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日銀の政策変更による為替市場の影響~円キャリートレードの可能性 

10月5日に決められた日銀の政策変更についてマーケットに及ぼす影響を外為市場で考えてみたい(あくまで中期的な話であり、マーケットトークです)。


■日銀会合で決められたこと


10月5日の日銀会合では、以下のような決定がなされた。


・政策金利である無担保コールO/Nレートを0-0.1%に誘導。但し、補完当座預金の付利は0.1%に据え置かれているので、実際に金利がゼロになることはないものとみられる。
・時間軸政策の強化。ゼロ金利解除の条件は実質的に物価上昇率が1%程度になるまでとなる。
・包括緩和…35兆円の基金を設け、そのうち30兆円は固定金利オペ。長期国債・国庫短期証券は3.5兆円、CP・ABCP・社債は1兆円、REIT・TOPIX連動ETFを5000億円(但し日銀法43条により財務大臣及び内閣総理大臣の認可が必要)。
・長めの市場金利低下(量的緩和)と各種リスクプレミアムの縮小(信用緩和)を促していく。


特に外為市場においては「包括緩和」というよりも時間軸政策の効果が波及していくものと思われる。


■日米の時間軸政策比較


外国為替市場は2国間の金融政策の影響を受けやすいとみられる。現状Fedの政策金利は0-0.25%、日銀の政策金利は0-0.1%となっており、市場金利にはほぼ差がないものとみられる。現状はFedの緩和政策への期待感が強く、ドルが全面的に売られていく中で円も買われているという認識である。しかし、今回の時間軸政策の強化により、円資金のファンディングの方がドル資金に比べ優位性が高まってきている。それは二国間の時間軸政策の違いによる。


・Fed:PCEコアデフレータの長期見通しである年率1.7-2%に達しない限り緩和を続ける。
・日銀:CPIコアが年率1%に達するまで緩和を続ける。



FedはFOMC声明文内でメンバーによるコアPCEデフレータの長期見通しから大きく離れていることが懸念事項であり、時間軸政策の効果となりうる。以下の図はPCEコアデフレータの推移(青枠はFOMCメンバーによる長期見通し/出所:米商務省)。


PCE Deflator


このPCEコアデフレータが1.7-2.0%に到達するまでの距離は仮に米国がデフレに移行するとしてもそれほど高いハードルではない。今後国際商品市況などの動向によりアップサイドリスクも存在しうる。一方で日銀の設定した時間軸は年率1.0%であり、現状のCPIコアは年率-1.0%であるから、デフレから脱却して安定的なインフレ傾向にならない限り緩和政策の解除は行われない。時間軸政策のハードルは明らかに日銀の方が高い


■キャリートレードのファンディング通貨としての円の妙味


現状、世界的に見れば利上げサイクルである。しかし、米国や日本、さらには英国のような先進国では景気の回復の緩慢さや(英国は異なるが)ディスインフレ的な傾向から利上げまでの距離がかなりある。このような金利上昇ペースに大きな隔たりがある時は、低金利かつ政策変更のない国の通貨をファンディングして高金利通貨やパフォーマンスが見込まれるアセットに投資を行う、キャリートレードの好機であるといえる。現状においてはFedの緩和的な政策によってドルがその役割を担ってきた。しかし、見逃せないのは日銀の時間軸政策の強化により、日本の金利の先高観が一層後退してきていることである。日銀の4月時点の展望リポートによる2012年の物価上昇率は-0.1%-+0.2%であり、この段階でも利上げから相当距離がある。つまり、今後2年は円金利は上昇しないということがある意味で確約されているともいえる。半面Fedについては2年後に利上げが行われないという確約は存在しない。2年以上のアセット保有に関しては円資金でファンディングを行った方が金利リスクは少ないものとみられる。


また外的ショックなどによるCPI上昇の金利市場への影響は日本以上に米国の方が脆弱である。コアPCEデフレータがFedのマンデートに達するレベルを遥かに超えてしまうリスクも存在し、Fedによる緩和解除期待を醸成しやすい。一方で円高が進行し、投入価格が最終製品の価格に転嫁しづらい日本ではCPIがアップサイドに大きく振れるリスクは米国ほど大きくなく、低金利が維持されやすい。


この点から円が世界の金利上昇局面においてキャリーのファンディング通貨しての役割を果たす環境は整ってきたといえる。


■キャリーの条件


キャリートレードが行われる条件は、


・金利のボラティリティが上昇しないこと(調達金利で負けないこと)
・通貨ペアのボラティリティがアセットの期待リターンを越えないこと(為替変動で負けないこと)



である。金利のボラティリティに関しては前述の通り、円の方が他のファンディング通貨に比べ長期間低く固定されるものとみられる。一方で通貨ペアのボラティリティに関してはリーマンショック以降低下し続けているものの、2004-2006年の円キャリートレードが行われた時期に比べると依然として高い。以下の図はドル円とヒストリカルボラティリティ(3カ月)の推移である。


USDJPY HV


外国銀行在日支店のコールマネー/負債とドル円のヒストリカルボラティリティ(3カ月・出所:日銀)


Call Money


外国銀行在日支店のコールマネー/負債とは、日本のコール市場で調達した円資金の負債部分であり、その資産に関しては様々なアセットが組み込まれている。分かりやすく言えばコール市場から調達してそのうちの一部が何らかのアセットに投資されていたということになる。これがキャリートレードの原資の一部である。この外国銀行在日支店のコールマネー/負債に関しては2005年から増加し始め、ドル円のボラティリティが低下していく中で最終的に13兆5千億円積み上がった。コール資金の手仕舞いこそが円キャリートレードの巻き戻しであり、パリバショック以降金融危機の間円高に進行させた原動力であった。それから3年くらいが経過し、ドル円のボラティリティは順調に低下している。そして現状は10.6%程度でありキャリーが行われ始めた時のボラティリティに接近している。なお、ここから先、キャリートレードが行われるための条件は、


1)金融市場が安定しており、ボラティリティの反転上昇局面が見込めないこと
2)Fedサイドがインフレ目標を引き上げ、無理な数値を設定すること



である。2)については政策のビハインドザカーブが大きく問題視されるのでまず懸念されることはない。むしろこのまま金融市場が金融危機的なレベルに戻らず、リスク選好を強めていく段階では、キャリートレードも活発になるものと思われ、その際ファンディング通貨としての円の存在にスポットライトがあたるのではないかと思われる。そして今後外国銀行在日支店のコールマネー/負債残高が増加するのであればキャリートレードによる円安という方向性もみえてくるのではないかと思われる。


【追記】少し指摘を頂いたので。

円キャリーの具体的なイメージ


円調達でドル買いを行う(金利差はないのでやっても意味が無い)というよりも円調達・新興国通貨・コモディティ・新興国などのアセットで運用とのイメージ。円安の波及経路はクロス円ではないかと思われる。実際8月末の前回の日銀の金融緩和以降名目実効レート(円インデックス)は徐々に円安に進行している(実際には9月介入時に急落している)。以下の図は円インデックス(出所:日銀)


YenIndex


但し、円から様々な通貨に投資をする場合、多くはドル円経由となるのでドル円相場は円キャリーの考察において非常に重要となる。さらにアジア通貨の場合はペッグしていることが多い。従って二国間の金融政策やドル円のボラティリティの論議は重要となる。なお、クロス円で円安となれば需給面でドル円にも波及しやすくなる。


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