日本マクロ定点観測~7-9月GDP1次速報
11月14日に内閣府は7-9月のGDP1次速報値を発表した。
国内総生産(実質・前年同期比) +6.0%
同名目GDP(前期比年率) +5.6%
GDPデフレータ(前期比) -0.1%
以下はGDPの寄与度と前期比の伸び率の推移である(出所:内閣府)

GDPデフレータと国内需要デフレータの推移

7-9月期実質GDPは年率換算で6.0%の伸びとなり、前期比でも4四半期ぶりにプラスの伸びとなったことから、テクニカルリセッションの状態を脱した。市場予想に対してはほぼインラインとなっている。名目GDPは5前期比年率で5.6%の伸びとなった。GDPデフレータは-0.1%、国内需要デフレータも-0.1%となり、足元で商品価格の高騰の影響などによりデフレ基調は緩和されている。
7-9月のGDP速報値を大きく押し上げたのは民間最終消費支出であり、GDPを1.0ポイント押し上げている。4-6月に前期比+0.2%に浮上し、7-9月に前期比1.4%に加速してきている。これは震災後に広まった自粛ムードが緩和され、消費者態度指数にみられるように消費マインドも回復してきたこと、さらには夏場の猛暑の効果も押し上げにつながったものと見られる。また7月に地上デジタル放送への切り替えが行われたことから駆け込み的にテレビなどの耐久財の需要も押し上げにつながったものと思われる。民間住宅は前期比5.0%の伸びとなり、GDPに対して0.1ポイントの寄与となった。震災からの立ち直りに伴い被災地域での住宅建設需要が高まったことが背景にあるものと思われる。民間企業設備は前期比1.1%の伸びとなり、GDPを0.1ポイント押し上げた。設備投資に関しては震災復興需要などもあり、高い伸びとなっている。しかし、7-9月の法人企業統計を受けて2次速報でリバイスされる可能性が大きいため注意が必要である。民間在庫品増加はGDPを0.2ポイント押し上げた。サプライチェーン障害が解消していく中で在庫復元の動きがみられたことが背景にある。公的需要のうち、公的固定資本形成は前期比-2.8%となり、GDPを0.1ポイント押し下げた。4-6月期は震災により被害を受けたインフラ等の復旧や仮設住宅建設などが押し上げの要因となっていたが、そうした動きが一巡した格好となっている。輸出は前期比6.2%の伸びとなり、GDPを0.9ポイント押し上げた。これはサプライチェーン障害が解消に向かう中で生産が回復し輸出が増加したことが要因となっている。輸入は前期比3.4%の伸びとなり、GDPを0.5ポイント押し下げた。原油などのコモディティ価格が上昇していく中で原材料の輸入コストが押し上げられ、さらには原子力発電所停止から火力発電用の燃料の輸入が増加したことが要因となっている。
GDPデフレータは前期比-0.1%となった。形態別国内家計最終消費支出における原系列の四半期デフレータをみると、耐久財は前年同期比-14.2%(4-6月は-17.2%)、半耐久財は同-0.9%(7-9月は-1.3%)、非耐久財は同+2.6%となっていることから、恐らくは原油価格高騰が影響しガソリン価格などが上昇したことにより非耐久財が押し上げられたということだろう。また耐久財のマイナス幅が縮小しており、デフレ基調は依然として続いているもののデフレがさらに深刻化するイメージではない。
今後の焦点としては、
・消費者マインドが頭打ちしていること、一時的な駆け込み需要が剥落していること
・タイ洪水の影響
・世界経済減速の影響
このようなところがポイントとなろう。消費者マインドについては、10月の消費者態度指数が38.6と前月から変わらずとなっており、暮らし向きや収入の増え方で前月から悪化しており、この点で頭打ち感が強い。以下は消費者態度指数の推移(出所:内閣府)。

また、7-9月の堅調な個人消費の要因となった地上デジタルテレビ切り替えに伴うテレビなどの買い替え需要が剥落し、猛暑効果も当然のことながら剥落する。このことから10-12月の個人消費動向は7-9月のような強い回復を望むのはやや厳しいように思われる。タイの洪水の影響は電子部品等でサプライチェーン障害を引き起こしており、今後輸出などで足を引っ張る恐れがある。現時点で被害の全容は把握できておらず、今後の推移には注意が必要である。世界経済の減速については、新興国と欧州で顕著となっており、とりわけ欧州の動向がリスクとなる。欧州委員会が予測している2012年のユーロ圏(27カ国)GDP成長率は0.5%の伸びと予測しており、リセッションのリスクが高まっている。欧州での需要の低下が顕著となれば輸出や設備投資にブレーキが掛かりやすくなる。世界的な金融市場の混乱が直接日本の実体経済にスピルオーバーするリスクはそれ程大きくはないとみられるが、海外需要の低下により下振れるリスクは大きい。震災復興関連では第3次補正予算の執行ペースに関わってくる。先週に衆院を通過し参院での審議に入るが、如何に早期に成立させるかがポイントとなってこよう。成立が遅れればそれだけ復興需要の喚起も遅れることになる。
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GDPデフレータと国内需要デフレータの推移

7-9月期実質GDPは年率換算で6.0%の伸びとなり、前期比でも4四半期ぶりにプラスの伸びとなったことから、テクニカルリセッションの状態を脱した。市場予想に対してはほぼインラインとなっている。名目GDPは5前期比年率で5.6%の伸びとなった。GDPデフレータは-0.1%、国内需要デフレータも-0.1%となり、足元で商品価格の高騰の影響などによりデフレ基調は緩和されている。
7-9月のGDP速報値を大きく押し上げたのは民間最終消費支出であり、GDPを1.0ポイント押し上げている。4-6月に前期比+0.2%に浮上し、7-9月に前期比1.4%に加速してきている。これは震災後に広まった自粛ムードが緩和され、消費者態度指数にみられるように消費マインドも回復してきたこと、さらには夏場の猛暑の効果も押し上げにつながったものと見られる。また7月に地上デジタル放送への切り替えが行われたことから駆け込み的にテレビなどの耐久財の需要も押し上げにつながったものと思われる。民間住宅は前期比5.0%の伸びとなり、GDPに対して0.1ポイントの寄与となった。震災からの立ち直りに伴い被災地域での住宅建設需要が高まったことが背景にあるものと思われる。民間企業設備は前期比1.1%の伸びとなり、GDPを0.1ポイント押し上げた。設備投資に関しては震災復興需要などもあり、高い伸びとなっている。しかし、7-9月の法人企業統計を受けて2次速報でリバイスされる可能性が大きいため注意が必要である。民間在庫品増加はGDPを0.2ポイント押し上げた。サプライチェーン障害が解消していく中で在庫復元の動きがみられたことが背景にある。公的需要のうち、公的固定資本形成は前期比-2.8%となり、GDPを0.1ポイント押し下げた。4-6月期は震災により被害を受けたインフラ等の復旧や仮設住宅建設などが押し上げの要因となっていたが、そうした動きが一巡した格好となっている。輸出は前期比6.2%の伸びとなり、GDPを0.9ポイント押し上げた。これはサプライチェーン障害が解消に向かう中で生産が回復し輸出が増加したことが要因となっている。輸入は前期比3.4%の伸びとなり、GDPを0.5ポイント押し下げた。原油などのコモディティ価格が上昇していく中で原材料の輸入コストが押し上げられ、さらには原子力発電所停止から火力発電用の燃料の輸入が増加したことが要因となっている。
GDPデフレータは前期比-0.1%となった。形態別国内家計最終消費支出における原系列の四半期デフレータをみると、耐久財は前年同期比-14.2%(4-6月は-17.2%)、半耐久財は同-0.9%(7-9月は-1.3%)、非耐久財は同+2.6%となっていることから、恐らくは原油価格高騰が影響しガソリン価格などが上昇したことにより非耐久財が押し上げられたということだろう。また耐久財のマイナス幅が縮小しており、デフレ基調は依然として続いているもののデフレがさらに深刻化するイメージではない。
今後の焦点としては、
・消費者マインドが頭打ちしていること、一時的な駆け込み需要が剥落していること
・タイ洪水の影響
・世界経済減速の影響
このようなところがポイントとなろう。消費者マインドについては、10月の消費者態度指数が38.6と前月から変わらずとなっており、暮らし向きや収入の増え方で前月から悪化しており、この点で頭打ち感が強い。以下は消費者態度指数の推移(出所:内閣府)。

また、7-9月の堅調な個人消費の要因となった地上デジタルテレビ切り替えに伴うテレビなどの買い替え需要が剥落し、猛暑効果も当然のことながら剥落する。このことから10-12月の個人消費動向は7-9月のような強い回復を望むのはやや厳しいように思われる。タイの洪水の影響は電子部品等でサプライチェーン障害を引き起こしており、今後輸出などで足を引っ張る恐れがある。現時点で被害の全容は把握できておらず、今後の推移には注意が必要である。世界経済の減速については、新興国と欧州で顕著となっており、とりわけ欧州の動向がリスクとなる。欧州委員会が予測している2012年のユーロ圏(27カ国)GDP成長率は0.5%の伸びと予測しており、リセッションのリスクが高まっている。欧州での需要の低下が顕著となれば輸出や設備投資にブレーキが掛かりやすくなる。世界的な金融市場の混乱が直接日本の実体経済にスピルオーバーするリスクはそれ程大きくはないとみられるが、海外需要の低下により下振れるリスクは大きい。震災復興関連では第3次補正予算の執行ペースに関わってくる。先週に衆院を通過し参院での審議に入るが、如何に早期に成立させるかがポイントとなってこよう。成立が遅れればそれだけ復興需要の喚起も遅れることになる。
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カテゴリ: 市場視点
タグ: 日本 マクロ 震災後の日本経済・マーケットを考える« 各国中銀間のスワップライン協定金利引き下げ~デレバレッジ圧力の緩和が狙いか | FREDアドインを使ってみよう~マクロ・マーケット指標の時系列データをExcelに取り込むツール »



