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ECB理事会~インフレリスクは「均衡がとれている」 

9月8日にECB理事会が開催され、政策金利であるリファイナンスオペ金利を1.5%に据え置いた。また金利コリドーも維持となった。トリシェ総裁記者会見では、以下のようなことが述べられた(全文はECBサイト参照)。


Based on its regular economic and monetary analyses, the Governing Council decided to keep the key ECB interest rates unchanged. Inflation has remained elevated and is likely to stay above 2% over the months ahead before declining next year. At the same time, the underlying pace of monetary expansion continues to be moderate, while monetary liquidity remains ample. As expected, the pace of economic growth in the euro area decelerated in the second quarter, following strong growth in the first quarter. Looking ahead, we expect the euro area economy to grow moderately, subject to particularly high uncertainty and intensified downside risks. At the same time, short-term interest rates are low. While our monetary policy stance remains accommodative, some financing conditions have tightened. It remains essential for monetary policy to focus on its mandate of maintaining price stability over the medium term, thereby ensuring that recent price developments do not give rise to broad-based inflationary pressures. A very thorough analysis of all incoming data and developments over the period ahead is warranted. Inflation expectations in the euro area must remain firmly anchored in line with our aim of maintaining inflation rates below, but close to, 2% over the medium term. Such anchoring is a prerequisite for monetary policy to make its contribution towards supporting economic growth and job creation in the euro area. We will continue to monitor very closely all developments.

通常の経済・金融分析に基づき、理事会はECBの政策金利を据え置くことを決めた。インフレは高止まりしており、今後数カ月間は2%を上回って推移し、来年には低下していく。同時に潜在的なマネタリーの拡大のペースは緩やかなままであり、金融の流動性は十分である、予測した通り、欧州の経済成長のペースは第1四半期に力強い成長があった後、第2四半期に減速した。先行きを見通すと、我々は欧州の経済は緩やかに成長していくと予測しているが、特に高い不確実性の影響を受けやすく、下振れリスクは大きくなっている。同時に短期金利は低い。我々の金融政策は緩和的なままだが、一方でいくつかの金融の状況は厳しくなっている。金融政策にとって中期的な物価安定の維持というマンデートにフォーカスを当てることが本質的なことであり、それゆえ最近の物価の進展は広範にインフレ圧力を押し上げないことを保証する。入手したすべての情報や先行きの進展についての徹底的な分析は正当性を持っている。ユーロ圏におけるインフレ期待は維持すべきインフレ目標を下回るか、もしくは中期的に2%に近づいたところでしっかりと固定されている。そのようなインフレ期待の固定は、ユーロ圏において、経済成長や雇用創出をサポートするための金融政策にとっての前提条件である。我々はすべての進展を非常に緊密に監視していくことにする。



このことから、現状の金融政策のスタンス(トリシェコード)は「非常に緊密に監視する(monitor very closely)」に据え置かれた。このことから10月の利上げはほぼ見送られたということが言えるかと思われる。利上げに踏み切るのであればstrong vigilance(強い警戒)を示すが、今回はややタカ派的なスタンスは継続するものの、少なくとも10月の利上げは見送るという形であろう。従って、4月の利上げ再開から3カ月おきに追加利上げを行うというサイクルが止まったことになる。


また、今回はユーロ圏の成長率見通し及び物価見通しが提示された。成長率見通しについては、


・2011年:1.4-1.8%(6月は1.5-2.3%)
・2012年:0.4-2.2%(6月は0.6-2.8%)



と下方修正した。この理由としては、


In the Governing Council’s assessment, the risks to the economic outlook for the euro area are on the downside, in an environment of particularly high uncertainty. Downside risks mainly relate to the ongoing tensions in some segments of the financial markets in the euro area and at the global level, as well as to the potential for these pressures to spill over into the euro area real economy. They also relate to further increases in energy prices, protectionist pressures and the possibility of a disorderly correction of global imbalances.

理事会の評価において、ユーロ圏の経済見通しはダウンサイドへのリスクがあり、特に高い不確実性の環境にある。ダウンサイドリスクはユーロ圏やグローバルレベルにおける金融市場のいくつかの部門で緊張が続いていることと同時に、ユーロ圏の実体経済へのスピルオーバーの潜在的な圧力と関係している。ダウンサイドリスクはさらなる原油高や保護主義圧力、グローバルインバランスの無秩序な是正の可能性も関係している。



としている。特に金融市場の緊張と、実体経済への波及効果については大きなリスクとして意識されていくものとみられる。そのためにはECBにとって今後も流動性対策を通じてこれらの緊張を緩和していくことが求められる。


また、インフレ見通しについては以下のようになっている。


・2011年:2.5-2.7%(6月から変わらず)
・2012年:1.2-2.2%(6月は1.1-2.3%)



となり、ほぼ変わらない見通しとなった。これについては、

We have now seen inflation rates at relatively high levels since the end of last year, with higher energy and other commodity prices as the main drivers. Looking ahead, inflation rates are likely to stay clearly above 2% over the coming months. Thereafter, on the basis of the path implied by futures markets for oil prices, inflation rates should fall below 2% in 2012. This pattern reflects the expectation of relatively stable wage growth developments in the context of moderate economic growth.

我々は昨年の末以降相対的に高いインフレ率をみており、高いエネルギー価格や他のコモディティ価格がメインドライバーである。先行きを見通すと、インフレ率は今後数カ月において2%を明確に上回るだろう。原油先物市場によって示されたパスに基づくがゆえに、インフレは2012年に2%以下に低下するだろう。このパターンは経済成長が緩やかであるという文脈において賃金の伸びの進展が比較的安定していることを反映した。



としており、今年のHICP消費者物価は2%台後半で推移しているが、原油先物価格がこの先落ち着いていくことや賃金インフレが緩やかであるということから来年には2%を下回るものとみている。また、政策判断において中期的なインフレリスクについても注目されているが、これについては、


The Governing Council views the risks to the medium-term outlook for price developments as being broadly balanced. On the upside, the main risks relate to the possibility of higher than assumed increases in oil and non-oil commodity prices as well as increases in indirect taxes and administered prices, owing to the need for fiscal consolidation in the coming years. The main downside risks relate to the impact of weaker than expected growth in the euro area and globally.

理事会は中期的な物価の進展の見通しのリスクについて広範でバランスがとれているとみている。アップサイドリスクは、原油や原油以外のコモディティ価格が想定以上に上昇する可能性や間接税や投入価格の上昇の可能性と関連している。主なダウンサイドリスクは欧州やグローバルの経済成長が予想よりも弱いことに関連している。



としており、バランスがとれているという認識を示したのは今年2月以来のこととなる。但し、今年の1・2月は「アップサイドに向かう可能性」に言及していることから、アップサイドに傾かないリスク判断を行ったのは昨年の12月以来のこととなる。以下はECBトリシェ総裁発言のうち、中期的なインフレのリスク見通しとトリシェコード、政策金利の推移である(出所:ECB)。


Inflation Risks 20110909.



このようなことから、"monitor very closely"というコードは据え置きになっているものの、インフレリスクについての下方修正を行っていることから、当面は政策を維持していくものと見られる。但し、金融市場の緊張が実体経済へスピルオーバーしていくリスクなどが高まり、実体経済のダウンサイドリスクが大きくなり、かつインフレリスクがバランスがとれているという認識が今後数カ月継続していくのであれば政策変更の機も熟していくことも考えられよう。しかし、利下げへのコンセンサスには時間を要するものとみられることから、当面の金融市場対策は流動性供給がメインとなっていくものと見られる。但し、一部米系投資銀行が予測しているように今週末のG7で協調利下げというカードが切られることもあるので、その点は留意しておく必要もある(個人的には今回のG7で協調利下げというカードが切られる可能性は大きくないとみているが、今後市場が急変するような場合あるいは金融危機に陥るような場合にはそのようなカードが切られるという発想は当然だろうと思われる)。


おまけ。トリシェ総裁ブチ切レの巻。海原雄山風にいえば「こんな質問をしたのは誰だあっ!!」ということなのだろう。


記者が、ドイツマルクに戻りたいとするドイツの人々やエコノミストについて何か答えることはあるか?(What is your answer to German people and economists who want the return of the DM?)と質問し、トリシェ総裁が「答えが欲しいのか?」としてそこからブチ切レの展開。完全なTranscriptはFT Alphaville "A few good central bankers"を参照。


Trichet defends legacy at ECB, hits back at German criticism, Thomson Reuters: Reuters Insider



impeccably, impeccably!
I would like very much to hear the 'congratulations' for an institution that has delivered price stability in Germany for … almost 13 years
13年間にわたってドイツに物価安定をもたらした機関に「祝意」を表明してもらいたいものだ!

We are in the worst crisis since World War II. We do our job. It is not an easy job.
我々は第二次大戦以降最も悪い危機の中にいる。我々が仕事をする。簡単な仕事じゃない。



最後に"Thank you for your Excellent Question"として記者を皮肉ったわけです。


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