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9月雇用統計~家計調査はポジティブ・サプライズ 

10月5日に米労働省BLSは9月の雇用統計を発表した。以下は各指標である。


非農業部門雇用者数 +11.4万人
民間部門雇用者数 +10.4万人
失業率(U-3) 7.8%
週間平均労働時間 34.5h
平均時間あたり賃金 23.58ドル
U-6失業率 14.7%



(1)非農業部門雇用者数増減(単位:千人)と失業率の推移


Unemployment rate 20121006


(2)非農業部門雇用者数がリセッション前の水準を取り戻すまでの期間(WW2以降)


Employment Recovery 20121006



(3)民間雇用者数(単位:千人)の推移


Private Payroll 20121006



(4)週次あたり平均賃金=時間あたり賃金*週間平均労働時間(単位:ドル)の推移


Wage 20121006



(5)27週以上の失業者数=長期失業者(単位:千人)の推移


Unemployed Dulation 20121006



(6)労働参加率(単位:%)の推移


Partcipation Rate 20121006



(7)労働投入量(前年同期比%)の推移


Labor Input 20121006


■ESTABLISHMENT SURVEY(事業者調査)


非農業部門雇用者数は11.4万人増加となり、市場予想の11.5万人程度にほぼ一致した。7月は二次速報の14.1万人増加から18.1万人増加に上方修正され、8月についても9.6万人増加から14.2万人に増加と上方修正されている。後述するが、上方修正の要因は地方政府をはじめとした政府部門の押し上げによるものである。民間雇用者数は10.4万人増加となっており、8月の水準とそれ程変わりがない。


・製造業雇用は1.0万人減少し、2カ月連続で雇用減となった。内訳は、鉱業・掘削業で1千人増加、建設で5千人増加、製造工業で1.6万人減少となった。製造工業では、耐久財が1.3万人減少、非耐久財が3千人減少となっている。耐久財では、一次金属で3.4千人減少、コンピュータ・電子製品で5.5千人減少、輸送用機器で3.0千人の減少となった。HPなど一部業績不振のメーカーが削減を打ち出しており、その影響もあったものとみられる。輸送用機器では自動車メーカーが需要減に対応して雇用を減らしているものとみられる。製造業については、足元において世界経済、とりわけ欧州経済がリセッション不可避の情勢かつ新興国、特に中国の減速が意識される中、積極的に採用を増やしていくという情勢ではない。また、航空機などのセクターでは受注状況が芳しくなくキャンセルも出始めており、航空不況に入りつつある可能性もある。一方でISM製造業景気指数など、一部製造業の業況について、底打ちを示唆しているものもある。従って、弱含みではあるものの、はっきりとした方向性を見出すにはまだしばらく時間を要するものと考えられる。


・非製造業は11.4万人増加し、着実な雇用増のトレンドとなっている。内訳は、卸売業で1.6千人減少、小売業で9.4千人増加、運輸・倉庫業で17.1千人増加、情報で6千人減少、金融取引で1.3万人増加、専門職・ビジネスサービスで1.3万人増加、教育・福祉サービスで4.9万人増加、観光・接客業で1.1万人増加、その他サービスで9千人増加となった。専門職・ビジネスサービス業のうち、人材派遣は6.7千人の増加となった。また教育・福祉サービスのうちヘルスケア・ソーシャルアシスタンツは4.45万人の増加となっている。福祉職などの一部セクターが大きく牽引しているものの、その他の業種でも広範囲に雇用増となっていることから、サービス業の業況は概ね堅調であるとみてもよいだろう。


・政府部門は1.0万人増加した。内訳は、連邦政府で4.0千人増加、州政府で1.3万人増加、地方政府で7.0千人減少となっている。また、政府部門に関しては大きな上方修正もみられる。7月は二次速報で2.1万人減少であったが、1.8万人(うち地方政府は2.9万人増加)に上方修正、8月は速報段階で7千人減少であったが、4.5万人(うち地方政府は3.5万人増加)に上方修正されている。このことから7・8月の非農業部門雇用者数の増加幅は大きく上方修正されている。つまり、7-8月で地方政府の雇用が6.4万人増加したことによるところが大きい。9月の地方政府はその反動で7.0千人減少となっている。基調として地方政府の雇用削減の動きには歯止めがかかりつつある。これは直近で税収が回復しているという側面もあるものと思われる。しかし、Fiscal Cliffが発動された場合、連邦政府や地方政府で雇用削減圧力が大きく掛かることから、今後の大統領選挙・議会選挙やその後の議会動向には注意を要するところだろう。以下は地方政府部門の雇用者数推移である(出所:BLS)。


Local government 20121006


・民間雇用者の時間あたり賃金は23.58ドル、週間あたり平均労働時間は34.5時間となった。週間あたり労働時間は7・8月分が下方修正され、9月に上昇した。これにより、民間の労働投入率は前年比1.99%、週間あたり平均賃金(雇用者所得)は813.51ドル(8月は808.74ドル)となった。賃金はやや上昇していることから、消費者センチメントの改善に繋がるものと期待される一方で、ガソリン価格が再度上昇傾向となっており、実質賃金を圧迫する可能性もある。従って、賃金よりもガソリン価格の上昇が急であれば購買力を低下させ消費者センチメントを悪化させる一方で、ガソリン価格が賃金よりもモデレートに上昇もしくは低下するのであれば、消費者センチメントの改善につながる。この2つのトレンドは今後も注意深くみておく必要があろう。


■HOUSEHOLD SURVEY(家計調査)


・失業率は、7.8%(7.7955%)となり、2009年1月以来の低水準となった。


Household survey 20121006



・8月の失業率は8.1%であったため、0.3ポイントという大幅な改善であった。失業率は、失業者(Unemployed)/労働人口(Civilian noninstitutional population)で求められるが、このうち分母となる労働人口は41.8万人増加、分子となる失業者は45.6万人減少となったことから、失業率が大幅に低下した。労働参加率は0.1ポイント改善して63.6%、就業者は87.3万人増加したことから就業者比率は0.4ポイント改善の58.7%となった。非労働力人口は21.1万人の減少となった。つまり、労働市場に再参入する人が多かったのと同時に、就業者が大幅に増加したことにより失業者が減少、その結果として失業率が大きく低下したことから、ポジティブな失業率低下ということがいえる。これまで失業者が減少した要因が、失業者が職探しを諦め非労働力人口となり失業者が低下したことによるケースが多かったが、9月はこれまでのケースとは異なり、雇用創出により失業率が低下したということになる。


・就業者数が87.3万人増加した一方で非農業部門雇用者数がそれ程大きく上昇しない、ということについては、長期的な統計データからすれば就業者数増減と非農業部門雇用者数増減の両者の相関はそこそこ高い(2000年2月以降では0.539)ものの、単月のデータでは振れが激しくなる。もちろん、この要因は非農業部門雇用者数増減と失業率が異なる統計(前者は事業者調査、後者は家計調査)であるため、統計上の相違が出るという説明となる。ここから先は諸賢の統計的分析の解析を待ちたいが、個人的には、これだけの差異が生じたことについては、以下のような仮説を考えている。


家計調査の就業者については、7-8月で31.4万人減少していたが、実際にはこの間非農業部門雇用者数は32.4万人増加しており、従って家計調査側でその「埋め合わせ」が発生している可能性がある(事業者調査は毎月リバイスされるが、家計調査は毎月リバイスされないこともそのように考える理由である)。ここで「埋め合わせ」というのは、第一に、事業者調査では雇用者としてカウントされたままであるものの、家計調査ベースで7-8月の統計調査期間中は何らかの状態により仕事をしていなかったが、その後短期間で職場に戻った、という人(無給休暇状態の人も含まれる)について9月分で就業者増加としてカウントした、ということである。この埋め合わせによる9月の就業者の嵩上げは31万人程度だろうと思われる。そして第二に、この間事業者調査ベースでは雇用は増加していたわけであり、家計調査の7-8月統計調査期間中はまだ就業状態ではなかった人(例えば採用は決まっているものの、待機していた人など)が33万人程度だったものと思われる。従って、9月の就業者数増加幅の87.3万人のうち、64万人程度がこのような要因による嵩上げだろうと考えられる。仮にこの考え方に則れば、残りの23万人程度は、純粋にこの月に採用が決まり、就業を開始した人ということになる。まとめると、


(1)雇用者としてカウントされたままであるものの、家計調査ベースで7-8月の統計調査期間中は何らかの状態により仕事をしていなかったが、その後短期間で職場に戻ったという人が31万人程度、(2)家計調査上7-8月はまだ就業状態ではなかった人(例えば採用は決まっているものの、待機していた人と考えられる)が33万人程度、(3)9月に採用が決まり就業した人が23万人程度


ということになると考えられる。(追記)家計調査によると、パートタイマーが60万人増加となっている。一般的にパートタイマーの場合、よりフレキシブルな就業となるため、就業者の短期的な変動が起こりやすくなる。従って、(1)、(2)の多くはそのようなパートタイマーとしての就業であったと考えられる。


以下は家計調査増減における就業者増減と事業者調査における非農業部門雇用者数の増減の散布図と、7-9月のそれぞれの増減の推移である。


Employment_NFP 20121006
(縦軸は非農業部門雇用者数増減、横軸は就業者増減)

Employment 20121006


*重ねて申し上げるが上記は個人的な仮説であって、諸賢の統計的解析結果を待ちたいところである。


いずれにせよ、労働人口が増加し、就業者が大幅に増加して失業率が低下したということは事実であり、雇用市場が改善していることを示唆しているものとなっている。今後はこのようなトレンドが形成され、好循環によって失業率が低下していくかがポイントとなろう。


・失業理由については、「失職もしくは一時的な就業期間の満了(Job losers and persons who completed temporary jobs)」が46.8万人減少、「離職(Job leavers)」が1.5万人増加、「リエントラント(再参入)」が1.2万人減少、「新規参入(New entrants)」は3.0万人減少した。26週以上失業状態にある長期失業者は18.9万人減少し、484.4万人となった。500万人を割り込んだのは2009年7月以来である。失業者全体に占める長期失業者は40.1%となった。


■雇用統計の評価とFedの政策


今回の雇用統計のポイントをまとめると、以下のようになる。


・非農業部門雇用者数の伸びは市場予想に一致
・雇用市場の改善により失業率が改善した(ポジティブ)
・賃金がやや上昇した(ポジティブ)



このようなことにより、家計調査においてポジティブ・サプライズであった。労働市場が劇的に改善している、という認識ではないものの、着実に改善しているという印象を抱かせるものとなっている。大統領選挙が11月に行われるが、オバマ陣営にとってサポートとなる数字だろう。しかし、2カ月連続で製造業部門で雇用が減少していることは、世界経済の減速を反映している可能性があり、今後の欧州や中国経済の動向などを踏まえれば、今後も引き続きダウンサイドリスクも大きく楽観できる状況でもない。一方で国内需要は底堅く、労働市場も改善していることが伺える。


Fedは前回のFOMCでオープンエンド型資産買入の実施を決めた。同時にFedが前回のFOMCで示した失業率の予測では、2012年第4四半期に8.0-8.2%、2013年第4四半期に7.6-7.9%であった。すなわち、現在の失業率は予測ベースで2013年後半の水準である。従って、フォワードガイダンスで示された低金利を継続する時期が「少なくとも2015年半ば」という時期の妥当性について内外から疑問を持たれる可能性もあり、今後も緩和政策を維持していく方針であれば、透明性の観点からより高い説明責任が求められるものとなろう。このような観点を踏まえると、コミュニケーションポリシーの変更、すなわちこれまでのように、フォワードガイダンスで低金利の期間を示す、というよりも低金利が妥当であるという経済状況について具体的なしきい値を示す方向に変えていくのではないかと思われる。前回のFOMC議事要旨でも、以下の様な議論が行われている。


Many participants thought that more-effective forward guidance could be provided by specifying numerical thresholds for labor market and inflation indicators that would be consistent with maintaining the federal funds rate at exceptionally low levels. However, reaching agreement on specific thresholds could be challenging given the diversity of participants' views, and some were reluctant to specify explicit numerical thresholds out of concern that such thresholds would necessarily be too simple to fully capture the complexities of the economy and the policy process or could be incorrectly interpreted as triggers prompting an automatic policy response. In addition, numerical thresholds could be confused with the Committee's longer-term objectives, and so undermine the Committee's credibility. At the conclusion of the discussion, most participants agreed that the use of numerical thresholds could be useful to provide more clarity about the conditionality of the forward guidance but thought that further work would be needed to address the related communications challenges.


多くの参加者は、FF金利を異例な低水準に維持するのに矛盾がない、労働市場やインフレ指標の特定のしきい値を提供することによりより効果的なフォワードガイダンスとなると考えていた。しかし、特定のしきい値について合意に達することは、参加者の見方の多様性により困難であり、参加者の数人は、特定のしきい数値を明示化することは、そのようなしきい値が経済の複雑さを必ずしも十分に捉えることが出来ず、もしくは政策プロセスが自動的な政策対応のトリガーを促すものとして誤って解釈されてしまう可能性があることを懸念した。さらに、数値的なしきい値は、委員会の長期的な目標と混同され、委員会の信認を低下させる可能性がある。議論の結論としては、ほとんどの参加者は数値的なしきい値を使うことはフォワードガイダンスのコンディショナリティについてより明確になるのに役立つが、コミュニケーション上の困難さに関連するものを解決していく必要があるだろう、ということに同意した。



従って、今後はこうしたしきい値を設ける方式に変更していく可能性があり、コミュニケーション政策の強化についての論議が活発になっていくこととなる。恐らく、シカゴ連銀エバンス総裁が2011年10月に以下のようなこと("The Fed’s Dual Mandate Responsibilities: Maintaining Credibility during a Time of Immense Economic Challenges"より)を述べているが、それに近いような形式のガイダンスになるのではないかと思われる。


I think we should consider committing to keep short-term rates at zero until either the unemployment rate goes below 7 percent or the outlook for inflation over the medium term goes above 3 percent.

私は、Fedは失業率が7%を下回るか、中期的なインフレ率見通しが3%を超えるまでは、短期金利をゼロに据え置くとのコミットを考慮すべきだと考える。



但し、中期的なインフレ率が3%を超えるまで、という表現については、マンデートに対して明らかに高い水準のインフレ率を容認すると誤解されてしまう可能性があり、合意は難しいものと思われる。しかし、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁も失業率が5.5%を上回っているかインフレ率が2.25%を下回っている限りはFedは金利をゼロに据え置くとのコミットを提案している("Planning for Liftoff"より)ことからすれば、コミュニケーション政策の変更についての合意はほぼ出来ている。あとはしきい数値をどのように設定するかという作業を行なって適切な時期に変えていくということになるのだろう。



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