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8月雇用統計~労働参加率はさらに低下 

9月7日に米労働省BLSは7月の雇用統計を発表した。以下は各指標である。


非農業部門雇用者数 +9.6万人
民間部門雇用者数 +10.3万人
失業率(U-3) 8.1%
週間平均労働時間 34.5h
平均時間あたり賃金 23.52ドル
U-6失業率 14.7%



(1)非農業部門雇用者数増減(単位:千人)と失業率の推移


Unemployment rate 20120907


(2)非農業部門雇用者数がリセッション前の水準を取り戻すまでの期間(WW2以降)


Employment Recovery 20120907



(3)民間雇用者数(単位:千人)の推移


Private Payroll 20120907



(4)週次あたり平均賃金=時間あたり賃金*週間平均労働時間(単位:ドル)の推移


Wage 20120907



(5)27週以上の失業者数=長期失業者(単位:千人)の推移


Longer-term unemployed 20120907


(6)労働参加率(単位:%)の推移


Participation Rate 20120907



(7)労働投入量(前年同期比%)の推移


Labor Input 20120907



■ESTABLISHMENT SURVEY(事業者調査)


8月の非農業部門雇用者数は9.6万人の増加となり、7月から鈍化し、市場予想(13万人程度)を下回る形となり、ヘッドラインとしてはネガティブだった。民間雇用者数は10.3万人の増加にとどまり、主に製造業セクターにおける雇用減が響いた格好となっている。6月は二次速報の6.4万人増加から4.5万人増加に、7月は速報の16.3万人増加から14.1万人増加に下方修正された。


・製造業は1.6万人の減少となった。うち、鉱業・採掘業で2千人減少、建設で1千人増加、耐久財で1.7万人減少、非耐久財で2千人増加となっている。耐久財のうち、輸送用機器で8.2千人減少となっている。製造業セクターについては、例えば7-8月のISM製造業景気指数は50を割り込んでおり、8月の時点で雇用減となっていることはこれらの指標と符合する。従って製造業セクターについては生産調整と共に雇用調整の動きが出ているものと推測され、全体的に製造業の活動が鈍化しているということが示唆されている。


・非製造業は11.9万人の増加となった。内訳では卸売業が7.9千人増加、小売業が6.1千人増加、運輸・倉庫業が5.7千人増加、情報が3千人増加、金融取引が7千人増加、専門職・企業サービス業が2.8万人増加(うち人材派遣は4.9千人減少)、教育・福祉サービスは2.2万人増加(うちヘルスケア・ソーシャルアシスタンスが2.17千人増加)、観光・接客業は3.4万人増加となっている。主に福祉サービス関連と接客業(飲食店)で雇用が増加しているが、その他の業種でも広範囲に雇用が増加しており、非製造業のセクターは概ね堅調さを維持しているといえる。一方で人材派遣がマイナスとなっている。また、8月以降新学期セールスのための人員確保が小売や運輸などで出ている可能性がある。これから年末に掛けて小売関連や宅配関連の雇用がどのように推移していくのかも注目となろう。


・政府部門は7千人減少となっており、うち連邦政府は3.0千人増加、州政府は6.0千人減少、地方政府は4.0千人減少となっている。連邦政府のうちデフォルトしたUSPS(米国郵政公社)は変わらずとなっている。今後人員削減の動きが活発となっていくのかが注目される。地方政府については傾向として雇用削減幅が緩やかになっているものの、依然として雇用削減圧力が強いことが示唆されている。以下は地方政府部門の雇用者数推移である(出所:BSL)。


Local gevernment 20120907



・時間あたり平均賃金は23.52ドル、週間当たり平均労働時間は34.4時間となっており、平均賃金(雇用者所得)は809.09ドルとなり、前月から0.34ドル低下した。また民間部門の労働投入量(民間の週間あたり平均労働時間に民間雇用者数増減を掛けあわせたもの)は前年比2.39%の増加となり、伸びが加速した。労働投入量については、恐らくは昨年8月の民間雇用者数の伸びがかなり低かった影響から伸びが加速したものと思われる。賃金は小幅ながら低下しており、その間ガソリン価格等が上昇していることを踏まえると実質収入の目減りと購買力低下により消費者センチメントへの影響も意識される。以下は対前年比での時間あたり平均賃金の伸びの推移である。


Average hourly Earnings 20120907



■HOUSEHOLD SURVEY(家計調査)


8月の失業率は8.1(8.1114)%となった。


HOusehold Data



失業率を求める際の分母となる労働力人口(Civilian labor force)は前月から36.8万人減少し、分子となる失業者(Unemployed)は25.0万人の減少となっている。このことから失業率が低下した。就業者比率(Employment-population ratio)は前月から0.1ポイント低下の58.3%となり、労働参加率(Participation rate)は前月から0.2ポイント低下の63.5%となり、過去25年間で最低水準となった。非労働力人口は58.1万人増加し、そのうち職を求めている人(Persons who currently want a job)は4.03万人増加した。さらに年齢別の労働参加率をみると、20歳以上の男性は73.0%から72.7%に低下、20歳以上の女性は59.2%から59.3%に上昇、両性で16-19歳は35.2%から34.0%の低下となっている。つまり、労働人口は、20歳以上の男性で25万人の減少、16-19歳で20.9万人の減少となっている。若年層の労働参加率の低下は、季節的な要因(例えば新学期を控える、もしくは学生採用を減らすなど)といった要因も考えられ、また20歳以上の男性については高齢によりリタイヤということも考えられる。しかし、労働市場が未だに軟調であることから職探しを諦めた人も多く出ているものと考えられ、そういった労働市場からの退出によって失業率が低下したことからすれば、家計調査の内容もネガティブであると言わざるをえない。また失業の理由については、「失職もしくは一時的な就業期間の満了」は前月から12.0万人減少、「離職」は6.4万人増加、「リエントラント(再参入)」は6.2万人減少、「新規参入」は3.4万人減少となっている。リエントラントが減っていることからも労働市場からの退出が意識される。長期失業者(27週以上失業状態にある人)は15.2万人減少して503.3万人に低下した。失業者全体にしめる長期失業者の割合は40.0%となっている。


■雇用統計の評価とFedの政策


今回の雇用統計のポイントをまとめると、以下のようになる。


・非農業部門雇用者数の伸びは市場予想を下回った(ネガティブ)
・製造業の雇用者数増減が減少に転じた(ネガティブ)
・非製造業の雇用の伸びは堅調推移(ポジティブ)
・賃金が低下(ネガティブ)
・労働市場の多くの退出によって失業率が低下した可能性(ネガティブ)



このようなことから、2つの統計どちらをとってもネガティブなものだったとの評価となる。特に、製造業の部門においては、8月のISM製造業景気指数から読み取れるように、新規受注が低下する一方で在庫が積み上がっていることから、在庫調整圧力が足元で掛かっているものと推察される。このことから循環的要因により製造業の経済活動が減速してきていることを踏まえると、この時点での雇用調整の動きはあってもおかしくはないものとなっている。一方で非製造業は全般的に安定した雇用の伸びとなっており、今後のベビーブーマー世代の大量退職を控えて需要が高まっているヘルスケアなどの産業では、安定した雇用の受け皿となっている。


事業者調査では、失業率が8.1%に低下しているものの、労働参加率が記録的な低水準に落ち込んでいることを踏まえれば、改善といえる状況には程遠いのが現状であろう。長期失業者は減少傾向となっているものの、バーナンキ議長が危惧しているように、求職がない→職探しを諦める→労働市場から退出する→技能の低下→構造的失業といった経路をたどっている可能性も指摘される。大統領選挙を11月に控え、雇用が急減した2008年から状況が大幅に改善していないということは、現職のオバマ大統領にとっても大きな向かい風として意識される。確かに最悪期から400万人程度雇用が増えているものの、非農業部門雇用者数が2008年にピークを打った時からすればまだ3.5%ほど低い水準にとどまっている。


Fedの動向からすれば、このような雇用情勢はやはり懸念材料であろうと思われる。議長は、先月のジャクソンホールでの講演(9/1エントリ参照)でも、雇用の回復については、


the rate of improvement in the labor market has been painfully slow

労働市場の改善は「痛々しいほど」遅い



という認識を示し、さらに、

The stagnation of the labor market in particular is a grave concern not only because of the enormous suffering and waste of human talent it entails, but also because persistently high levels of unemployment will wreak structural damage on our economy that could last for many years.


特に労働市場の「停滞」は巨大な苦しみや人間の才能を悪化させるだけでなく、持続的に高い水準の失業率は長年に渡って構造的なダメージをもたらすので、「重大な」懸念である。



としていることからも現状の労働市場の停滞についてかなり強い口調で懸念を表明していることからすれば、最大雇用を促進するための行動については行われる公算が強いものと考えられる。ジャクソンホールの講演でも示されたが、非伝統的な政策手段のうち、バランスシート政策を取るのか、あるいはコミュニケーション戦略を取るのかが来週のFOMCにおける主な議題となるものと考えられるが、個人的には後者の可能性が強いものと判断している。つまり、フォワードガイダンスに示される時期を先延ばしにする、ということである。9月のFOMCではSEP(Fed経済見通し)の公表が行われるが、恐らく米国経済の減速やFiscal Cliffの行方などにより、多くのFOMC参加者自身の金利引き上げ時期が後ずれとなることから、声明文に示されるガイダンスも先送りされるものと思われる。QE3については現状で行われる可能性は強くない。デフレリスクはあまり台頭せず、足元で株価や商品市場が強含みの展開を示し、特にガソリン価格が再浮上している情勢においてバランスシートの拡張を行うことはリスクが高い。個人的な見解ではあるが、仮に今後QE3を行うのであれば、議会交渉がまとまらずFiscal Cliffが発動されることやデットシーリング交渉が決裂すること、もしくは欧州情勢の悪化などの要因により市場が混乱し、信用スプレッドの拡大などを通じて米国の実体経済に悪影響を及ぼすと判断した時期にMBSや社債の買入を行なっていくのではないかと思われる。

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