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大風呂敷の日銀会合~いろいろあっても目玉は時間軸政策の強化 

10月4-5日に日銀の金融政策決定会合が行われ、以下のようなことがコミットされた。


1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、金融緩和を一段と強力に推進するため、以下の3つの措置からなる包括的な金融緩和政策を実施することとした。

(1)金利誘導目標の変更(全員一致(注1))
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す(注2)(公表後直ちに実施)。


(2)「中長期的な物価安定の理解」に基づく時間軸の明確化
日本銀4行は、「中長期的な物価安定の理解」(注3)に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく。ただし、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問題が生じていないことを条件とする。


(3)資産買入等の基金の創設
国債、CP、社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)など多様な金融資産の買入れと固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを行うため、臨時の措置として、バランスシート上に基金を創設することを検討する(注4)(別添2)。このため、議長は、執行部に対し、資産
買入等の基金の創設について具体的な検討を行い、改めて金融政策決定会合に報告するよう指示した。


2.わが国の景気は、緩やかに回復しつつあるものの、海外経済の減速や為替円高による企業マインド面への影響などを背景に、改善の動きが弱まっている。次回会合の展望レポートで詳しく点検することになるが、先行きは、需要刺激策の効果の減衰などから景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続いた後、緩やかな回復経路に復していくとみられる。7月中間評価で示した見通しと比べると、成長率は下振れて推移する可能性が高い。また、米国経済を中心とする不確実性の強い状況が続くもとで、景気の下振れリスクには、なお注意が必要である。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比の下落幅は縮小傾向を維持しているものの、今後、景気の下振れなど実体経済活動の動きが物価面に影響を与える可能性には、注意が
必要である。以上を踏まえると、わが国経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復する時期は、後ずれする可能性が強まっている。


3.このような情勢判断を踏まえ、日本銀行は、以下のとおり、金融緩和を一段と強力に推進することが必要と判断した。
第1に、実質ゼロ金利政策を採用していることを明確化することとした。
第2に、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続するとともに、その際の判断基準が「中長期的な物価安定の理解」であることを確認した。
第3に、短期金利の低下余地が限界的となっている状況を踏まえ、金融緩和を一段と強力に推進するために、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していくこととした。こうした措置は、中央銀行にとって異例の措置であり、特に、リスク・プレミアムの縮小を促すための金融資産の買入れは、異例性が強い。この点を明確にしたうえで、市場金利やリスク・プレミアムに幅広く働きかけるために、バランスシート上に基金を創設し、多様な金融資産の買入れ、およびこれと同じ目的を有する固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを行うことが適当と判断した。このうち、基金による長期国債の買入れは、現行の長期国債買入とは異なる目的のもとで、臨時の措置として行うものである。このため、基金による買入れにより保有する長期国債は、銀行券発行残高を上限に買入れる長期国債と区分のうえ、異なる取り扱いとする。


4.日本銀行は、今後とも、先行きの経済・物価動向を注意深く点検したうえで、中央銀行として、適切に政策対応を行っていく方針である。



■利下げ


この中で、無担保コールO/Nレートを0-0.1%のバンド幅で誘導することを決めているので、利下げを行っている。しかし、この利下げは無担保コール翌日物しか対象でない。補完当座預金の適用利率に変更はなく、固定金利オペの金利も0.1%のままであるので、実質的にゼロ金利になることはない。逆に言えばこれらの金利をゼロにすれば一気に市場機能が失われ、コール市場の資金の出し手がいなくなるので、そういった市場機能に対する配慮を行っている。従って、個人的な解釈からすれば、0.1%以下での取引を容認することとした、と読むのが妥当な感じだと思われる。


■時間軸政策


この時間軸政策はかなり踏み込んでいる。これまでは物価安定の理解の明確化、すなわち、


・物価上昇率について政策委員会として0%以下のマイナスの値は許容していないこと、及び、委員の大勢は1%程度を中心と考えていることを、より明確に表現することにより、物価の安定に関する日本銀行の考え方の一層の浸透を図ることが適当である

・消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えている。



としていて(20102009年12月18日"「中長期的な物価安定の理解」の明確化"より)、この場合は容認できない水準である物価上昇率「ゼロ以下」である限り金融緩和を続けていくというニュアンスとも受け取れ、その曖昧さを残していた。しかし、今回ははっきりと1%程度になるまで政策の手綱を締めないということが明記されている


日本銀行は、「中長期的な物価安定の理解」(注3)に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく
注3 「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えている。」



これによりゼロ金利政策解除の条件は、実質的にCPIがゼロではなく、1%程度に引き上げられている。従って、この点で時間軸政策を非常に強化にしている。ゼロ金利の長期化を市場に浸透させ、一層の低金利を促すものとなることが期待されている。但し、時間軸政策によって金利が低く抑制されたままとなると、外的ショックなどによる将来的な影響から金利市場のボラティリティが高まり、さらには市場追随型の金融政策に終始することになるため、副作用への懸念も高くなっている。


■QE/CE(包括緩和)


QEとCEについてはいわゆる資産買取の部分に当たる。資産買取は35兆円の基金の枠を設定し、そのうち30兆円は固定金利オペ、残りの5兆円のうち、


・長期国債・国庫短期証券 3.5兆円
・CP・ABCP・社債 1兆円
・REIT・TOPIXのETF 5000億円


このような配分となる。なお、REIT及びTOPIXのETFに関しては日銀法43条の縛りがあるので、財務大臣及び内閣総理大臣の認可を得てから実施の運びになるものとみられる。そしてこの政策に関しては、声明文中にもあるように「長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促していく」ことを主眼としているので、量的緩和的な政策に加え、信用緩和的な政策を入れている。この政策はベースとなる国債の利回りを低下させていくだけでなく、クレジットスプレッドを縮小させて民間の資金調達をスムーズに行えるように促すといった目標があるのだろう。信用緩和のイメージとしては以下の通りである。


Image: Credit Spread


さらにベースとなる国債の金利も購入により引き下げられる。そして今回、社債の買い入れ対象は残存期間が1-2年程度としており、デュレーションに対する配慮を行った(あまり長くなると再投資の余力が低下する)のと同時に、この期間からクレジットスプレッドを押し下げ、長めの金利への波及を狙ったものと思われる。1年未満についてはCPで、ということになるのだろう。株式やREITの買い入れについては5000億程度なので、大した効果は期待できない。あと、別枠に基金を設けて長期国債を買い入れるというのは銀行券ルールに対して配慮したものなのだろう。


■個人的な印象~今回の会合は大風呂敷だが、実は時間軸政策の強化が目玉


個人的には先月に為替介入し、その非不胎化を行っているのだから、当座預金残高が増加している。従って、当座預金に対するアプローチを行うのが筋であり、政策の整合性が取れるものと考えていた。当座預金にターゲットを付けることにより、量的緩和のアナウンスメント効果及び為替介入の非不胎化の強化というメッセージを市場に発することが出来たのではないかと思われる。しかし、今回はそれを見送り、利下げと時間軸政策の強化とQE/CEを行ったということになる。とはいえ、利下げにしても補完当座預金及びオペの金利は0.1%のままなので、その効果はほんの数bp程度でしか無い。またQE・CEも額がそれほど大きくなく、信用スプレッドに多少の効果があるのと、中期ゾーンの金利をやや押し下げるだけである。従って、今回の会合は基本的には時間軸政策の強化が政策決定の目玉であったということがいえるだろう(それ以外は全てポーズ)。まあ、QE/CEと利下げは「クレクレ君」にアメを与えたというところなのだろう。恐らく当座預金残高のターゲットは「量的緩和を本格的に行う」という織り込みが醸成されてから実施されるのではないかと思われる(この政策に動けば本格的な「量的緩和」と市場にアナウンスしてしまうから、タイミングは難しいのだと思うのだけど)。



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カテゴリ: 市場視点

タグ: BOJ  金融政策  QE  ZIRP 
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« 日銀の政策変更による為替市場の影響~円キャリートレードの可能性  |  Global Market Weekly Focus 2010.10.04-08 »

この記事に対するコメント

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 # | 
2010/10/05 19:32 * 編集 *

Re: タイトルなし

> >(2010年12月18日"「中長期的な物価安定の理解」の明確化"より)
>
> 祇園先生!2009年です!

失礼しました。変更しました。

ご指摘ありがとうございます。

祇園 #- | URL
2010/10/05 19:36 * 編集 *

非常に丁寧な分析で参考になります。
ふと思ったのは、公表分の
「日本銀行は、「中長期的な物価安定の理解」(注3)に基づき、"物価の安定が展望できる情勢"になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく」
について、「展望できる情勢」とあるので、1%は目安なんでしょうが、1%を超えないと解除しないというところまではいかないのでは?あと後段の
「ただし、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問題が生じていないことを条件とする。」
とあるので、前段条件を満たさなくてもキャリートレードなどを盾に解除するということも考えられるのかなと思いました。

d #- | URL
2010/10/10 23:58 * 編集 *

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