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ECB理事会~政策金利の25bp引き下げと非標準的手段の拡充 

12月8日にECB理事会が開催され、以下のようなことが決められた。


標準的政策手段
・政策金利であるリファイナンスオペ金利を25bp引き下げ1.0%とする
・上限金利である限界貸出ファシリティ金利と下限金利である預金ファシリティ金利を25bp引き下げ


非標準的政策手段
・36カ月物LTRO(長期リファイナンスオペ)の導入
・ファインチューニングオペの再開(12月14日実施)
・支払準備率を2%から1%に引き下げ
・適格担保要件の緩和



非標準的政策手段のうち、36カ月物LTROについては1年後の早期返済オペレーションが付いたものであり、フルアロットメント・固定金利方式で行われる。ファインチューニングオペは12月14日にLTRO3カ月物(555億ユーロ)の満期を迎えるため、流動性を確保する目的で行われる。適格要件の緩和については、ABS(資産担保証券)の格付けについてシングルA格までに引き下げることや、一時的に銀行のローン債権も認めることにより行われるとしている。


利下げについては、ほぼ事前の想定通りの形となった。ドラギ総裁会見において、インフレ圧力が緩和されてきていること、インフレ期待がしっかりと固定されていること、強い金融市場の緊張が経済活動を抑制しダウンサイドリスクを抱えていることなどから、景気を刺激するために利下げを行ったということになる。特に、後述するが、最新のECBの経済見通しでは悪いシナリオに進めば2012年はリセッションに陥ることを示唆しているため、緩和的なスタンスを明確に打ち出す必要があったものと思われる。なお、利下げについては記者との質問の中で、全会一致ではなく、さらなる利下げ幅については討議されなかったとしている。非標準的手段の強化についてはこのように述べている。


In its continued efforts to support the liquidity situation of euro area banks, and following the coordinated central bank action on 30 November 2011 to provide liquidity to the global financial system, the Governing Council today also decided to adopt further non-standard measures. These measures should ensure enhanced access of the banking sector to liquidity and facilitate the functioning of the euro area money market. They are expected to support the provision of credit to households and non-financial corporations.

ユーロ圏の銀行の流動性の状況を効果的にサポートし続けるために、グローバル金融システムへの流動性供給を行うための2011年11月30日の行動に続いて、理事会は4つの非標準的な政策手段を決めた。これらの手段は、銀行のセクターに流動性へのアクセスを強化し、ユーロ圏のマネーマーケットの機能を促進させるものである。これらは家計や非金融セクターの企業に信用の提供をサポートすると期待されている。



このような意味合いから4つの非標準的政策手段が行われることとなった。一方でSMP(証券市場プログラム)の拡充については決められなかった。先週、欧州議会でドラギ総裁が各国が財政協定の厳格化にコミットできるならば、さらなる行動を行う用意がある、としていたが、この日の会見では、SMPの拡充により更なる周縁国の国債を買い入れるシグナルは送っていない(didn't signal more bond purchase last week)としており、さらに条約上の制限もあることから、積極的な国債買い入れを実施することには否定的だった。利下げを受けてユーロは買い進まれたが、この発言を受けて失望売りを浴びる展開となった。以下はEURUSDの5分足チャート。


eurusd 20111209



ドラギ総裁の先週の発言について市場に更なる国債買い入れを行うのではないかという思惑や期待を抱かせてしまったことについては、コミュニケーション戦略上の失敗だったといえるが、欧州基本条約が禁じている財政ファイナンスに加担しているのではないかという疑念を抱かせ、中銀のクレディビリティを失わせることは避けたかったものと見られる。また、EU首脳会合前に踏み込んだ政策に対する発言は避けたかったかもしれない。また、"Lets not forget the ECB is not an IMF member"と述べ、ECBや各国中銀がIMFに資金を貸し出して、IMFが周縁国を救済することについても否定的な見解を示しており、この点でも市場を落胆させる結果となった。


経済見通しについては、以下の通りである。


・GDP
2011: 1.5-1.7%(前回は1.4-1.8%)
2012: -0.4-1.0%(前回は0.4-2.2%)
2013: 0.3-2.3%


・HICP
2011: 2.6-2.8%(前回は2.5-2.7%)
2012: 1.5-2.5%(前回は1.2-2.2%)


特に成長率見通しについては、最悪リセッションの状態となることを予想している。成長率見通しの下方修正については、以下のような理由としている。


These revisions mainly reflect the impact on domestic demand of weaker confidence and worsening financing conditions, stemming from the heightened uncertainty related to the sovereign debt crisis, as well as downward revisions of foreign demand.

これらの修正は弱い信頼感による域内需要や金融の状況の悪化や、ソブリン債務危機に関連した高い不確実性だけでなく、海外需要の下方修正にも起因していることを反映している。



インフレ見通しについては、以下のような理由としている。


This results from the upward impact of higher oil prices in euro terms, as well as a higher contribution from indirect taxes. The upward impact of these factors is expected to more than compensate the downward adjustments to profit margins and wage growth that are related to the downward revision of activity.

これは、高い石油価格の影響のアップサイドでのインパクトだけでなく、間接税による寄与の高まりの結果である。これらの要因によるアップサイドなインパクトは、経済活動の下方修正に関連付けられた利益のマージンや賃金の伸びを補って余りあると予測している。




原油価格については現状95ドルを上回っており、未だに物価動向に強いインパクトを与えていることや、間接税の引き上げによる物価への影響も無視することができないため、インフレ見通しについては上方修正した格好となっている。


経済のリスクバランスについては以下の通りである。


In the Governing Council’s assessment, substantial downside risks to the economic outlook for the euro area exist in an environment of high uncertainty. Downside risks notably relate to a further intensification of the tensions in euro area financial markets and their potential spillover to the euro area real economy. Downside risks also relate to the global economy, which may be weaker than expected, as well as to protectionist pressures and the possibility of a disorderly correction of global imbalances.

理事会の評価において、ユーロ圏における経済見通しの潜在的なダウンサイドリスクが高い不確実性の環境のもと、存在している。ダウンサイドリスクは、ユーロ圏の金融市場における緊張の高まりや、ユーロ圏の実体経済への潜在的なスピルオーバーに関連している。ダウンサイドリスクはグローバル経済、すなわち予想している以上に弱いこと、保護主義圧力の高まり、グローバルインバランスの無秩序な修正にも関連している。




このようなことから、最も当局として恐れているのは金融市場の混乱が実体経済にスピルオーバーしていくことである。すなわち、金融仲介機能が機能不全に陥り、信用収縮などを通じて実体経済に波及していくことが危惧されている。また、欧州銀行によるデレバレッジの進展によって、例えば新興国向けの貸出が引き揚げられたりすれば、そういった国々でも信用収縮を招く恐れもある。この点については市場を安定化させ、金融機関に十分な流動性を持たせるため、ECBとしても流動性供給を厚くしていくことで対処しているし、各国中銀もドルスワップ取極の期間延長や金利引き下げなどの措置を講じている。


インフレのリスクバランスについては以下のとおりである。


The Governing Council continues to view the risks to the medium-term outlook for price developments as broadly balanced. On the upside, the main risks relate to further increases in indirect taxes and administered prices, owing to the need for fiscal consolidation in the coming years. The main downside risks relate to the impact of weaker than expected growth in the euro area and globally.

理事会は価格の進展への中期的な見通しのリスクについて概ね均衡が取れているものとしてみていることを継続している。アップサイドでは、主なリスクは、今後数年に渡って財政再建を必要としている状況において、間接税のさらなる引き上げや投与価格の増加に関連付けられている。ダウンサイドリスクは欧州や世界的に予測している以上に弱い経済成長のインパクトに関連している。



インフレのリスクバランスについてはあまり大きな変化はない。リスクバランスは概ね均衡が取れているといったところだろう。このようなことから、今後もECBは経済のダウンサイドリスクを考慮しながら、緩和的なスタンスを取っていくものと思われる。しかし、これ以上の利下げについてはやや難しい面もある。それはコリドーの操作に係わる部分である。ECBでは3つの金利体系があり、上限金利である限界貸出ファシリティ金利(ディスカウントウィンドウを利用する際に適用される金利)、主要リファイナンス金利(オペで適用される金利)、預金ファシリティ金利(超過の流動性を預け入れる金利)があるが、この3つの金利は現状75bpの差が付けられている。そして預金ファシリティ金利については0.25%であり、これ以上引き下げるのは現実的ではない(Fedも超過準備には25bpの金利を付与している)。ドラギ総裁も"ECB deposit facility level is not distant from level post Lehman"としており、リーマンショックの時と預金ファシリティ金利の水準はそれ程離れているわけではなく金利の引き下げ余地についても限界に近いことを示唆する発言を行なっている。このことから、今後金利を引き下げる際にはコリドーを狭めていくしかないが、75bp未満はこれまで実施したことがない(トリシェ総裁時の金融危機においてもこの水準を割り込んだことはない)。従って、現状コリドーを変更する意思がないのであれば、今回で利下げは打ち止めになるし、仮にコリドーを50bpに引き下げるとしても、あと1回しか出来ないということになる。従って、今後さらなる緩和策が必要とされた場合、どのようにコリドー等を考慮しながら金利を引き下げていくのか、注目されるところだろうと思われる。



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タグ: 金融政策  ECB  ユーロ  欧州金融不安  ソブリンリスク 
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