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FOMC~フォワードガイダンスは据え置き 

4月24-25日に連邦公開市場委員会が開催され、現行のFF金利の誘導目標を0-0.25%に据え置かれた。また、MBSの償還再投資、満期を迎えた米国債のロールオーバー、オペレーション・ツイスト(保有証券の平均残存期間延長プログラム)の政策についても現状維持となった。今回は政策的には現状維持との予想であったため、とりわけ大きなサプライズはなかった。経済認識についてはいくつかの箇所で修正が見られている。


■経済認識


今回のFOMCでは経済認識にいくつかの変化があった。以下は前回(左)と今回(右)のステートメントの第1パラグラフ及び第2パラグラフの比較である。なお、赤で示されたものは文言の変更、左側(前回の声明文)の緑の打ち消し線は今回削除された文言、右側(今回の声明文)のアンダーライン付き青で示されたものは今回追加されたものである。


FOMCstatement.png



まず、労働市場については、


(前回) Labor market conditions have improved further
労働市場の状況はさらに改善している

(今回)Labor market conditions have improved in recent months
労働市場の状況はここ数ヶ月で改善している



労働市場については、前回の"improved further"(さらに改善)という文言から、"improved in recent months"(ここ数ヶ月で改善)としており、回復は継続的なものであるという認識となった。


住宅市場については、

(前回)The housing sector remains depressed.
住宅市場は低迷したままである

(今回)Despite some signs of improvement, the housing sector remains depressed.
いくつかの改善の兆候があるが、住宅市場は低迷したままである



としており、いくつかの改善の兆候について言及しており、住宅市場についての現状認識は一歩前進したことになる。米国において今冬は記録的な暖冬であり、建設稼働率などが上昇したということもあるが、それでも販売等はまだまだ落ち込んだままであり、引き続き楽観的な見方は出来ないものと思われる。


物価については、


(前回)Inflation has been subdued in recent months, although prices of crude oil and gasoline have increased lately.
原油やガソリン価格が最近上昇しているが、インフレはここ数ヶ月で安定している。

(今回)Inflation has picked up somewhat, mainly reflecting higher prices of crude oil and gasoline.
インフレはやや上向きになっており、主に原油やガソリンの高騰を反映している。



このような見方から、物価認識について上方修正を行なっている。物価の上昇については、第2パラグラフにあるように一時的なものでしかない(only temporarily)としており、コモディティ高については、持続的な物価上昇に至らないという見方を踏襲している。インフレ期待も安定していることから、物価が安定していくだろうという見方には特に変化がない。


第2パラグラフにおいては、経済見通しについて上方修正を行なっている。


(前回)The Committee expects moderate economic growth over coming quarters
委員会は今後数四半期において緩やかな経済成長を予測している

(今回)The Committee expects economic growth to remain moderate over coming quarters and then to pick up gradually.
委員会は今後数四半期は緩やかな経済成長、そして徐々に上向きになっていくと予測している。




このようなことから、今後数四半期は緩やかな経済成長となるものの、その後は加速していくという見方を行なっており、一段踏み込んだ認識となっている。


一方でダウンサイドリスクについては、グローバルな金融市場における認識であるが、


(前回)Strains in global financial markets have eased, though they continue to pose significant downside risks to the economic outlook.
グローバルな金融市場の緊張は最近緩和されたが、経済見通しに著しいダウンサイドリスクを想起し続けている

(今回)Strains in global financial markets continue to pose significant downside risks to the economic outlook.
グローバルな金融市場の緊張は経済見通しに著しいダウンサイドリスクを想起し続けている



としており、最近の欧州の情勢によりマーケットのボラティリティが高まっていることを反映している。ここ1カ月程度のスパンでみれば、S&P500指数のボラティリティ・インデックスであるVIX指数は上向きになっている。この指標は金融市場の先行きに不透明感が生じ変動を予測した時に上がりやすいが、今回もそのような状況となっている。今後数週間以内に発表される金融ストレス指数などの指標も上昇していく可能性がある(これらとVIXの相関は高いが、ストレス指数の構成にVIXが含まれていることは留意)。以下はVIX指数の推移とVIXとセントルイス連銀金融ストレス指数の散布図である(出所:FRED/Economic Time Series Data Analyzer)。

XIX 120120426

graph_scatter_VIX.png


今後Fedとしても欧州の金融情勢を中心に適時モニタリングを行い、米国の金融システムに波及し、実体経済へのスピルオーバーへのリスクが高まっていくことになれば、信用緩和としてクレジットスプレッドを低下させる措置を取りに行くものと考えられる。しかしそれは今すぐに、あるいは実現可能性が高いという話ではない。


■SEPと金利見通し


今回のFOMCではFOMC参加者(Fed理事及び各地区連銀総裁)による経済見通し(SEP)が公表された。以下はSEPで示された2014年までの各種経済指標の予測である(出所:Fed)。


SEP 20120426


実質GDPについては、2012年を上方修正、2013年及び2014年を下方修正している。各年の第4四半期の失業率予測については、2012年3月までに1月予測の下限である8.2%にまで低下したことから、2012年は7.8-8.0%に、2013年は7.3-7.7%に上方修正された。PCE価格指数については、総合指数は2012年第4四半期には前年比1.9-2.0%に、同2013年には前年比1.6-2.0%に上方修正、コアについても2012年第4四半期には1.8-2.0%に、2013年同には1.7-2.0%に、2014年同には1.8-2.0%に上方修正された。このことから失業率及び物価両面で前回の予測から上方修正を行ったということになる。


FOMC参加者の金利見通しについては、金利を引き締めに転ずるのが適切である時期について、2012年と考えているのは3名、2013年と考えているのは3名、2014年と考えているのは7名、2015年と考えているのは4名となった。前回、金利を引き締めに転ずるのが適切である時期について、2016年と考えている参加者が2名存在していた。しかし今回は、この2名が金利見通しを前倒しし、すべての参加者は2015年以前に金融引き締めに転じるのが適切であるという見解となった。さらに2014年と考える参加者が2名増加、2015年と考える参加者が2名増加したことにより、一部のハト派的な参加者4名が金利見通しの予測を前倒ししたということになる。但し、このメジアンは2014年であることから、フォワードガイダンスに示された時期と一応は整合する。以下は参加者の金利見通し(出所:Fed)。


RatePath 20120426


この各参加者の金利見通しについて、どのような決まり方をするのか?ということについては、1月のFOMCのエントリでも触れたが、もう一度説明しておきたい。SEPにおける金利見通しの判断は、各参加者の見解に依存しているが、一応のルールは存在している。その一つがテイラールールである。これは生産量ギャップ(潜在生産量と実際もしくは予測の生産量との差)とインフレギャップ(インフレ目標値と実際もしくは予測のインフレ率の差)から求められる。潜在成長率についてFedは公表しておらず(議会予算局(Congressional Budget Office (CBO))が推計)、そして生産量と失業にはオークンの法則による関係があるため、生産量ギャップについては、自然失業率と実際もしくは予測の失業率との差(失業率ギャップ)に置き換えている。従って、インフレギャップと失業率ギャップから算出される。この点について、議長も会見で触れていたが、イエレン副議長は4月12日の講演で以下のように述べていた(Fed "The Economic Outlook and Monetary Policy" より)。


The policy prescriptions I've discussed thus far are conditioned on an illustrative baseline forecast for unemployment and inflation. Because any economic forecast is inherently uncertain, the FOMC's forward policy guidance states explicitly that the Committee "currently anticipates" that economic conditions are likely to warrant such a stance of policy. The guidance does not state that the Committee will keep the funds rate exceptionally low until at least late 2014. I'd consider it completely appropriate to modify the specification of the forward guidance in response to significant changes in the economic outlook.

私が議論した政策の処方箋は失業率とインフレの見通しを例示したベースラインが条件となっている。何故ならば、経済見通しは本質的に不確実であり、FOMCのフォワードガイダンスは、経済の状況がそのような政策のスタンスを保証することについて「現段階での予測」を明言することである。ガイダンスは、委員会がFF金利について少なくとも2014年後半まで異例なほど低い水準に据え置くということを明言してはいない。経済見通しの著しい変化に反応してフォワードガイダンスの変更を行うのは全くもって適切だと考えている。


Potential modifications of the forward guidance can be illustrated by showing how the Taylor (1999) rule responds to two different shifts in the outlook. Figure 9 shows one scenario in which the recovery turns out to be unexpectedly strong, with the unemployment rate reaching 6 percent by the end of 2014 and inflation moving a little above 2 percent later in the decade. It also shows a second scenario in which the recovery is unexpectedly weak, with the unemployment rate remaining above 8 percent until early 2014. In this scenario, inflation stays persistently below 2 percent. In the stronger scenario, the Taylor (1999) rule calls for the liftoff from the zero lower bound to move forward to the beginning of 2014. In that event, of course, the FOMC would not only raise the federal funds rate sooner than our current guidance suggests but would also begin to remove other forms of accommodation and draw down the balance sheet sooner than in the baseline. In contrast, in the weaker scenario, the Taylor (1999) rule calls for the liftoff to be delayed until the first half of 2016. The model's recommendation for a later liftoff in this scenario could alternatively provide an argument for additional policy accommodation through other means, including additional asset purchases.

フォワードガイダンスの潜在的な修正は、どのようにテイラールール(1999年)が見通しにおいて2つの異なった変化に反応しているかを表示することで図解されるだろう。図9は景気回復が著しく強くなるといった1つのシナリオであり、失業率は2014年の終わりに6%に達し、インフレ率は2%をやや上回って推移するというものである。景気回復が著しく弱いといった第2のシナリオも表示しており、失業率は2014年末まで8%を上回って推移するといったものである。このシナリオではインフレは永続的に2%を下回って推移する。強い回復のシナリオでは、テイラールール(1999年)は2014年のはじめにゼロ金利の解除を進めることを必要としている。このような場合、もちろんFOMCは現状のガイダンスが指摘している時期よりも早くFF金利を引き上げるだけでなく、ベースラインよりも早く他の緩和政策手段を取りやめ、バランスシートを正常化するだろう。対照的に、弱いシナリオにおいては、テイラールール(1999年)では2016年の第一四半期までゼロ金利政策の解除を引き伸ばすことを必要としている。このシナリオにおける遅めのゼロ金利解除という状況において、モデルのレコメンデーションでは、代わりに追加の資産購入を含む追加の金融緩和策の主張を行なっている。


The current economic outlook is associated with significant risks in both directions. In particular, we know that recoveries from financial crises are commonly prolonged, and I remain concerned that the headwinds that have been restraining the recovery could lead to a longer period of sluggish growth and high unemployment than is embodied in the consensus forecasts. One specific risk is that elevated uncertainty about prospective fiscal policy adjustments could weigh on the spending plans of households and businesses. In addition, it's conceivable that the European situation could deteriorate and prompt a significant increase in global financial market stress. Such developments would likely have substantial adverse effects on U.S. economic activity and inflation.

現状の経済見通しは両方向への強いリスクに関連付けられている。特に、我々は金融危機からの景気回復は一般的に長引くものとなっており、私は回復を抑制している逆風が、コンセンサス予想で具現化されているよりも長期間の景気の伸び悩みや高い失業率の状態が長引かせることを懸念し続けている。一つの特定のリスクというのは、将来的な財政政策の調整が家計や企業の支出の計画に重しとなることについて不確実性が高まっていることだ。さらに、欧州の状況が悪化すればグローバルにおける金融市場のストレスを高めることも考えられる。そのような状況では、米国の経済活動やインフレに基本的に悪影響を及ぼすだろうとみられる。




このようなことから、各参加者がSEPで示した経済見通しを基にテイラールールなどにより将来のFF金利予測を行なっているものと考えられる。ちなみにテイラールールからSEP経済見通しの各年第4四半期の失業率及びコアPCEデフレータの見通しのコアレンジの中央値からFF金利の予測を示すと以下の図のようになる。テイラールールのモデル式は1月のエントリ参照(出所:Fed、米労働省、米商務省)。


Taylor Rule 20120426


失業率及びコアPCEデフレータの見通しを上方修正したことから、2012年には実質FF金利はプラスに転じ、2013年末には0.5%、2014年末には1.3%となっている。これについてFOMC参加者の金利見通し(各年末のFF金利水準)と比較すると、2013年はやや高い結果となったが、2014年にはおおよそ平均値程度となっている。従って、現時点でこの経済見通しであれば将来の金利パスの傾向は妥当なところではないかと思われる。恐らくこうした見通しにより、ハト派メンバーの一部で金利予測の前倒しを行ったものと考えられる。


■今後の政策動向


今後の政策については、6月で現行のオペレーション・ツイストが終了することになっているが、終了後の政策については議長から特段のインプリケーションは行われなかった。基本的にフォワードガイダンスで示される時期の決定が政策の軸となっていく、すなわち時間軸効果を狙った金利アプローチによる政策が軸となっていくものと考えられる。例えばQE3のような追加の量的なアプローチによる緩和については、"very much on the table"(机上にある)としているが、これは声明文で示されたダウンサイドリスクの顕在化、つまり「グローバルな金融市場の緊張」が高まり、米国の実体経済にスピルオーバーし、経済活動が落ち込むときに行われるものであるとみられる。例えば市場の緊張が著しく高まり、クレジットスプレッド等に波及していくことになればMBSの買入を行う可能性もある。従前から述べているようにあくまでもこれは金融市場の動向次第だろうと思われる。現時点ではそういった状況ではないことから、しばらく金融市場の動向を見定めていくものと思われる。一方で循環的要因から景気が停滞するような場合には、経済見通しを下方修正した上でフォワードガイダンスの見直し(後ずれ)を行なっていくことも考えられる。この場合は低金利予測の長期化について市場の期待形成に働きかけるものとなろう。一方で経済見通しが今後上振れていくような場合にはフォワードガイダンスの前倒しもありうるものの、徒に金利市場のボラティリティを高めてしまう可能性があるため、リスクも大きい。但し、現在のインフレの状況がFedが予測しているようにテンポラリーなものではなく、パーマネントなものとなっていく可能性が今後高まれば、フォワードガイダンスを前倒しすることもありうる。こうした見方は、上記のイエレン副議長の講演内容に沿ったものだろうと思われる。従って当面の政策の方向性は"Wait And See"なのだろうとみられる。


【参考】


FF金利先物の推移(前回FOMC後と今回)

FF20120426.png


Fedバランスシート


FedBalancesheet 20120426


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2012/05/06 03:25

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