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Pro-cyclicality 

今日の東京株式市場は反発した。NY市場は下げたが、日経新聞の朝刊で(以下はNIKKEI NETより)、


銀行の新資本規制を延期、日米欧が合意 移行へ10年以上

日米欧の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会は、大手銀行を対象とする新自己資本規制の導入を実質的に延期することで大筋合意した。2012年から段階的に導入する原則は崩さず、10年以上の移行期間を設けて、20年代前半以降に完全実施する方向で調整する。金融危機後の世界経済に不安が残るため、貸し渋りなどのリスクを避けるべきだと判断した。一部の邦銀が迫られていた普通株増資の緊急度が薄れる可能性もある。



という記事を1面トップに載せていた。朝方この記事を目にしてTwitter上で、

今日の日経朝刊はすごいサプライズ。「銀行の新資本規制延期」。銀行株は高く寄りつくだろうね。なんせバーゼル3完全施行が2022年なのだから。



ということを呟いた。このリークが本当なら今年下半期の超特ダネだろうし、この記者さんは凄いことをやってのけたのだろう。しかし、そんなに単純に物事が進むのだろうか?ということは残る。とはいえ兎にも角にも拙速な増資が抑えられるのではないかとの思惑が先行した相場だった。金融庁の油布志行広報室長が「新資本規制の導入延期で合意したとの事実ない」とのコメント(Bloomberg)は冷やし玉という感じで一旦SMBCは伸び悩んだが、終盤にかけて再度ストップ高まで買われるなどした。みずほFGは信用買い残が4億株もあるので、寄ったあとは伸び悩むことはやむを得ない感じだった。銀行株以外は如何にもFOMCを前にしたムードであったので、手控えという感じだった。みずほFGに関しては、東証一部全体の出来高の26%を占め(つまり先導株比率がムチャクチャ高い、ということだ)、1銘柄の売買高としては2003年のあしぎんFGの6億2000万株を抜いて過去最大との観測もあった。


日経の記事に関する論点は2つある。それは、


・「10年」報道はフライングか?
・プロシクリカリティの問題


ということである。前者は個人的にはどうでもよい話である。「10年延期」というヘッドラインだけが踊っており、株式市場もこれに振り回された感じがする。メガバンクの増資ラッシュが当分遠のいたということで、いくつかの"D"をめぐる論議のうち、Dilutionの懸念を後退させたことは確かなようだ。これに関しては日経のフライングなのかどうかはわからないが、DowJonesなどで否定的なコメントが載っているようであり、事のの真偽はバーゼル委員会の正式な発表待ちということになるのだろう。但し、これで残りの2メガの増資がなくなったわけではない。その時期が先延ばしになる可能性が浮上したということだ。


大事なのは後者の視点だろう。本ブログの11月24日のエントリをもう一度抜粋する。


デフレと金融規制に絡む銀行のリスクテイク能力の低下には大きな関係があるのではないかと思われる。自己資本とは分子であり、貸出にまわっている資産が分母であるとする(この比率こそが自己資本規制比率であるが)。そしてこの自己資本比率は現在国内基準で4%を維持することが求められている。この自己資本比率を増やすということは、換言すれば資本をある一定の額に置くならば分母を抑制するか、増資によって分子を増強するしかない。さらに資産の内容にも優劣がある。国債など信用力のある資産がグッドアセットであり、信用力のない民間への貸出資産がバッドアセットであるということでみなし、バッドアセットの比率に規制を加えるとすれば、業務体制上当然グッドアセットを増やさざるを得ない。その結果として、資本が薄い金融機関にとって、バランスシートを保つため民間への貸出を減らし、国債などの安全資産を積み増す動きが出てくるのも当然だろう。しかし、逆にデフレ対策として中銀がいくら流動性を供給しようともそのような規制が金融機関に重くのし掛かっている以上、貸出(リスクテイク)として増えることもなければマネーサプライも伸びない。個人的にはバーゼル3による自己資本規制強化は信用創造が全うに行われる経済ならばリスクテイクの過熱を抑制する意味で有効なのだろうが、デフレでは脆さしかないのではないかとも思う。



この現象を一言でいうならばプロシクリカリティ(Pro-cyclicality)ということだろう(プロシクリカリティに関する説明は厭債害債さんの3月19日エントリ参照)。上記表現で「インフレ」はすなわち好況のことを指すし、「デフレ」は不況も内包する。ちょうどこのエントリの直後にドバイショックが起きたが、ソブリンレベルまで信用力が問われていく状況下で金融規制を掛ければますます欧米の銀行はそういったレベルまで貸出を抑制させることとなり、ソブリン破綻リスクまでもを増長させていくことにもなる。況や民間をや、である。


規制当局もこのことを踏まえている。ロイターによれば、


銀行の自己資本規制をめぐっては、金融危機の再発防止に向け、規制強化の方向で国際的に議論を進めてきたが、その動きが銀行に対する増資圧力になっている。世界の関係当局は、性急な規制強化の動きが銀行の貸し渋りなどを招き、金融危機の再発につながりかねないと判断し、適切な経過措置期間を設ける方向。これにより、銀行への増資圧力は当面、後退するとみられる。



つまり、上記背景から、今は銀行規制をやるべきタイミングではない、というコンセンサスができたことだ。ちょうど1929大恐慌から1931クレジットアンシュタルトという空気がある。クレジットアンシュタルトを想起させる出来事が皮肉なことにオーストリアで起きている(ロイター記事参照)。このような中で拙速な規制は危機の連鎖を生む。規制モラトリアムによってプロシクリカリティリスクが緩和されるのであれば、その効果を望むべきだろう。


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