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FOMC~オープンエンド型のMBS買い入れとフォワードガイダンスに示される低金利の期間延長を決定 

9月12-13日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、


・月当たり400億ドルのMBSを追加購入
・低金利予測の期間を2015年半ばに先延ばし



といった形で追加緩和政策が賛成多数で行われることとなった。以下は前回と今回の声明文の比較である(赤字が変更箇所、青字が今回追加、緑字が今回削除、画像クリックで拡大できます)。


Statement.png



■今回の政策決定の狙い


MBSの購入についてはLSAP(Large Scale Asset Purchases)のように予め買入れ枠というものを設定せず、月当たり400億ドル購入するという形を取っており、総額や期限については無制限(オープンエンド)である。声明文では、


In determining the size, pace, and composition of its asset purchases, the Committee will, as always, take appropriate account of the likely efficacy and costs of such purchases.

資産購入額、買い入れペース、買い入れ構成を決めるにあたって、委員会は、常にそのような購入の実効性とコストについて適切に検討していくつもりである



としていることから、毎回のFOMCにおいてこのような買い入れのスタンスの変更がありうるということを表明している。従って、これまでのLSAP(QE1やQE2)のように予め大規模な総額を示すのではなく、毎回月ごとの買い入れペースを示すことになるのだろう。勿論、


If the outlook for the labor market does not improve substantially, the Committee will continue its purchases of agency mortgage-backed securities, undertake additional asset purchases, and employ its other policy tools as appropriate until such improvement is achieved in a context of price stability



と述べていることから、景気やインフレがFedの予測よりもアップサイドに振れれば月当たりの買い入れ額の減額や打ち切りもありうるわけであり、一方でダウンサイドに振れれば買い入れ額の増額やアセットクラスの追加・変更もありうる。このため、毎回の政策決定において、これまで以上に雇用統計などの経済指標や金融市場への依存度が大きくなる可能性がある


資産買入について、MBSに絞った、というのは、恐らくクレジット・スプレッドを低下させるクレジットチャネルを狙ったものであろうと考えられる。MBSと米国債のスプレッドが低下すれば、同様に社債などのクレジットスプレッドを低下させ、家計であればモーゲージ金利が一段と低下することにより住宅ローンを借りる、もしくはリファイナンスを容易にさせ、企業部門であればローンや社債などの調達コストを低下させることにより、消費や投資の促進といったトランスミッションを考慮してのことだろうと思われる。特に住宅の低迷により、建設業の失業率は8月時点で11.3%と他のセクターよりも抜きん出て高く、失業者も92.3万人であり、これは全失業者の7.3%に相当する。従って、こうしたクレジットチャネルを通じて金融面から住宅セクターへのテコ入れを行い、そして雇用を改善させる狙いがあるものと考えられる。


以下は米国債の利回りに対する社債・モーゲージ金利のスプレッドの推移である(出所:FRED)。


・社債利回りスプレッド


CBSpread 20120914



・モーゲージ利回りスプレッド


Mortgage spread 20120914


MBSの買い入れ額は、毎月400億ドルとなっているが、これについては、NY FedのQUARTERLY REPORT ON HOUSEHOLD DEBT AND CREDITによると、第2四半期の新規モーゲージローン組成額は4630億ドルであり、今後3カ月間で1200億ドルのMBSを購入することになれば、おおよそ新規モーゲージローン組成額の25%程度の規模と推察される。以下は新規モーゲージローン組成額の推移である(出所:NY Fed)。


Originated Mortgage 20120914


そしてコミュニケーションポリシーでは、声明文に示されたフォワードガイダンスについて、少なくとも2015年の半ばまでは異例な低金利な状況が続くことが正当化される可能性が高い、としている。実質的には更なる時間軸効果を狙ったものであり、市場の金利予測へ働きかけることにより、中期ゾーンの金利を低下させ、長期金利にも低下圧力を掛けることにより、イールドカーブのフラット化を狙ったものである。以下はFF金利先物のフォワードカーブである。市場予測の変化が確認できる(出所:CME)。


FFForword 20120914


■SEP(FOMC参加者による経済見通し)


今回のFOMCでは、FOMC参加者による経済見通し(SEP:Summary of Economic Projections)が公表されている。以下は各年の第4四半期の実質GDP、失業率、PCEデフレータ、コアPCEデフレータの見通しの中心レンジである(出所:Fed)。


SPE 20120914


これによると、2012年の実質GDP成長率を前回から下方修正している一方で、2013年、2014年の見通しは上方修正されている。失業率の見通しは、2012年は前回と変わらず、2013年はレンジ幅を狭めるも、前回とほぼ変わらず、2014年は上方修正となっている。2015年は6.0-6.8%と予測しており、長期見通しである5.2-6.0%には近づくものの、依然としてそれを上回る水準に留まるという見方を示している。インフレ率は2012年でやや上方修正、2013年で若干上方修正、2014年は若干の上方修正、コアインフレ率は2012年、2013年、2014年ともにやや上方修正しているものの、インフレ目標である2%か、それよりやや下回るという見通しである。


金利パスに当たる箇所、まず引き締め政策に転じるのに適切な時期(Appropriate timing of policy firming)については、2015年とするのが12名と圧倒的となった(出所:Fed)。


Appropriate timing of policy Firming 20120914


6月時点との比較では、引き締め政策に転じるのに適切な時期が2012年であるとする参加者は6月時点で3名であったのに対して今回は1名、同じように2013年とする参加者は6月時点で3名であったのに対して今回は3名、2014年とする参加者は6月時点で7名であったのに対して今回は2名、2015年とする参加者は6月時点で6名であったのに対して今回は12名、2016年とする参加者は今回1名となった。このことから、早期利上げを主張するタカ派といわれる参加者の一部も引き締めに転じる時期を先延ばししていることが明らかとなった。また、引き締め政策の適切なペース(Appropriate pace of policy firming)については、以下のようになっている。


Appropriate pace of policy Firming 20120914


各年末の各参加者の金利予測の平均は、2012年は26bp、2013年は38bp、2014年は63bp、2015年は172bpとなっている。特に2015年の金利見通しについては参加者の中でもかなり割れているように思われる。


以上のことにより、今回の経済見通し(失業率見通しとインフレ率見通し)からテイラー・ルール方程式による実質FF金利を算出(算出モデル文末参照)すると、以下の様になった。


Real FF Rate 20120914


2012年は引き続き実質FF金利はマイナス圏内であるが、2013年末にはプラスに転じ、2014年には1%台半ば、2015年には2%台前半-半ばとなっている。すなわち、経済見通しをベースに金融政策ルールから算出される実質FF金利と金利パスによるFOMC参加者の金利見通しとの間にはかなり大きな乖離が存在し、フォワードガイダンスに示された時期とSEPとの間の整合性にやや疑問を投げかけるものとなっている。これについては、ジャクソンホールでの議長の講演で、以下のように述べている(意訳です。出所:Fed)。

Some of the policy rules informing the forward guidance relate policy interest rates to familiar determinants, such as inflation and the output gap. But a number of considerations also argue for planning to keep rates low for a longer time than implied by policy rules developed during more normal periods. These considerations include the need to take out insurance against the realization of downside risks, which are particularly difficult to manage when rates are close to their effective lower bound; the possibility that, because of various unusual headwinds slowing the recovery, the economy needs more policy support than usual at this stage of the cycle; and the need to compensate for limits to policy accommodation resulting from the lower bound on rates.

金利決定のフォワードガイダンスを知らしめるいくつかの政策ルールはおなじみの決定要因であり、それはインフレと生産量ギャップである。しかし、多くの検討すべき要因により、正常な期間に開発された政策モデルに示されているよりも低金利の期間を長期化させている。これらの検討要因は、特に金利が実質的に下限に近づいている時に管理するのが難しく、それはダウンサイドリスクの顕在化に対して保険を掛ける必要があることを含んでいる。恐らくそれは、景気回復を遅くさせている異常な逆風により、経済は通常のサイクルの段階よりも政策のサポートを必要としており、そして金利が下限となっている結果として緩和政策の限界を補う必要性があるためである。



また、声明文でも、


To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee expects that a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate for a considerable time after the economic recovery strengthens.

完全雇用と物価安定に向けた継続的な進展をサポートするために、委員会は高い緩和的な金融政策のスタンスが、景気回復が強化された後、かなりの長期間に渡って適切であり続けるだろう。



としており、こうしたテイラー・ルールなどの政策ルールで予測される将来の金利見通しよりも低金利の期間が長引くことをアナウンスしている。つまり、非負制約、景気回復を鈍くさせている要因への考慮(例えば住宅問題など)、あるいはダウンサイドリスクへの考慮などにより、声明文のフォワードガイダンスに示される時期は通常の政策ルールに示される時期よりも長くなっているというロジックである。しかし、このようなロジックを付き足すのは、却って政策決定プロセスの透明性を失わせるリスクもあり、更なる説明責任が求められる可能性がある(SEPに金利パスを付随させたこと、もしくはコミュニケーションポリシーの目的の一つは政策決定のプロセスの透明性を確保するため、だったはずである)。


■参考


Fedバランスシート(出所:Cleveland Fed)


FedBalancesheet.png


・実質FF金利の推定モデル(テイラー・ルール:再掲)

テイラー方程式による実質FF金利(RFF)は以下の式、

RFF = r + It + A(It - I*) +Byt (1)


として表されるが、このうちItをt期のインフレ率(コアPCEデフレータ)、ytをt期のアウトプットギャップ、I*をインフレ目標、Itをt期のインフレ率、rを均衡実質金利、A及びBを政策パラメータとする。ここで、産出量と失業率との間にはオークンの法則が成立するので、t期の失業率をUt、NAIRU(自然失業率)をU*とすると、以下のようになる。


RFF = r + I* + A(I* - It) + B(Ut - U*) (2)


ここで、Itをt期のインフレ率(コアPCEデフレータ)、Utをt期の失業率、I*をインフレ目標、U*をNAIRU、rを均衡実質金利とする。さらに、


Ig = It - I* (インフレギャップ)
Ug = U* - Ut (アウトプットギャップ)


として、(2)式を変形すると、


RFF = const + AIg + BUg (3)

RFF = (const - AI* + BU*) + AIt - BUt (4)

const = r + I* (5)

となる。


そして、(3)式において、1990年1月から、金融危機が起きる前の2007年12月までの期間のコアPCEデフレータと失業率を説明変量(X1, X2)とし、FF金利を目的変量(Y)とする。インフレ目標は2%、NAIRUは5.5%として最小二乗法によって推計すると、


RFF = 1.904Ig - 1.461Ug + 3.8 (6)

RFF = 1.904It - 1.461Ut + 8.014 (7)


となる。このときX1の標準誤差は0.118、X2の標準誤差は0.097、定数項の標準誤差は1.169となる。





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