03« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.»05

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カテゴリ: スポンサー広告

tb: --    cm: --

バーナンキ議長ジャクソンホール講演~金利アプローチを模索か 

8月26日にFedバーナンキ議長はワイオミング州ジャクソンホールで開催されているカンザスシティ連銀主催のシンポジウムにおいて、講演を行った。以下はスピーチ原稿の"Near-Term Prospects for the Economy and Policy"(経済と政策の短期的展望)の要約である(全文はFedサイト"Chairman Ben S. Bernanke, The Near- and Longer-Term Prospects for the U.S. Economy"を参照)。


2008年と2009年にグローバル金融市場混乱させた金融危機は大恐慌以来の厳しさであった。世界の経済政策担当者は、2008年秋のグローバルな金融のメルトダウンに注視し、非常に悲しい経済的な帰結となったことを理解した。私は以前のフォーラムの発言でも言及したように、政府や中央銀行は迫り来る危機を回避するためにお互い緊密になって力を注いできた。金融システム安定化への行動は、米国でも海外においても、実質的な金融と財政刺激策が伴った。これらの強力的かつ努力にもかかわらず、グローバル経済へのダメージは避けられなかった。信用はフリーズし、資産価格は急落、金融市場は機能不全となり、その結果、信頼感への打撃はグローバルな生産や貿易を急落下(フリーフォール)させた。


今日、金融危機の最も強い段階の始まりから3年経ち、全米経済研究所(NBER)が景気回復と認定してから2年たつ。それでは我々はどこに立っているのであろうか?


ここ数年でいくつかのポジティブな進展が見られた。総じてエマージング・マーケットが主導して、グローバル経済は強い成長がみられた。米国では、歴史的に見れば緩慢ではあるが、循環的な回復が9四半期連続で継続している。金融面では、米国の銀行システムは総じて十分に健全であり、銀行は持続可能な資本を有している。信用のアベイラビリティは改善しているが、小規模の企業への貸出のようなカテゴリーはタイトに推移しており、潜在的な借り手のバランスシートは障害が残っている。企業が有利な条件で信用を得ることは何も難しいことではない。重要なことは、構造的な改革が金融セクターで進んでおり、国内や海外の野心的な取り組みは、特に最もシステム上重要な銀行においてであるが、銀行の資本や流動性を高めるために進められ、リスクマネージメントと透明性の改善を図ることであり、マーケット機能を強化することであり、そして、金融改革と監督に、よりシステミックな、もしくはマクロプルーデンスなアプローチを導入することである。


広範な経済において、米国の製造業の生産はボトムから15%上昇しており、持続的に輸出が促進されている。さらに、米国の貿易赤字は危機以前よりも最近のほうが特に低くなっており、米国の製品やサービスの競争力が改善したことを反映している。機器やソフトウェアの企業投資は拡大が継続しており、生産性はいくつかの産業で高まっているのが印象的だが、新しいデータではここ数年間の生産性改善の推定値が低下した。家計はバランスシート再構築についていくらかの進展があった。それは、より多くを貯蓄し、借入を少なくし、金利払いや負債の負担を軽減させている。コモディティ価格は高値から下落しているが、企業が直面しているコスト圧力の軽減や、家計の購買力の増大の助けとなろう。


これらのポジティブな進展にもかかわらず、危機からの回復は我々が望んでいたほどは堅調なものではなかったことがはっきりしている。最近の成長率の年次改訂や今年前半の成長率の推計は、リセッションがより深いものであり、経済回復は我々が考えていたよりも弱いものであるということを教えられた。さらに米国の生産は危機以前に達成していたレベルには未だに戻ってはいない。重要なことは、経済成長は失業の持続的な低下を達成するには不十分な率である。失業率は9%をやや超えて動いている。一時的な要因、すなわち消費者や企業の予算において商品価格の高騰の影響、そしてグローバルサプライチェーンや生産において日本の災害の影響は、2011年前半の景気の弱いパフォーマンスの一部分でしかなかった。さらに第2四半期の成長率はそれらの影響が後退している。しかし、入手できるデータは他の、より永続的な要因も作用していることを示唆している。


なぜ危機からの回復はこのように鈍くそして不安定であるのか?歴史的には、リセッションは一般的に投資、住宅、そして消費者の耐久財の支出減少は繰延需要を促進させることで、回復の種を蒔く。景気循環のボトムアウトや信頼感の回復が繰延需要であり、金融及び財政刺激策の影響で増大し、生産や採用が増加すると考えられている。生産の拡大は企業利益や家計収入を押し上げ、企業や家計の支出に更に弾みがつく。収入の見通しやバランスシートの改善は家計や企業により信用力を付けさせ、金融機関は貸出を積極的に行うようになる。通常、これらの進展は収入や利益の好循環を創りだし、さらに金融や信用状況の支えがあり、不確実性が低下することで、景気回復のプロセスに弾みがつく。


これらの復元力は今日も作用しており、時間を掛けて景気回復を促進し続けていくだろう。残念なことに、前回のリセッションでは、グローバルな視点でも非常に厳しいことに加えて、異常なほど住宅市場がとても深いスランプに陥ったことや歴史的な金融危機に関連付けられている。不況におけるこれら2つの特徴は、個別もしくは相互作用して、自律的な回復のプロセスを鈍くさせている。


特に、住宅セクターは第二次大戦以降米国のリセッションからの回復において強いドライバーとなったが、現状ではディストレストやフォークロージャー不動産が突出しており、建設者や潜在的な住宅購入者は厳しい信用状況にあり、潜在的な借り手や貸し手は住宅価格の下落を懸念し続けている。新築住宅建設は危機前の3分の1以下で推移している。建設の低い水準はホームビルダーだけでなく、住宅や住宅建設に係わる物やサービスの提供者にも意味を持っている。加えて、いくらかの借り手の信用状況の厳しさが住宅市場の回復を抑制している1つの要因であるが、さらに住宅セクターの弱さは金融市場や信用のフローにも副作用を与えている。例えば、いくつかの地域において住宅価格が急落すると住宅保有者のモーゲージが「水面下」に沈んでしまい、住宅保有者にとって財務的な苦境をつくりだし、モーゲージの延滞やデフォルトの影響を通じて、金融機関も同様に圧力にさらされる。金融機関や家計の財務的な圧力が次々に信用の拡大により慎重となり、個人消費の伸びをより鈍くさせることに寄与している。


私は2008年から2009年の金融危機における中心的な役割についてリセッションの時の発言ですでに述べている。私が述べたように、大きなディールは危機の原因と影響に対処するために行われており、それは金融改革の持続可能なプログラムを含んでいる。そして、米国の銀行システムの状況や金融市場は力強く改善している。しかしながら、金融ストレスは国内でも海外でも、景気回復にとって大きな足枷となっている。金融市場における激しいボラティリティやリスク回避は、欧州のソブリン問題や、最近主要な格付機関の一つが米国の長期信用格付けを引き下げた格下げたことや米国の連邦債務上限引き上げに関する論争を含む米国の財政状況の進展についての懸念のリアクションとして再び発生している。これらの進展が、これまでのところ経済活動にどのくらい影響を与えているかを判断するのは難しいが、家計や企業の信頼感を傷つけ、成長への継続的なリスクをもたらすということについては疑う余地は小さいように思われる。Fedでは金融市場や金融機関の進展を緊密に監視し続け、欧州やその他の金融監督者とも頻繁にコンタクトを取っていく。


金融政策は特に成長やインフレといった経済の変化に対応するべきである。先に述べたように、最近のデータは、今年前半の経済成長について、FOMCが想定していたよりもかなり鈍いことが示唆されており、一時的な要因は、我々が観測している経済の弱さの一部分でしか説明できない。その結果、我々は緩やかな景気回復が継続し時間と共に強化されていくと予測しているが、FOMCでは今後数四半期の起こりうる成長の見通しを引き下げている。コモディティ価格や他の輸入物価は穏やかなものとなり、長期的なインフレ期待は安定したままであることから、インフレは今後数四半期で、Fedのデュアルマンデートに即した水準である2%かそれをやや下回り、落ち着いていくだろうとみている。


現状の見通しに照らし合わせて、委員会は、FF金利の将来的なパスの予測について、さらに特定のガイダンスを与えることを決めた。今月はじめのFOMC会合のステートメントによれば、低水準の資源活用や長期的なインフレの落ち着いた見通しを含む経済状況は、少なくとも2013年の半ばまでを通じてFF金利を異例な低水準にしておくことを保証する。これは、委員会が資源活用や中期的なインフレのもっともらしいシナリオと判断した場合、FF金利は少なくとも2年以上は現状の低い水準に保つ、ということである。


さらに我々はフォワードガイダンスを精査しており、Fedは追加の金融刺激策として使うことが出来る手段を有している。我々は8月の会合でそれらの手段のメリットとコストを論議している。我々はこれらや、もちろん経済や金融の進展を含むその他の問題について、9月の会合で検討し続けるつもりである。なお、9月のFOMCでは、十分な議論が出来るよう1日ではなく、20日及び21日の2日間のスケジュールとなる。委員会は入手できる情報に照らし合わせて経済見通しを評価し、物価安定の文脈において強い経済回復を促進するのに適切な手段を採用する準備がある。




ここで興味深いのは、現在の米国の回復の鈍さについて、通常の景気循環とはやや異なり、構造的な問題こそが米国経済の低迷の要因ではないか?としていることである。それはFOMCの声明文でも、


Temporary factors, including the damping effect of higher food and energy prices on consumer purchasing power and spending as well as supply chain disruptions associated with the tragic events in Japan, appear to account for only some of the recent weakness in economic activity.

一時的な要因、すなわち購買力における高い食料やエネルギー価格による減衰効果だけでなく、日本での悲劇的な出来事に関連付けられたサプライチェーン障害は、経済活動の最近の弱さの一部しか理由付けられていないように思われる。



としていることでも見て取れる。前回のFOMCや今回の講演では(構造的な要因とは敢えて言わず)永続的な(persistent)要因こそが米国の低成長の理由だろうという認識を打ち出してきている。そして今回の講演で多くを割いて論議しているのが住宅問題である。現状、米国の家計は深刻なバランスシート問題を抱えており、現在はその調整の真っ只中である。以下のグラフは米国の家計の負債の推移である(出所:NYFed)。


hosesold balancesheet 20110827.


この中でモーゲージが占める割合は71%である。そして、議長の講演では、例えば、住宅保有者のモーゲージが「水面下」に沈んでしまう("underwater" on their mortgages)、すなわちネガティブエクイティとなってしまえば、デフォルトが起こりやすくなり、金融機関にも貸し倒れとして圧力を与えてしまう。そうでなくても、家計はこれらのバランスシートを圧縮するために貯蓄を積み上げたり、金利払いの負担を軽減させようとしている。そして、信用の利用には慎重となり、消費支出も抑えられている。この結果、リセッション後の繰延需要(pent-up demand)が喚起されず、景気回復も鈍いものとなっている、と結論づけている。つまり家計のバランスシート調整圧力こそが景気回復低迷の理由であることを示唆している。従って、本講演では政策への具体的なインプリケーションは行っていないが、このようなことからバランスシート調整圧力の緩和が金融政策の主眼となっている可能性がある。


前回のFOMCではこれまでの量的なアプローチ(QE)ではなく、金利のアプローチを政策手段として採用した。QE2では資産価格が上昇すれば資産効果により消費が拡大するという見立てから、ポートフォリオリバランス効果を促進させるために、米国債を買い入れた。しかし、インフレ期待の上昇により長期金利は上昇し、ネガティブエクイティの原因ともなっている住宅価格については何ら刺激にはならなかった。かえって金利負担が家計を苦しめた可能性すら指摘できる。


そして前回のFOMCで決められた時間軸の強化はまさに金利へのアプローチであり、これら家計のバランスシート調整圧力を緩和させることが狙いの一つだった可能性がある。つまり、トランスミッションからすれば、モーゲージ金利を低く抑えることで、新規購入の望みは薄いものの、リファイナンスは促進される。モーゲージ金利負担が軽減されれば、消費にもいくらかの効果が出てくる可能性もある。前回のFOMCで2013年の半ばまで低い金利であることを保証したことから、その期間の金利予測を大きく引き下げ、その結果、さらに長期の金利の低下も促すことになった。このことから(FOMC前後は金融市場の動揺により債券が買い進まれたこともあるが)、住宅ローンのリファイナンスが促進されてきている。以下のグラフはMBA住宅ローンリファイナンス指数の推移である。


REFI 20110827.



市場やヘッドラインでは「ノーインプリケーション」として捉えられているが、このことを踏まえると、今後も金利へのアプローチによる政策手段を模索することが想定される。その場合にはFedバランスシートの構成変更、すなわちデュレーションの長期化が政策手段として取られる可能性も十分にある。デュレーションを長期化させることをコミットすることで、市場における長期的な金利予測をいくらかは低下させ、長期ゾーンのイールドの低下を促進させるという狙いがあるものと思われる。いずれにせよ、次の緩和政策の手段のヒントは前回のFOMC議事録を追ってみる必要があるのだろう。


なお、後半部分の"Economic Policy and Longer-Term Growth in the United States"についての要約は以下の通りである。

長期的な視点にたてば、米国経済の長期的な潜在成長は高い。人口増加の継続は住宅の需要を喚起する。家計のバランスシートも強化されるだろう。企業は資本投資を行い、新技術を採用するだろうし、生産性も高まるだろう。長期的な主要シナリオは変わらない。米国経済は世界で最も大きいし、産業の多様性もあり、国際競争力もある。伝統的に強い市場のアドバンテージがあり、強固な企業文化や資本や労働市場の柔軟性がある。また技術的なリーダーであり、世界を牽引する研究機関もある。無論、米国の成長については困難さに直面している。高齢化の問題もある。またヘルスケアのコストは世界で最も高い。これらは金融危機以前から認識され、現在進行形である。ポテンシャルをフルに引き出した経済成長をなし得るには、政策担当者はマクロ経済や金融の安定を促進をすべきである。具体的には有効な税制・貿易・規制政策、熟練労働者の育成、公共及び民間で生産的な投資を奨励する、研究や開発のための有益なサポートや新技術の採用などである。


Fedは長期的な経済のパフォーマンスを促進する役割にある。最も重要なことは、金融政策はインフレを低く抑え長期的なマクロ経済や金融の安定に貢献することである。低くかつ安定的なインフレは市場機能を改善させ、資源の割り当てを効果的にさせる。また金融の安定のためにFedは金融監督を行い、全体的な金融安定の監視、ラストリゾートとしての流動性の提供者としての役割にある。通常、金融や財政政策は短期的な経済回復のペースを速めることを促進することが、長期的な経済のパフォーマンスに強く影響するということは期待されていないだろう。しかし、現在の状況は高い割合の長期失業者の問題に直面している。短期的な回復を促進する政策は長期的な目的に役立つかもしれない。長期失業者の最小化は経済にとって健全であり、労働者のスキルの喪失や、労働力から外れることを防ぐ。雇用において循環的な回復を達成することの必要は緊急性を増している(しかし)長期的な経済の堅牢性をサポートする経済政策の殆どは、中央銀行の(役割の)圏外である。


経済や金融の安定を達成するために、米国の財政政策は持続可能なパスの上に立脚しているべきである。国民所得に対する債務は少なくとも安定的であるか、時間を掛けて減らしていくのが望ましい。力強い政策の変化がなければ、連邦政府の財政は手に負えない状況となり、金融や経済を強いリスクに晒すことになる。しかしながら、持続可能な財政は早急に対処しなければならないが、財政当局者は現状の景気回復が脆弱なものであるということを無視すべきではない。財政当局者は税制や支出のプログラムの設計を通して力強い経済パフォーマンスを促進して欲しい。最後に、おそらく最も困難なことなのだが、この国はより優れた財政の決定プロセスによってよくなっていくだろう。夏場の(債務上限引き上げを巡る)交渉は金融市場や経済を混乱させた。今後も似たような出来事が起これば、米国の金融資産を保有する、もしくは雇用を生み出すような米国企業への直接投資を行う、世界中の投資家の意欲を極めて危険な状態に晒すことになる。財政当局者は明確かつ透明性のある予算目標といったより効果的なプロセスの発展について考慮して欲しい。


経済政策の担当者は、短期的、長期的両方の難しい決定の範囲に直面している。しかし、これらの困難さに直面し、そして我々のファンダメンタルズ的な強さは最終的にこれら自身を強固なものにするということについては疑いがない。Fedは、物価安定の文脈において高い成長率や雇用を回復していくことができるように確かな行動を取っていくつもりである。



--------------------------------------------------------------
メルマガ「金融市場Watch Weblog Plus」のお知らせ

毎週月曜日に、各種マーケットについて、先週のフォロー及び今週の見通しと焦点について私なりの考え方をまとめてメルマガにてお伝えいたします。詳細はこちらを御覧ください。


人気ブログランキングへ ←皆さんの応援よろしくお願いします! 

 

 人気ブログランキングへ


関連記事
スポンサーサイト

カテゴリ: 市場視点

タグ: Fed  金融政策  時間軸政策  ZIRP  FOMC 
tb: 1   cm: 0

« 今週のポイント~8/29-9/2  |  ジャクソンホール・バーナンキ議長講演プレビュー~QE3は難しいか »

この記事に対するコメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://marketwatcher.blog61.fc2.com/tb.php/483-5b532cd8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

中銀のバランスシートから非伝統的金融政策を鳥瞰する

バーナンキ議長のスピーチ*1は、特に新しいことは何もなかった。今後に無理矢理期待する向きもあるようだが、一部の連中が催促している「緩和」の元手は、言うまでもなく預金者が出すわけであって、「バビル2世」で我々が学んだように、ポンプを使って引き出したからといっ

投資の消費性について
2011/08/27 13:29

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。