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QE2失敗のリスク~Fedコミュニケーション戦略の危うさ 

11月3日にFOMCが開催され、QE2に関する決定がなされるということになっているのだが、ここに来てQE2が失敗するリスクが浮上してきている。リスクとはFedコミュニケーション戦略が失敗する懸念である。


8月に償還再投資を行いMBSの償還金を用いて長期国債を買い入れることをコミットした。この狙いは明らかに長期の金利を押し下げるための政策とみるべきで、景気を金融面からサポートすべく行われるといったものであり、長めのイールドを潰して様々な市中金利を押し下げる目的があったはずである。実際Fedがこの政策を行うと市場に織り込ませた結果米10年債利回りは3%を大きく割り込み、住宅ローン金利に影響を与える30年債利回りは4%を割り込み、3.51%まで低下した。この結果、住宅部門では新規の借り換えは促進されないものの借り換えは大幅に増加してきた。そしてQE2もバランスシートを拡張させ、国債を買い入れてさらに金利を押し下げて様々なファイナンスを円滑に行わせることにより、景気をサポートしデフレに陥ることを防ぐ狙いがあったものとみられる。ところが、直近の米国債市場は明らかにこの文脈の逆を行っている。30年債利回りは4%を超えてくるなどしており、金利は上昇する傾向にある。以下は米30年債利回りの推移(出所:Bloomberg)。


UST30Y


金利が上昇してきたのは、Fedの狙いが金利を押し下げるということから「期待インフレを押し上げる」ということに主眼が置かれ、そのためのQE2であるというストーリーが市場に織り込まれてきたからだろう。それを象徴するのが10月19日のシカゴ連銀エバンス総裁のスピーチである。米国経済が期待インフレの抑制によって長期間インフレ率がマンデート(物価上昇率2%)を下回っているのは不満であることを表明し、米国経済がリクイディティ・トラップ(流動性の罠)に陥っていることを指摘している。そして、以下のような見解を述べている(全文はシカゴ連銀のサイト参照)。


These rare occasions of liquidity traps are very different from typical economic recessions. Consequently, they require a unique monetary policy response. Economic theory tells us that in such circumstances monetary policy should aim to lower the real, or inflation-adjusted, rate of interest by temporarily allowing inflation to rise above its long-run path. My preferred way of doing so is to implement an approach called price-level targeting. Simply stated, under this approach, the central bank strives to hit a particular price-level path within a reasonable period of time. For example, if the rate of change of the price-path is 2 percent and inflation has been under-running the path for some time, monetary policy would strive to “catch-up” so that inflation would be higher than the inflation target for a time until the path was regained. This higher inflation rate would decrease the real interest rate, raising the opportunity cost of holding money. This would provide an incentive for banks and corporations to release funds for investment, and in the process spur job creation.

これらの稀にみるリクイディティ・トラップの状況というのは典型的な景気後退時とはとても異なる。その結果、これらはユニークな金融政策が求められる。経済理論では、このような状況において金融政策は一時的にインフレ率をロングラン・パスよりも上昇させること容認させるために、実質もしくはインフレ調整後の金利を引き下げるべきである。簡単にいえば、このアプローチのもとで中央銀行は説明のつく期間内に特定のプライス・レベルに狙い撃つ必要がある、ということだ。例えば、もしプライス・パスの変化率が2%であり、インフレ率が長期間それを下回って推移しているならば、金融政策はプライス・パスが回復するまでの間インフレ目標を上回るようにキャッチアップしていく必要がある。この高いインフレ率は実質金利を押し下げ、貨幣保有の機会費用を高める。これは銀行にインセンティブを与え、企業は投資のために資金を集め、雇用創出のプロセスに拍車を掛けるだろう。


このプライス・レベル・ターゲット(PT)論について、詳しい解説はモルガン・スタンレーのThe Global Monetary Analyst"QE2 からPT1 へ"というレポートを参照されたい。


効果として期待インフレを上昇させることは可能だし、市場はこのような政策が導入されるのではないかということを織り込んだ。しかし、PT導入の危うさはこの期待インフレの上昇にある。直近では期待インフレの上昇の結果、先々のインフレを織り込む形で債券市場ではイールドカーブがスティープ化してきている。期待インフレが高まれば価格よりも先に金利が反応してしまうことから、通常のリセッションと同様景気へのリスクも想定されてくる。つまり、今朝方にドラめもんさんが指摘しているように、金利上昇→住宅ローン金利の上昇→住宅市場のさらなる低迷→景気腰折れ懸念→デフレ懸念の高まりというプロセスもありうる。特に少しの金利上昇でも住宅ローン金利の申請には大きく影響を及ぼす。従って、本来QE2は景気刺激という意味合いでは金利を押し下げるために実施されるものと理解されていたが、PT論が浮上してきて以降Fedの政策は期待インフレを高めるものと市場は解釈し、長期金利を押し上げてしまった。ここにきてFedのコミュニケーション戦略が市場(特に金利)に配慮出来ないリスクが高まったような感じがする。


さらに、昨日のWSJでは大規模なものにはならないといった伝え方をしており、市場ではQE2に対する期待が後退している。さらに本日になってBloombergでは「米FRBが国債購入規模予想で政府証券公認ディーラーに調査」といった記事が出ているなどしており、FedがQE2を行うにあたり何らかの懸念を持っているのではないかとのメッセージをマーケットに送ってしまったようだ。Fed内部でもQE2の詳細が詰め切れていないことも市場にメッセージを送った可能性がある。


今後マーケットとのコミュニケーションを修復し、慎重に行わないとFedはマーケットとの対話に失敗するリスクが高まる。それはFedが意図した結果とは異なる事態を招きかねかいということになるのかもしれない。


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タグ: Fed  金融政策  QE2 
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