リンクする「3D不況」
2009⁄11⁄24(火) 18:07
今日の東京株式市場は下落した。NY株式市場と東京株式市場は相関性がないことは自明であったわけで、CME225先物円建が9,550円で帰ってきたことから今日の相場はマイナスになる可能性もあるなんて思っていたら寄り付き天井ですかさずマイナスに沈むのであるから、ロイターが「クロスマーケットアイ」という記事で「げんなり」と表現することも分からないわけではない。もう日経曰く「3D不況(Deflation・Dilution・DPJ)」というわけだからこんなところの市場に積極的なマネーが入ってくるだろうか?あくまでも売っているのは追証に追われている個人・持ち合い解消の銀行・ソルベンシーマージン比率見直しに係るウエイトダウンニーズがある生保など国内投資家である。
対照的に米国は相変わらず年初来高値を更新した。ここのところの軟調さを吹き飛ばす見事な相場だった。株式相場が景気の先行性をもっているのであれば、この時期において年初来高値を更新し続けるNY市場、すなわち米国経済の底堅さは認めなければならないだろうし、7月安値を割り込んで下げていく株価が表す日本経済の軟調さに悲嘆するべきだろう。世の中には米国クラッシュ論を煽る人があまりにも多いが、ドル暴落なりダウ暴落なりを扇動する前に足元の日本の日経平均なりの深刻度をしっかりみておくべきだろう。わざわざ「デフレ宣言」を出してきたのだから、政府が危機感を持って何かに取り組むのであればそれでマーケットは納得するはずである。しかし、全てを日銀のせいにして問題を丸投げしている姿こそが今日の株式市場の下げにつながっている。
少し長く愚痴っぽくなったが、3D不況について冷静に考えておく必要がある。3つのDはリンクする。
ところで、本日、S&Pが世界の大手金融機関の中の資本基盤を調査し、公表した(Bloomberg参照)。これをみると、邦銀はすべて最下位のグループ5にランクされた。数字はS&Pが算出したリスク調整後の自己資本比率であり、6月30日付けの数字である。
グループ 5
Banco Bilbao Vizcaya Argentaria SA 5.4
Danske Bank A/S 5.4
DZ BANK AG 5.3
Allied Irish Banks PLC 5.0
Mitsubishi UFJ Financial Group 4.9
Sumitomo Mitsui Financial Group 3.5
UBS AG 2.2Citigroup Inc. 2.1
Mizuho Financial Group Inc. 2.0
グループ 5 平均 4.0世界平均 6.7
そして英銀大手のロイズが23日終値から59.5%ディスカウントした値段で株主割当増資を発表した(ロイター記事参照)。中国銀行も増資すると発表し、上海総合指数も急落した。中国銀行はこれを直接的には否定しているようなのだが、こういった一連の動きは新BIS規制として適用されるバーゼル3を睨んだ話である。
デフレと金融規制に絡む銀行のリスクテイク能力の低下には大きな関係があるのではないかと思われる。自己資本とは分母であり、貸出にまわっている資産が分子であるとする(この比率こそが自己資本規制比率であるが)。そしてこの自己資本比率は現在国内基準で4%を維持することが求められている。この自己資本比率を増やすということは、換言すれば資本をある一定の額に置くならば分子を抑制するか、増資によって分母を増強するしかない。さらに資産の内容にも優劣がある。国債など信用力のある資産がグッドアセットであり、信用力のない民間への貸出資産がバッドアセットであるということでみなし、バッドアセットの比率に規制を加えるとすれば、業務体制上当然グッドアセットを増やさざるを得ない。その結果として、資本が薄い金融機関にとって、バランスシートを保つため民間への貸出を減らし、国債などの安全資産を積み増す動きが出てくるのも当然だろう。しかし、逆にデフレ対策として中銀がいくら流動性を供給しようともそのような規制が金融機関に重くのし掛かっている以上、貸出(リスクテイク)として増えることもなければマネーサプライも伸びない。個人的にはバーゼル3による自己資本規制強化は信用創造が全うに行われる経済ならばリスクテイクの過熱を抑制する意味で有効なのだろうが、デフレでは脆さしかないのではないかとも思う。
さらに、デフレ経済の中での金融規制はデフレスパイラルを助長する可能性がある。このような観点で考えれば、グループ5に位置づけられている邦銀は相当追い込まれているといえる。だからこそ株式市場においては分子である資産のクオリティを保つため持ち合い株の処分売りを出さざるを得ないし、分母を増資によって強化し、コアTier1を4%なり6%なりに持っていかなければいけない。これが"Dilution"という形で株式市場を暗くさせている。この間のTOPIXの下落が物語るように、それはすなわち資産デフレというべき現象である。だからこそ売りが売りを呼ぶ展開になりやすくなる。
こういったことについて無頓着にみえるDPJは何を考えているのだろうか?
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対照的に米国は相変わらず年初来高値を更新した。ここのところの軟調さを吹き飛ばす見事な相場だった。株式相場が景気の先行性をもっているのであれば、この時期において年初来高値を更新し続けるNY市場、すなわち米国経済の底堅さは認めなければならないだろうし、7月安値を割り込んで下げていく株価が表す日本経済の軟調さに悲嘆するべきだろう。世の中には米国クラッシュ論を煽る人があまりにも多いが、ドル暴落なりダウ暴落なりを扇動する前に足元の日本の日経平均なりの深刻度をしっかりみておくべきだろう。わざわざ「デフレ宣言」を出してきたのだから、政府が危機感を持って何かに取り組むのであればそれでマーケットは納得するはずである。しかし、全てを日銀のせいにして問題を丸投げしている姿こそが今日の株式市場の下げにつながっている。
少し長く愚痴っぽくなったが、3D不況について冷静に考えておく必要がある。3つのDはリンクする。
ところで、本日、S&Pが世界の大手金融機関の中の資本基盤を調査し、公表した(Bloomberg参照)。これをみると、邦銀はすべて最下位のグループ5にランクされた。数字はS&Pが算出したリスク調整後の自己資本比率であり、6月30日付けの数字である。
グループ 5
Banco Bilbao Vizcaya Argentaria SA 5.4
Danske Bank A/S 5.4
DZ BANK AG 5.3
Allied Irish Banks PLC 5.0
Mitsubishi UFJ Financial Group 4.9
Sumitomo Mitsui Financial Group 3.5
UBS AG 2.2Citigroup Inc. 2.1
Mizuho Financial Group Inc. 2.0
グループ 5 平均 4.0世界平均 6.7
そして英銀大手のロイズが23日終値から59.5%ディスカウントした値段で株主割当増資を発表した(ロイター記事参照)。中国銀行も増資すると発表し、上海総合指数も急落した。中国銀行はこれを直接的には否定しているようなのだが、こういった一連の動きは新BIS規制として適用されるバーゼル3を睨んだ話である。
デフレと金融規制に絡む銀行のリスクテイク能力の低下には大きな関係があるのではないかと思われる。自己資本とは分母であり、貸出にまわっている資産が分子であるとする(この比率こそが自己資本規制比率であるが)。そしてこの自己資本比率は現在国内基準で4%を維持することが求められている。この自己資本比率を増やすということは、換言すれば資本をある一定の額に置くならば分子を抑制するか、増資によって分母を増強するしかない。さらに資産の内容にも優劣がある。国債など信用力のある資産がグッドアセットであり、信用力のない民間への貸出資産がバッドアセットであるということでみなし、バッドアセットの比率に規制を加えるとすれば、業務体制上当然グッドアセットを増やさざるを得ない。その結果として、資本が薄い金融機関にとって、バランスシートを保つため民間への貸出を減らし、国債などの安全資産を積み増す動きが出てくるのも当然だろう。しかし、逆にデフレ対策として中銀がいくら流動性を供給しようともそのような規制が金融機関に重くのし掛かっている以上、貸出(リスクテイク)として増えることもなければマネーサプライも伸びない。個人的にはバーゼル3による自己資本規制強化は信用創造が全うに行われる経済ならばリスクテイクの過熱を抑制する意味で有効なのだろうが、デフレでは脆さしかないのではないかとも思う。
さらに、デフレ経済の中での金融規制はデフレスパイラルを助長する可能性がある。このような観点で考えれば、グループ5に位置づけられている邦銀は相当追い込まれているといえる。だからこそ株式市場においては分子である資産のクオリティを保つため持ち合い株の処分売りを出さざるを得ないし、分母を増資によって強化し、コアTier1を4%なり6%なりに持っていかなければいけない。これが"Dilution"という形で株式市場を暗くさせている。この間のTOPIXの下落が物語るように、それはすなわち資産デフレというべき現象である。だからこそ売りが売りを呼ぶ展開になりやすくなる。
こういったことについて無頓着にみえるDPJは何を考えているのだろうか?
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