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ECB理事会~現状維持 

1月12日にECB理事会が開催され、現行のリファイナンス金利を1.0%に据え置くことを決めた。また上限金利である限界貸付ファシリティ金利を1.75%、下限金利である預金ファシリティ金利を0.25%にそれぞれ据え置くことを決めた。以下はドラギ総裁が会見冒頭に読み上げたステートメントである(全文はECBサイト参照)。


Based on its regular economic and monetary analyses, the Governing Council decided today to keep the key ECB interest rates unchanged, following the 25 basis point decreases on 3 November and 8 December 2011. The information that has become available since early December broadly confirms our previous assessment. Inflation is likely to stay above 2% for several months to come, before declining to below 2%. At the same time, the underlying pace of monetary expansion remains moderate. As expected, ongoing financial market tensions continue to dampen economic activity in the euro area, while, according to some recent survey indicators, there are tentative signs of a stabilisation in activity at low levels. The economic outlook remains subject to high uncertainty and substantial downside risks. In such an environment, cost, wage and price pressures in the euro area should remain modest and inflation rates should develop in line with price stability over the policy-relevant horizon. Overall, it is essential for monetary policy to maintain price stability over the medium term, thereby ensuring a firm anchoring of inflation expectations in the euro area in line with our aim of maintaining inflation rates below, but close to, 2% over the medium term. Such anchoring is a prerequisite for monetary policy to make its contribution towards supporting economic growth and job creation in the euro area. A very thorough analysis of all incoming data and developments over the period ahead is warranted.

通常の経済、金融分析に基づき、理事会は2011年11月3日及び12月8日に25bpの利下げを行ったあと、本日ECBの政策金利を据え置くことを決めた。12月のはじめ以降に入手できた情報では、広範囲で我々の以前の評価が確認された。インフレは2%以下に低下していく前の数カ月間は2%を上回って推移する可能性がある。同時に金融の拡大の基本的なペースは緩やかなままである。予測通り、現状の金融市場の緊張はユーロ圏の経済活動を抑制していく一方で、最近のいくつかの調査の指標によると、低い水準で活動が安定している仮の兆候がある。経済見通しは不確実性が高く、潜在的なダウンサイドリスクの影響を受け続けている。そのような環境において、ユーロ圏におけるコストや賃金、価格の圧力は緩慢に推移し、インフレ率は政策と関連した時間軸に渡って物価安定に沿って推移するだろう。全体的に、中期的に物価安定を維持し、それゆえ下回るか、もしくは2%に接近するという我々の維持すべきインフレ目標に沿ってインフレ期待がしっかりと固定することを確認することは金融政策にとって不可欠である。そのようなインフレ期待の固定は、ユーロ圏において金融政策が経済成長や雇用創出をサポートしていくのに貢献するための前提条件である。すべての入手できるデータや期間における進展においてよく考えられた分析が正当化される。



ステートメントにおいて、12月との違いというのは、経済活動が低い水準で安定している兆候がある、ということである。つまり、12月から1月に掛けて経済が落ち込むモメンタムは弱まってきたという評価であろう。ユーロ圏製造業の12月のPMIは46.9となり、11月の46.4から若干上昇している。以下はユーロ圏製造業PMIの推移である(出所:Markit)。


EUROZONE PMI 20120113


現状、ユーロ圏の景気はリセッションに入っているか、もしくはそのリスクが大きいと見られている。そのような中でPMIがやや改善したということは、一時的な景気落ち込みのモメンタム低下なのか、それとも底打ちなのか判断がつきにくいが、こうした動きを評価しているものと思われる。そのような状況において今回は金利を引き下げることを見送り、情勢を見極めるという決定だったように思われる。今回の政策決定は全会一致となった。しかしながら、経済見通しについてはダウンサイドに傾いたままである。


In the Governing Council’s assessment, substantial downside risks to the economic outlook for the euro area continue to exist in an environment of high uncertainty. They notably relate to a further intensification of the tensions in euro area debt markets and their potential spillover to the euro area real economy. Downside risks also relate to the global economy, protectionist pressures and the possibility of a disorderly correction of global imbalances.

理事会の評価において、ユーロ圏の経済見通しにおける潜在的なダウンサイドリスクは、高い不確実性の環境において続いている。それらは特にユーロ圏の債券市場の緊張がさらに激しさを増していくことや、実体経済にスピルオーバーしていくことに強く関係している。ダウンサイドリスクは、グローバル経済にも関係しており、保護主義圧力やグローバルインバランスの無秩序な修正を含む。



このようなことから、経済見通しについてさらなるダウンサイドリスクが顕在化していくと判断した段階で追加利下げを行う用意があるものとみられる。ドラギ総裁も記者会見において記者とのやり取りの中で、先行きの利下げについては「前もってコミットメントしない(We never precommit)」としながらも「あらゆる状況を監視した段階で行動する用意がある "will monitor all developments, we are ready to act"」と述べており、含みを残す形となっている。利下げについては、インフレへの見通しも前提条件となるが、今月の理事会でもインフレのリスクは、"The Governing Council continues to view the risks to the medium-term outlook for price developments as broadly balanced.(理事会は物価の進展について中期的なリスクの見通しは広範にバランスが取れている)"との判断を行なっており、利下げへの妨げとなるような判断とはなっていない。


記者からの質問で多く出されたのが3年物のLTROに対する効果についてである。複数の記者はオペで供給した資金が預金ファシリティに流れており、市場に流れていないのではないか、としているが、これについては以下のような応答を行なっている(FT Money supply"Live blog: ECB presser"より)。


This decision prevented what could have been a major credit constraint [from bank bonds becoming due]. We’ve also seen interest rates declining all along the yield curve.”

この決定は大きな信用収縮をいく分阻止できたのではないか。我々はすべてのイールドカーブにおいて金利が低下したことを目の当たりにした。

This money doesn’t simply stay in the ECB’s deposit facility, he adds. “It’s definitely flowing through the economy"
この資金は単にECBの預金ファシリティに滞留しているだけではなく、間違いなく経済に流れている。

It has also prevented a “much more serious” credit contraction. “We’re always very pleased to hear that the ECB’s the only institution that’s working,”

さらに深刻な信用収縮も阻止しており、我々はこの政策ツールが機能していることをとても喜んでいる。



このようなことから、LTROによる流動性供給のトランスミッションについては、まず第1段階としてユーロ圏の金融市場における信用収縮を阻止することだとしており、次の段階で一部資金が経済へ流れ込んでいるということを述べている。10月以降、流動性供給を強化したことから、銀行が保有している流動性の指標である超過流動性(公開市場オペ+限界貸出ファシリティ-(SMP含む)流動性資金-所用準備)は過去最高水準となり、ターム物金利に一層の低下バイアスが掛かっている。以下は超過流動性の推移である(100万ユーロ、出所:ECB)。


EUROZONE EXCESS LIQUIDITY 20120113



EURIBOR1週間物金利の推移(出所:EURIBOR)。


EURIBOR1W 20120113



また、余裕のある金融機関は流動性と見做されやすい短期債の購入に充当している可能性もあり、ドイツにおける短期債の金利がネガティブとなったのもそうした背景がある可能性もある。これがドラギ総裁の言うところの「イールドカーブにおいて金利が低下している」という発言につながったと考えることも出来る。従って、今後預金ファシリティに滞留している資金が染み出し効果により、より多くの資金が市場に流れ込むことが期待されているが、金融市場の緊張や金融機関のカウンターパーティリスクは未だに大きいため、すぐに効果が出てくるかどうかは疑問が残り、ラグがあるものと思われる。金融市場の緊張が緩和していくに従って時間の経過とともに資金が市場に流れ込んでいくことになっていくのではないかと思われる。


一方で、この流動性供給を原資としてイタリアなどの国債を購入する、いわゆる「サルコジトレード」に関しては、

We don’t have enough evidence to say that."

我々はそれについて十分なエビデンスは持っていない。




としており、やや否定的なトーンとなった。現時点で金融機関は、不測の事態に対処するために流動性を確保することが求められ、さらに金融債のリファイナンスに備えなければならないこと、EBAやバーゼル3のような金融規制により金融機関のソブリン債エクスポージャへの制限などもあることから、LTROによる流動性が周縁国の国債に流入することは限定的(否定するわけではない)だろうと思われる。


今後のECBの行動については、必要な時点で利下げを行うという見方が優勢である。利下げを行う際、インフレ期待やインフレが安定していることが前提であるが、リスクバランスが取れているということから特に大きな問題とはならないものと思われる。今後景況感などの指標が再度低下し、生産や消費活動が弱まっていくことが確認できる段階で景気刺激策として利下げというカードを切ってくる可能性がある。但し、預金ファシリティに付利を行う場合、金利コリドーを25bpに狭めることになるため、市場機能を損なうという見解も出されていく可能性もある(一つの例としては銀行間取引市場の流動性配分機能を中央銀行が代替してしまうことになる、という見方(白川方明「現代の金融政策 理論と実際」p.162))もある。さらに、2008-9年の金融危機時のリセッションと比較して、現状のユーロ圏経済はそこまで悪化している、もしくはそれ以上に悪化しているわけではない。従ってこれ以上の利下げについて慎重意見も出されていくことも想定できる。そして、仮に利下げが行われるとしても、コリドーの幅を狭めすぎるのは市場機能を損なうという懸念から、次回の利下げが最後になる可能性も考慮したい。非伝統的政策手段については、12月にLTROのターム物供給を拡充しており、カバードボンド購入プログラムの再開(CBPP2)、適格担保要件の緩和などを実施しており、金融市場の緊張状態が著しく高まるようでなければ、現行のオペの継続を行なっていくものと思われる。今後欧州金融機関のリファイナンスにより金融機関の資金ニーズが高まっていくことも予想されることから、2月末に行われる3年物のLTROの入札(フルアロットメント方式)もそれなりに多くの応札額が見込まれる。


SMPの拡大について、市場ではQEとして捉えられているようであるが、否定的な見解を踏襲している。ドラギ総裁は会見で"Don't know what Tailor-Made Euro-Zone QE could be"(オーダーメードのユーロ圏のQEが何であるか知らない)と述べている。シュタルク理事やドイツ連銀バイトマン総裁をはじめとしてECBは政府に対してレンダー・オブ・ラストリゾート(LLR)になるべきではないとの意見が強く(決して銀行に対してLLRになるべきではない、と主張しているのではない)、SMPの規模拡大については意見集約が難しい。今後もイタリアやスペインのソブリン債市場の動向はマーケットの警戒材料として意識され続けることから、ECBとしては現行のSMPの規模で対処し、EFSFやESMを活用した市場安定化策を求めていくものと思われる。また、先日フィッチが指摘したように、EFSFに銀行機能を与え、ECBから資金供給を受けられるようにして規模を拡大することは可能であると思われ、一つの市場安定化への方策となっていくものと思われる。しかし、これはECBが決めることではなく、あくまでもEUが決めることである。




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カテゴリ: 市場視点

タグ: 金融政策  ECB  ユーロ  欧州金融不安  ソブリンリスク 
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