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FOMC~QE2、用意はOKだけど、具体策は後日 

9月21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、即日に声明文が公表された。声明文の抄訳については本日のエントリ"FOMCステートメント~Preparing to go to the QE2"を参照されたい。注目ポイントは、a)追加緩和策の示唆、b)インフレ判断の下方修正である。


■追加緩和策の用意を示唆


まず、追加緩和策の用意の示唆を行ったことが今回のFOMCの最大のポイントであった。すなわち、声明文において、


The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial developments and is prepared to provide additional accommodation if needed to support the economic recovery and to return inflation, over time, to levels consistent with its mandate.
委員会は経済見通しや金融の状況を監視し続け、経済の発展や価格の安定に必要な政策ツールを採用し、もし時間とともにその責務と一致するレベルにまで経済が回復することやインフレに回帰するためのサポートが必要であれば、追加的な金融調節の提供を準備している。



としており、状況次第では追加の緩和策(QE2)を実施するとしている。追加の緩和策については8月下旬のジャクソンホールにおけるバーナンキ議長の講演内容からすれば、昨日も記したとおり、1)米国債の買い入れ枠の拡大、2)時間軸政策の変更、3)超過準備付利及びFF金利の引き下げ、4)インフレ目標の引き上げが有力な選択肢としてあげられるところだろうと思われる。その中でも米国債の買い入れ枠の拡大を選択する可能性が最も大きいとみられる。


しかし、今回のFOMCにおいては追加の緩和策については、実施する用意があるとの意思表示を行っただけであり、具体的にどのような手段をとるのかについては全く示さなかった。これについては、議事録を見極める必要があるが、今回のFOMCでは各委員の間での認識の隔たりが大きく、コンセンサスどころか具体策を詰めるところまでは至っていない可能性もある。国債買い入れについても長いタームまでの金利の低下を促す政策ツールではあるものの、前回の議事録に示されたとおり実体経済への効果について疑問視する向きもあり、まだ見解がまとまっているとは言いがたい。むしろ債券市場に過度な期待感を抱かせ、ドル安に誘導してみせるなど、市場に対するインパクトの方がはるかに大きいものとなっている。それ故、今後はそのような国債買い入れに対して疑問をもつ委員との認識の隔たりを如何に埋めていくかがFOMCにとって問われていくところだろうと思われる。さらに議事録でより有効な政策ツールについての議論がなされているのかどうかも見定めておくべきであろう。


とはいえ、マーケットには追加の緩和策の用意を示した以上、経済状況如何では何らかの具体的な政策を取らざるをえない。それは、失業率が高止まりするか、もしくは再度労働力人口が減少した場合、物価についてはデフレ懸念を今以上に強くした場合である。その場合、取りうる政策の優先順位は、現段階において、米国債の買い入れ枠拡大(超長期ゾーンまで買い入れ、モーゲージ金利までの波及を狙う)、時間軸政策の変更(具体的なコミットメントを採用。例えば「PCEコアデフレータ2%到達まで異例な期間の低金利を確約」。一方で政策の柔軟性を失わせるリスク)、超過準備付利の引き下げ・利下げ(短期金利の引き下げによって短中期までの市中金利への波及を狙う。一方で市場機能を失わせるリスク)、インフレ目標の引き上げ(インフレターゲティング政策で合意を見いだせるのは極めて困難)、その他(MBSの買い取りなど)といったプライオリティではないか?考えている。


次の政策が取られる時期として最短で11月のFOMCであるが、コンセンサスが存在しないままであれば時間稼ぎ的な声明に留まる懸念も浮上していくだろう。


■インフレ判断の下方修正


今回のFOMCでは追加緩和策の用意を示唆したのであり、そのためにはアリバイ作りが必要になる。今回は主に物価についてフォーカスがあたっており、下方修正を行っている。


前回のFOMCにおける物価見通しは以下の通りであった。


Measures of underlying inflation have trended lower in recent quarters and, with substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to be subdued for some time.
潜在的なインフレの基調は直近の数四半期で低いトレンドを形成しており、実質的に資源のたるみはコスト圧力を抑制し続け、長期間のインフレ期待を安定化させ、インフレは長期間落ち着いているようだ。



そして今回は以下の通りである。


Measures of underlying inflation are currently at levels somewhat below those the Committee judges most consistent, over the longer run, with its mandate to promote maximum employment and price stability. With substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to remain subdued for some time before rising to levels the Committee considers consistent with its mandate.
長期的に、潜在的なインフレの基調はここのところFOMCが判断した、最大雇用と物価の安定を促進するという責務において最も一致したレベルをやや下回るものとなっている。実質的な資源のスラックがコスト圧力を抑制し続け、長期間のインフレ期待が安定しているため、FOMCがその責務にかなった水準に上昇するまでのしばらくの間、インフレは抑制され続けている。



つまり、今回ははっきりと「責務」(マンデート:mandate)という言葉を用いて、それを下回るインフレのレベルであるということに懸念を表した。この「責務」とは、Fedが負っているものであり、最大雇用と物価の安定(=デュアル・マンデート)である。そして現状ではコアPECデフレータにおいて1.7-2.0%程度(FOMCメンバーによる長期見通し)が「責務にかなったレベル」であり、現状はこのレベルを下回っている。以下の図はコアPCEデフレータの推移(出所:米商務省)。


PCE Deflator


このため、この水準を満たさない限りにおいてはデフレに陥るリスクがあり、それを通常のインフレのレベルに回帰させることこそがFedの「責務」であり、そのために追加緩和策を行うことを正当化させている。今後コアPCEデフレータがさらに下方バイアスがかかった場合には追加緩和策を行うことをマーケットにコミットさせた格好といえる。


■今後の金融市場の動向


今後の金融市場においては、FOMCの追加緩和策を織り込みに図る展開となるものとみられる。特に市場では国債の買い入れに対する期待が強く、今後もその傾向を強めていくものと思われる。経済状況が予想以上に悪化せず、安定していることが示唆された場合には緩和策への期待が後退する可能性も残されており、金利マーケットのボラティリティはさらに大きくなっていくものと思われる。金利市場の影響を受けやすい外為市場(ドル相場)についてもそのような動向には敏感になっていくものと思われ、ドル金利の先安観がどこまで進行していくかがポイントとなってくる。なお、FF金利先物市場の反応は以下の通りであり、ドル金利の先安観を強めている。以下の図はFF金利先物の推移(出所:CME)。


FF Future


FF金利先物の動向では利上げの100%織り込みは2012年2月となっており、異例な長期間低金利に据え置くことを織り込んだ格好となっている。今後このドル金利の先安感の一層の強化をベースにマーケットは動いていくものと思われる。但し、経済状況の推移によってはその反動も起こりやすいことも留意すべきであろう。


■番外・ホーニグ総裁の主張


今回で6回目の反対票を投じたホーニグ総裁、全体が追加緩和策に動いていくのであれば、ボードメンバー任期中全ての会合で反対票を投じる可能性が強まったといえよう。今回反対票を入れた理由は、


・経済は緩やかに回復し続けている
・FF金利を「長期間」低いままにするという期待の表明は、もはや保証されるものではないし、将来に渡って長期安定成長を弱めてしまうという不均衡に導く
・現段階の経済及び金融の情勢では、Fedが保有する現状レベルの長期債のサイズをコンスタントにキープするということは、FOMCにおける政策目標の反映をサポートするにあたって必要とされていると確信していない


このような理由である。前回よりも基調判断を上方修正しており、反対の理由も「不均衡(imbalances)」という言葉を持ち出している。もともとタカ派の委員であることは百も承知であり、雇用よりもインフレ懸念を重視するあまり、という感じなのだが、カンザスシティ連銀管轄地区が持つ特徴にも反対票を投ずる理由があるような感じがする


カンザスシティ連銀(第10地区)の管轄は、オクラホマ、カンザス、コロラド、ネブラスカ、ワイオミングの全域とミズーリ西部、ニューメキシコ北部である。そして以下が8月の州ごとの失業率(出所:Calculated Risk)


State Unemployment Rate


これを見ればわかるとおり、カンザスシティ連銀管轄地区の雇用状況(少なくとも全域で管轄している州)は全米の地区の中でも最も安定している。さらに景況感も安定している。その理由としては同地区は農業地帯であり、米国の農業の業況はベージュブックでも示されているように、他のセクターが苦戦している中で比較的好調をキープしているといってもよいだろう。従って雇用状況も他の地区に比べれて良好なのだろう。


Demand for agricultural products continued to expand, and producers benefited from relatively tranquil supply conditions. Crops and livestock generally sold well in Districts with extensive agricultural sectors, including Chicago, Minneapolis, Kansas City, Dallas, and San Francisco. Domestic growers have seen increased demand for grains and other commodities as a result of shortages overseas.
農業製品への需要は拡大し続けており、生産者は比較的穏やかな供給条件によって利益を得ている。作物や家畜は一般的にシカゴ、ミネアポリス、カンザスシティを含む大規模農業部門がある地区でよく売れている。国内の生産者は穀物や他のコモディティにとって海外の供給不足の結果、需要の増加をみている。



物価についても、CPIは2010年上半期について前年同期で+2.7%となっており、デフレ懸念ではなく、むしろインフレ懸念が存在している。従って、ホーニグ総裁が反対票を入れるのは、上記のような景況や物価がベースとして存在するカンザスシティ地区の状況が他の地区とかなり異なっているといった背景要因を抑えておく必要があるのではないか、と思われる。



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タグ: Fed  FOMC  金融政策  QE2  ZIRP  金利  マーケット 
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