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FOMC~月当たり400億ドルのMBS購入を維持 

10月23-24日に米連邦公開市場委員会が開催され、以下の政策の現状維持を賛成多数で決めた。


・オープンエンドMBS購入を月当たり現状の400億ドルで維持
・オペレーション・ツイストを併せ、長期証券を月当たり850億ドル買い入れる
・エージェンシー債やエージェンシーMBSの償還資金でMBSを再購入する
・FF金利が異例な低水準が正当化されるのは少なくとも2015年の半ばまでと予想



ラッカー委員は、追加の資産購入に反対し、高い緩和的な金融政策のスタンスが適切であり、異例なほど低水準なFF金利が正当化される時期に関する記述に同意しなかったことから反対票を投じた。



以下は前回と今回のFOMCステートメントの比較である(赤字:変更箇所、青字:今回追加、緑字:今回削除)


Diff 20121025



■経済認識


まず、基調判断は、


(前回)economic activity has continued to expand at a moderate pace
(今回)economic activity has continued to expand at a moderate pace


このように経済活動は緩やかなペースで拡大し続けているというこれまでの認識を踏襲した。FOMCの経済認識のベースとなる10月のベージュブックでは、経済活動について"moderate"という表現から"modest"という表現に下方修正されており、今回の声明でもそのような現状判断を行う可能性もあったが、結果的には据え置きとなった。26日に7-9月のGDP速報値が発表される予定であるが、それをみてから修正していく可能性もあるのだろう。


雇用については、


(前回)Growth in employment has been slow, and the unemployment rate remains elevated.
(今回)Growth in employment has been slow, and the unemployment rate remains elevated.


このようになっており、特段変更は行われなかった。失業率は8%台を割り込んできているものの、非農業部門雇用者数の伸びは緩慢であり、依然として失業率はFedの長期見通しからかなり上方乖離したままであり、依然として労働市場については弱い見方を踏襲している。


家計消費支出については、


(前回)Household spending has continued to advance
(今回)Household spending has advanced a bit more quickly


このように、今回はやや踏み込んだ形で上方修正を行なっている。米個人消費は足元でやや強まっているとの認識を示している。


企業支出については、


(前回)growth in business fixed investment appears to have slowed
(今回)growth in business fixed investment has slowed


このような形で明確に鈍化したとの認識を行なっている。足元で耐久財受注が弱含みで推移しており、欧州や中国・アジア等の新興国の景気減速、さらには米国Fiscal Cliffの発動への懸念から企業の投資マインドは低下しており、そうした動きを反映したものとなっている。以下は航空機除く非国防資本財受注の推移である(出所:FRED)。

NEWORDER_Max_630_378.png


住宅市場については、


(前回)The housing sector has shown some further signs of improvement, albeit from a depressed level.
(今回)The housing sector has shown some further signs of improvement, albeit from a depressed level.


落ち込んだ水準からではあるものの、さらなる改善の兆候が見られるというこれまでの見方を踏襲している。


物価については、


(前回)Inflation has been subdued, although the prices of some key commodities have increased recently.
(今回)Inflation recently picked up somewhat, reflecting higher energy prices.


このように、前回はコモディティ価格は上昇しているがインフレは安定しているという認識であったが、今回はエネルギー価格の高騰によってインフレはやや上向きとなっているというように判断を上方修正している。エネルギー価格の上昇がインフレに繋がるという見方以上に労働市場や生産市場にスラックが残り、労働コストが上昇してインフレになっている見方ではないので、監視するという意図はあるものの、これで政策変更という方向には繋がらないものと思われる。なお、長期的なインフレ期待は安定して推移しているというこれまでの見方を踏襲している。


■今回のFOMCと今後の政策について


今回のFOMCについては、前回にオープンエンド型のMBS購入を決定し、フォワードガイダンスに示される低金利の期間を2015年半ばまで、という決定を行ったばかりであり、今回それほど前回と経済状況も変わっているわけもないこと、さらには大統領選挙を11月に控えていることもあり、まずは前回決めた政策の効果を見極めるということに終始したものと考えられる。政策の評価については、足元でモーゲージスプレッド(米10年債金利-フレディマック30年固定モーゲージ金利平均)が縮小してきており、金融の状況が一段と緩和していることが示唆されており、こういった点についての議論が行われた可能性がある。以下はモーゲージスプレッドの推移である(出所:Fed、フレディマック)。


Mortgage Spread 20121025



このような金利状況を背景にして、先週に発表された週間の抵当銀行協会(MBA)サーベイでは、モーゲージのリファイナンス指数が着実に上昇している(詳細はCalculated Risk:MBA:Mortgage Applications Decrease in Latest MBA Weekly Surveyを参照)。リファイナンスが活発になれば消費者の購買力が増大する。こうしたトランスミッションについては、NY連銀ダドリー総裁が講演で以下のように語っている(William C. Dudley:The Recovery and Monetary Policyより)。


Federal Reserve asset purchases also make financial conditions more accommodative. Such purchases, by taking duration out of private hands, push down term premia and lead to lower long-term rates than would otherwise be the case for any given economic outlook. Agency MBS (mortgage-backed securities) purchases absorb prepayment risk and reduce secondary and primary mortgage rates, stimulating demand for housing and increasing purchasing power through refinancing. Lower long-term rates support the prices of equities and housing, boosting wealth and easing balance sheet constraints, while an accommodative monetary policy stance reduces downside risks for the economy and this leads to lower default risk premia on corporate debt.

Fedの資産購入は、金融の状況をより緩和的にしている。民間以外にデュレーション(リスク)を取れるそのような購入は、任意の経済見通しにおいて他者が行うよりも、タームプレミアムや、長期金利をより低くさせる。エージェンシーMBSの購入は期限前償還リスクを吸収し、セカンダリー及びプライマリーのモーゲージ金利を低下させ、住宅への需要を刺激し、リファイナンスを通じて購買力を高める。低い長期金利は株価や住宅価格をサポートし、富を押し上げバランスシートの制約を緩和する一方で、緩和的な金融施策スタンスは経済のダウンサイドリススクを低下させ、社債におけるデフォルトリスクプレミアムを低下させる。



*但しこのあとにクレジットアベイラビリティが制限されていることやネガティブエクイティにより借り手にリファイナスが適用されないこと、あるいはセカンダリー金利がプライマリー金利にパススルーされていないことについて言及があるのには留意


また、ダドリー総裁のこの講演では、追加の資産購入はフォワードガイダンスのクレディビリティを補強するものだとしている。このようなことから、追加の購入は住宅市場の回復を促進しているという見方を行なっているものと思われる。一方でフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁などからは政策が特定のセクターや産業に関与することは財政政策に当たるという批判を行なっている(Charles I. Plosser:Economic Outlook and the Limits of Monetary Policy参照)。


今後の政策変更の考え方としては、フォワードガイダンスの表現の取り扱いということになる。これまでカレンダーベースでの「時期」に条件付きコミットを行なってきたが、前回のFOMC議事要旨では、時期から、経済指標などの閾値に変更するのが望ましいと考えていることで同意していたことが明らかになっている。これは、SEP(FOMC参加者による経済見通し)で2014年までの失業率予測を上方修正しているにも関わらず、2015年半ばまでカレンダーベースの時間軸を延長させており、金融政策モデルとの整合性が失われてきている。また、政策運営とその環境が見渡せる時期というのはせいぜい2-3年であり、2015年半ばという時期からさらに時間軸を引き延ばす、というのも難しくなってきていることも起因であるように思われる。従って、これ以上のカレンダーベースの時間軸の引き延ばしというのは、政策決定の透明性やコンディショナリティから難が生じている。


そのため、コミュニケーションポリシーは、これまでのカレンダーベースの時間軸という方針から、金融引き締めに転じる特定のしきい値の設定に移行される可能性が強まっている。今回のFOMCでも踏み込んだ議論が行われている可能性が高い。仮に見直しが行われるのであれば、恐らくSEPの公表と議長会見が開かれる次回12月のFOMC、ないしは3月である可能性が高い。また、オープンエンド型のMBS購入を月当たり400億ドル行なっているが、この終了の条件について、


"If the outlook for the labor market does not improve substantially"
もし労働市場の見通しが実質的に改善しないのであれば



ということになっているが、これについてももっと具体的な方向性を示すべきではないかとの議論も行わわれたものと思われる。この終了条件についても具体的なしきい値となる可能性もあるが、そうなると、(1)オープンエンド型資産購入の終了条件、(2)フォワードガイダンスに示される低金利の終了条件、(3)デュアルマンデートに一致する水準(2%のインフレ目標と自然失業率)、といった3つの政策的なしきい値ができてしまうため、コミュニケーション上混乱をきたす可能性もある。さらに特定のしきい値を設定することについては、経済指標への依存度を大きく高めることになり、仮に雇用統計などで大幅な改善がみられ緩和政策が終了するという思惑が高まれば、金利マーケットなどのボラティリティをいたずらに高めてしまうリスクもある。この点において、コミュニケーションポリシーの難しさをどう克服していくのかにも注目していく必要があろう。


また、12月にオペレーション・ツイストが終了することになっているが、今後フォワードガイダンスのクレディビリティを強化し、長期金利の低下を促すために、オープンエンド型の米国債の追加購入も検討されていく可能性もある。これは声明文にもあるように、


If the outlook for the labor market does not improve substantially, the Committee will continue its purchases of agency mortgage-backed securities, undertake additional asset purchases, and employ its other policy tools as appropriate until such improvement is achieved in a context of price stability.

もし労働市場の見通しが実質的に改善しないのであれば、委員会はエージェンシーMBSの購入を継続していくつもりであり、物価安定の文脈の下でそのような改善が達成されるまで、適切な時にさらなる資産購入を実施し、他の政策手段を採用するつもりである。



としていることからも、米国債の購入というオプションについて検討されていく余地はあるようにも思われる。


■参考


・FF金利先物のフォワードカーブ(出所:CME)


FFForword 20121025


・Fedバランスシート(出所:Cleveland Fed)


FedBalancesheet 20121025


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2012/11/05 06:52

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