09« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»10

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カテゴリ: スポンサー広告

tb: --    cm: --

2012年の経済・マーケットを考える(1)~米国の家計のバランスシート調整は道半ば 

2011年という年を振り返ると、先進国経済は2009年から立ち直りをみせたものの、リセッション前の状態にははるかに遠く、構造的な要因が重石となり、回復ペースは至って緩慢なものとなった。景気回復のペースを緩慢にさせた構造的な問題とは、米国でいえば家計のバランスシート調整であり、欧州ではソブリンリスク、すなわち民間債務が公的債務に移転し、持続可能な財政運営が不可能になりつつある、という懸念である。さらに世界的に、不幸にも歴史的な災害が多い年でもあった。オーストラリアの洪水、NZ・クライストチャーチの震災、東日本大震災、タイの大洪水といった災害は経済にも深刻な影響を与え、財政及び金融政策にも影響を与えた。また東日本大震災は深刻なサプライチェーン障害をもたらし、日本経済はリセッション入りし、米国などの経済にも多大な影響を与えた。世界経済の成長のドライバーであった新興国はインフレに悩まされ続けた。年前半においては、各国中銀は利上げを繰り返し行い、やがて景気のスローダウンを招いた。チュニジアに端を発したJasmine RevolutionはMENA(中東・北アフリカ)に拡大し、リビアやエジプトで独裁政権が崩壊した。産油国が集まる地域でもあったことから原油高が加速し、インフレ加速に寄与した。


2012年はどのような年になるのだろうか?


年末ということもあり、2012年の見方について考えていきたい。第1回目は米国家計のバランスシート調整という問題である。2011年の米国経済は回復が非常に緩慢だったといえる。年初は3%台の成長が見込まれていたが、MENA情勢の混乱によるエネルギー価格の上昇や他のコモディティ価格の上昇、東日本大震災の影響によるサプライチェーン障害、夏場以降のデットシーリングリミット交渉に端を発した金融市場の混乱による消費者マインドの低下により、1.7%程度の成長に留まったものとみられる。しかし、米国経済の低迷のベースファクターにあったのは、家計のバランスシート調整の進展であり、それは非常に緩慢であることから、住宅市場は低迷を脱せない状態にあり、成長を抑制することとなった。この結果、米国のモーゲージ金利が歴史的に最低水準を更新している状況においても住宅着工が増加していかない。家計には住宅投資を行うだけの余裕がなく、債務返済に追われている事実を映し出している。以下はNY連銀がまとめた家計のバランスシートの状況の推移である(出所:NYFed)。


Household Debt 20111219


2011年第3四半期においては、家計の総債務残高は11.66兆ドルあり、そのうちモーゲージローンが72%、リボルビングローンが5%、自動車ローンが5%、クレジットカードローンが6%、学資ローンが7%、その他ローンが3%となっている。つまり、家計のモーゲージ債務は8.40兆ドルとなっている。


家計のバランスシートは2000年以降の信用バブルに乗って積み上がってきていた。信用バブルは住宅バブルを引き起こし、住宅価格の上昇から、家計の資産価値が上昇し、バランスシートを拡大させて新しい住宅に乗り換える動きがみられた。この間、資産効果もあり、さらに信用の獲得も容易であることから、消費なども活発になりやすい。そして2008年第3四半期に家計のバランスシートは12.5兆ドルにまで積み上がったが、住宅バブルが崩壊し、住宅価格が低下、さらに金融危機が追い打ちとなり信用獲得も困難となっていった。この時にモーゲージの残高が住宅価格よりも下回っていれば債務負担として大きく意識されることはないが、住宅価格がモーゲージ残高を下回る(いわゆるネガティブエクイティ、もしくは「水面下の問題」)と、家計のバランスシートは債務超過の状態となり、債務負担が重くのし掛かる。金融危機とリセッション以降、雇用環境も安定しないことから収入も安定せず、ローン延滞率が上昇し、やがてデフォルトを引き起こす。そしてモーゲージの貸し手は住宅を差し押さえ、在庫を抱えることになる(シャドウインベントリ)。そして貸し手に在庫圧縮の圧力がかかるとフォークロージャー物件として市場に放出される。この時に住宅市場に強い需要があれば救いであるが、住宅の潜在的な買い手である家計はバランスシート調整圧力にさらされており、需要を抑制してしまう。弱い住宅取得需要の中で、フォークロージャー物件が市場に大量に放出されることで供給過剰となり、住宅価格の値崩れを起こす。そしてネガティブエクイティに見舞われる家計がさらに多くなり、信用獲得はさらに難しくなってきているという悪循環を引き起こしてきている。直近のモーゲージローン指標は延滞率が減少している半面でフォークロージャー率は過去最高を更新し続けている。以下は延滞率(Delinquencies)とフォークロージャー率(Foreclosures)の推移(出所:Lender Processing Services)。


Foreclosure 20111219


また、ネガティブエクイティによって、家計はこれだけ低い住宅ローン金利にもかかわらずモーゲージのリファイナンスが出来ない状況である。高いモーゲージ金利から低い金利にリファイナンス出来れば、恒久減税と同じような効果が見込まれ、消費にも一定の効果があるとみられるが、それが出来ない状況にある。オバマ政権はリファイナンス促進のためにHARP(Home Affordable Refinance Program)の見直しを行なっているが、どの程度の効果があるのかは今の段階で定かではない。金融面からは、Fedはオペレーション・ツイストやフォワードガイダンスの明示化によりベンチマーク金利を低金利に誘導し、MBSの再投資を行うことでモーゲージ金利に働きかける形で、モーゲージローンのリファイナンスを促進させている。今後モーゲージスプレッドをさらに引き下げる必要が生じて来ればMBSの追加購入がオプションとして意識されている。



現在家計は債務削減を行なっている最中であるが、正常なレベルに戻るプロセスは非常に緩慢であり、その間所得は(少なくとも家計の債務超過状態から脱するために)バランスシートを修復させるために貯蓄に回ることが優先され、消費にはなかなか回らない。住宅価格も下落していることから逆資産効果も働きやすい。2012年のポイントは、住宅価格がどの段階でボトムアウトするか、そしてリファイナンス促進の政策がどの程度ワークしていくのか、このあたりが焦点となっていくものと見られる。しかし、2011年と同様バランスシートの調整のプロセスは道半ばの段階であり、消費や住宅投資を抑制し、貯蓄率は今年と同水準をキープしていくものと思われる。以下は家計の債務残高と貯蓄率の推移(出所:NYFed、米商務省)


Saving Rate 20111219




--------------------------------------------------------------
メルマガ「金融市場Watch Weblog Plus」のお知らせ

毎週月曜日に、各種マーケットについて、先週のフォロー及び今週の見通しと焦点について私なりの考え方をまとめてメルマガにてお伝えいたします。詳細はこちらを御覧ください。


人気ブログランキングへ ←皆さんの応援よろしくお願いします! 

 

 人気ブログランキングへ

関連記事
スポンサーサイト

カテゴリ: 市場視点

タグ: 2012年の経済・マーケットを考える  米国  Fed 
tb: 0   cm: 0

« 2012年の経済・マーケットを考える(2)~デレバレッジ  |  日銀短観~製造業の業況が悪化 »

この記事に対するコメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://marketwatcher.blog61.fc2.com/tb.php/521-0878b58f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。