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FOMC~景気見通しを下方修正、オペレーション・ツイストを継続 

6月20-21日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、以下の様なことが決まった。


・保有証券の平均残存期間を延長するプログラムを今年いっぱいまで継続
・FF金利の誘導目標を0-0.25%に据え置く
・フォワードガイダンスによる低金利の予測は従来通り「2014年暮れまで」



となった。以下は4月と6月の声明文の差異である。

Diff FOMC 20120621-1
Diff FOMC 20120621-2



■声明文の経済認識


声明文における景気認識については、従来通り景気はゆるやかに拡大していくという見通しを示したものの、雇用の伸びについては、ここ数カ月で減速しているとしており、前回の「雇用はここ数カ月で改善している」という認識から下方修正を行なっている。これは3-5月の雇用の伸びが1-2月に比べかなり減速していることを踏まえて声明文でも反映させたものと思われる。この要因については季節外れの異例な暖冬により季節調整に歪みが生じたといったことも会見で議長は言及していたが、雇用の伸び悩みとともに失業率が高止まりの状況からからなかなか低下していかないことに対する警戒感も意識しているものと考えられる。また、企業支出はこれまでの通り「前進している」という認識を示している一方で、家計消費支出については「今年のはじめよりはいく分スローなペースとなっている」という認識を示し、減速感が出ていることを認めている。また物価についてもこれまでは「やや上向きであった」との認識から、「低下している」という認識に下方修正を行なっており、インフレについても沈静化しているという認識を示している。


第2パラグラフにおいては、経済成長について「とても緩やかに上向きとなっていく」と予測し、将来の景気の加速についてこれまで以上に慎重な見方を示している。またこのことから失業率の低下はゆっくりとしか(only slowly)低下していかないという表現に改められ、議長会見前に公表されたSEP(FOMC参加者による経済見通し)の失業率見通しに沿った内容となっている。また、インフレについては、これまで、


The increase in oil and gasoline prices earlier this year is expected to affect inflation only temporarily
今年のはじめの原油やガソリンの価格の上昇はインフレに一時的にしか影響しないと予測している



との文言が外され、これまでのFOMCにおける判断通り、原油高があくまでテンポラリーなものであり、インフレが沈静化しているということを表明したものと考えられる。


■オペレーション・ツイストの継続


Fedは今年6月末までに4000億ドルの長期債(残存期間6年以上)を購入し、同額の3年以下の残存期間の短・中期債を売却することで、Fedが保有する米国債の平均残存期間を延長するプログラム(extend the average maturity of its holdings of securities)を昨年の9月に通知し、実施した。そして今月末でオペレーション・ツイストが完了することになっているが、長期金利を低め誘導するためにこのオペレーションの継続を行うかどうかが今回のFOMCでの最大の焦点となり、継続が賛成多数で決められた。NY Fedのステートメント(Statement Regarding Continuation of the Maturity Extension Program)によると、現在の買入ペースで今年末までに2670億ドルの残存期間6年以上の長期債を買い入れ、それに見合う額の3年以下の短・中期債を売却もしくは償還させることとなっている。従って、満期を迎える米国債についてはこれまで償還再投資、すなわち声明文で、


rolling over maturing Treasury securities at auction
満期を迎えた米国債については入札時にロールオーバーする



という文言が削除されている。そして、この2670億ドルについては、SOMA(System Open Market Account)が保有している米国債のうち、2015年12月末に償還を迎える米国債は、6月14日時点で以下の通りであり、


普通債(Par Value) 2755.66億ドル
TIPS(Par Value) 7.30億ドル


この上限額が金額の根拠となっているものと思われる。従って、保有している2760億ドル程度の短・中期債のうち2670億ドルの短・中期債の売却を行うことから、かなり限界に近い金額であることが分かる。従って、今年末以降、追加でこのオペレーションを継続するのはほぼ困難である。また、例えば予定通りに2015年から出口戦略に転じた時に、米国債を償還して資金を回収出来る額が著しく少なくなり、その分長期債を売却してバランスシートを縮小させることが必要となるので、想定以上に長期金利への上方圧力が掛かる可能性もある。なお、買い入れ構成は以下のようになっており、昨年9月に公表した構成比率と同じである(出所:NYFed)。


SOMA Duration 20120621



■SEP(FOMC参加者による経済見通し)


また、今回のFOMCではSEP(FOMC参加者による経済見通し)が公表された。ここで、経済見通しについては、実質GDP、失業率、PCEデフレータ、コアPCEデフレータの各項目について下方修正を行なっている。以下はSEPによる経済見通しである(出所:Fed)。


SEP 20120621


2012年の実質GDPの中央レンジは1.9-2.4%となっており、前回4月の2.4-2.9%から大きく下方修正された。2013年についても大きな下方修正であり、当初の楽観的な予測からかなり振れたものとなっている。失業率についても、2012年の第4四半期は8.0-8.2%の予測となっており、現状の失業率からあまり低下していかないという見込みが示されている。2013年についても7.5-8.0%の見通しであることから、声明文において、


the Committee anticipates that the unemployment rate will decline only slowly toward levels that it judges to be consistent with its dual mandate

委員会は、デュアルマンデートと一致すると判断した水準に向かって失業率はゆっくりとしか低下していかないと予測している




という形で反映させている。このことから、労働市場についてこれまでの楽観的なスタンスに対して修正が掛かる形となっており、今後失業率があまり低下していかないようであれば追加の景気刺激策についても論議されていく可能性が高まったといえる。議長も会見で以下のように述べ、これまでの見通しが楽観的であったことを認めている。


Fed has been too optimistic about the economic recovery
景気回復についてFedは楽観過ぎた



また、物価についても、コアPCEデフレータは2012年は1.7-2.0%、2013年も1.6-2.0%と4月の予想から若干下方修正を行なっている。当面は長期見通しであり、物価目標である2.0%を上回らないものと予測されている。


金利見通しについては、以下の通りである(出所:Fed)。


Interest rate path 20120621


FOMC参加者が増加した(パウエル及びシュタイン理事)ことから、母集団数は17から19となっている。そして2015年に政策を引き締めに転ずるのが望ましいと考えている参加者が2人増加して6名となった。これにより、「金利を引き締めるのが望ましい時期」の中央値は2014年となっている。金利パスについては、2014年の政策金利について最も高く考えている人で3%となり、一方で0.25%と考えている人が6名に増加したことから、参加者による見解のばらつきが大きくなっている。しかし、0.5%以下であると予測している人が7人から10人(Fed理事が2人増加したことからすれば1名が金利見通しを引き下げた)となっており、2014年の金利パスの平均を取ると4月時点では2%であり6月には1.75%となったことから、ややハト派的な政策スタンスを支持する参加者が増えたことを示唆している。そしてこのSEPによる経済見通しから、修正テイラールールを用いて実質FF金利を推定すると、以下のようになった(モデルについては1月のエントリ参照)。


Taylor Rule 20120621


4月の見通しから推定すると、2012年第4四半期には実質FF金利はプラスに転じていたが、今回の予測から推定すれば、まだ水面下となっている。2014年第4四半期には、前回の予測からの推定では1.33%であったが、今回の推定では0.70%となっており、フォワードガイダンスに示されている「少なくとも2014年の暮れまでは異例なほど低い金利であるだろうということを正当化する」という文言と整合的になってきている。金利パスにおいても、2014年末の金利予測は10名が0.5%以下としていることからもほぼこのテイラールールによる実質FF金利の推定と整合的である。但し、フォワードガイダンスを2014年末からさらに後ずれさせることについては、現段階で2015年に利上げを行うのが望ましいと考えている人がそれほど多くないことから、今後SEPで失業率、インフレ率について大きく下方修正されない限りにおいては、その可能性はあまり大きくないと思われる。しかし、ダウンサイドリスクが顕在化し、失業率が現予測よりも低下していかないという見通しが立ち、インフレ率予測もそれほど大きく上昇しないのであれば、参加者各自の金融政策ルールにより、金利パスを後ずれさせる参加者が多くなっていくことも想定される。そういった段階でフォワードガイダンスの後ずれを検討していくものと考えられる。一方で、2013年以降は物価重視派の参加者がメンバーに多く加わるとみられることから、各メンバーの金利見通しについての認識の相違が浮き彫りになっていく可能性も残されている。


今後の政策については、議長自身が会見で、


There's some case to be made for making additional judgments for where the economy's going.
経済が向かっていくところで、追加の判断を行ういくつかのケースがある。



としていることから、経済見通しのダウンサイドリスクが顕在化すれば追加の緩和策(具体的にはフォワードガイダンスの後ずれという可能性)を実施していくものと思われる。しかし、現段階では具体的な手段について言及をしていないことから、当面は現状のオペレーション・ツイストの継続を行なっていく、そしてFOMC参加者の金利見通しの大勢が2015年に後ずれするのであれば、フォワードガイダンスの見直しを行って市場の金利予測に働きかけを行なっていくという方向なのではないかと思われる。QE3については、欧州金融市場の混乱が米国市場にスピルオーバーし、信用市場がタイトとなり、クレジットスプレッドが上昇し実体経済に波及していくのであればMBSなどの買い入れを行なっていくものとみられるが、現時点ではそういう状況でないことから、実施されないだろうと思われる。


【参考】


・Fedバランスシート

FerdbalanceSheet 20120621


・FF金利先物のフォワードカーブ

FFForward 20120621


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タグ: 金融政策  Fed  ZIRP  オペレーション・ツイスト  金利  FOMC 
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2012/06/22 22:05

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