ポルトガルは14.1%、アイルランドは12.8%、イタリアは7.4%となっている。当初の見立てよりも厳格化したヘアカット負担率となっているが、この場合はトレーディング債券のみを対象としており、満期保有目的の債券(いわゆる持ち切り)については対象となっていない。従って満期保有の債券がデフォルトになった場合の損失は全く考慮されていない。この点はソブリンリスクが再燃した場合、再度欧州銀行の健全性に対して疑問が投げかけられることになろう。


不動産に関する条件設定であるが、最悪シナリオはベンチマークに比べ最大15%程度の下落となった場合を想定している。以下の表は各国不動産価格の想定(出所:CEBS)。


PropertyPrice


特にスペインの不動産価格に関して、2011年において住居用不動産が最大で15.2%、商業用不動産が最大30%落ち込むことを想定している。しかし、スペインのカハ(貯蓄銀行)の不動産及び建設向けローンは2430億ユーロとみられており(Bloomberg5月24日記事「スペイン財政に一段の負担-貯蓄銀カハスール救済で」参照)、このエクスポージャーに対する貸倒だけでもそれ相応に見積もらなければならない。しかし、不合格となったカハ全体に求められた増資額は25.8億ユーロのみであり、素人目に見てもエクスポージャーの減損に耐えうるだけの資本増強とは言いがたいものと思われる。


従って、今回の欧州銀行に対するストレステストは今後のユーロ圏経済及び財政がアップサイドに振れていくようになれば問題とはならないが、ダブル・ディップとなった場合、あるいはPIIGSのデフォルトリスクの再燃、さらには不動産価格の予想以上の下落が起こった場合にその査定の厳格性に疑問が生じ、市場から追加のテスト及び救済策を催促される可能性が大いに残る。


さらに、「甘い」とか「茶番」とか「いんちき」とか、市場で散々言われている欧州ストレステストなのだが、これを真に受けて、正確には「茶番であることを分かりながら」政策実行を進めようとしている向きがいるということは大きなリスク要因として強調されるべきだろう。真に受けている人の代表がECBだろう。ECBは「欧州銀行及び欧州金融システムに対する信頼性が高まった」との判断を行ない(口実に使う)、拙速な出口戦略を進める可能性も浮上する。考えている以上にECBの出方はタカ派的である(ロイター「〔ECBフォーカス〕FRBと英中銀の緩和示唆にECBは同調せず」参照)。今後も市場から超過流動性を吸収すれば市中金利をさらに押し上げてしまうリスクも残る。今後もユーロLIBOR、EURIBORといったターム物金利やEONIAの動向からは目が離せないのではないかと思われる。


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タグ: 欧州金融不安  ECB  ソブリンリスク  ユーロ 
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