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FOMC~ダウンサイドリスクの軽減と一時的なインフレ懸念 

3月13日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、政策金利であるFF金利を0-0.25%に据え置くことを賛成多数で決め、保有証券の残存期間延長プログラムの維持、エージェンシー債・エージェンシーMBSをMBSに再投資することや米国債の再投資についても現状維持が決められた。また、フォワードガイダンスにおいては、「2014年後半まで異例なほど低い低金利であることを正当化するだろうと予測している」とし、従来通りの表現となった。政策については、今回のFOMCでは現状維持という予想が大勢であったため、特段のサプライズはなかった。


■経済認識の変更


今回のFOMC声明文では、経済見通しにいくつか変更があった。まず、基調判断については、


(前回) the economy has been expanding moderately, notwithstanding some slowing in global growth.
グローバル経済はやや減速しているにもかかわらず、経済は緩やかに拡大している

(今回) the economy has been expanding moderately.
経済は緩やかに拡大している



とし、グローバル経済が減速しているという部分を削除した。現状中国などの一部のエマージング市場で減速の傾向が出てきているものの、欧州経済に安定化の兆しが出てきており、それ程深いリセッションには陥らないだろうといった判断がなされたものと思われる。労働市場の判断については、


(前回)While indicators point to some further improvement in overall labor market conditions, the unemployment rate remains elevated.
指標では全体の労働市場がいくらかさらに改善していることを指摘している一方で、失業率は高止まりして推移している。

(今回) Labor market conditions have improved further; the unemployment rate has declined notably in recent months but remains elevated.
労働市場の状況はさらに改善しており、失業率は著しく低下したが、依然として高止まりしている



としており、労働市場の状況については、足元3カ月で非農業部門雇用者数は平均24.5万人増加しており、失業率も8.3%まで低下している。また新規失業保険申請件数も4週平均で35.5万件となっており、リセッションの時期からは大きく改善してきている。以下は新規失業保険申請件数4週平均の推移である(出所:米労働省)。


Initial Claims 20120314


このようなことから労働市場の状況について上方修正してきているものと考えられる。(訂正・加筆)また、これまでは”only gradually”として「徐々にしか失業率は低下していかない」というトーンであったが、"the unemployment rate will decline gradually toward levels that the Committee judges to be consistent with its dual mandate"と'only'の記述が消えており、雇用は緩やかに改善しているとの判断となっている。しかし、失業率は依然としてNAIRUもしくはFed長期見通しである5.2-6.0%の水準からすれば高止まりを示しており、現行の緩和政策の維持をサポートするものであると考えられる。


家計支出及び企業の支出については、


(前回)Household spending has continued to advance, but growth in business fixed investment has slowed,
家計支出は前進し続けているが、企業の固定物投資の伸びは鈍化した

(今回)Household spending and business fixed investment have continued to advance
家計支出や企業の固定物投資は前進が続いている



としており、企業部門の支出についての見方を上方修正した。また、住宅市場については前回と同様で依然として落ち込んだままであるという見方を踏襲した。


物価についてはその見方を上方修正している。


(前回)Inflation has been subdued in recent months, and longer-term inflation expectations have remained stable.
インフレはここ数カ月で落ち着いており、長期的なインフレ期待は安定して推移している。


(今回) Inflation has been subdued in recent months, although prices of crude oil and gasoline have increased lately.
インフレはここ数カ月で落ち着いているが、しかしながら最近原油やガソリン価格が上昇している



としており、インフレについての見方を上方修正した。このことから第2パラグラフで"The recent increase in oil and gasoline prices will push up inflation temporarily"(原油やガソリン価格の最近の上昇は物価を一時的に押し上げるだろう)という表明を載せている。しかし、あくまでも一時的な要因であり、従って今後はインフレ目標(goal)である2%かそれ以下に落ち着いていくのではないかとの見方を行なっている。このことから昨年のような


the Committee will continue to pay close attention to the evolution of inflation and inflation expectations.
委員会はインフレやインフレ期待について緊密に注意を払っていくつもりである



というインフレ警戒感を滲ませるような表明は行わなかったが、今後原油価格が再度高騰し、先行き購買力を低下させ、消費マインドが悪化し、個人消費が停滞してしまう可能性が浮上してきた時点でこのようなインフレ警戒のトーンを示すものと思われる。


■ダウンサイドリスクの軽減


今回のFOMCにおいては、今後の景気見通しについて"modest"(控えめ)から"moderate"(ゆっくりと)改善に向かうとしてやや楽観的な景気見通しを行った。さらに、これまでダウンサイドリスクとして意識されていた、


Strains in global financial markets continue to pose significant downside risks to the economic outlook.
グローバルな金融市場における緊張が、経済見通しに著しいダウンサイドリスクを想起させ続けている



という一文について、

Strains in global financial markets have eased, though they continue to pose significant downside risks to the economic outlook.
グローバルな金融市場における緊張は緩和したが、しかしながら経済見通しに著しいダウンサイドリスクを想起させ続けている



とし、グローバル金融市場の緊張が緩和していることを認めた。昨年の夏に米国で連邦債務上限引き上げ交渉が起こり、米国ソブリン格付けが引き下げられ、欧州ソブリンリスクの高まりなどからグローバルな金融市場が緊張状態となり、ボラタイルな展開が続いていたが、昨年10月末に各国中銀が協調してドルスワップライン取極の延長や上乗せ金利の軽減を行い、ドルファンディングの環境が緩和されたことや、欧州金融機関へのカウンターパーティリスクから欧州金融市場における流動性が枯渇したが、ECBによる2度の3年物LTRO(フルアロットメント)により流動性が回復し、欧州の金融市場の緊張が緩和されたことなどから、このような判断となったものと思われる。セントルイス連銀が算出している金融ストレス指数(St. Louis Financial Stress Index)も足元で低下している。以下は金融ストレス指数の推移(出所:St.Louis Fed FRED)。


STLFSI 20120314


また、米国30年債と30年モーゲージ金利との間のモーゲージスプレッドも緩やかながら縮小してきている。以下はモーゲージスプレッドの推移(出所:Fed, Freddie Mac)。


Mortgage spread 20120314


このようなことから現時点でQE3を行うような状況からは後退したと判断出来る。しかし、欧州ソブリンリスクの動向は先行き依然として不透明であり、また今後における欧州金融機関のデレバレッジの動向が金融市場の緊張を高めることも想定される。このことから、景気見通しにおけるリスクバランスは依然としてダウンサイドリスクに傾いており、欧州金融市場が再度緊張状態を高め、米国金融市場にスピルオーバーし、信用市場がタイトとなればMBSの買入などの信用緩和政策を通じて安定化させるといったカードを切ることも出来る。しかし、その可能性は現時点で金融市場の緊張状態が緩和していると判断されたことにより低下したものと思われる。


■今後の政策的なポイント


今後の政策的なポイントからすれば、4月のFOMCにおいてSEP(Fed経済見通し)が公表される予定となっているが、その際失業率見通しに上方修正があり、FOMC参加者の金利見通しに変更があるかどうかである。現状ではFOMC参加者が金融引き締めに転換するのに望ましい時期の中心は2014年末となっており、これがフォワードガイダンスにおける「2014年後半まで異例なほどの低金利であるということを正当化するだろうとの予測」の裏付けとなっている。しかし、失業率は現在8.3%であり、Fedの2012年第4四半期における失業率見通し(8.2%-8.5%)の中間にあり、FOMC参加者が考えている以上に失業率低下のピッチは速い。4月に発表される雇用統計でさらに失業率が低下することとなれば、失業率見通しの上方修正が行われる可能性がある。失業率が今後も安定的に低下していき、Fed長期見通しに近づくタイミングが速まるのではないかとの見方が優勢となれば、「金融引き締めに転換するのに望ましい時期」についても前倒ししてくる可能性もある。従ってフォワードガイダンスに示されている時間軸も前倒しになる可能性も考慮したい。


また市場におけるFF金利予測も前回1月時点よりも前倒しされている。CMEのFF金利先物のデータによれば、現状のゼロ金利政策の解除時期について1月24日時点では2013年12月あたりであったが、3月13日では2013年8月あたりとなっている。このことから市場ではかなり早い時期での引き締め転換を織り込んでいるということが言える。以下はFF金利先物のフォワードカーブである(出所:CME)。


FFForword 20120314


市場における認識とFed内部の認識のズレも意識されるが、Fed内部で時間軸を前倒しするような議論が活発となっていくのかも注目されるところだろう。いずれにせよ失業率など今後の経済指標と4月のFOMCで発表されるFed経済見通し(SEP)における金利見通しは大きく意識されていくことになろう。


・参考


Fedバランスシート(出所:Cleveland Fed)


Fed Balancesheet 20120314


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