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MBS追加購入に向けてコンセンサス形成か~Fedの次の一手か 

先週から今週にかけてFed高官や地区連銀総裁の講演が相次ぎ、ハト派及び執行部寄りの高官からQE3に対して前向きな発言が相次いだ。特に、タルーロ理事、イエレン副議長、そしてNY連銀ダドリー総裁が前向きな発言を行なっている。特に、タルーロ理事は講演でMBSの追加購入に対して前向きな発言を行なっている。以下はタルーロ理事の講演内容である(Fed Governor Daniel K. Tarullo At the World Leaders Forum, Columbia University, New York, New York October 20, 2011 "Unemployment, the Labor Market, and the Economy"より)。


At the September FOMC meeting, we changed our reinvestment policy so that the proceeds of maturing agency securities will now be reinvested in new MBS. Yields on longer-duration Treasury securities had trended down appreciably in the late summer in response to market demand, safe-haven flows, and diminishing expectations for growth. Even though nominal MBS rates had also declined somewhat, spreads to Treasury yields had, over the course of the year, widened noticeably. Since this announced change in reinvestment policy, spreads on lower-coupon MBS have narrowed, but they remain higher than they were early this year.

9月のFOMC会合で、償還したMBSの収入で新しいMBSを購入するという再投資政策の変更を行った。夏の終わりころにマーケットの需要やセーフヘブンへの資金流入、成長への弱気な見通しに反応して長期の財務省証券の金利はかなり低下傾向となった。しかしながら、名目のMBSの金利はやや低下したものの、米国債とのスプレッドは経過とともにかなり拡大した。この再投資政策の変更の通知以降、低いクーポンのMBSの金利のスプレッドは狭くなったが、今年のはじめに比べると依然として高い。


A large-scale MBS purchase program has many of the benefits associated with purchases of longer-duration Treasury securities, such as inducing investors to shift to other assets, including bonds and equities. But it could also have more direct effects on the housing market. By increasing demand for MBS, such a program should reduce the effective yield on those MBS, which in turn should put downward pressure on mortgage rates. The aggregate demand effect should be felt not just in new home purchases, but also in the added purchasing power of existing homeowners who are able to refinance.

大規模なMBS購入プログラムは、投資家は債券やエクイティなど他のアセットへシフトしたことを含む、長期の米国財務省証券の購入に関連して多くの恩恵があった。しかし、それは住宅市場にも直接的な影響がよりあった。MBSの需要の増加によって、そのようなプログラムはMBSの利回りを効果的に押し下げたはずである。総需要効果は、新築住宅だけでなく、借り換えが可能となる中古住宅のオーナーの購買力を増加させた。さらに住宅所有者がリファイナンスするということのは、恒久減税を得るということである。



このようなことから2009年のMBS購入プログラムについて、モーゲージ金利を引き下げたことから、住宅所有者のリファイナンスを促進したことにより、家計にとって減税と同じ効果が得られた、と主張している。そして現状、米国債の金利は歴史的に低水準であるものの、モーゲージ金利とのスプレッドは拡大しており、それについて懸念を持ったからこそ前回のFOMC会合において償還を迎えたMBSで得た資金を使ってエージェンシーMBSに再投資するという政策を行なっている。


そして以下はタルーロ理事によるMBS購入の主張である。


Needless to say, though, an MBS repurchase program will not cure all that ails the housing market, much less fill the whole aggregate demand shortfall. There is a host of other problems, including continuing issues in mortgage servicing, uncertainty as to when house prices will have bottomed out in local markets, ambiguity about the scope of putback risk for securitized mortgages, and the substantial part of the underwater mortgage problem that cannot be solved by refinancing. But I believe that MBS purchases are worth considering as a monetary policy option precisely because they carry the promise of addressing the feature of the current aggregate demand shortfall that differs from typical recessions and recoveries.

言うまでもなく、MBSの再購入プログラムは住宅市場すべての痛みに対してケアするものではないが、少なくとも総需要の不足を補うだろう。モーゲージサービスの問題、住宅価格がローカル市場でいつボトムアウトするか不透明であること、証券化されたモーゲージのプットバックリスクの範囲について曖昧であること、そしてリファイナンスにより解決することができない「水面下のモーゲージの問題」(ネガティブエクイティを指す)といった他の問題も住宅市場には存在している。しかし、私はMBSの購入は、過去のリセッションと回復のとは異なる、現状の総需要の不足といった問題を解決することを促進するので、金融政策のオプションとして検討に値すると思っている。



すなわち、これまでのリセッションからの回復時とは異なる総需要の不足を解決させるための手段としてFedはMBSの購入プログラムを再開するべきではないか、と述べている。このようなことから、今後決定されるかもしれないFedの追加緩和策の手段は追加のMBSの購入というのが有力な候補となりつつある。また、NY連銀ダドリー総裁も講演の中で、米国の景気回復が鈍い要因として住宅問題を取り上げていた。以下はスピーチからの抜粋である(NYFed "The National and Regional Economic Outlook" William C. Dudley, President and Chief Executive Officer)


First, problems in the housing market are a serious impediment to a stronger economic recovery. Residential construction - which typically boosts economic activity during a recovery - is at a standstill. Moreover, many homeowners are now consuming less because the decline in house prices reduced their wealth and they are concerned that the decline in home values and wealth may not be over.

第一に、住宅市場は力強い景気回復にとって深刻な障害である。回復期に経済活動を大きく押し上げる住宅建設は足踏み状態である。さらに、住宅価格の下落が住宅所有者の資産を押し下げ、住宅の価値の低下や資産の下落がまだ終わっていないのではないかと懸念していることから、多くの住宅所有者は消費をあまりしていない。


Mortgage rates are at record lows and house prices no longer appear overvalued on affordability measures. But obstacles to refinancing and access to credit for home purchases are limiting the support provided by low rates to house prices and consumption. Meanwhile, the large supply of foreclosed homes for sale - and the prospect that unemployment and negative equity will continue to feed the foreclosure pipeline -continues to put downward pressure on home values. The risk of further house price declines in turn discourages would-be buyers from entering the market.

モーゲージ金利は歴史的に低く、住宅価格はもはや割高ではなく手頃な価格にある。しかし、借り換えの障害や住宅購入のための信用へのアクセスは、住宅価格や建設にとって(低い金利でサポートされるということについて)限定的となっている。すなわち、売り出すための差し押さえ物件の巨大な供給、失業見通し、(差し押さえを作り出している)ネガティブエクイティは、住宅の価値を押し下げ続けている。さらなる住宅価格の低下のリスクは、市場へ参加している買い手を落胆させている。



そして、力強い回復を促進するために、可能な限り我々は行動を強化していくとしている。住宅については、家計資産にとって重要な部分を占める住宅市場が安定化することはとりわけ重要であることから、すべての借り手にとってリファイナンスをすることを難しくさせている障害物を取り除く必要があるとしている。現状FHFAでは借り手のリファイナンスの障害となっているネガティブエクイティ(ダドリー総裁は"high loan-to-value ratios"と説明)といった問題を解決させるために検討を行なっているとしている。オバマ政権はHARP(Home Affordable Refinance Program)の見直しを行い、住宅所有者の借り換えを促進させるための方策について検討を行なっている。従って、住宅所有者の借り換えの促進というのはポリシーミックスとして意識されてきており、その一環として金融面ではMBSの購入を通じてモーゲージ金利と米国債の金利とのスプレッドを縮小させてリファイナンスをサポートしていくという政策が取られる可能性が浮上してきている。現状タルーロ理事、イエレン副議長、そしてNY連銀ダドリー総裁と執行部サイドでこのような発言が続いていることから、内部でコンセンサス形成を行なっているものと考えられる。11月のFOMCで決定されるかどうかは定かではないものの、金融面から住宅市場をサポートするためにMBSを追加購入するといった政策が取られるということも十分考えられる。


参照:Calculated Risk "More on HARP and Housing"


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