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2012年の経済・マーケットを考える(2)~デレバレッジ 

2012年の金融環境を考えるにあたり、最も意識されやすくなることの一つには「デレバレッジ」が挙げられている。そして、欧州金融機関におけるデレバレッジの動向が、世界経済に与えるインパクトを大きくしてしまうのではないかと懸念されている。欧州の金融機関は信用バブル期に外貨建ての資産保有を拡大させてきた。以下は欧州MFI(金融機関)のドル建てローン(欧州域外カウンターパート)の保有残高と欧州MFI(金融機関)のドル建て証券(株式除く・欧州域外カウンターパート)の保有残高の推移の推移である(出所:ECBのデータ)。


MFI Loans 20111222


MFI Holding securities 20111222

しかし、欧州の金融機関は例えばドル建ての資金の調達は、米国内にリテールを持つわけではないので、専ら市場調達に依存してきた。2007年以降の金融危機ではドルファンディングが困難になり、一部の外貨建て資産を圧縮させてきた。その後金融危機の状態から脱し、そうした資産を圧縮する圧力は緩和された。しかし、2010年にソブリンリスクが発生すると、欧州の金融機関が欧州の周縁国のソブリン債を保有していることから、カウンターパーティリスクに発展した。米銀など主なドルの出し手は次第に欧州の金融機関に対してクレジットラインを絞る動きとなった。2010年から2011年夏場まではCPを発行する形でドル資金を確保してきたが、2011年秋以降市場環境の悪化によりこうしたCPが発行できなくなり、さらにドルの調達コストが大きく上昇していく中で、欧州の金融機関はドル資金を市場から調達することが難しくなってきている。以下はドル調達コストの指標である1年物ユーロのベーシススワップの推移である(出所:Bloomberg)。


Euro Basis Swap 20111222



このような市場環境にある中で、2011年11月に各中銀は協調してドルスワップ協定の強化を行い、ドルスワップ協定に適用される金利を50bp引き下げ、ドルスワップ協定の延長を行った。このことは無秩序なデレバレッジ圧力を緩和させるものと期待されている。この決定以降、市場ではややドル調達コストが低下しているが、それでもなお厳しい状況が続いている。そしてデレバレッジの動向においては、2012年6月頃には2011年10月に決まった欧州金融機関の資本増強の動きも意識される。コアTier1比率を9%にするには、エクイティによる調達(分母の拡大)か、資産圧縮(分子の縮小)しかない。EBAでは欧州の金融機関の資本不足額を1147億ユーロとしており、エクイティによる調達ですべて賄うことができるのであれば問題はないが、現状これだけの額を増資で集めることは困難であり、一部は資産圧縮によってコアTier1比率を目標の9%に引き上げるものと見られ、デレバレッジ圧力として意識される。


デレバレッジ圧力がかかるとどのようなことが問題になるのか?言い換えれば欧州の金融機関が資産を切り売りすると、実体経済等にどのような悪影響が出るのか?ということである。これについては、NY連銀ダドリー総裁が12月15日の議会証言において以下のように述べ、ドルスワップライン協定の強化という政策の正当性を表明している(NY Fed "Testimony: What the Euro Crisis Means for Taxpayers and the U.S. Economy" より)。


One way we can help to support the availability of dollar funding is by engaging in currency swaps with other central banks. This has been used as a policy tool dating back to 1962. Recently, the Federal Open Market Committee decided to re-launch this tool, cooperating with five other central banks. Our intention is to create a credible backstop to - but not supplant - private markets. Banks with surplus dollars are more likely to lend to banks in need of dollars if they know that the borrowing bank will be able to obtain the dollars it needs to repay the loan, if necessary, from its central bank.

ドルファンディングのアベイラビリティをサポートするために、我々が出来ることは、他の国の中央銀行と通貨スワップラインを締結することである。これは政策手段として使われたのは1962年に遡る。最近では、FOMCは5中銀と協働でこの手段を再開することを決めた。我々の狙いは、民間のマーケットに取って代わることはできないが、信頼できるバックストップを創りだすことである。もし、必要であれば、借り手の銀行が中央銀行からドルを取得することが出来るならば、ドルが余剰にある銀行は、ローンを返済するのに必要なドルを銀行に貸し出すことが出来るであろう。


This action is designed to support financial stability, avoid an unnecessary tightening in financial conditions and support economic activity and jobs in the United States. In particular, by reducing the cost of dollar funding via the swap lines last month, we reduced the pressure on banks in Europe to abruptly liquidate their U.S. dollar assets. Thus, this step will help to insulate U.S. markets from the pressures in Europe and support the availability of credit to U.S. households and businesses. European banks are particularly active in areas such as trade finance, project finance, energy lending and municipal finance - a sharp contraction of the financing they provide would be harmful for the U.S. economy as a whole including for U.S. exporters, firms working on infrastructure projects, the energy industry and hard-pressed state and local governments across the country.

この行動は金融の安定をサポートし、金融の状況における不必要な厳しさを回避し、米国における経済活動や雇用をサポートするために設計されている。特に、先月のスワップラインを通じてドルファンディングのコストを引き下げることは、我々は欧州における銀行の米国資産の強制的な清算を行う圧力を抑えている。従って、このステップは欧州におけるプレッシャーから米国のマーケットを隔離することを助け、米国の家計や企業における信用ののアベイラビリティをサポートする。欧州の銀行は特に貿易金融やプロジェクトファイナンス、エネルギー向け貸出や地方のファイナンスのような活動を行なっており、ファイナンスの急激な収縮は、米国の輸出業者や、インフラプロジェクトに関わる企業、エネルギー産業、全国の州や地方政府を含む広範な米国経済を傷つけてしまうだろう。



このように欧州の金融機関が外貨建ての資産を圧縮することは、米国経済にとっても決して小さい問題ではないことを指摘している。ドルのファンディングコストが高くなること、あるいは銀行の資本増強の動きの中で、こうしたドル建ての資産(ローンなど)が切り売りされてしまうことは、米国経済だけでなく世界経済(特にバンキングシステムが発達していない新興国)にも大きな影響を与えることが想定される。2009年にドバイショックが起きたが、ドバイの債務水準におけるサスティナビリティにも疑念が生じたが、それと同時に主に英国の金融機関がドバイ向けの貸出を引き揚げようとしたこともトリガーの要因として意識された。従って、欧州の金融機関が各国にどれほどのエクスポージャを有しているか、ということもデレバレッジの影響を占う上で重要となってくる。以下はBISの欧州の金融機関による、各国向け対外与信の一覧である(出所:BIS)。


・アジア・太平洋


Asia 20111222


・欧州(先進国除く)


EEurope 20111222



・ラテンアメリカ


LAmerica 20111222



*A国の銀行がB国に現地法人を持っていてその現地法人が現地企業や政府等に対して(外貨・現地通貨建て)与信を行なっている場合、それはA国の対外与信として扱う。例えば、HSBCやスタンダードチャータードは英国の銀行であるが、香港で預金・与信業務を行なっており、HSBCHKやスタンチャート香港の現地向けの(外貨・HKドル建て)与信は、BIS統計においては英国の対外与信として扱っている。従って、上の表は対外与信であり、対外与信は国際与信(国境を超えた(クロスボーダー)与信と外国銀行の支店・現地法人による外貨建ての国内与信)と外国銀行の支店・現地法人による地場通貨建て与信を合わせた与信のことである。


ここで、ロケール別の与信として、インド、先進国除く欧州、ブラジル、中国と分けて考えてみることにする。以下は報告ベースの金融機関(日本や米国なども含む)による現地法人による外貨建て及び地場通貨建ての国内与信とクロスボーダー与信の推移である(出所:BIS)。


・中国


China 20111222


・インド


India.png



・先進国除く欧州


Europe ex developed



・ブラジル


Brazil.png



インドと中国は外国銀行の支店・現地法人による外貨建て及び地場通貨建ての国内与信(ここではローカル与信とする)の比率が小さく、クロスボーダー与信が大きい。一方で先進国除く欧州とブラジルはローカル与信が大きく、クロスボーダー与信の割合は小さい。つまり、例えばブラジルであれば、スペインのサンタンデール傘下のバンコ・サンタンデール・ブラジルはブラジル国内にリテールバンクを展開しており、レアルの調達は安定しているといえる。従って、ブラジルにおいては、スペインの金融機関がブラジルに行なっている対外与信は金額ベースでは膨大ではあるが、そうした子会社でリテール展開を行なっており、デレバレッジの圧力に晒された際のバッファとなる。つまり欧州の金融機関はデレバレッジに際してそうした海外の子会社金融機関を売却すれば済み、貸出が引き揚げられる可能性はいく分和らぐ。一方でクロスボーダー与信の割合が大きいインドなどは、デレバレッジの圧力に晒された際、信用収縮の影響を受けやすくなる。中国もそうした傾向がみられる。


経常収支面からみると、中国は経常収支の黒字が膨大であるため、資本が引き揚げられても急激に通貨が安くなる危険は大きくないが、経常赤字であるインドやブラジルはそういったリスクは大きい。また相対的に東欧諸国も資本流出に対しての脆弱性は小さいとはいえず、ハンガリー中銀は資本流出によるフォリント安を警戒して利上げを行なっている。以下は各国の経常収支(2011年、出所:IMFWEO)。


Current Account Balance 20111222



従って、2012年は、こうした欧州の金融機関によるデレバレッジの進展が世界経済にどのような影響を及ぼしていくのか、このあたりが注目されていくものと見られる。特にバンキングシステムに脆弱性がある新興国へのインパクトがどの程度となるのかがポイントとなってこよう。ワーストシナリオとしては通貨危機とということも想起される。そして各国中銀はドルファンディングを緩和してこうしたデレバレッジの圧力に対するバックストップを行なっているが、2012年において、ソブリン危機がいっそう深刻化し、ドルファンディングが困難になっていく状況になっていく可能性もあり、そのあたりの対応も焦点となっていくものと思われる。



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