07« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»09

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カテゴリ: スポンサー広告

tb: --    cm: --

4月雇用統計~雇用市場の減速感鮮明に  

5月4日に米労働省は4月の雇用統計を発表した。以下は各指標である。


非農業部門雇用者数 +11.5万人
民間部門雇用者数 +13.0万人
失業率(U-3) 8.1%
週間平均労働時間 34.5h
平均時間あたり賃金 23.38ドル
U-6失業率 14.5%



(1)非農業部門雇用者数増減(単位:千人)と失業率の推移


Unemployment rate 20120504


(2)非農業部門雇用者数がリセッション前の水準を取り戻すまでの期間(WW2以降)


Employment Recovery 20120505


(3)民間雇用者数(単位:千人)の推移


Private Payroll 20120505




(4)週次あたり平均賃金=時間あたり賃金*週間平均労働時間(単位:ドル)の推移


Wage 20120505




(5)27週以上の失業者数=長期失業者(単位:千人)の推移


Long Unemployment 20120505



(6)労働参加率(単位:%)の推移


Partcipation Rate 20120505


(7)労働投入量(前年同期比%)の推移


Labor Input 20120505



■ESTABLISHMENT SURVEY(事業者調査)


・非農業部門雇用者数は11.5万人増加し、市場予想の17万人増を下回り、ヘッドラインとしてはネガティブなものとなった。但し、3月は速報の12.0万人から15.4万人に上方修正され、2月も二次速報の24.0万人増加から25.9万人増加に上方修正された。3月の雇用増加幅が上方修正されたのはポジティブであったが、これは観光・接客業(速報値は3.7万人増加、二次速報で5.2万人増加)、小売業(速報値3.38万人減少、二次速報で2.09万人減少)などの業種で大幅な上方修正がみられたことによる。しかし、趨勢的には減速感が強まっているものとみられる。


・製造業は1.4万人の増加となり、3月の3.8万人増加から比べれば雇用の伸びは減速している。内訳は、鉱業・掘削業で変わらず、建設業で2千人減、製造工業(Manufacturing)で1.6万人増加、うち耐久財で1.5万人増加、非耐久財で1千人増加となった。さらに耐久財のうち、自動車及び部品は1千人の増加に留まった。これまで、自動車関連の雇用は製造業の雇用及び業況を牽引してきた。しかし、4月の自動車関連の雇用の伸び悩みは製造業の業況に陰りが見え始めた可能性がある。自動車産業が活発なシカゴ地区の4月のPMIは56.2と前月から大きく低下してきており、同業種の失速感を強くするものとなっている


・非製造業は11.6万人増加となり、3月の12.8万人増から減速した。卸売は7.4千人増加、小売は2.93万人増加、運輸・倉庫は1.66万人減少、情報は2千人減少、金融業は1千人増加、専門業・ビジネスサービス業は6.2万人増加、教育・ヘルスサービスは2.3万人増加、観光・接客業は1.2万人増加となった。サービス業の減速の要因としては、運輸・倉庫業での雇用の減少と、教育・ヘルスサービス業での雇用増が頭打ちになり、さらにサービス業の雇用増を牽引した観光・接客業の雇用が伸び悩んだことが挙げられる。運輸・倉庫業では特にTransit and ground passenger transportation(旅客輸送業)で大きな減少となっており、アメリカン航空の破綻により人員削減が行われた(破綻時に1.3万人ほどの人員を削減する計画、追加で1000人の削減策もある)影響が出ているものと思われる。しかし、観光業のうち、Arts, entertainment, and recreation(美術、娯楽、レクリエーション業)で雇用が減っていることからすると、米国人のレジャー支出が減ってきている可能性がある。もっともイースター休暇の反動でこういった雇用が減っている可能性もあるため、留意は必要である。また、年初からの同業種の雇用増については、天候が穏やかだったこともあり押し上げられたという可能性もある。なお、人材派遣は2.11万人増加となっている。先行き需要見通しが立たない中でこうしたテンポラリーな人員確保を進めていた可能性がある。


・政府部門は1.5万人減となった。内訳は、連邦政府で4千人減、州政府で5.5千人増加、地方政府1.07万人減少となっている。地方政府については、教員の削減が大きく、教員以外の削減幅はそれほど大きくはないことから、緩やかに下げ止まり感が出てきているという見方を変えるものではない。以下は地方政府の人員の推移である(出所:米労働省)。


Local gevernment 20120505


・非農業部門の週間平均労働時間は34.5時間となり、週間平均労働時間と民間雇用者数増減を掛けあわせた民間部門の労働投入量は前年比2.2%の増加となった。また時間あたり平均賃金は23.38ドルとなったことから、週次あたりの平均賃金は前月から34セント増加の806.61ドルとなった。賃金の伸びは極めて鈍いことが裏付けられており、賃金インフレの兆しはない。


■HOUSEHOLD SURVEY(家計調査)


失業率は8.1%(8.098%)となり、前月から0.1%低下した。


Household surver 20120505


失業率を求める際の分母となる労働人口は前月から34.2万人減少、分子となる失業者は17.3万人減少となったことを受けて失業率が低下した。また就業者(Employed)は16.9万人減少、非労働力人口(Not in labor force)は52.2万人増加となったことから、労働市場からの退出が膨らんだことが失業率を低下させた。従って、ネガティブな失業率低下ということになる。労働参加率(Participation rate)は63.6%に低下し、ここ25年で最も低い水準にある。年齢・性別別の労働参加率の増減をみても、20歳以上の男性が前月から0.4ポイント低下していることから、育児産休で労働人口が大きく減ったという印象ではない。後述するが、4月の長期失業者は大きく減少していることから、長期失業により職探しを諦め、労働市場から退出した人が多くなっている。非労働力人口のうち、Persons who currently want a job(現在職を求めている人)は6.7万人増加していることから、そういった事情である可能性が強い。長期失業者は前月から20.7万人減少の510.1万人となり、失業者全体に占める割合は41.63%となった。依然として長期失業の水準は高いものの、徐々に低下してきている。このこと自体は一見ポジティブではあるものの、非労働力人口の増加が長期失業者を減らした可能性があるだけに、実際は決してポジティブな要素だけではないものと考えられる


■4月雇用統計の評価とFedの動向


4月の雇用統計も概ねネガティブな評価が多いものと思われる。


ポジティブファクター:特になし(強いて言えば3月の雇用者数が上方修正されたこと)
ネガティブファクター:製造業の雇用増が頭打ちになってきていること、非農業部門雇用者数の増加が伸び悩んだこと、賃金の伸びが緩慢であること、労働参加率が低下したこと


特に、家計調査においては一見するとヘッドラインの数字はポジティブなようにみえるが、労働市場からの退出が多く発生していることを踏まえると、全体的にネガティブな結果だったといえる。前月のエントリでも述べたが、バーナンキ議長の言からすれば、「長期失業により労働者のスキルが奪われ、雇用のミスマッチを生み、労働力への執着を萎縮させ(labor force attachment atrophy further)、長期失業が構造的な要因に転換してしまう」ということであり、その文脈から職探しを諦めて非労働力となった人が多くなったのはネガティブだろうと思われる。


そしてこのところ雇用だけでなく、米国の経済活動を表す指標は軒並み失速を示唆している。3月の耐久財受注は2009年1月以来の大幅な減少となる前月比4.2%減となり、製造業の経済活動が失速していることが示唆されている。また非製造業においても先日発表されたISM非製造業景気指数は53.6に低下し、製造業だけではなく、サービス業の業況モメンタムも低下してきている。以下はISM非製造業景気指数の推移である(出所:FRED)。


ISM nonmanu BAI 20120504


以下のグラフは米国の経済活動を表す各指標のヒートマップチャートである(出所:FRED)。


heatmap (1)



順に、ISM製造業景気指数(PMI)、ISM非製造業景気指数(NMI)、非農業部門雇用者数増減、製造業新規受注(前月比%)、鉱工業生産指数(前月比%)、自動車販売(前月比%)について2000年からのデータを取得し、標準偏差を取って現在の位置が平均値からどの程度離れているかを示したものである。すでにISM非製造業景気指数、製造業新規受注、鉱工業生産指数、自動車販売は過去の平均から下方乖離してきており、経済活動の減速感を示唆するものとなっている。


そして今回の雇用統計でも雇用が伸び悩んでいることが示唆されておりり(ヒートマップはまだ平均から上方乖離となっているが)、米国経済の減速感を強く滲ませたものとなっている。このことから、循環的な米国の景気減速という動きとなっており、Fedとしても現行のフォワードガイダンスに示された時期を再表明することで、緩和姿勢の継続をマーケットにアピールすることになろう。仮に米国の成長が腰折れする事態となればフォワードガイダンスに示された時期を後ずれさせて緩和期間の長期化をマーケットに織り込ませることも考えられるが、現時点ではそこまでは至っていないものと考えられる。また現段階で物価上昇率はフォワードガイダンスの後ずれを支持するものではない。3月のコアPCEデフレータは前年比1.9%の伸びとなっており、目標としている2%に接近している。以下はコアPCEデフレータの推移(前年同期比、出所:FRED)。


PCE core deflator 20120504



中期的に目標を下回って推移すると予測しているが、短期的には予測を上振れている。最低賃金がインフレ率に連動している欧州や、ホームメイドインフレの兆しがある英国とは異なり現時点でパススルーなど二次的効果は限定的であろうと思われるが、それでもガソリン価格の高騰などが一時的なものではなく、高止まりするようなことになれば、期待インフレ率が上昇していくことも考えられる。また賃金は極めて抑制されていることは本日の統計でも示されたが、ユニットレーバーコストの上昇基調は続いている。オバマケアによる影響が大きく、特殊要因ではあるものの、特にインフレを警戒するタカ派の連銀高官などからすれば、緩和姿勢の強化を支持できる材料ではない。以下はユニットレーバーコストの推移である(出所:FRED)。


ULC 20120503


従って、労働市場が軟化しているということは緩和強化をサポートするものではあるものの、一方で物価については、賃金の伸びが極めて鈍いことがスラックの大きさを物語るものとなっているものの、マンデートに接近している状況で、さらにガソリン価格の高騰が購買力を低下させ、消費者マインドを低下させる一因にもなっていることから、緩和強化を支持するとは必ずしも言い切れない。但し、米経済の失速もしくはその懸念がエネルギー価格を押し下げるのであれば、次第にインフレ圧力も緩和していくことにも繋がる。そうした時期を見極めるまでは基本的に"Wait And See"なのだろうと思われる。



--------------------------------------------------------------
メルマガ「金融市場Watch Weblog Plus」のお知らせ

毎週月曜日に、各種マーケットについて、先週のフォロー及び今週の見通しと焦点について私なりの考え方をまとめてメルマガにてお伝えいたします。詳細はこちらを御覧ください。


人気ブログランキングへ ←皆さんの応援よろしくお願いします! 

 

 人気ブログランキングへ

関連記事
スポンサーサイト

カテゴリ: 市場視点

タグ: マクロ  米国  雇用統計  Fed 
tb: 0   cm: 0

« カンザスシティ連銀金融ストレス指数構成要素のヒートマップ  |  FOMC~フォワードガイダンスは据え置き »

この記事に対するコメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://marketwatcher.blog61.fc2.com/tb.php/549-5aa5b4e4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。