09« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»11

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カテゴリ: スポンサー広告

tb: --    cm: --

5月雇用統計~労働参加率が回復 

6月1日に米労働省BLSは5月の雇用統計を公表した。以下は各指標である。


非農業部門雇用者数 +6.9万人
民間部門雇用者数 +8.2万人
失業率(U-3) 8.2%
週間平均労働時間 34.4h
平均時間あたり賃金 23.41ドル
U-6失業率 14.8%



(1)非農業部門雇用者数増減(単位:千人)と失業率の推移


Unemployment rate 20120602



(2)非農業部門雇用者数がリセッション前の水準を取り戻すまでの期間(WW2以降)


Job recovery 20120602



(3)民間雇用者数(単位:千人)の推移


Private Payroll 20120602



(4)週次あたり平均賃金=時間あたり賃金*週間平均労働時間(単位:ドル)の推移


Wage 20120602



(5)27週以上の失業者数=長期失業者(単位:千人)の推移


Longer-term unemployed 20120602




(6)労働参加率(単位:%)の推移


Partcipation Rate 20120602




(7)労働投入量(前年同期比%)の推移


Partcipation Rate 20120602




■ESTABLISHMENT SURVEY(事業者調査)


・非農業部門雇用者数は6.9万人増加となり、市場予想の平均である14.9万人増加を下回る内容となり、ヘッドラインとしてはネガティブサプライズとなった。3月は二次速報の15.4万人増加から14.3万人に下方修正、4月についても速報の11.5万人増加から7.7万人増加に下方修正された。3月以降雇用増加のモメンタムが低下していることが裏付けられている。4月の下方修正の要因については、観光・接客業が速報値1.2万人増加であったのに対して二次速報値では6千人減少となっていること、専門職・ビジネスサービス業で速報値が6.2万人増加であったのに対して二次速報値では3.7万人に下方修正されたこと、製造業についても速報値1.4万人増加に対して二次速報値では4千人増加に下方修正されたことなどによる。趨勢的には1-2月の記録的な暖冬の影響で押し上げられた反動や、それ以外の循環的な景気減速などにより、雇用市場の伸びは減速しているといえる。


・製造業は1.5万人の減少となった。内訳は、鉱山・掘削業で1千人増加、建設業で1.5万人減少、製造工業で1.2万人増加となっている。製造工業の内訳では、耐久財が1.3万人増加、非耐久財が1千人減少、耐久財のうち自動車及び部品は5.8千人の増加となっている。建設については1-2月に記録的な暖冬の影響で押し上げられた反動が出てきているものと考えられる。一方で自動車関連の人員の引き合いはそれなりに堅調である。しかし、速報値段階ではヒューレッドパッカード(HP)の2万7千人規模のレイオフの影響は織り込めておらず、今後7月に発表される5月二次速報段階もしくは6月以降の雇用統計においてこの影響が出てくる可能性がある。



・非製造業は9.7万人の増加となった。内訳は、卸売が1.59万人増加、小売業は2.3千人増加、運輸・倉庫は3.56万人増加、情報は2千人減少、金融取引は3千人増加、専門職・ビジネスサービス業は1千人減少、教育・ヘルスケアは4.6万人増加、観光・接客業は9千人減少となった。専門職・ビジネスサービス業のうち、人材派遣は9.2千人の増加にとどまった。季節要因もあるものと考えられるが、これまでサービス業を牽引していた観光・接客業の雇用のモメンタムが低下し、また専門職のうち、建物・住宅サービスの雇用が1.43万人減少している。一方で運輸・倉庫業が3.56万人増加している。小売なども着実な伸びを示していることから、内需について、少なくとも雇用面からは減速しているものの落ち込むという方向ではなく、底堅いことを示している。


・政府部門は1.3万人減少となった。内訳は、連邦政府で5.0千人減少、州政府が5.0千人減少、地方政府が3千人減少となった。地方政府については、教員が3.3千人減少した一方で教員除く職員は0.4千人増加した。地方政府については、教員の削減が大きく、教員以外ではあまり変化がないことから、緩やかに下げ止まり感が出てきているという見方を強めるものとなっている。以下は地方政府の人員の推移である(出所:米労働省)。


Local gevernment 20120602



・非農業部門の週間平均労働時間は34.4時間となり、前月から0.1時間減少した。週間平均労働時間と民間雇用者数増減を掛けあわせた民間部門の労働投入量は前年比1.78%の伸びとなり、伸び率は鈍化した。製造業の週間平均残業時間も3.2時間と前月から0.1時間減少していることから、労働機会が縮小していることが示唆されており、ネガティブである。また時間あたり平均賃金は23.41ドルとなったことから、週次あたりの平均賃金は前月から1.66ドル減少の805.30ドルとなった。賃金については殆ど伸びていないどころか、むしろ減少していることから、消費マインドへの影響も気に掛かるところだろうと思われる。


■HOUSEHOLD SURVEY(家計調査)


失業率は8.2%(8.193%)となり、前月から0.1%上昇した。


Household survey 20120602




失業率を求める際の分母となる労働人口は前月から64.2万人増加、分子となる失業者は22.0万人増加した。このことから失業率が増加した。非労働力人口が46.1万人減少し、就業者が42.2万人増加したことからすれば、長期失業などの状態から職探しを諦めて労働市場から退出した人が景気回復などにより労働市場に再参入してきたことが失業率上昇の要因とみられる。そのことから労働参加率は63.8%に回復し、就業者比率も58.6%に回復した。今後も労働参加率は過去25年間で最低の水準で一進一退していくものと思われるが、一応の下げ止まり感はみられつつある。若年層の労働参加率の低下について懸念を示す向きもあったが、16歳以上の男性の労働参加率は4月は70.0%に低下したが、5月は70.3%に回復している。このことからも職探しの再開の可能性に向けて明るい材料となっているものと思われる。今後職探しを再開することによって、労働市場に戻る人が増加すれば、失業者が増加することになる(失業者とは定義上、"All persons who are without jobs and are actively seeking and available to work are included among the unemployed."「職に就いておらず、かつ職探しをしており職に就くことが出来る全ての人々は失業という状態に含まれる」ということである)。労働人口も押し上げられるが失業者も押し上げられるので、当面この傾向が続くことになれば、失業率は下がりにくくなる。労働市場が本格的に回復するというのは、こうした労働参加が広がっていくということであり、景気の拡大に伴い就業機会が拡大することによってこうした失業者を吸収することで失業率が低下するというプロセスを踏むことが理想的であるといえる。従って、今後もこうした形で労働人口が増加していけるかどうかがポイントとなってこよう。但し、日本ほどではないものの、ベビーブーマー世代のリタイヤなどの動きもあることから、このあたりは労働参加率上昇にとってはアゲンストとなりやすいことには留意が必要である。長期失業者(27週以上の失業状態にある人)は31万人増加した。失業者全体に占める長期失業者の割合は42.8%となった。これまで減少傾向が続いていたが、5月は急に増加した格好となった。趨勢的には減少していくものと考えられるものの、依然としてそのペースは緩慢であろう。



■5月雇用統計の評価とFedの動向


5月の雇用統計は家計調査でポジティブ、事業者調査でネガティブなものとなった。


ポジティブファクター:労働参加率が上昇したこと
ネガティブファクター:非農業部門雇用者数の伸びが一層鈍化したこと、賃金が低下したこと、労働投入量の伸びが大きく鈍化したこと


こういったようにまとめられる。労働参加率の低下に下げ止まり感が出てきたことについてはポジティブなものと言える。しかし、非農業部門雇用者数については世界経済の減速感の影響は免れないものとなっている。従って全体としてはまちまちな評価となっている。なお、暖冬の影響により1-2月に雇用が大幅に押し上げられた反動が5月まで続いているという見方も出来るため、今後雇用増減のモメンタムについては今後変化していく可能性もある。


Fedとしては、雇用市場のモメンタムが低下してきていることは懸念材料として意識しているものの、QE3については今のところやや声が大きくなっているという印象であり、メンバーの総意という印象ではない。前回のFOMC議事要旨において、


Several members indicated that additional monetary policy accommodation could be necessary if the economic recovery lost momentum or the downside risks to the forecast became great enough.

複数のメンバーはもし経済回復がモメンタムを失い、ダウンサイドリスクが十分大きくなっていくようであるならば追加の金融緩和が必要となる可能性があると指摘した。




確かにこの雇用統計では経済回復のモメンタムが低下しているということを示唆しているものの、雇用は増加基調を保っているわけであり、この雇用統計だけで追加緩和というにはまだ尚早であるとうにも思われる。ダウンサイドリスクへの蓋然性が強まった時に追加緩和という手段が取られるものと考えられる。ダウンサイドリスクとは、NYFedダドリー総裁が考えているところでは以下のようなものである(NYFed "Job Polarization in the Region"より)


Nevertheless, significant downside risks remain, especially those related to the challenges in Europe and how the potential “fiscal cliff” in the United States will be resolved after the fall elections. Even if these risks do not materialize, I anticipate only slow progress toward full employment.

しかしながら、著しいダウンサイドリスクは残っており、特に欧州における課題に関連したものや、米国における潜在的な「財政の壁」が秋の選挙後に解決されるのかということである。もしこれらのリスクが実現しないとしても、完全雇用に向けた進捗はただ遅いのみだと予想する。



すなわち、欧州の状況が米国にスピルオーバーし金融市場が不安定となり、信用スプレッドなどを通じて実体経済にも悪影響を及ぼすような場合、あるいは輸出の停滞で成長が押し下げられる場合、そして米国の潜在的な財政問題とその解決策がどのように進展していくのかということをダウンサイドリスクとして挙げている。現時点で社債やモーゲージスプレッドはやや高まってきているものの、ベンチマークとなる長期金利が急低下してきたことも背景にあるため、欧州リスクが米国にスピルオーバーした結果がすべてであるとは言い切れず、従って金融ストレスが著しく掛かっている状況でもないことから、クレジットチャネルによるダウンサイドリスクは現時点でそれ程高まっているわけではない。但し、今後の欧州金融情勢の進展によっては著しいダウンサイドリスクに繋がる可能性はそれなりに対処していかなければならないだろう。一方で、欧州経済は恐らくマイルドなリセッションではなく、本格的なリセッションに突入する可能性があり、当然米国の輸出にとってアゲンストになってくる可能性もある。この場合、輸出セクターで雇用が減少することが確認されればダウンサイドリスクの顕在化と捉えることも出来るかもしれない。また、財政問題については、大統領選挙を睨んでということにもなるが、昨年のスーパーコミッティ決裂により、2013年以降は歳出が自動的に1.2兆ドル程度カットされる。このことから、来年以降緊縮財政への可能性があることから、景気の下押し圧力になる可能性もある。この点については大統領選挙後、新しく就任する大統領や議会がどのように対処していくかが鍵となる。


そしてこのようなダウンサイドリスクが顕在化した段階で取るべき政策については以下のように語っている。



As long as the U.S. economy continues to grow sufficiently fast to cut into the nation’s unused economic resources at a meaningful pace, I think the benefits from further action are unlikely to exceed the costs. But if the economy were to slow so that we were no longer making material progress toward full employment, the downside risks to growth were to increase sharply, or if deflation risks were to climb materially, then the benefits of further accommodation would increase in my estimation and this could tilt the balance toward additional easing.

米国経済が有意義なペースで経済における活用されていない資源を削っていくために十分な速さで成長が続いていくならば、私が思うには更なる行動による恩恵はコストを超える可能性は無いだろうと思う。しかし、もし経済が、完全雇用が実質的に達成できないくらいに減速し、ダウンサイドリスクが鋭角的に増大するか、デフレーションリスクが実質的に増大するならば、追加の緩和の恩恵は、私の推定ではより増大し、追加的な緩和に向けて傾けることも出来る。

Under such circumstances, further balance sheet action might be called for. We could choose between further extension of the duration of the Federal Reserve’s existing Treasury portfolio and another large-scale asset purchase program of Treasuries or agency mortgage-backed securities.


そのような状況下では、更なるバランスシート拡張が呼び出される。我々はFedの既存の米国債ポートフォリオのデュレーションを更に伸ばすか、さらに米国債もしくはエージェンシーMBSについて大規模な資産購入プログラム(LSAP)を選ぶことが出来る。



今のところは米経済は着実な回復途上にあることから、追加緩和について恐らくベネフィットはコストを超えられないという見方をしているものの、上記のようなダウンサイドリスクが増大するような状況もしくは雇用減となるような状況においては追加緩和に向けて舵を切るものと考えられる。その際、可能性がある政策の順に、オペレーション・ツイストの延長、(7月を待って)フォワードガイダンスに示されている低金利政策の期間予測の先延ばし、MBSの買入+不胎化、LSAPによる米国債購入・バランスシート拡張政策ということになろうかと思われる。バランスシート拡張政策については、大統領選挙を目前にして共和党からの反対論が強く、また内部でもコンセンサスをまとめるのは難しいことから優先順位としては低い。一方でオペレーション・ツイストの期間延長及び保有証券の残存期間延長は、出口戦略を難しくさせるものの、バランスシート拡張政策ではないので現時点でコンセンサスが得やすいものと思われる。フォワードガイダンスに示されている低金利政策の期間予測の先延ばしについては、これは各参加者の金利予測が前提となるだけにSEPと声明文との整合性の問題が残るものの、市場の期待形成に働きかけ長めの金利に作用するという時間軸効果を狙うという政策は現段階で有効であると思われる。いずれにせよ、今月末でオペレーション・ツイストが完了することから、その後の政策運営をどのようにしていくのかということについて、6月のFOMCはかなり大きな意味合いとなっていくものと考えられる。



--------------------------------------------------------------
メルマガ「金融市場Watch Weblog Plus」のお知らせ

毎週月曜日に、各種マーケットについて、先週のフォロー及び今週の見通しと焦点について私なりの考え方をまとめてメルマガにてお伝えいたします。詳細はこちらを御覧ください。


人気ブログランキングへ ←皆さんの応援よろしくお願いします! 

 

 人気ブログランキングへ


関連記事
スポンサーサイト

カテゴリ: 市場視点

タグ: マクロ  米国  雇用統計  Fed 
tb: 1   cm: 0

« Fedバーナンキ議長議会証言(抄訳)  |  カンザスシティ連銀金融ストレス指数構成要素のヒートマップ »

この記事に対するコメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://marketwatcher.blog61.fc2.com/tb.php/552-fd240445
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

-

管理人の承認後に表示されます


2012/06/02 06:08

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。