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ECB理事会~インフレ警戒のトーン 

3月8日にECB理事会が開催され、政策金利であるリファイナンス金利を1.0%に据え置いた。そしてドラギ総裁会見が行われ、冒頭以下のような声明文が読み上げられた(全文はECBサイト参照)。


Based on our regular economic and monetary analyses, we decided to keep the key ECB interest rates unchanged. The information that has become available since the beginning of February has confirmed our previous assessment of the outlook for economic activity. Available survey indicators confirm signs of a stabilisation in the euro area economy. However, the economic outlook is still subject to downside risks. Owing to rises in energy prices and indirect taxes, inflation rates are now likely to stay above 2% in 2012, with upside risks prevailing. Nevertheless, we expect price developments to remain in line with price stability over the policy-relevant horizon. The underlying pace of monetary expansion remains subdued, consistent with contained inflationary pressures over the medium term.

通常の経済及び金融分析に基づき、我々はECBの政策金利を据え置くことを決めた。2月のはじめに入手出来る情報では、経済活動の見通しにおける我々の評価を確認した。入手できる調査では、ユーロ圏の経済に安定化の兆しを確認した。しかし、経済見通しはダウンサイドリスクとなっている。現在エネルギー価格や間接税の引き上げが進んでいることから、インフレ率は2012年において2%を超えて推移する可能性があり、アップサイドリスクが優勢となっている。しかしながら政策関連の時間軸を通して物価安定に沿って推移すると予測している。中期的なインフレ圧力を内包している、基本的な通貨の拡大ペースは抑制されて推移している。



このようなことから、景気についてはダウンサイドリスクに傾いているものの、インフレ認識についてはアップサイドリスクにシフトした。これは、欧州における間接税の引き上げの動きや、エネルギー価格の上昇といったことが背景となっているが、これにより今後利下げを行なっていくといった可能性は一層後退したものと思われる。後述するが、この日発表されたECB経済見通しでは、成長率見通しを下方修正する一方で物価見通しを上方修正している。特に物価見通しは2012年中は目標である2%を超えて推移していくとの見通しとなっており、リスクバランスをアップサイドに傾かせている。


そして、2回のLTRO実施と現在の金融市場の評価については以下の通りとなっている。


Over recent months, a wide range of additional non-standard monetary policy measures has been implemented by the Eurosystem. These measures, including in particular two three-year longer-term refinancing operations, were decided upon against the background of exceptional circumstances in the last quarter of 2011. The first impact of these measures has been positive. Together with fiscal consolidation and stepped-up structural reforms in several euro area countries, as well as progress towards a stronger euro area economic governance framework, they have contributed to a significant improvement in the financial environment over recent months. We expect that the three-year longer-term refinancing operations will provide further support for the ongoing stabilisation in financial markets and, in particular, for lending activity in the euro area. All our non-standard monetary policy measures are temporary in nature. Furthermore, all the necessary tools to address potential upside risks to medium-term price stability are fully available.

数カ月に渡って、広範囲な追加の非標準的な金融政策手段がユーロシステムによって実施された。特に2回の3年物LTROを含んだこれらの手段は、2011年の第4四半期に例外的な状況といった背景にあることで決めた。いくつかの国における財政再建や構造改革のステップアップだけでなく、より強力なユーロ圏の経済的な政府のフレームワークの進展とともに、それらはここ数カ月で金融の環境を著しく改善させるのに貢献した。我々は3年物のLTROが金融市場の現在進行している安定化や、特にユーロ圏における貸出にとって更なるサポートを提供していくだろう。すべての我々の非標準的な金融政策手段は、事実上一時的なものである。中期的な物価安定へのアップサイドリスクに対処するためのすべての必要な手段は十分に利用可能である。



このようなことから、3年物LTROを含めた非伝統的な手段は、金融市場の安定化や貸出に好影響を与えているのではないかとの見方を行なっている。1回目のLTROでは4891億ユーロ、2回目の3年物LTROでは5295億ユーロが供給されており、大規模な流動性供給となったことから、金融市場の安定化につながっているとの見方が出来る。欧州銀行の超過流動性(excess liquidity:open market operations plus lending facility minus net liquidity effect autonomous factors minus reserve requirements)は現状で8000億ユーロと過去最大規模となっており、このような流動性の下でターム物金利に低下バイアスが強く掛かっている。以下は銀行の超過流動性の推移とEURIBORの推移である(出所:ECB、EURIBOR)。


Excess Liquidity 20120309

EURIBOR 20120309



また、大量の流動性供給の結果、金融市場が安定化に向かっていることや、LTRO向けの担保への需要、さらには低利で貸し出されたLTROの一部が周縁国のソブリン債市場に流入した可能性などから、特にイタリアやスペイン国債のイールドカーブが正常化し、金利低下が顕著となっている。以下はイタリア国債10年物金利の推移である(出所:Bloomberg)。


Itary 10Y Yield



このようなことから、金融市場やの安定化や貸出に寄与しているという評価を行なっている。第1四半期は金融機関の金融債のリファイナンスが集中する時期であり、昨年以降金融市場で警戒されてきたが、ECBによる長期の流動性供給によりそうしたリファイナンスに対応できるとの見方が優勢である。そして高水準の準備により染み出し効果から金利低下バイアスが掛かってきている。こういったプロセスにより金融市場が安定に向かっており、流動性が枯渇しそれゆえ価格変動が大きくなっていたソブリン債市場も安定化に向かい、イタリアやスペインなどの周縁国の国債の利回り低下に繋がっていると言える。そして興味深いのが" all the necessary tools to address potential upside risks to medium-term price stability are fully available."という箇所で、物価見通しがアップサイドで推移していることを踏まえ、将来への出口戦略への手段が用意されているとの趣旨の発言を行っている。


今回のECB理事会では3月時点での経済見通しが公表された。3月時点での経済見通し及び物価見通しは以下のようになっている。


経済見通し(ユーロ圏実質GDP)
2012年:-0.5-+0.3% (12月時点では-0.4-+1.0%)
2013年:0-+2.2%


HICP見通し
2012年:2.1-2.7% (12月時点では1.5-2.5%)
2013年:0.9-2.3% (12月時点では0.8-2.2%)


このように、経済見通しは下方修正、物価見通しは上方修正となっている。そして、経済見通しについてのリスクバランスは以下の通りである。


This outlook remains subject to downside risks. They notably relate to a renewed intensification of tensions in euro area debt markets and their potential spillover to the euro area real economy. Downside risks also relate to further increases in commodity prices.

この見通しはダウンサイドリスクに依然として傾いている。特に、ユーロ圏の債券市場における緊張の強まりが再発すること、それらがユーロ圏の実体経済にスピルオーバーしていくことである。ダウンサイドリスクはさらなるコモディティ価格の上昇にも関連している。



としており、金融市場へのリスク、それが実体経済にスピルオーバーしていくリスクについて強調されている。物価見通しについてのリスクバランスは以下のようになっている。


Risks to projected HICP inflation rates in the coming years are seen to be still broadly balanced, with upside risks in the near term mainly stemming from higher than expected oil prices and indirect tax increases. However, downside risks continue to exist owing to weaker than expected developments in economic activity.

今後数年間のHICPインフレ率のリスクは広範でバランスが取れており、アップサイドリスクは主に短期的に予測された以上に原油価格が上昇することや間接税の引き上げである。しかし、ダウンサイドリスクもなお存在しており、経済活動の進展が予想以上に弱いことである。



このようなことから、長期的な物価見通しについてはバランスが取れているものの、短期的にはアップサイドリスクが優勢である。取り敢えず金融市場はLTROの効果や各国の財政改革の取り組み、ギリシャ債務スワップの進展、新財政協定の進展などから安定化に向かっているものの、先行きについてソブリンリスクが解決に向かっているわけでもなく、欧州金融機関のデレバレッジの可能性などから金融市場が再度緊張度を高める可能性もあり、まだまだ予断ならない状況は続いていくものと思われる。特に周縁国の金融機関についてはECB依存は未だに強いものと思われ、ECBはレンダーオブラストリゾートの役割をすぐに解くことは出来ないだろう。さらにそうした金融市場の緊張が実体経済にスピルオーバーしていくリスクについても警戒を解くわけにはいかない。一方で、2012年はインフレ率がインフレ目標である2%を超えて推移すると予測されていることから、物価見通しについてはアップサイドに傾かざるを得ない状況であり、利下げといった一段の金融緩和には慎重にならざるを得ないことから、今後ECBにとって政策運営は一段と難しくなっていくものと思われる。

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タグ: 金融政策  ECB  ユーロ  欧州金融不安  ソブリンリスク 
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