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FOMC~時間軸政策の明確化 

8月9日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が行われ、FF金利を0-0.25%に少なくとも2013年の半ばまでは据え置くことが賛成多数で決められた。ポイントは時間軸の強化である。つまり市場に2013年の半ばまでは少なくとも利上げを行わないということでコミットした。


■時間軸政策の明確化及び強化


時間軸政策について、日銀審議委員である宮尾龍蔵氏の論文を参考にしたいが、これによると、定義は、「政策金利(短期金利)がほぼゼロにまで低下した場合でも、中央銀行がゼロ金利を将来にわたり継続すると公約(コミット)することで民間部門の短期金利予想を低下させ、より長期の金利を低下させて、さらなる緩和効果を生み出す政策」としている。


つまり、ゼロ金利にしたとして、追加の緩和政策を実行する場合、長めの金利低下を促すという手段が取られることがある。その場合の政策手段として、長めの国債の購入、すなわちQE(量的緩和)というものと、マーケットに働きかける時間軸政策が挙げられる。時間軸政策は将来のある期間にわたってゼロ金利を市場にコミットさせることで、その期間までの金利を出来るだけ低く誘導するということであり、その結果景気や物価への刺激を狙うという波及効果を狙ったものである。つまり、時間軸政策の運営とは、中央銀行が「ある条件ではない」のでゼロ金利とし、その条件を満たすまでゼロ金利とするとコミットする、ということである(宮尾氏はテーラールールを使用して説明していますが、ここではわかりやすく実際の政策動向を踏まえ意訳してあります)。例えば、中央銀行がある条件ではない(例えば消費者物価がゼロ以上の状態ではない)のでゼロ金利とし、その条件を満たすまで(消費者物価がゼロ以上になるまで)ゼロ金利とするとコミットしよう。そうすれば、市場において、その消費者物価がゼロ以下であると予想される期間の金利予想はゼロであり、それをマーケットでも織り込みに図るはずである。但し将来時間が長くなればなるほどその見通しは不確実であるため、その分利上げする確率も織り込まなければならないことから、先の期間の方が金利は高くなるのが通例である。


FOMCにおいては、2008年にゼロまで利下げし、"economic conditions--including low rates of resource utilization and a subdued outlook for inflation over the medium run"(低い水準の資源活用や中期的なインフレの見通しが落ち着いていることを含めた経済状況(注/2011年6月のFOMCで表現は変化していることに留意))という条件を満たす限り異例な期間の低金利を継続すると保証するだろう、としている。つまり、高い水準の資源活用になり、中期的なインフレの見通しが上向きになるまで、低金利を維持するということであるから、それを満たさない期間の金利予想はゼロであることを保証する、ということである。そして、経済状況の見通しが前向きなものとなり、かつインフレが上向きになる期間以降の金利は上昇する。そして、現状のFF金利先物のフォワードカーブ形成はその予想を表したものとなっているし(参考2)、市場金利の期間構造もそれに近づく傾向にある。


ところが、Fedからすれば、その条件を満たす期間についてこれまで曖昧にしてきた。このことから中期の金利予想は経済指標の動向よって振れが大きくなる傾向にあり、この点を是正するために時間軸の明確化を今回打ち出しているものとみられる。つまり、少なくとも2013年の半ばまでは低金利政策を維持する、すなわちこの時点で2013年までの金利の予測は、0-0.25%が予想されることになる。この結果市場金利においても少なくとも2年までの金利はこの間で収まることと期待される。米2年債の金利は日本時間6時時点で前日から6.4bp低下の0.20%となっている。この点でFedとしては期間を明確にすることで、当面2年債までの金利は市場への働きかけによって、この範囲内に安定化させようとする狙いがある


【追記】
時間軸政策は市場に働きかける政策であるため、その後の経済やインフレの動向次第では市場のコンセンサス形成が大きく変わり、債券市場のボラティリティを急拡大させるリスクは留意が必要である。また、"commit"と"warrant"という語句の違いには注意が必要である。


また、金利の低下をさらに促すために時間軸の強化を打ち出している。すなわちこの2つの文面は時間軸の強化と捉えられる。


雇用:The Committee now expects a somewhat slower pace of recovery over coming quarters than it did at the time of the previous meeting and anticipates that the unemployment rate will decline only gradually toward levels that the Committee judges to be consistent with its dual mandate.(今後数四半期において景気回復はやや遅いペースと予想しており、失業率は委員会がデュアル・マンデートに整合すると判断される水準に向かって徐々にしか低下していかないだろう)

物価:inflation will settle, over coming quarters, at levels at or below those consistent with the Committee's dual mandate as the effects of past energy and other commodity price increases dissipate further.
今後数四半期に渡って、過去のエネルギーや他のコモディティ価格の影響について、将来的には消散が拡大することから、インフレについても今後数四半期で落ち着き、委員会のデュアル・マンデートに整合する水準かそれ以下になると予想している


すなわち、


・失業率は「徐々にしか」低下しない=失業率が急速に低下すると予測すれば、市場でそれだけ利上げを織り込む時期のコンセンサスを早めることになる


・物価について数四半期はデュアル・マンデートに整合する水準かそれ以下に留まる=早期にデュアル・マンデートに叶う水準よりもインフレになると予測すれば、市場でそれだけ利上げを織り込む時期のコンセンサスを早めることになる



ということである。デュアル・マンデートに整合する水準に到達するまでの期間が長いというコンセンサスを形成することで、それまでの期間は低金利を継続すると暗に示唆して市場に働きかける効果を狙っている。これは、日銀においても先日の政策決定会合のステートメントで「物価安定の実現までにはなお時間を要するとみられる」とし、それまでの期間は金融緩和を継続すると暗に示唆することで、時間軸の強化を狙ってきていることと似たような意図であろうと思われる。


その結果、米国債市場では、Fedの時間軸の明確化が織り込まれるに従い、主に中期ゾーンの金利の低下幅が顕著となった。なお声明公表1時間後までは10年債利回りが2.00%に接近した。以下はは米東部時間午後5時時点の米国債イールドカーブと変化幅。


UST YieldCurveAndChange 20110810.



■さらなる緩和政策について示唆


今回のFOMCでは以下の4点が一段の緩和政策の手段とみられていた。


(1)時間軸政策の強化
(2)QE3(追加の資産購入)
(3)デュレーションの構成変更(ツイストオペ)
(4)超過準備付利の引き下げ


このうち今回は(1)を採用したが、それ以外の政策手段については見送られた形となった。但し、


The Committee discussed the range of policy tools available to promote a stronger economic recovery in a context of price stability.

委員会は物価安定のコンテクストにおいて、強い景気回復の促進が可能な政策ツールの範囲について議論を行っている。



としており、他の政策手段についても現在論議がなされているということから、さらなる緩和策についても導入する可能性を示唆している。(追記)今後考えうる追加緩和策のツールとして、現状の政策の延長、すなわち時間軸効果のさらなる強化を狙うのであれば、(3)のデュレーション変更の可能性が高くなってくる。但し、時間軸政策の明確化を狙った今回の会合で3人の反対票が投じられたことから、導入に対するハートルもまた高いことを(意図したところではないが)示唆した格好となっている。ちなみにプロッサー、フィッシャー、コチャラコタ各委員は、経済状況に鑑みればFF金利を異例なまでの長期間低金利にし続けることは好ましくないとしている。


■景気認識の変化


景気認識・見通しについても見通しを引き下げている。


・景気認識

前回:景気回復は緩やかなペースで続いているが、委員会が予測していたよりもいくぶん(somewhat)遅い
今回:今年これまでのところ経済成長は委員会が予測したものよりもかなり(considerably slower)遅い


・雇用

前回:最近の労働市場の指標は予測以上に弱い
今回:労働市場の状況が数カ月で総じて悪化していることを示唆しており、失業率は上昇している


・個人消費

前回:拡大が続いている(continue to expand)
今回:家計消費は頭打ち(has flattened out)


・物価

前回:インフレはここ数カ月で上向き、現在完了形(Inflation has picked up in recent months)
今回:今年当初上向きだった、過去形(Inflation picked up earlier in the year)、商品市場についてもモデレートとなっていると判断


このように米国経済がここにきて急減速していることや、さらに直近の金融市場の動向を踏まえ、さらなる金融緩和、すなわち今回は、少なくとも2013年までの低金利政策の維持にコミットしたを保証するのではないか、ということであろう。


■参考


・(1)Fedバランスシートの推移(出所:Cleveland Fed)


FedBalanceSheet 20110809.



・(2)FF金利先物のフォワードカーブ/2013年央の変化に注目(出所:CME)


FFForword 20110809.


・(3)仮説:宮尾審議委員のペーパーの文脈におけるFedの時間軸政策強化のイメージ


Duration Polocy 20110809.





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